ヤンキーショタとオタクおねえさん

ヤンキーショタとオタクおねえさん

ヤンキーを苦手とするオタクの社会人、佐伯かづ子と、ヤンキー小学生の愛川龍桜のドタバタな日常や、周囲との交流を描くラブコメディ。基本的にストーリー形式で物語が描かれるが、時おり4コマ形式でショートギャグが描かれる事もある。「ガンガンオンライン」で2016年9月から連載の作品だが、もともとは作者の星海ユミがTwitterとpixivで公開していた、同名のコミックがベースになっている。

正式名称
ヤンキーショタとオタクおねえさん
ふりがな
やんきーしょたとおたくおねえさん
作者
ジャンル
その他恋愛・ラブコメ
レーベル
ガンガンコミックスpixiv(スクウェア・エニックス)
巻数
既刊7巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

ごくふつうの地味な社会人である佐伯かづ子は、BLや同人誌を好む腐女子のオタク趣味を持っている。そんなかづ子の苦手なものは、現実の「男性」と「ヤンキー」だったが、その双方の条件を満たす隣人のヤンキー小学生、愛川龍桜になぜかつきまとわれるようになってしまう。いつものように同人イベントに向かうかづ子のとなりには、なぜかついて来てしまった龍桜の姿があった。どうして龍桜がついて来たのかまったくわからないかづ子は、その後も平和なオタク生活を彼の存在で脅かされてしまう。実はかづ子と龍桜は過去に出会っていた事があり、龍桜は昔からの思い人であるかづ子のそばにいたい、いつかは気持ちを伝えたいという理由で彼女につきまとっていたのだ。しかしオタク趣味やオタク用語に詳しくない龍桜は、かづ子とおかしなすれ違いを繰り返したり、ヤンキーを苦手とする彼女を困惑させたり怯えさせるばかりで、なかなかなかよくなれずにいた。気弱さから龍桜の行動を止められないかづ子は、彼の抱える気持ちに気づけぬまま、交流を少しずつ深めていく。

第2巻

愛川龍桜のクラスメイトの姫野りんこは少女漫画にあこがれを抱きつつ、クールな龍桜に密かに思いを寄せていた。そんなある日、りんこは龍桜とほかの男子の会話から、彼が近所の女性となかよくしている事を知る。気になったりんこは、ゴリラの面をかぶって龍桜の近所をかぎ回り、その中で佐伯かづ子に遭遇する。正体を隠したままかづ子に絡むりんこは、かづ子こそが龍桜が気になっている女性である事に気づく。そこに学校から帰って来た龍桜が現れ、暴走したりんこは彼の前で恥を晒してしまう。りんこは自暴自棄になるものの、かづ子に励まされ、彼女はかづ子を恋のライバルと認めてそのまま去ってしまう。ゴリラ面の奇妙な少女に絡まれたうえに、なぜライバル宣言をされたのかわからないかづ子のオタク生活は、ますますその平穏を脅かされるのだった。後日、龍桜はいつものようにかづ子が気になってとなりの佐伯家を覗くが、五郎丸に怯えて後ずさりしてしまう。龍桜は父親の力を借りて、五郎丸の怖さを克服しようとする。そうとは知らずに、誰にも絡まれず久々に平穏に過ごせると安心しながら帰宅したかづ子は、家の前でもめている龍桜達に遭遇する。

第3巻

夏の同人イベントが近づき、同人誌の原稿作業に励んでいた佐伯かづ子であったが、しばらく会っていなかった愛川龍桜が部屋に押しかけ、原稿を中断してしまう。家に帰るよう促すかづ子であったが、いつものように龍桜とおかしなすれ違いを繰り返してしまい、かづ子はなかなか作業を進められずにいた。さらに同人イベントの当日、オタクにとって心躍る時間なのに、かづ子の心情は何とも言えない曇天模様になっていた。龍桜がオタク向けの同人イベントに、無理やりついて来てしまったのである。オタク文化をよく知らない龍桜の存在で、かづ子の頒布スペースでは小さなトラブルが続く。そんな時、スペースを訪れたパンパンマンの提案で、龍桜はスケッチブックにかづ子に絵を描いてもらう事になった。かづ子に絵を描いてもらった事に胸を躍らせる龍桜であったが、かづ子は絵のリクエストがいずれも男の子っぽい内容である事に気づいて和み、二人の距離は少しだけ近づくのであった。一方、に趣味がばれそうになったところをかづ子に救われた小泉幸は、同志として信頼できそうなかづ子と距離を縮めようと、二人きりで話すきっかけを探していた。

