GANGSTA.

GANGSTA.

薬害患者が集められた犯罪都市エルガストルム。その街で「便利屋」として生きる2人の男性と、2人に助けられた女性の3人が、マフィアの抗争に巻き込まれながらも己の生き方を貫こうとするハードボイルドコミック。「月刊コミック@バンチ」2011年3月号から連載の作品。

正式名称
GANGSTA.
ふりがな
ぎゃんぐすた
作者
ジャンル
ファンタジー
関連商品
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あらすじ

ウォリック・アルカンジェロニコラス・ブラウンは、犯罪都市「エルガストルム」で、あらゆる仕事を請け負う「便利屋」。ある日顔見知りの娼婦のアレックス・ベネデットが危険に巻き込まれているのを知ったウォリックは彼女を助け、電話番として雇って事務所に住まわせることにする。奇妙な3人での暮らしのなかで、次第にそれぞれの背景が明らかになっていくが、エルガストルムの治安はさらに悪化し、マフィアの抗争が激化していく。

関連作品

本作『GANGSTA.』の関連作品として『GANGSTA:CURSED.EP_MARCO ADRIANO(ギャングスタ・カースド エピソード_マルコ・アドリアーノ)』がある。これは原作を『GANGSTA.』の作者であるコースケが担当し、作画を『GANGSTA.』のチーフアシスタントを務める鴨修平が担当した作品。マルコ・アドリアーノの過去のエピソードを描く内容となっている。

メディアミックス

TVアニメ

2015年7月から9月にかけて、村瀬修功監督によるTVアニメ版が放送された。シリーズディレクターを初見浩一、シリーズ構成を猪爪慎一、キャラクターデザインを植田羊一が担当し、ウォリック・アルカンジェロ役を諏訪部順一、ニコラス・ブラウン役を津田健次郎、アレックス・ベネデット役を能登麻美子が演じた。

ドラマCD

2014年8月より、フロンティアワークスよりドラマCD版がリリースされている。内容は原作漫画をボイスドラマ化したもので、TVアニメ版同様ウォリック・アルカンジェロ役を諏訪部順一、ニコラス・ブラウン役を津田健次郎、アレックス・ベネデット役を能登麻美子が演じた。

評価・受賞歴

本作『GANGSTA.』は2011年「オトナファミ」2012年9月号で発表された、第4回NEXTブレイク漫画ランキングで1位を受賞している。

作家情報

コースケは、主に青年誌で活躍中の漫画家。旧名義は「田中コースケ」。2009年『POSTMAN』が第13回スクエニマンガ大賞を受賞しデビュー。本作『GANGSTA.』は初連載作品となる。他の作品には『DOODLE』『ドーンオブザデッド』『THE MAN I LOVE』などがある。

登場人物・キャラクター

ウォリック・アルカンジェロ (うぉりっくあるかんじぇろ)

エルガストルムで「便利屋」稼業を営む35歳の男性。もとは「モンロー組」に所属していたが、現在では「便利屋」として街の中立的立場となっている。前髪を真ん中で分けて額を見せ、肩の下まで伸ばした銀髪セミロングヘアをしている。怪我で左目を失明しており、眼帯をつけている。常に明るく笑顔を絶やさない親しみやすい性格だが、どこか他人と距離を置いており、一線を引いて接する。 「便利屋」として配達から殺人まで行う傍ら、男娼としても働いており、多数の女性と関係を持ちながら生活している。本名は「ウォレス・アルカンジェロ」で、かつては裕福な家の息子だったが、妾腹であることから父親に日常的に暴力を振るわれていた。自身の護衛として雇われたニコラス・ブラウンと知り合い、お互い大人からの暴力に苦しめられているという境遇から親しくなるが、ニコラスが所属する組織が、アルカンジェロ一家の殺害を実行。 良心の呵責から自害しようとしたニコラスに、契約主として「死んではならない」と命令し、以来一緒に行動している。そのため、ニコラスを「友人」と呼びつつも、複雑な感情を抱いている。 驚異的な記憶力を持つ「超記憶症候群」で、一度見たものを忘れないデータベースのような存在であることから、一部からは「ストレイジ」というあだ名を付けられている。

