メランコリア

メランコリア

さまざまなシチュエーションで、憂鬱に思う人間の日々をオムニバス形式で描いた短編ヒューマンドラマ。「ウルトラジャンプ」2017年2月号から2019年2月号にかけて掲載された作品。

正式名称
メランコリア
ふりがな
めらんこりあ
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
関連商品
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あらすじ

サトミが10年間引きこもっているあいだに世界は終末を迎え、人類はサトミだけになっていた。終末のサイレンが鳴り響く中、それでも引きこもりを続けようとするサトミに対して、飼い猫の姿をした神の使いのモーアルは、サトミに天国と地獄のどちらに行くかの裁きを下す。(Figure.1「終末」)

人魚のイサキは、箱根駅伝で多くのランナーが走っている姿を水の中から見て自分も走りたくなり、大学時代の親友で今は薬剤師となっているラブカを訪ねる。ラブカから足が生える代償に声を失う薬を処方されたイサキは、走れるようになったものの、性別や大学に通っていないことを理由に箱根駅伝には参加できなかった。それでもイサキは走ることが楽しくて、一人で走っているとマスコミに紹介されて話題となる。しかしある日、イサキは箱根山を走っている時に失踪する。(Figure.14「おとぎ話」)

登場人物・キャラクター

サトミ

エピソード「終末」に登場する。11歳から10年間もの長いあいだ、自室に引きこもっている女性。引きこもっているあいだに世界は終末を迎え、サトミ以外の人類はすべて神に裁かれたため、最後の人類となる。飼い猫の姿をした神の使いであるモーアルから、天国と地獄のどちらに行くかの決断をせまられた際に、無為に生きてきた10年間を後悔して取り乱す。

タケル

エピソード「ボビー・フィッシャー」に登場する。チェスでコンピュータと戦い、勝利した小学生の少年。年齢は10歳。チェスの天才と称され、「第二のボビー・フィッシャー」と呼ばれている。チェスが強いことに嫉妬したクラスメイトに毎日のように殴られており、そのことをハンガローで隠遁生活している女性に愚痴っている。

殺し屋

エピソード「殺し屋」に登場する。殺し屋を生業にしている男性。年齢は27歳。600人ほどいる殺し屋協会に所属しており、殺しの腕は86位にランキングされている。公然と売春を行なっている組織の幹部である三人の女子高校生を殺害するために雇われる。女子高校生二人を殺害したあと、残った一人からこれまで稼いだお金を渡され、母親の殺害を依頼される。

マルタ

エピソード「入室禁ず」に登場する。ホテルで掃除を担当している女性。宿泊客が1週間も部屋から出てこないため、強引に部屋へ入る。そして、部屋の中で書きかけの小説と死体を発見し、さらに不思議な力で部屋に閉じ込められてしまう。状況から小説を完成させれば部屋から出られると推理して、小説の続きを思いつくままに書き始める。

治験者 (ちけんしゃ)

エピソード「効能」に登場する。治験のアルバイトをしている男性。悪徳業者からお金を借りており、返済のために効果や目的がわからないまま薬の治験に参加している。治験中は施設に泊まり込みなうえに外出や外部への連絡は制限されているが、それ以外は自由で、アルバイト代も高額なために快適に過ごしている。しかし少しずつ体調に異変をきたし、不思議な現象も起こり始めたことで施設から逃げることを決める。

ハナ

エピソード「ファフロツキーズ」に登場する。空から大量の魚が降って来るのを目撃した少女。好奇心旺盛な性格で、魚がどこから飛んで来たのを知りたくて、嫌がる友達を誘って魚がいた場所に向かう。現地でさまざまなものを巻き込む竜巻を発見し、なにも考えずに近づいて竜巻に飲み込まれてしまう。

前野 ナオ (まえの なお)

エピソード「ゲシュタルト」に登場する。恋愛体質の少女。恋愛対象は女性で、今は読者モデルをしている先輩に思いを寄せている。スマートフォンで告白メッセージを考えているあいだに、画面が「好」の文字で埋まり、それを見てゲシュタルト崩壊を起こしてしまう。翌日になっても症状は改善されず、治すために恋愛小説を読んだり、思いを寄せる先輩を眺めたりと、さまざまなことを試す。

