銃夢

銃夢

空中都市ザレムがすべてを支配する荒廃した世界を舞台としたSF作品。機甲術(パンツァークンスト)と呼ばれる伝説の格闘術を身につけたサイボーグの少女ガリィの戦いの軌跡を通して、人の生きる意味を問う。なお、続編として『銃夢 LastOrder』および『銃夢火星戦記』がある。

正式名称
銃夢
ふりがな
がんむ
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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概要・あらすじ

未来の地球。空中に浮かぶ都市ザレムによってすべてが管理された世界。地上に残された人々は、ザレムの管理体制のもと、劣悪な環境での生活を強いられていた。そんなザレムの支配下にあるクズ鉄町で暮らす、サイバネ医師兼ハンター・ウォリアーのイドは、ある日、スクラップの山の中から、仮死状態にあった少女の頭部を見つける。

イドによってサイボーグとして蘇生した少女だが、かつての記憶をすべて失っていた。イドは少女にガリィという名を与え、ともに生活を送る。普通の少女と思われたガリィだが、実は火星古武術・機甲術(パンツァークンスト)を習得した優秀な戦士であった。イドの役に立ちたいと考えたガリィは、自身もハンター・ウォリアーとなることを決意。

機甲術を武器に、さまざまな強敵たちとの戦いの日々へと身を投じていくことになる。

登場人物・キャラクター

ガリィ

火星古武術・機甲術(パンツァークンスト)の使い手である少女。元の名前は陽子(ヨーコ)。数百年前に大気圏外から地上へ落下し、クズ鉄町のスクラップの山の中で仮死状態となっていたところをイドによって発見され、サイボーグとして復活。以前の記憶を失っていたため、イドが飼っていた猫の名前をとってガリィと名付けられた。 イドへの恩義から、クズ鉄町のハンター・ウォリアーとなり、凄腕の賞金稼ぎとして名を上げる。しかし、初恋の相手である少年ユーゴの死をきっかけに、ハンター・ウォリアーを辞め、イドの元からも姿を消す。その後、格闘球技であるモーターボールの世界に身を投じ、人気選手となるも、帝王ジャシュガンとの仕合を最後に引退。 最終的にザレムの工作員TUNEDとなったガリィは、ザレムの指示に従い、反逆組織バージャックとの激闘に身を投じることとなる。

イド・ダイスケ

クズ鉄町に住む、サイバネ医師兼ハンター・ウォリアーの男性。スクラップの山から仮死状態にあったガリィを見つけ出し、サイボーグとして蘇生させた。正義感の強い優しい男性で、ガリィを自分の本当の家族のように思っている。もともとはザレム市民であったが、追放された過去を持つ。 サイバネ医師として優秀な腕を持つだけでなく、ハンター・ウォリアーとしても凄腕で、生身の肉体でありながらロケットエンジンを内蔵したハンマーを使い、数々の犯罪者を屠ってきた。ノヴァの家を訪れた際、バーサーカーボディを与えられたザパンの暴走に巻き込まれて死亡するも、のちにノヴァの手により蘇生される。 しかし、ノヴァからザレム人の秘密を聞かされたことで、その重圧に耐え切れなくなり、それまでの自らの記憶を消去。新たな人生を歩む道を選んだ。

マカク

残忍で凶悪なサイボーグの男性。ハンター・ウォリアーの間でも非常に危険な相手として知られており、長年賞金首リストに載りながら、これまで誰も手を出そうとしなかった。母親に便所で産み落とされ、そのままクズ鉄町の下水へ流し捨てられたという暗い過去を持つ。その後、下水で孤独に暮らしていたが、町の住人によって面白半分に火を浴びせられ、死にかけていたところをノヴァによって改造されサイボーグとなった。 本体は頭部とウジ虫のような体のみだが、他のサイボーグのボディを乗っ取る特殊な能力を持つ。また、重度のエンドルフィン中毒で、禁断症状が出ると無作為に人を襲い、脳ミソを食べていた。ガリィとイドによって1度ボディを破壊されるも、その後に地下格闘技場(コロシアム)の無敗のチャンピオンであるキヌバのボディを乗っ取り、ふたりへの復讐を果たそうとした。