ニコラス・ブラウン (にこらすぶらうん)

ウォリック・アルカンジェロの友人で、ウォリックとともにエルガストルムで「便利屋」稼業を営む34歳の男性。薬害によって生まれた、特殊な力を持つ人間「黄昏種」だが、驚異的な身体能力の代償により耳が聞こえず、主に手話でコミュニケーションをとっている。不得手ではあるが、一応声を発することもできる。あまり積極的にコミュニケーションをとる方ではないため、冷たい人間と誤解されやすいが、実際は義理堅い性格で心配性。 ウォリックとは少年時代、ウォリックが本名の「ウォレス・アルカンジェロ」として生活していた頃、彼の護衛として雇われて知り合った。しかし、自身の所属する組織がアルカンジェロ一家の殺害を企て、自身も参加。その後、良心の呵責に耐えかねて自害しようとする。 その際、ウォリックから「死んで逃げるような真似は許さない。死ぬ時は、殺された自分の家族と同じ苦しみを味わってから死ね」と命令されたことがきっかけで、ウォレスと友人のような主従のような複雑な関係となり、一緒に「便利屋」として活動することになった。

アレックス・ベネデット (あれっくすべねでっと)

ウォリック・アルカンジェロとニコラス・ブラウンの営む「便利屋」で電話番を務める24歳の女性。前髪を真ん中で分けて額を見せ、胸まで伸ばした黒髪ストレートロングヘアに褐色の肌をしている。もとは別の地域の出身で、「便利屋」に来る前はバリー・アボットのもとで娼婦として働いていた。その頃からウォリックとは顔見知りで、バリーの死により身寄りがなくなったのをきっかけに「便利屋」で暮らすことになった。 ウォリックとニコラスと一緒に過ごす過程で、2人の背景とエルガストルムという街の異常性を知るようになっていく。バリーの死後も、彼に投与されていた相手に従順になる薬「TB(タアブ)」の後遺症で、記憶障害と幻覚に悩まされており、エルガストルムに来る前のことを思い出せず、バリーの幻覚を見ることがある。 料理と歌が得意で、特に歌はウォリックから高く評価されている。

テオ

エルガストルムにある「テオ医院」の医院長を務める31歳の男性。前髪を額が見えるほど短く切った短髪で、眼鏡をかけて顎ひげを生やしている。医師として素晴らしい腕を持ち、エルガストルムで迫害されている「黄昏種」に唯一好意的な医師として知られている。しかし、落ち着いた雰囲気の容姿に反し非常に口が悪く怒りっぽい。 医院では、本来は非常に高価な「セレブレ」を、裏ルートで手に入れた原料を使って独自に精製しており、正規品を買えない「黄昏種」、特に貧困層に向けて販売している。そのため「黄昏種」たちからは非常に慕われている。

ニナ

「テオ医院」で看護師として働く、12歳の少女。前髪を目の上で切り、耳の下で切りそろえたボブヘアをしている。真面目で物静かな性格のしっかり者。看護師としての腕も高く、まだ年齢は若いが、医院ではテオの右腕的存在として機能している。「便利屋」の常連でもあり、ウォリック・アルカンジェロとニコラス・ブラウンとも非常に親しく、特にニコラスとは仲が良い。

ダニエル・モンロー (だにえるもんろー)

エルガストルムに存在する4大組織の1つである、「モンロー組」の総代を務める61歳の男性。前髪を眉上で短く切った刈り上げヘアに顎ひげを生やしている。組は主に、黄昏種傭兵組合に属さない「黄昏種」の援助と商業を生業としており、また、傘下にロレッタ・クリスチアーノ・アモーディオが首領を務めるクリスチアーノ組がある。 常に穏やかで落ち着いており、ウォリック・アルカンジェロには「ゆるい」と評されることもあるが、実力は本物。特に銃の名手で、「ガンスリンガ・ダニー」と呼ばれるほどの腕を持つ。ウォリックとニコラス・ブラウンのことを高く評価しており、ウォリックに町の中立的立場である「便利屋」をやめて、ニコラスを連れて「モンロー組」に戻ってきてほしいと考えている。 他の組とは対立関係にあるはずだが、コルシュカ組のボスであるウラノス・コルシュカと親しくしている疑いがある。

