逢沢りく

逢沢りく

一見平和で恵まれているが、実は冷たい家庭で育った逢沢りく。誰に対しても心を閉ざして嘘泣きを得意とするが、関西の親戚に預けられたことで変化が芽生えていくホームドラマ漫画。第19回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞作。

正式名称
逢沢りく
ふりがな
あいさわりく
作者
ジャンル
家族
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概要・あらすじ

逢沢りくは中学3年生女子。表面上は恵まれた家庭に暮らしているが、パパは浮気をしており、ママは自分勝手。そんななかでりくは常に感情を表さず、自在に嘘泣きできる特技を身につけていた。あるときパパの浮気相手が贈った小鳥を家で飼うことになるが、りくは衝動的に握り殺そうとしてしまう。

精神的に不安定なりくを持て余したママは、関西の大おばさん宅にしばらく預けようと言い出す。ママの影響で、関西人や関西弁を心底毛嫌いしていたりくだったが、ママの前で感情を表したくないという理由から、関西行きを受け入れる。関西ではお節介で親切な人たちに囲まれ、かえっていっそう心を固く閉ざそうとするりく

だが、大おばさん、クラスメートの須藤あや子、そして難病を負った幼い時男らと触れ合ううちに、無感動だった心に少しずつ変化が起こる。そしていつの間にか特技の嘘泣きができなくなっていた。やがて時男が入院して手術を受け、無事に成功。だが、りくは退院前に東京へ帰ることになり、最後に時男と電話で話すことに。

そこでりく時男に、自分が東京へ帰るというのは周囲の大人がついたウソだと言う。そして電話を切ると公園まで駆け出し、1人で号泣するのだった。

登場人物・キャラクター

逢沢 りく (あいさわ りく)

中学3年生の女子。悲しそうな場面で自由に泣ける。何ごとにも関心がないように振る舞い、周囲の大人やクラスメートに対して常によそよそしい。関西でも学校で友だちを作ろうとせず、関西の大おばさん宅の人々にも心を開こうとしなかった。だが、温かい人々に触れるうち、少しずつ心境の変化が芽生えていく。パパの浮気相手が小鳥を買わせたことを知っており、ママに面倒を見させるのが忍びなくて、関西に連れてくる。

パパ

フルネームは逢沢宗治。逢沢りくの父親で、会社社長をしている。若くてハンサム、ファッションセンスもよく、りくにとって憧れの対象。会社の女性アルバイト、内野と浮気している。内野とのデートをママに目撃されるが、悪びれる様子もない。りくに対して愛情豊かに接するが、どこかよそよそしい。

ママ

逢沢りくの母親でフルネームは逢沢朝絵。夫の実家がある関西の人や方言を病的に毛嫌いしている。無農薬食品だけを食べさせ、水にも気を使うなど、りくを育てることに熱心。いっぽうでりくが不安定な行動を見せると、「怖い」と言って疎んじるように。そして自分が本格的に仕事を再開するので忙しくなるとの口実で、一時的にりくを関西の大おばさん宅に預ける。 5年ぶりに浮気相手を呼び出し、りくの制服を着て誘惑しようとした。

内野 (うちの)

パパの浮気相手の女性で、パパが社長を務める会社でアルバイトをしている。ホームパーティで出会ったりくを、「怖い」「かなりキテる」などと評した。パパの誕生日に、自分のことを常に考えるようにとの趣旨で本人に小鳥を買わせて、自分からのプレゼントとする。

関西の大おばさん (かんさいのおおおばさん)

絵に描いたような関西の庶民的おばさんで、姓は石川。東京の逢沢家にしばしば手作りの総菜などを送ってくるが、ママは何を使っているか分からないと言って、りくには食べさせない。りくを逢沢家から預かることとなる。心を開かないりくに干渉しようとしないが、常に温かい包容力で受け入れた。

おっちゃん

関西の大おばさんの夫で、姓は石川。逢沢りくが連れてきた小鳥に鳥居翼と名づけようとする。大おばさんと同様、りくを温かく見守っている。

時男 (ときお)

関西の大おばさんの長男、昭の息子で大おばさんの孫。春男という兄がいる。昭はヨハネスブルグで単身赴任中。何かの難病を患っており、通院していた。母親の冬美が働いており、週の決まった日に大おばさんの家に預けられる。逢沢りくが関西に連れてきた小鳥にチィ坊と名前をつけ、かわいがった。 後に手術を受け、成功する。

(つかさ)

関西の大おばさんの次男。高校生。心を開かない逢沢りくにやや戸惑うものの、細かい事は気にせず自然に接している。りくの冷笑的な態度をたしなめることも。

春男 (はるお)

関西の大おばさんの長男、昭の息子で、大おばさんの孫にあたる。時男の兄。まだ幼いが、病気を持つ弟のために自分がしっかりしなければと健気に張り切っている。発作を起こした時男に対して反応の鈍かった逢沢りくに反感を覚え、この人いつまでいるのと大おばさんに尋ねた。

冬美 (ふゆみ)

関西の大おばさんの長男、昭の嫁で、時男と春男の母親。夫が単身赴任中で、冬美も働いており、決まった曜日に時男と春男を大おばさんの家に預けていた。逢沢りくに対して、困ったことがあればいつでも自分に言ってほしいと伝えて親身に接する。

チィ坊 (ちぃぼう)

『逢沢りく』に登場する小鳥。内野がパパへのプレゼントとして本人に買わせて、逢沢家のペットにさせる。内野はピチョンと呼ぶが、逢沢家では決まった名前がなかった。りくは浮気相手が買わせた小鳥の世話をママにさせるのが嫌で、関西へ一緒に連れていく。関西の大おばさんはチーパッパ、時男はチィ坊と呼ぶ。 時男に懐いて頭に上るようになった。ずっと一緒に過ごしている時男の言葉を覚えて喋るようになる。

甲田 (こうだ)

東京で逢沢りくと同じ中学校に通っていた広島出身の男子生徒。関西人が食べる物に興味を覚えたりくが、甲田と弁当を交換する。りくに関心がある甲田はこれを喜び、その後も弁当の交換をしたがった。だが、りくは甲田を気持ち悪がっている。

須藤 あや子 (すどう あやこ)

関西で逢沢りくと同じ中学校に通う女子生徒。お節介な性格で転校生のりくにつきまとい、本人の意思と関係なく親友のポジションとなる。りくは迷惑そうな素振りを見せるが、内心ではあや子との新鮮なふれ合いをうれしく思っていた。

橋本 (はしもと)

関西で逢沢りくと同じ中学校に通う男子生徒。須藤あや子は橋本を密かに気に入っている。だが、橋本はりくに関心を持ち、図々しく彼氏気取りで振る舞う。制服が違うりくをいじめた女子生徒たちに、「逢沢はわけありな家のかわいそうな子」だと嘘をついていじめを止めさせようとした。

ママの浮気相手 (ままのうわきあいて)

ママのかつての浮気相手。逢沢りくが関西の大おばさんのもとに預けられたのち、ママにホテルに呼び出される。その際、ママはりくの制服を着て誘惑しようとするが、誘惑に応じなかった。ママと男が会うのはこれが5年ぶり。関西出身だが、ママによって方言を標準語に矯正されていた。

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