サラディンの日

サラディンの日

青池保子によるヨーロッパ史をベースに描く歴史フィクション作品。十字軍に参加した性格の違う3人の修道騎士が、反目し合いつつも協力し合い、任務を果たすべく奮闘する。派手なアクションよりも、キャラの心情や陰謀の描写に力がそそがれている。表題作のほかに、同じ3人が再び集まってイギリス国王の護衛任務に就く『獅子心王リチャード』が描かれている。

正式名称
サラディンの日
ふりがな
さらでぃんのひ
作者
ジャンル
その他歴史・時代
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概要・あらすじ

聖地エルサレムを巡る十字軍とイスラムの戦い。その中に修道士として戒律を守り、騎士として戦う修道騎士たちがいた。若き修道騎士ユーグ・ド・モンフォールは、仲間の騎士2人と共に困難な任務に挑んでいく。敵の目をかいくぐり街の住人を脱出させ、我儘な国王を陰から護衛する。だが本当の困難は、世俗の誘惑を断ち切ることにあった。

登場人物・キャラクター

ユーグ・ド・モンフォール (ゆーぐどもんふぉーる)

12世紀末のテンプル騎士団に所属する若き黒髪の青年騎士。南フランス出身で、7歳の時に家を出て叔父ジャン・ド・リールの元で騎士としての教育を受ける。後に出家し、聖堂騎士となった。真面目で勇敢な騎士だが、女性に関してはすぐに心が揺らいでしまう。五感が鋭く、近づいてくる馬の蹄の音や雲を運ぶ風の動きなどを敏感に察することができる。

ジャン・ド・リール (じゃんどりーる)

ユーグ・ド・モンフォールの叔父で、混血の美しき貴婦人メリザンドと結婚している。エルサレムに住んでいたが、ハッティンの会戦直前にメリザンドの母がいるガザへと移り住んでいる。

メリザンド

ユーグ・ド・モンフォールの叔父であるジャン・ド・リールの妻で、黒髪の混血美人。ユーグがテンプル騎士団へと入団する前に性の手ほどきをしたことがある。

ギイ・ド・リュジニャン (ぎいどりゅじにゃん)

同名の実在人物をモデルとしている。シリア北西部に建国されたエルサレム王国の王。優柔不断にして他人の意見に流されやすい。勇猛にして無謀なテンプル騎士団総長ジェラール・ド・リドフォードにそそのかされ、ティベリアに援軍を送り、ハッティンの会戦での惨敗を引き起こす。 同名の実在人物をモデルとしている。

パオロ・アルベルティ (ぱおろあるべるてぃ)

『サラディンの日』に登場するキャラクター。ヨハネ騎士団に所属する栗毛おかっぱ頭の騎士。イタリア出身。勇猛果敢だが気が荒い。親しくなれば気だてのいい男で、修道騎士ながらも昔取った杵柄で、酒や女などの俗事に詳しい。医療知識にも長けており、薬に造詣が深い。

ニコラ・ド・クレマンジュ (にこらどくれまんじゅ)

ユーグ・ド・モンフォールと同じく、テンプル騎士団に所属する北フランス出身の若き騎士。頭髪は金髪。冷静沈着で高潔だが、少々高慢な性格をしている。ユーグやパオロ・アルベルティと組まされ、秘密の任務を請け負わされる。戒律には厳しい。船には弱く、乗るたびに船酔いで寝込んでいる。

リチャード

同名の実在人物をモデルとしている。在任期間のほとんどを戦争と冒険に費やしたという勇猛で知られた人物だが、気まぐれにして傲慢。十字軍に参加したものの、船酔いした腹いせでキプロス島を占領し、その後興味がないからと言ってテンプル騎士団に売却してしまう。

フロリンダ

キプロス島に住むラスカリオの娘。暗殺者との戦いで負傷したユーグ・ド・モンフォールに、前に恋した騎士を重ねて介抱した。近々ハゲでデブの中年男性との結婚が決まっている。

集団・組織

修道騎士団 (しゅうどうきしだん)

11世紀末、十字軍の時代において結成されたキリスト教徒の騎士団体のこと。清貧・貞潔・服従・兵役という4つの誓いを立てた修道士によって構成され、聖地エルサレムを守護し、異教徒に対して果敢に戦った。青池保子による『サラディンの日』の中では、ユーグ・ド・モンフォールが所属するテンプル騎士団や、パオロ・アルベルティが所属するヨハネ騎士団が登場している。

テンプル騎士団 (てんぷるきしだん)

第1回十字軍の終了後に設立された修道騎士団。異教徒と戦う他に、十字軍の兵站やエルサレムへ向かう巡礼者の保護を行っていた。青池保子による『サラディンの日』の中では、ユーグ・ド・モンフォールやニコラ・ド・クレマンジュが所属している。また『サラディンの日』で受けた任務はガザの住人の救出だったが、真の目的は騎士団の金庫の輸送にあった。

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