八百津 (はちひゃくつ)

エピソード「ハンドスピナー」に登場する。天文部の部員ではないが、部室に毎日通っている少女。生真面目で面倒見のいい性格をしている。毎日部室にこもっている天文部員の依田のことを心配して、教室に来るよううながす。その日の夜、墜落した宇宙船と地面に埋まった宇宙人を発見し、助けたお礼に一度だけ過去に戻れるハンドスピナーをもらう。

生徒会長

エピソード「内臓」に登場する。学校で生徒会長を務める少女。冷静沈着な性格で何事もそつなくこなすが、恋愛には奥手で好きな相手に告白できずにいる。告白する勇気はないが、好きな相手の臓器を手元に置きたいという特異な嗜好(しこう)を持っている。相手を死亡させずに臓器を抜き取ることのできる「臓抜き」と呼ばれる技術を使って、好きな相手の心臓や胃、大腸などをコレクションしている。

宮城 (みやぎ)

エピソード「少年期」に登場する。友達思いの優しい性格の少年。友達が不思議な力で男性から女性になってしまったことで、心配になって様子を見に行く。クラス委員長が友達を敵対視して文句を言った時も、盾となって友達を守った。

キッドナップ

エピソード「誘拐」に登場する。小学生の少年。ヒーローにあこがれている。自分の命をかけて猫を救った少女を見て、彼女のようになりたいと日々鍛錬している。夏休みに友達と古い祠(ほこら)を見つけて祈ったあと、常人を超えた力や不思議な能力を身につける。誘拐された女子高校生を助けに向い、銃を持つ六人の大人を全員倒すことに成功する。そして助けられた女子高校生から、「キッドナップ」という名前を付けてもらう。

カスミ

エピソード「迷宮」に登場する。半年間引きこもっている少女。学校で銃乱射事件があった時、となりに座っていた生徒が頭を撃ち抜かれて死亡したため、外に出るのが怖いと感じている。それはゲームでも同様で、ネットゲームの中でも自ら作った迷宮の奥深くに引きこもっている。幼なじみの少年から説得されて半年ぶりに外に出るが、地球に衝突間近の彗星(すいせい)を見て部屋に戻ってしまう。

中野 (なかの)

エピソード「少年期」と「憂鬱」に登場する。ニートの男性。以前は警視庁に勤めていた。ミスをして誘拐された少女を救えなかったことを今も後悔し続けている。偶然出会った病気の少女のお願いを聞き、山頂にある天文台までいっしょに行く。

イサキ

エピソード「おとぎ話」に登場する。人魚の女性。箱根駅伝を走りたいと思っている。足を生やす薬を大学時代の親友であるラブカからもらって走れるようになったものの、性別や大学生ではないことを理由に、箱根駅伝の参加を断られる。それでも走ることをあきらめきれず、一人で走っているとマスコミに取り上げられて話題となる。他人から何を言われても自分の信念を貫くことから、同性には疎まれている。

お栄 (おえい)

エピソード「応為」に登場する。葛飾北斎の娘。年齢は14歳。いつも絵のことを考えており、絵に関することを見つけるとすぐに行動に起こす。江戸時代、時間移動に失敗して山に墜落した宇宙船と宇宙人を助け、お礼に未来の漫画雑誌を受け取る。雑誌に描かれた女性に刺激を受け、のちに「葛飾応為」という名前で女流浮世絵師として活躍する。実在の人物、葛飾応為がモデル。

雪代 ユキヒロ (ゆきしろ ゆきひろ)

エピソード「相棒」に登場する。イラストレーターを生業とする男性。事故によって右腕を失い、会話可能なAI「ディープパープル」を搭載した鞭(むち)のような義手を付ける。ディープパープルとの共同生活を送っていく中で、自分は知らず知らずのうちにディープパープルに支配されているのではないかと考え始める。

アコ

エピソード「行列」に登場する。マルタの小説ファンの少女。マルタの小説を原作とした映画を公開初日に見るため、二人の友達といっしょに徹夜で並ぶ。彗星が近づいている影響で、5月にもかかわらず吹雪(ふぶき)となる過酷な状況下でも我慢できるバイタリティがある。

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