第4巻

トラブルが続く中で、相変わらず付きまとって来る愛川龍桜への対応にも、佐伯かづ子は少しずつ慣れ始めていた。かづ子は龍桜が事あるごとに自分について来るのは、龍桜が寂しがり屋で友達になってほしいからと考えるようになっていた。龍桜といい友人になるために、彼に怯えず積極的に話し掛けるようになったかづ子だったが、それらの行為は却って龍桜がショックを受ける原因となっていた。かづ子になかなか思いが届かず落ち込んだ龍桜は、龍桜の父からアドバイスを受け、かづ子に話し掛けられても極力クールに振る舞うようになる。そんな龍桜を見たかづ子は、彼がそっけなくなったと困惑し、彼がほしかったのは友達ではなく舎弟であったと勘違いするのだった。二人が距離を縮めたり離れたりを繰り返す中、龍桜は適当な理由でかづ子の部屋に上がり込もうとするようになる。龍桜をデートに誘おうとする中で、それを発見した姫野りんこは犬の面をかぶって侵入し、龍桜とかづ子の仲を妨害しようとする。りんこは必死に自分の正体を隠しながら二人を牽制し、ついにはかづ子の部屋の永住権を懸けた戦いを龍桜に持ちかけるのだった。

第5巻

佐伯かづ子愛川龍桜は少しずつなかよくなり、かづ子が龍桜に怯えてすれ違う事も少なくなっていた。そんな中、かづ子はに連れられ、デパートで宴会の余興グッズの買い物をする事になる。しかし、買い物に来ていた龍桜もその場に現れ、かづ子の周りに新たな男性の影を見た龍桜は焦りを覚える。岬をライバル視しつつ、かづ子とのあいだに大人と子供の壁をますます感じるようになった龍桜は、新たな苦悩を抱えるのだった。そんな中、龍桜の母に宿題の件で叱られる事が多くなった龍桜は、かづ子に勉強を教えてもらおうと彼女の家を訪ねる。龍桜が勉強に積極的な事を意外に思ったかづ子は困惑するが、龍桜の本当の目的は、勉強を口実に彼女といっしょに過ごす事であった。図解を交えて丁寧に解説するかづ子のお陰で宿題をスムーズに終えた龍桜は、彼女との時間をますます楽しく思うようになる。以来龍桜は、たびたびかづ子を訪ねては、宿題を教えてもらうようになった。そんな中、かづ子の母から聞いた話をきっかけに、ふと龍桜の恋愛事情が気になったかづ子は、気になる女子はいるのかと彼に尋ねる。

登場人物・キャラクター

佐伯 かづ子 (さえき かづこ)

開発会社に勤めるオタク女性。BLや同人誌を好む腐女子。インターネットなどで使っているハンドルネームは「kz子」で、愛称はかづちん。長髪をシュシュでまとめ、メガネをかけている。BL趣味の幅は広いが、アニメや漫画などに登場する少年キャラクター(二次元ショタ)を特に好み、アニメ「少年探偵ルイ」の大ファンで、サークル活動をしながら同人誌も出している。反面、現実の男性とヤンキーが苦手で、自分の色恋沙汰にはとても鈍い。1か月前にとなりに引っ越して来たヤンキー小学生の愛川龍桜が執拗に構って来る事に疑問を抱きながら、平穏なオタク生活が脅かされている事に困っているが、彼からの思いにはまったく気づいていない。このため、龍桜の真意にまったく気づかずに、怯えた態度を取ったり、知らずに傷つけたりしているが、時おりふつうの少年らしさを見せる彼の事は心底かわいいと思っている。ヤンキー文化に疎いと同時に、龍桜もオタク文化に疎いためお互いの気持ちがわからず、勘違いやすれ違いを重ねる事が多い。また、龍桜をオタク向けイベントなどに巻き込むのをよく思っていないが、勝手について来る彼を怒ったり同行を断ったりできずにいる。数年前に公園で遭遇した坊主頭の少年の事を覚えているものの、短期間の付き合いだったうえにさまざまな勘違いが重なった事で、その少年が龍桜である事に気づいていない。

愛川 龍桜 (あいかわ りゅうおう)