デリコ

ダニエル・モンロー率いる「モンロー組」に所属する26歳の男性で、「黄昏種」の1人。髪型は前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、襟足まで伸ばしたストレートショートカットで、左右で瞳の色が違うオッドアイ。生真面目でストイックな性格。15年前までは妹のエリカとともに孤児院におり、ヤンとは当時から3人で親しかった。 しかし孤児院が突如襲撃に遭い、エリカが拉致されてしまってからは、エリカは死んだたと考えていた。しかし、「黄昏種」の命を無差別に狙う「狩猟者(ハンター)」の一味にエリカがいたと知り、行方を追ううちに、「モンロー組」に隠された秘密を知ってしまう。

ヤン

ダニエル・モンロー率いる「モンロー組」に所属する26歳の男性。坊主頭をしており、鼻の左下にほくろがある。デリコとその妹のエリカとは孤児院にいた頃からの付き合いで、3人はお互いに親しい。そのため「黄昏種」に対する偏見はなく「健常者(ノーマル)」と同様に接する。デリカとエリカのことは家族同然に想っており、15年前、エリカが拉致されたことを今でも悔いている。 そのため、エリカの目撃情報を聞いて、デリコとともにエリカを追うことになる。ウォリック・アルカンジェロのことを「リキ兄」と呼び慕っている。

イヴァン・グラジエフ (いゔぁんぐらじえふ)

ダニエル・モンロー率いる「モンロー組」に所属する32歳の男性。前髪を右側の一部だけ残してあげて額を見せ、両サイドは刈り上げ、後ろの髪は肩につくほどまで伸ばしている。他人をあざ笑ったり揶揄するような発言が多い意地悪な性格で、同じ「モンロー組」ではあるがデリコとはあまり仲が良くない。「モンロー組」に属しながらもウラノス・コルシュカと繋がり、エリカのような「促成狩猟者(インスタント)」を使役して多数の「黄昏種」を殺させている。 デリコの妹であり、死亡したと思われていたエリカを、デリコの知らないところで人形のように扱い、意のままにしている。また、そうすることでデリコに優越感を感じている。

マイルズ・マイヤー (まいるずまいやー)

ダニエル・モンロー率いるモンロー組に所属する54歳の男性。ダニエル・モンローの補佐的存在として、モンロー組を支えている。

ウラノス・コルシュカ (うらのすこるしゅか)

エルガストルムに存在する4大組織の1つである、「コルシュカ組」の総代を務める61歳の男性。前髪を上げて額を全開にし、後ろで小さく1つに結んでいる。顎ひげと口ひげを長く伸ばしている。組は主に、街の武器取引と風俗を収入源としている。「黄昏種」強く憎んでおり、最近エルガストルムで頻発している「黄昏種」殺人事件に関与している疑いがある。

ビッグママ・ジョージアナ (びっぐままじょーじあな)

ウラノス・コルシュカ率いる「コルシュカ組」の幹部を務める中年の女性。娼館「PUSSY」の店主も務めている。前髪を上げて額を全開にし、髪の毛を後頭部でお団子にしてまとめている。右目尻にほくろがあり、太めの身体をしている。ウォリック・アルカンジェロとは、以前ウォリックが「PUSSY」で働いていたため親しく、現在でも配達等でよく顔を合わせている。 「黄昏種」を忌み嫌うコルシュカとは対照的に、「黄昏種」は「ただの薬害患者」と捉えており、差別をしていない。

チャド・アトキンス (ちゃどあときんす)

エルガストルムで警部を務める56歳の男性。前髪を上げて額を全開にし、髪全体を後ろに流して立てている。ウォリック・アルカンジェロ とニコラス・ブラウンとは、2人が少年の頃から親しく、警察で対処できない犯罪者を、2人が営む「便利屋」に依頼して殺させたりもしている。「黄昏種」たちのルールである「三原則」を嫌っている。

