モーメント 永遠の一瞬

モーメント 永遠の一瞬

北原雪はフィギュアスケートの女子シングル選手として、子供の頃から挫折や苦悩を抱えながら、孤独な戦いに挑み続けていた。不屈の精神で技を磨き続ける雪と仲間やライバルたちの、心の交流と成長を描いたフィギュアスケートロマン。「月刊ココハナ」2014年3月号から連載の作品。

正式名称
モーメント 永遠の一瞬
ふりがな
もーめんと えいえんのいっしゅん
作者
ジャンル
スケート
レーベル
マーガレットコミックス(集英社)
巻数
既刊20巻
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あらすじ

第1巻

北原雪は、フィギュアスケートのクラブでバッジテストを受け、いきなりトリプルアクセルを成功させて合格を勝ち取る。しかもクラブに所属するためのスクール通いが免除となり、東京での華々しい生活をスタートさせる。さらに夏の強化合宿の選抜メンバーにも選ばれるなど、異例の待遇となった事で周囲のクラブ生たちから早くも反感を買ってしまう。そんな環境に孤独を感じながらも、雪は持ち前の明るさをバネにして悔しい気持ちをものともせず、スケートの練習にのめりこんでいく。一方、孤独を感じていたのは雪だけではなく、同じクラブで活躍する中村睦月も同じ思いを抱えていた。フィギュアスケートと同じリンクでアイスホッケーに励む吉岡大也は、ひたむきな雪に少しずつ惹かれ始める。そんなある日、大也はバランスを崩して階段から転倒してしまう。

第2巻

転倒してあやうく大ケガをするところだった吉岡大也の腕をすんでのところでつかみ、助けたのは北原雪のコーチである大関だった。しかし雪には、大関が大也をわざと落とそうとしたように見えていた。実は雪に厳しく指導をする大関に対し、大也は人知れず不信を抱いていたのである。そして雪もまた、大関の自分への指導法に疑問を抱いていた。二人の予感は的中し、大関は雪に暴力を振るおうとして担当コーチから外されてしまう。やがて夏の強化合宿が始まり、雪は合宿先で初めて自分よりも圧倒的にスケートがうまいエカテリーナ・ペストアの演技を目の当たりにして、強いショックを受ける。

第3巻

エカテリーナ・ペストアに実力の差を見せつけられた北原雪は、合宿先で寝食を共にするライバルたちから息抜きの方法を教わり、なんとか自分らしさを取り戻す。選抜競技会でみごとな成績をおさめるが、雪はその結果には心の底から喜べなかった。合宿で取材を受けた雪の事が学校中に広まってしまい、彼女の活躍を妬むクラスメートたちから雪は嫌がらせを受けるようになる。スケートに集中する事で学校でのつらい出来事を忘れようとする雪に対して、クラスメートで仲のいい良志乃は自分がどうするべきかを悩んでいた。そしてスケート仲間からも、協会から特別扱いを受けていると言いがかりをつけられ、行き場のない思いに雪は苦しむ。

第4巻

自分の目指すものだけを信じ、前へ進もうと決意した北原雪は集中力を高めてノービス選手権で優勝し、ジュニア大会へと勝ち進む。しかし、見知らぬ女の子と親密そうに話す中村睦月の姿を見た事で、なぜか心が苛立ち始める。その気持ちの正体が、なんなのかわからないまま練習を続ける雪だったが、心と体のバランスがコントロールできずにコーチからも苦言を呈される。この感情がなんなのかをつき止めるため、雪は北原雪の母親良志乃と遊びに行くとウソをついて睦月と映画に出掛ける。一方、雪の目的がなんなのか理解できない睦月は、思わず彼女に真意を確かめようと詰め寄る。

第5巻

北原雪中村睦月が二人で出掛けた事実を知った中村睦月の母親は、雪が息子の邪魔をしていると思い込み、雪の母親に一方的な怒りをぶつける。それを知った雪は、母親になんでも話す睦月に対して不信感を抱くが、睦月は誰にも何も話しておらず、雪が勝手にカンちがいをしただけだった。お互い不安定な気持ちを抱えたまま、雪と睦月は海外遠征へと出発する。遠征先でエカテリーナ・ペストアと再会した雪は、試合で好成績をおさめたにもかかわらず、エカテリーナの演技を意識せずにはいられなかった。満たされない思いを抱えたまま練習に臨んだ雪だったが、無理がたたってリンクで転倒してしまう。