コヨミ

クズ鉄町にあるバー・カンザスのオーナーの養女。赤ん坊のときにガリィと知り合い、マカクとの戦いの際などに命を救われている。幼い頃にガリィとは離れ離れになったが、時が経ち快活な少女へと成長したのちに、ザレムの工作員TUNEDとなったガリィと再会。しばらく行動をともにした。

ユーゴ

クズ鉄町で修理工として働く少年。ガリィの初恋の相手でもある。亡き兄の果たせなかったザレムへ行くという夢を叶えることを目標としており、そのための資金1000万チップを稼ぐことを生きがいとしている。素直で気立てのいい少年だが、裏ではクズ鉄町のマーケットを牛耳る闇ブローカーのベクターと繋がっており、夢を叶えたい一心から、サイボーグを襲っては脊椎を強奪するという犯罪に手を染めていた。

ザパン

ハンター・ウォリアーの男性。マカクとの戦いをめぐる騒動の際、ガリィにコケにされたことを根に持つ。その恨みを果たすべく、ガリィの初恋の相手であるユーゴを使った卑劣な策を講じるも失敗。ガリィの逆鱗に触れ、顔面を損傷してしまう。この件でガリィに対して強い恐怖心を抱くようになったが、ある事件をきっかけに再びガリィへの復讐を決意。 1度は敗れ去るもノヴァによって蘇生され、さらにバーサーカーボディを与えられたことで強大な力を手にし、クズ鉄町で破壊の限りを尽くした。

ジャシュガン

クズ鉄町で開催されている格闘球技・モーターボールのスター選手。その強さから「帝王」との異名をとる。機関拳(マシンクラッツ)と呼ばれる技を武器に、最強のチャンピオンとしてモーターボールのトップリーグに君臨。同じく、モーターボールの選手となったガリィにとっての最大のライバルとなる。 過去にノヴァによる脳改造手術を施されており、これによって常人離れした戦闘能力を発揮できる。ただし、その代償として「脳死の発作」というリスクを抱える。また、シュミラという妹がいる。

エスドック

モーターボールの選手となったガリィのトレーナーを務める男性。元モーターボールのトップ選手で、現チャンピオンのジャシュガンとはライバル関係にあった。打倒ジャシュガンという自らが果たせなかった夢をガリィに託す。

ウンバ

モーターボールの選手となったガリィのメカニックを担当するエンジニアの男性。1度に5つの視覚情報と10の聴覚情報を処理し、20本のアームを操ってベテランエンジニア10人分の働きをこなすことができる天才。

マードック

ベテランのハンター・ウォリアー。老人だが凄腕として有名。フューリー、ラウド、グローリー、ウィナーという4頭のサイボーグ犬を自在に操ってターゲットを始末することから、「犬使い」(ドッグマスター)の異名を持つ。娘であるサラを殺し、賞金首となったザパンの命を狙う。

ディスティ・ノヴァ

分子機械工学(ナノテクノロジー)を専門とするマッドサイエンティストの男性。自身の体内に修復ロボットを仕込んでおり、よほどの致命傷でない限り死ぬことはない。人間の業(カルマ)の克服を自らの研究テーマとしており、その達成のためであれば平気で他人を利用する。もともとはザレムの市民であったが、人体実験といったより自由な研究を行う環境を求めて地上へと降りた。 焼きプリンが大好物。

フォギア・フォア

アルハンブラという地方の漁村出身の若者。サイボーグではない生身の人間だが、対サイボーグ格闘術である対サイバネ骨法の使い手で、素手でサイボーグを倒すほどの実力を持っている。ファクトリー貨物列車の警護に志願し、そこでザレムの工作員・TUNEDとなったガリィと出会う。 警護中にザレムへの反逆組織バージャックの襲撃を受けて死にかけるが、ガリィによって助けられた。その後、彼女に好意を抱くようになる。

ケイオス

マッドサイエンティストであるノヴァの息子。音波ではなく電波で聞いたり、話したりする電波人間。父親であるノヴァのことを嫌い、ヤスミンというアシスタントの女性と暮らしながら、ラジオ・ケイオスという海賊ラジオ放送を行っていた。虚弱体質だが、物体の記憶を読み取るサイコメトリーの能力を持ち、前世紀の遺品から引き出した技術や情報を自在に再現できる。 地下に落ちて、死に掛けていたガリィと出会った際には、サイコメトリーで引き出したサイバネ医師の技術を用いてその命を救った。この際、ガリィの過去の記憶を読み取ったことで、彼女に対して愛情を抱くようになる。