ダグ

「黄昏種傭兵組合(パウルクレイ・ギルド)」に所属する21歳の男性で、「黄昏種」の1人。「代償」のため、21歳だが少年のように若く小柄な容姿をしている。ドレッドヘアとそばかすが特徴。より強い「黄昏種」と戦うことを望んでいる。「黄昏種傭兵組合」がウラノス・コルシュカ率いる「コルシュカ組」からダニエル・モンロー殺しを依頼され、現場に派遣されたことで、ニコラス・ブラウンと知り合った。 ニコラスが「三原則」を破り、自身の身にとって危険な戦い方をしていることを知り、案じている。

ジンジャー

「黄昏種傭兵組合」に所属する17歳の少女で、「黄昏種」の1人。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、胸まで伸ばした髪の毛をぼさぼさにはねさせている。眼鏡をかけている。普段はおどおどとした気の弱い雰囲気だが、ジーナ・パウルクレイを「サー」と呼び慕っており、ジーナを侮辱されると激しく怒る。また、「黄昏種」としての戦闘能力も非常に高い。

ジーナ・パウルクレイ (じーなぱうるくれい)

エルガストルムに存在する4大組織の1つである「黄昏種傭兵組合」の長を務める中年の女性。「黄昏種」の1人で、184センチの長身に、前髪を真ん中で分けて額を全開にしたショートカットヘアをしている。男性のような口調で話す。「黄昏種」を傭兵として管理し派遣する立場にあり、エルガストルムにおいて弱い立場にある「黄昏種」を守るため、「黄昏種」たちに「三原則」を遵守するよう厳しく命じている。 そのため、「三原則」を破ろうとした「黄昏種」たちには、抑制剤を用いて従わせるなど容赦がない。

ロレッタ・クリスチアーノ・アモーディオ (ろれったくりすちあーのあもーでぃお)

エルガストルムに存在する4大組織の1つである、「クリスチアーノ組」の首領を務める14歳の少女。前髪を左半分は上げて額を見せ、右半分は残して、肩につくほどのウェーブヘアをハーフアップにしてまとめている。まだ10代だが、気が強く臆さない肝の据わった性格。ダニエル・モンロー率いる「モンロー組」の傘下にある「クリスチアーノ組」の首領として、「セレブレ」の流通を担う仕事をしている。 亡き父の遺志を継ぎ「黄昏種」や難民に非常に好意的で、積極的に保護を行っている。しかし、そのため常に資金難にあり、「モンロー組」から独立できない状態にある。

マルコ・アドリアーノ (まるこあどりあーの)

コンスタンス・ラヴォーの恋人で、ロレッタ・クリスチアーノ・アモーディオ率いる「クリスチアーノ組」の幹部を務める29歳の男性。前髪を眉上で短く切って、右寄りの位置で斜めに分けた短髪ヘアをしている。右耳から鼻にかけて一本筋の大きな傷があり、右耳が欠けてしまっている。穏やかで思慮深い、落ち着いた雰囲気の人物。 ロレッタ・クリスチアーノ・アモーディオやガラハッド・ウーフーからも非常に頼りにされており、3人は非常に仲が良い。かつては「スパス」の名で「駆逐隊」に所属して、「黄昏種」の殺戮を行う「狩猟者(ハンター)」として活動していた。そのため当時の仲間たちには、今でも強い執着心を抱かれている。

ガラハッド・ウーフー (がらはっどうーふー)

ロレッタ・クリスチアーノ・アモーディオ率いる「クリスチアーノ組」の幹部で、「クリスチアーノ組」が経営する娼館「BASTARD」の支配人を務める39歳の男性。198センチの巨体に、前髪を上げて額を全開にしたドレッドヘアと、左眉や唇などに多数のピアスをつけたこわもての容姿をしている。しかし、ロレッタのことを「お嬢」と呼び、ロレッタには非常に甘かったり、女性が大好きだったりと親しみやすい性格。 かつては「黄昏種傭兵組合(パウルクレイ・ギルド)」に所属しており、ダグなどとも仲が良い。

ミハイル

イヴァン・グラジエフが使役する、「黄昏種」を駆除する存在「狩猟者(ハンター)」の少年で10歳。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、襟足まで伸ばした髪を外にはねさせている。ぎざぎざの鮫歯が特徴。一見かわいらしく無邪気な雰囲気だが、性格は非常に残忍で、遊び感覚で殺戮を行う。エリカを姉のように慕っており、ともに行動している。