第6巻

大ケガを負った北原雪の状態は芳しくなく、医師によると競技者としての復帰は難しいと診断される。雪は一日も早い回復を目指してリハビリに励み、ついに靱帯の再建手術に踏み切る。手術は無事に成功するものの、病院のロビーで不意に榊カオルから声を掛けられた雪は、気分転換をしようと彼に誘われるまま興味半分で病院を抜け出してしまう。カオルは以前サッカーをやっていたが、ケガで片足を失い、かつてのようには走れなくなり、人生に絶望していたところで雪と出会ったのだった。二人は夜通し街をさまよい、カオルはひそかにビルの屋上から飛び降りる覚悟を決めていたが、それは雪によって遮られ、結局自ら警察に通報して保護を求める。

第7巻

榊カオルと忘れられない一夜を過ごした北原雪だったが、不思議と恐怖を感じる事はなかった。その後、カオルと会う事はなく、雪は再び日常へと戻っていく。そんな中、アイスホッケーからフィギュアスケートに転向した吉岡大也は、雪がリンクから離れているあいだに着実に実力を身につけ、次々と難易度の高い技を決めるようになっていた。大也の成長に驚いたのは雪だけではなく、中村睦月も同じ気持ちだった。睦月は中村睦月の母親の存在を日に日に疎ましく感じるようになり、自分に無断で進路を決めようとする事に対して不信感を抱き始める。

第8巻

15歳になった北原雪は、相変わらずフィギュアスケートを続けているが、選手としては有望視されておらず、むしろ自分を超えてしまった吉岡大也の練習相手のようになっていた。雪がシングルの選手に戻るためには多くの課題が山積みだったが、たった一人で練習しているところへロシアチームの監督であるマリヤ・聖子・グラチョワが現れる。グラチョワは雪が抱えていた思いを理解し、彼女をもう一度競技の世界へと引き戻そうとするが、雪は自分でも気づかないうちに、摂食障害に悩まされていたのだった。一方、中村睦月はフィギュアスケートを辞め、バーの手伝いをする生活を送っていた。偶然、雪と再会した睦月はすっかり瘦せ細った雪の姿に愕然とする。

第9巻

数年ぶりに中村睦月と再会した北原雪は、かつてのように睦月に話したい事が何もない事に気づく。競技者として吉岡大也に圧倒的な差を見せつけられ、焦る気持ちがかえってストレスになり、やがて摂食障害に苦しむようになった雪は、日々やつれていくだけの自分にすっかり自信をなくしていた。何もかもどうでもよくなってしまい、不意に自殺を図ろうとする雪の前に現れたのは、皮肉にもかつて雪が自殺を阻止した榊カオルだった。海外で料理の腕を磨いて帰国したカオルは、満足に食事ができない雪のために料理を振る舞う。カオルと共に過ごすうち、雪はいつの間にかカオルに好意を寄せるようになる。

第10巻

北原雪は、榊カオルと理解し合えた事で本来の自分を取り戻し、マリヤ・聖子・グラチョワを追ってロシアへと留学する。ロシア語に苦戦しながらも、フィギュアスケートのシングルの選手として今まさに復活しようとしていた。慣れない寮生活ではエカテリーナ・ペストアと同室となり、気まずい空気が漂う中、雪は必死で毎日を送っていた。ある時、スペイン人の新体操選手のクリスティーナと親しくなり、ロシアでやっと友達ができたと安堵していたのも束の間、エカテリーナからショッキングな事実を知らされる。

登場人物・キャラクター

北原 雪 (きたはら ゆき)