(でん)

ザレムへの反逆組織バージャックの首領を務める巨大サイボーグ。地下格闘技場(コロシアム)のチャンピオンですらも軽々と破壊するほどの強さを誇り、その強大さから荒野の魔王との異名をとる。自分たちの優雅な暮らしのために地上の人々を虐げ続けるザレムの支配体制に強い怒りを抱いており、その支配を終わらせるべく、列車砲を使ったザレムの撃墜を目論む。

ルゥ・コリンズ

ザレムの地上監察局のオペレーターを務める女性。新人ながらザレムの工作員TUNEDとなったガリィのサポートを担当する。性格は明るく純粋。ザレム市民でありながら、ガリィとの交流を通して、次第にザレムによる支配体制に疑問を抱くようになる。

場所

クズ鉄町

『銃夢』に登場する町。ザレムの真下にあり、ザレムから投下された廃棄物の山(通称:ザレム山)があることから、クズ鉄町と呼ばれる。住人の多くはサイボーグで、また薬物中毒者も多いため必ずしも治安はよくない。この町の人々はザレムの市民が豊かに暮らすための労働力としての役割を課せられており、ザレムの管理下のもと、劣悪な環境での生活を強いられている。 ただし、クズ鉄町は完全な無法地帯というわけではなく、ネットマンと呼ばれる外部端末ユニットを使用した治安管理システムが存在しており、一定の秩序は保たれている。とはいえ、これはあくまで労働力としてのクズ鉄町の運用をスムーズに行うためのものであり、けっしてクズ鉄町に暮らす人々の権利を保証するものではない。

ザレム

『銃夢』に登場する空中都市。秩序に満ち、犯罪や失業や不慮の死とも無縁のユートピア。ファクトリーと呼ばれるコンピュータとサイボーグを使った管理体制によって地上を支配しており、ザレムで消費される水・食料・工業製品などは、すべて地上の人々によって生産され、チューブを通してザレムへと送られる。ザレムの市民にとって、地上は野蛮な地であり、そこで暮らす人々は自分たちが豊かに暮らすための労働力でしかない。 ザレム市民と地上の人々の間には明確なヒエラルキーがあり、どれだけ優秀でも地上の人間がザレムへ立ち入ることは絶対にできない。

その他キーワード

火星古武術・機甲術 (かせいこぶじゅつ・ぱんつぁーくんすと)

『銃夢』に登場する技。ガリィが習得している技で、人型サイボーグのために発達した格闘法のひとつ。人型サイボーグの格闘法のなかでも、最強のものと言われている。

ハンター・ウォリアー

『銃夢』に登場する職業。クズ鉄町の犯罪者を狩る賞金稼ぎのこと。ハンター・ウォリアーになるための条件はとくになく、クズ鉄町のファクトリーで登録を行うことで、誰でも自由にハンター・ウォリアーとして活動できる。対象となる犯罪者はリスト化されており、討伐した場合は、その犯罪者の首と引き換えに賞金を受け取る。 なお、この治安システムは、ザレムの住人が豊かに暮らすための工場としてクズ鉄町を円滑に機能させることを目的として運用されており、クズ鉄町の住人の安全のために作られた制度ではない。

モーターボール

『銃夢』に登場するスポーツ。サーキットを舞台に、モーターボールと呼ばれる球を奪い合う格闘球技。地下格闘技場(コロシアム)と並ぶ、クズ鉄町の2大エンタティンメントのひとつ。一流選手が集まるトップリーグを頂点に、セカンドリーグ・サードリーグ・草リーグの4つのリーグから構成され、モーターボールのためのサーキット施設はクズ鉄町に10ヶ所存在する。 モーターボールの奪い合いは、サーキット上でのバトルによって行われ、サーキットを規定周回したモーターボールをキープした状態でゴールした者が勝者となる。ただし、手持ち武器、飛行または射出する武器、噴射または放射する武器、爆発する武器の使用、およびピットレーンでのバトルは禁止されている。 サーキットは一方通行で、コース上での停止は30秒まで、3メートル以上故意に後退すると減点の対象となる。なお、モーターボールのコースアウト、または機能が破壊されたときは仕合(試合ではなく仕合と表記される)は一時中断され、新たなボールの投入を待って仕合再会となる。

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