エリカ

イヴァン・グラジエフが使役する、「黄昏種」を駆除する存在「狩猟者(ハンター)」の女性で24歳。「黄昏種」の1人で、デリコの妹でもある。前髪を目の上で切りそろえ、耳の下で切りそろえたボブヘアをしている。15年前まではデリコとヤンとともに孤児院にいたが、孤児院が襲撃された際にエリカだけ拉致されてしまう。 その後、幼い「黄昏種」を激しい訓練と投薬によって精神崩壊させ、「黄昏種」を殺すためだけの兵器にするプログラムにより「即成狩猟者(インスタント)」にさせられてしまった。以来、イヴァンに従順に従う人形のようになってしまっている。

ストライカー

「黄昏種」の駆除を目的に結成された部隊「駆逐隊(エスミーニツ)」のうち、「第三駆逐隊(トレーチィ・エスミーニツ)」に所属する29歳の男性。前髪を額が見えるほど切って、髪を刈りあげ、左腕に派手な模様の入れ墨を入れている。見知らぬ「黄昏種」を暇つぶし感覚で殺す残忍な性格。ベレッタとマルコ・アドリアーノとはマルコが「スパス」として「駆逐隊(エスミーニツ)」で活動していた頃は非常に親しく、3人とも同じ「第二駆逐隊(フタロイ・エスミーニツ)」のメンバーだった。 彼にとって2人は特別な存在で、特にマルコとは「いつかストライカーが死にたくなった時は、マルコが殺す」と約束していた。そのため、自分たちのもとを去ったマルコに強い怒りと執着心を抱いている。

ベレッタ

「黄昏種」の駆除を目的に結成された部隊「駆逐隊(エスミーニツ)」のうち、「第三駆逐隊(トレーチィ・エスミーニツ)」に所属する28歳の女性。前髪を目の上で切りそろえ、肩につかない長さのショートボブヘアをしている。口の右下にほくろがある。ストライカーとマルコ・アドリアーノとはマルコが「スパス」として「駆逐隊(エスミーニツ)」で活動していた頃は非常に親しく、3人とも同じ「第二駆逐隊(フタロイ・エスミーニツ)」のメンバーだった。 自分たちのもとを去ったマルコに強い怒りと執着心を抱いており、マルコの恋人であるコンスタンス・ラヴォーを拉致し、傷つけようとする。

シグ

「黄昏種」の駆除を目的に結成された部隊「駆逐隊(エスミーニツ)」のうち、「第三駆逐隊(トレーチィ・エスミーニツ)」に所属する16歳の少女。前髪を左寄りの位置で斜めに分け、ロングヘアを高い位置でツインテールにしている。右目に眼帯をしているのと、鼻のそばかすが特徴。感情の起伏が激しく、乱暴な口調で話す。「黄昏種」を見下しており「糞」呼ばわりして攻撃的にふるまう。

コルト

「黄昏種」の駆除を目的に結成された部隊「駆逐隊(エスミーニツ)」のうち、「第三駆逐隊(トレーチィ・エスミーニツ)」に所属する13歳の少年。前髪を右寄りの位置で斜めに分けて眉上で短く切り、襟足まで伸ばした髪の毛を外にはねさせている。非常に無口で、淡々と任務をこなす。

エミリオ・ベネデット (えみりおべねでっと)

アレックス・ベネデットの弟で19歳の青年。前髪を眉上で短く切り、癖のある短髪ヘアをしている。褐色肌と、額の左側に入った十字傷が特徴。バリー・アボットについて行って行方不明になってしまったアレックスを探し、「駆逐隊(エスミーニツ)」への所属を決める。

コンスタンス・ラヴォー (こんすたんすらゔぉー)

マルコ・アドリアーノの恋人でヨエル・ラヴォーの孫娘。エルガストルムで武器屋を営む25歳の女性。前髪を額が見えるほど短く切ったベリーショートヘアをしている。口調はやや乱暴だが、明るく屈託のない性格。危険な仕事の多いマルコに「必ず自分のもとに帰ってきてしまう呪い」のかかった指輪を預けている。本当は指輪は「お守り」として渡しているが、正直に言えず、「呪い」と言っている。