10歳の時、本格的にフィギュアスケートの選手を目指すために札幌から上京してきた女の子。上京後、すぐに受けたバッジテストでスクール通いが免除となり、いきなりクラブ所属になったほどの高い実力を誇る。新しく習ったスケートの技は、一度すべっただけですぐに自分のものにしてしまう類まれな才能を持っており、それ故に周囲からも妬まれやすい。落ち込む事も多いが、明るい性格と芯の強さを武器にしてスケーターとして確実に成長していく。一時、エカテリーナ・ペストアのスケーティングを意識しすぎて本来の自分を見失ってしまうが、紆余曲折を経て自分だけの演技を確立する。中村睦月や吉岡大也とは10歳の時に出会った頃より、同じ競技者としてお互いに切磋琢磨する仲である。睦月に惹かれていたが、付き合い方を疑問視する中村睦月の母親から、徐々に憎まれるようになった事から睦月とは距離を置くようになる。思うようにフィギュアスケートがすべれず、低迷していた時に榊カオルと出会い、お互いに強い感銘を受けて、いつしか惹かれ合うようになる。長年足の負傷に悩まされるが、マリヤ・聖子・グラチョワに才能を見いだされ、再び競技の世界へとカムバックする。

中村 睦月 (なかむら むつき)

フィギュアスケートのメダリストを目指す男の子。北原雪と同じ10歳だが、非常に落ち着いた性格でスケートのみならず勉強もよくできる秀才である。厳格な父親と過保護な中村睦月の母親のあいだで自分の行き場をなくして苦しみ、スケートでどんなに好成績を収めても認めてくれない父親に対して複雑な思いを抱いている。雪に惹かれているものの、息子のキャリアの邪魔になるのではないかと懸念する母親が、雪に対して異常なほどの憎悪を持ってしまったため、少しずつ雪から離れていく。スケートを続けたいと真剣に考えているが、家族からの同意が得られず、自分の進路にずっと悩み続ける。フィギュアスケートでは大胆な演技で観客を魅了する吉岡大也とは対照的に、繊細で情熱的な演技をする。

吉岡 大也 (よしおか だいや)

北原雪と同じ小学校に通う男の子。アイスホッケーを5年間やっていたが、雪と中村睦月に影響されてフィギュアスケートに転向する。クラスで雪がいじめられそうな時、自ら矢面に立って雪を守ろうとした。自由奔放な母親と男気のある父親に十分な愛情を注がれて育ったため、自己肯定感が非常に強い。その強さはスケーティングにも生かされ、やがて睦月をおびやかすほどの実力を持つスケーターに成長する。雪の心は自分に向いていない事を承知のうえで、彼女をずっと思い続けている。

榊 カオル (さかき かおる)

かつてサッカー選手を目指していた高校生の男子。自動車との接触事故が原因で片足を失ってしまうほどの大ケガを負い、二度とグラウンドを走る事ができなくなってしまった。絶望の淵にいたところ、病院で偶然に北原雪と知り合う。自殺を図ろうとしたが、雪によって阻止された。海外で料理の腕を磨き、帰国してからは日本でシェフ見習いとして働くようになる。高校生になった雪と再会し、摂食障害に悩まされて人生に絶望しかけていた雪を救う。挫折を経験しているためか非常に落ち着いた性格で、感情をダイレクトに出す雪を優しく受け止められる器の大きさを持っている。

樋口 奈々 (ひぐち なな)

フィギュアスケートのメダリストを目指す女の子。母親がフィギュアスケートの元選手であるため、練習のたびに細かい指導を受けているが、母親の過保護さをわずらわしく思っている。北原雪のスケートの才能は認めており、絶対に負けたくないと毎日厳しい練習に励んでいる。自分の実力不足を理解してどうすればいいのかを前向きにとらえており、選手としての精神面は雪よりも数段タフである。

椿 研人 (つばき けんと)

フランス国籍の男の子で、フィギュアスケートのジュニア選手。北原雪とは別のクラブに所属している。実力は折り紙つきながら練習が大嫌いなため、スキを見て練習を抜け出す事もあるが、競技者として息抜きの重要さを雪に教えた。フランスで育ったためか、日本人離れした感覚と雰囲気を持ち、フェミニンなスケーティングで女性たちを魅了する。