小学生の男子。1か月前に佐伯かづ子の近所に引っ越して来た。左目が隠れるほどの長い前髪に、不良っぽい服装を好んで着用している。年齢は11歳で、密かにかづ子に思いを寄せている。勉強が苦手で、作文や字を書くのも下手。見た目はクールで無愛想な不良少年だが、内面は一途でピュアな性格。実は過去にかづ子と出会っており、昔からの思い人であるかづ子が出かける時に勝手に同行したりなど、なにかと彼女に付きまとっている。そのたびにかづ子に積極的にアプローチをしているが、不器用でなかなか素直になれず、彼女を怯えさせるばかりでいつも失敗している。かづ子がよく使う「オフ会」などのオタク用語を知ろうと、龍桜の母に聞いては間違った知識を吹き込まれ、かづ子とすれ違う原因の一つとなっている。かづ子を一途に思っているため同年代の女子にはまったく興味がなく、姫野りんこや乙花静からあこがれを抱かれている事にも気づいていない。ヤンキーながら他人に暴力を振るわないようにしているが、パンパンマンなどかづ子と仲のいい男性には容赦なくケンカを売る。数年前に行っていた公園でかづ子と何度か会っており、その頃は床屋で失敗して坊主頭で、とても無口な少年だった。引っ越しでかづ子とは離れる事になったが、この頃からいっしょに遊んでもらったかづ子に片思いしていた。

パンパンマン

メガネをかけた小太りな男性。幅広いオタク趣味を持つ。佐伯かづ子とSNSを通じて知り合ったオタク仲間で、イラストだけでなく自作ゲームから動画作成まで幅広く手がけている。歌やダンスも得意で、カラオケでアニメソングを歌っては人気声優のような美声を披露している。オタク同士のオフ会やアフターなどでは、よく幹事を務めている。かづ子と仲がよく、オタクとして多才な面は彼女から尊敬されているため、愛川龍桜からは一方的にライバル視されている。龍桜がかづ子に思いを寄せている事に気づいており、パンパンマン自身も「ショタおね」の組み合わせに萌えている事から、密かに二人のやり取りに萌えながら恋仲を応援している。また、かづ子が龍桜となかよくできるよう、シミュレーションゲーム「ヤンキーショタのしつけ方」を提供した。

巴田 智美 (ともだ ともみ)

佐伯かづ子の小学生時代からの友人の女性。愛称は「トモトモ」。かづ子よりもオタク歴が長く、彼女をオタク趣味に引きずり込んだ。また、かづ子以外にも多くの友人をオタクの道に引きずり込むなど、オタクとしてかなりのベテランだが、かづ子よりも気が強く社交的。かづ子が愛川龍桜に付きまとわれて困っている事を知り、かづ子のために龍桜を牽制しようとする。しかし龍桜がかづ子に片思いしている事に気づいており、彼をからかって余計なトラブルを招く事がある。

かづ子の母 (かづこのはは)

佐伯かづ子の母親。穏やかで面倒見のいい性格のごくふつうの主婦。頻繁に遊びに来る愛川龍桜を優しく見守っていたが、次第に彼がかづ子に恋心を抱いているのではないかと察するようになる。

龍桜の母 (りゅうおうのはは)

愛川龍桜の母親。元ヤンキーでとても気が強く、息子の龍桜や夫に対しても非常に厳しく接する。時おり龍桜に間違った知識を吹き込んだり、密かに佐伯かづ子に付きまとっている彼の行動を怪しんだりしている。ショッピングで龍桜の服を買う時はテンションが上がり、龍桜に対して少々親バカ気味になる。

龍桜の父 (りゅうおうのちち)

愛川龍桜の父親。元ヤンキーで時々口が悪くなるが、気の強い妻には勝てず尻に敷かれている。勉強は苦手だが、明るく楽天的な性格をしている。佐伯かづ子の事で多くの悩みにぶつかっている龍桜には時おりアドバイスしているが、間違った知識を吹き込んだり、トラブルを招く事もある。

乙花 静 (おとはな しずか)

中性的な雰囲気の男子小学生。愛川龍桜のクラスメイト。飼育委員を務めており、よくウサギの世話をしている。姫野りんことは幼なじみでもある。目が隠れるほどに前髪が長く、穏やかで気弱な性格をしている。龍桜の事を密かにクールでかっこいいと思っており、あこがれを抱いている。女子からはよく声を掛けられるが、対等な男友達がおらず、龍桜と友達になる事を目指している。龍桜の家を訪ねた際に佐伯かづ子と知り合うが、控えめな美少年が好きな彼女からは、天使のように思われている。カードバトルが好きで、龍桜達とカードバトルをする時は熱中するあまり性格が変わる事がある。

姫野 りんこ (ひめの りんこ)