ヨエル・ラヴォー (よえるらゔぉー)

コンスタンス・ラヴォーの祖母で、エルガストルムでタバコ屋を営む76歳の女性。前髪を上げて額を全開にし、後ろで1つのお団子にしてまとめている。口が悪くぶっきらぼうな性格だが心優しく、ウォリック・アルカンジェロとニコラス・ブラウンとも親しい。特にウォリックに対しては、男娼の仕事でウォリックが悪質な客にあたらないか、いつも心配している。 また、元娼婦であるアレックス・ベネデットには、冷たい態度をとりつつもアレックスの将来を案じている。ほかの家族を失って、現在ではコンスタンスが唯一の肉親となっている。

バリー・アボット (ばりーあぼっと)

エルガストルムで暗躍する組織の1つをまとめていた若い男性。アレックス・ベネデットの元雇い主でもある。前髪を真ん中で分けて額を見せ、耳の上まで刈り上げ、残りの髪は撫でつけて、顎ひげを生やしている。アレックスに、相手に従順になる薬「TB(タアブ)」を投与して、彼女を意のままにし、長らく苦しめていた。しかし、組織拡大を急ぐあまり禁止区域にまで踏み込んで商売を始めたことで、警察に目をつけられ、チャド・アトキンスの依頼でウォリック・アルカンジェロとニコラス・ブラウンに殺された。

ヘザー

「黄昏種」の11歳の少女。帽子をかぶり、ロングヘアを低い位置でツインテールにしている。男性のような口調で話す。娼館「BASTARD」で6歳の妹のアビーとともに保護されていたが、「BASTARD」が何者かに襲撃された際、アビーがエリカに殺されてしまう。その後1人でエリカの後を追っていたところを、デリコとヤンに発見される。 「健常者(ノーマル)」を毛嫌いしていたが、デリコとヤンと行動するうちに考えを改めていく。

コーディ・バルフォア (こーでぃばるふぉあ)

エルガストルムの警察に勤める26歳の男性。チャド・アトキンスの部下でもある。前髪を右寄りの位置で斜めに分け、襟足まで伸ばした髪型をしている。常識人なので、なにかと周りに振り回されている。

集団・組織

便利屋 (べんりや)

ウォリック・アルカンジェロとニコラス・ブラウンがエルガストルムで営む「何でも屋」の名称。その名の通り、配達などの小さな仕事から殺人まで、どのような業務も請け負う。エルガストルム内においては中立的存在で、どこの組織にも属さないが、モンロー組とは深い関わりがある。

黄昏種傭兵組合 (ぱうるくれいぎるど)

1934年、アドルフ・パウルクレイがエルガストルムで設立した傭兵派遣組合。多数の「黄昏種」が所属しており、依頼主の需要に応じて「黄昏種」を必要な期間のみ従事させる、奴隷派遣を行っている。現在ではジーナ・パウルクレイが長を務めている。

モンロー組 (もんろーふぁみりー)

四大父の1人であるダニエル・モンローが仕切るマフィア。黄昏種傭兵組合に属さない「黄昏種」の援助と商業で成り立っている。

コルシュカ組 (こるしゅかふぁみりー)

四大父の1人であるウラノス・コルシュカが仕切るマフィア。武器取引と売春で成り立っている。ボスのウラノスは「黄昏種」を毛嫌いしているため、黄昏種を迫害し、憎むものが集まりやすい。

クリスチアーノ組 (くりすちあーのふぁみりー)

四大父の1人であるロレッタ・クリスチアーノ・アモーディオが仕切るマフィア。モンロー組の傘下で、「黄昏種」の生存維持に欠かせないセレブレの流通を担っている。

場所

エルガストルム

1913年に建設された、生体強化薬「セレブレ」服用者の隔離施設。服用者たちの子孫である「黄昏種」の発生により規模を年々拡大し、やがて1つの都市として機能するようになった。また、1926年には、国内の刑務所の飽和状態を受けて、「健常者(ノーマル)」の重犯罪者も収容されることになり、同時期に各国から難民や貧民がなだれ込む事態が発生し、現在の多種多様な人種が集まる特殊な都市となった。 収容された「黄昏種」には特殊な「認識票(タグ)」の着用が義務付けられており、認識票に記された「階級」を見ることで、その「黄昏種」の肉体的優秀さ、兵士としての強さを測ることができる。