エカテリーナ・ペストア

圧倒的な実力と才能を持つ女の子で、ロシアを代表するフィギュアスケートのジュニア選手。北原雪のスケーティングを一目見ただけでその才能を見抜き、いずれ自分を凌駕する存在になると警戒している。天使のようにかわいらしい容姿とは裏腹に非常に気が強い性格で、他人にも自分にも厳しく妥協は絶対に許さない。つねに雪からライバルとして意識される存在である。絶大な信頼を置いているマリヤ・聖子・グラチョワの指導を受け、数々の大会で金メダルを獲得している。

ニール・オコンネル

陽気な性格のヴァイオリニストの男性で、口髭をたくわえている。北原雪が参加したフィギュアスケートの強化合宿で、表現のクラスを受け持った。雪のスケーティングの魅力を最大限に引き出す音色豊かな演奏で、観客を大いに盛り上げている。楽譜どおりに弾くよりも即興で気の向くまま、自由に音を奏でるという演奏スタイルを好んでいる。

良志乃 (よしの)

北原雪と同じ小学校に通う女の子。呉服屋を営む祖父と同居していて、良志乃から祖父に色々と相談を持ち掛ける事もある。「若おかみシリーズ」という文芸作品に夢中で、次第に文章を書く事に興味を持つようになる。中村睦月のスケーティングを見てから睦月に一目惚れするが、ひそかに思いを寄せるだけにとどめている。クラスで仲間はずれになっていた雪とクラスメートとのあいだでゆれ動くが、雪と友達でいたいという気持ちが勝り、周囲の目を気にしなくなる。

マリヤ・聖子・グラチョワ (まりやせいこぐらちょわ)

ロシアでフィギュアスケートの女子選手たちを率いる女性監督。旧ソビエト連邦時代は、アイスダンサーとして活躍していた。いつも派手な衣装を身につけ、リンクで煙草を吹かすなど自由奔放な行動が目立つが、選手の素質を見抜く目は確かである。エカテリーナ・ペストアを指導しているが、北原雪と出会ってからはエカテリーナ以上の情熱を持って雪を鍛え上げ、再び競技者として勝負できる選手に育てようとしている。

北原雪の母親 (きたはらゆきのははおや)

北原雪の母親。選手として雪を大きく成長させるため、料理店を営む夫を単身で残したまま雪と共に北海道から上京してきた。明るく快活な性格で、東京では弁当屋のパートで収入を得ながら雪との生活を支え、スケートにかかる費用は夫とスケート協会からの援助を受けている。雪が競技会に出る際の衣装を手作りしたり、栄養面でも献身的に支えているが、次第に母親の存在を窮屈に感じ始めた雪から疎ましがられるようになってしまう。遠距離も災いしてか、夫との関係にも少しずつ支障をきたし始める。

中村睦月の母親 (なかむらむつきのははおや)

中村睦月の母親で、睦月の教育に熱心に取り組んでいる。北原雪の存在が睦月のキャリアの妨げになると勝手に思い込み、雪に対して次第に憎しみを持つようになる。強迫観念の非常に強い夫の言いなりになっており、しばしば暴力を振るわれている。表向きは睦月の応援をしつつも、実際はフィギュアスケートよりも勉強に専念してほしいという、勝手な願いを睦月に押しつけている。雪を憎むあまり、少しずつ精神状態に異常をきたし始める。

クリスティーナ

スペイン人の女性で、新体操の選手。ロシアに留学していた時、スポーツクラブで北原雪と出会って親しくなる。非常に明るく気さくな性格で、誰ともうまく話せずに落ち込んでいた雪の心の支えとなった。抜群の身体能力を持っており、高難度の技を次々と決め、競技は違うが雪の演技に大きな影響を与えた。実は気性が激しく、落ち込むと誰も手をつけられなくなるほどで、よくルームメイトともめていたが、ネガティブな一面は雪にはただの一度も見せなかった。

書誌情報

モーメント 永遠の一瞬 20巻 集英社〈マーガレットコミックス〉

第17巻

(2022-07-25発行、 978-4088446714)

第18巻

(2023-01-25発行、 978-4088447629)

第19巻

(2023-07-25発行、 978-4088448077)

第20巻

(2024-01-25発行、 978-4088448718)

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