ツインテールの髪型の女子小学生。愛川龍桜のクラスメイト。少女漫画に強いあこがれを抱き、よくロマンチックな妄想をしている。龍桜に密かに思いを寄せているため、彼と仲のいい佐伯かづ子や乙花静の事は一方的にライバル視している。見た目は可憐な少女だが、気が強くドジな一面もあり、行動が空回りする事も多い。また、龍桜の事が気になって、ゴリラの面をかぶっていきなりかづ子に絡んだり、ビニール袋をかぶって龍桜に話し掛けるなど、思わぬ奇行に走る事がある。静とは幼なじみでもあり、女子よりも見た目や仕草がかわいい彼が龍桜とよくいっしょにいる事に嫉妬すると同時に、うらやましく思っている。

五郎丸 (ごろうまる)

佐伯かづ子が飼っている黒い老犬。体が大きいため、よく愛川龍桜を怯えさせている。一見怖い顔をしているが、実はとてもおとなしい性格。

(みさき)

佐伯かづ子の同僚の男性。営業部に所属している。誰にでも気軽に話し掛ける非常に気さくな性格ながら少々デリカシーに欠けており、場の空気が読めない事が多い。かづ子からは密かに「デリカシー欠如の人間拡声器」と評されている。かづ子のオタク趣味を偶然知って以来、よく会社でオタク関連の話題を堂々と振って来るため、同僚に趣味を隠したいかづ子からは心底迷惑がられている。

小泉 幸 (こいずみ ゆき)

佐伯かづ子と同じ部署に勤める先輩の女性。かづ子にとって唯一の同性の同僚だが、クールな性格でまじめな勤務態度に加え、大人っぽくおしゃれで美人な事から、かづ子からはかけ離れた存在のように思われ、敬遠されている。岬からは「小泉女史」のあだ名で呼ばれるが、デリカシーのない彼の事は天敵のように思っている。実は小学4年生の時点ですでにBL趣味に目覚めていた腐女子で、かづ子よりオタク歴も長い。しかし、学生時代の体験から周囲に見下されるのを避けるため、同僚はもちろん同じ趣味を持つ人にまでオタク趣味を隠し続けていた。かづ子には自分からあまり話し掛けずにいたが、アニメグッズや同人誌を買って岬に趣味がばれそうになった時に、かづ子にかばってもらったのをきっかけに、彼女となかよくなりたいと思うようになる。だが、長年趣味を隠していた癖が抜け切らず、かづ子に対しても「同人誌を買っていたのは姪っ子がBL趣味を持っているから」と言い訳し、本当は自分の趣味である事を隠している。また、口下手でコミュニケーションが苦手で、かづ子に話し掛けても誤解される事が多い。

ひな

乙花静の従姉妹の少女。明るく天真爛漫な性格で、日曜日の朝に放送されている女児向けアニメにはまっている。静の家に遊びに来ていた時に愛川龍桜と出会うが、姫野りんこに誤解されたのをきっかけに龍桜の事を「パパ」と呼んでいる。甘えん坊だがアニメキャラクターなどのなりきり遊びには真剣で、無知なままで適当な演技をされると怒る。

有留金邨 不二子 (うるきんそん ふじこ)

バレエ教室の講師を務める中年の女性。伝説のプリマを育てるのが夢。しかし厳しい教育に生徒がついていけず、次々辞めてしまった事に悩んでいる。客が来なくなってしまった頃に、偶然訪れたパンパンマンの華麗な動きに感激し、彼にプリマの才能を見出す。パンパンマンを最高のプリマに育て上げようとするものの、別の趣味に熱中している事と男性である事から、最終的に断られる。

その他キーワード

ヤンキーショタのしつけ方 (やんきーしょたのしつけかた)

乙女ゲーム風のシミュレーションゲーム。パンパンマンが作成して佐伯かづ子に提供した。ゲーム内キャラクターとして、愛川龍桜にそっくりな少年が、猫耳の着ぐるみを着た状態で登場する。パンパンマンがテストプレイを名目にかづ子にプレイさせているが、本当の目的は龍桜との接し方に悩むかづ子と龍桜の仲を進展させるため。のちにアップデートされ、アイドル育成要素が追加された。

少年探偵ルイ (しょうねんたんているい)

佐伯かづ子が一番はまっているアニメ作品。控えめで知的な探偵の少年キャラクター「ルイ」が主役。ルイが有能な探偵であるため事件をすぐに解決してしまい、残りの時間はダンスをしているなど変わった内容だったが、感動的なストーリーのため熱心なファンが多い。ルイのフィギュアなども発売されており、かづ子の部屋にはあちこちにルイのグッズが飾られている。

書誌情報

ヤンキーショタとオタクおねえさん 7巻 スクウェア・エニックス〈ガンガンコミックスpixiv〉

第7巻

(2022-07-22発行、 978-4757580381)

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