テオ医院 (ておいいん)

テオが医院長を務める、エルガストルムにある小さな病院。看護師としてニナが勤めている。医院では本来は非常に高価な「セレブレ」を、裏ルートで手に入れた原料を使って独自に精製しており、正規品を買えない「黄昏種」、特に貧困層に向けて販売している。そのためテオ医院とテオは、「黄昏種」たちにとってはなくてはならない場所と存在になっている。

その他キーワード

セレブレ

身体能力を極限まで引き出す力を持った生体強化薬。1908年、東西統一戦争において、西連合軍が開発した。強い依存性、毒性があり、「セレブレ」を使用した兵士は実戦においてすさまじい力を発揮したが、心神を喪失したり、死亡する例が後を絶たなかった。そのため、1912年の戦争終結と同時に、その目的での使用が一切禁止とされた。 「セレブレ」使用者の子孫には「セレブレ」の依存性・毒性の遺伝的後遺症が強く残り、身体能力が異常に発達している反面、心身に欠損がある。たとえばニコラス・ブラウンは耳が不自由となり、ダグは肉体の成長が止まって、成人男性でありながら少年のような容姿をしている。

認識票 (たぐ)

エルガストルムに収容された「黄昏種」が携行を義務付けられる小さな金属の札。認識票には持ち主の生体反応(バイタル)を感知するICが埋め込まれており、持ち主の死亡を確認すると自動的に級(カテゴリ)から排除され、戸籍などすべての記録が抹消される。能力が高い順にS/A/B/C/Dの5段階に振り分けられている。

黄昏種 (とわいらいつ)

「セレブレ」使用者の子孫たち。「黄昏種」の証明であり、その階級を示す「認識票(タグ)」を携行していることから「タグ付き」とも呼ばれている。ニコラス・ブラウンやダグなどが該当し、対義語として「健常者(ノーマル)」がある。「黄昏種」たちは先祖が使用した「セレブレ」の依存性・毒性の遺伝的後遺症が身体に強く残っており、身体能力が異常に発達している反面、心身に欠損がある。 また、大多数の「黄昏種」は日常的に「セレブレ」を投与して依存性・毒性を抑制維持することが必要。そのため寿命は総じて短く、そこから「黄昏」の名が付いた。「黄昏種」はエルガストルムに収容され、エルガストルムで生活するものがほとんどで、エルガストルムの外で生まれた「黄昏種」は「はぐれ」と呼ばれる。

三原則 (さんげんそく)

「黄昏種」たちに課せられた、3つのルール。第1条は「黄昏種はその意志で人間に危害を加えてはならない。またその危険を看過することによって、人間に危害を及ぼし、すべての均衡を崩してはならない」。第2条は「黄昏種は人間にあたえられた命令に服従しなくてはならない。ただし、あたえられた命令が第1条に反する場合は、この限りではない」。 第3条は「黄昏種は、前掲第1条、および第2条に反する恐れのないかぎり、自己を守らなければならない」。

はぐれ

エルガストルムの外で誕生した「黄昏種」。エルガストルムで生まれた「黄昏種」に比べて、「健常者(ノーマル)」と「黄昏種」のハーフの割合が高い。ハーフの「黄昏種」は、母親が黄昏種である方が、重い代償を抱えているケースが多く、代償の軽重に関わらず生命維持のためセレブレの摂取は避けられない。純血の黄昏種より寿命が若干長いと言われている。

四大父 (よんだいふ)

ダニエル・モンロー、ウラノス・コルシュカ、ロレッタ・クリスチアーノ・アモーディオ、ジーナ・パウルクレイのこと。それぞれがエルガストルムにおける3大マフィアのボス、あるいは「黄昏種」の組合をまとめるボスであるため、エルガストルムの均衡を保っている存在と言える。

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