ワシズ -閻魔の闘牌-

ワシズ -閻魔の闘牌-

福本伸行の漫画『アカギ -闇に降り立った天才-』の登場人物である鷲巣巌の、若き時代の活躍を描いたスピンオフ作品。鷲巣がいかにして政界財のフィクサーへ昇りつめたか、その道程を追う。続編に『ワシズ -天下創世闘牌録-』がある。協力は福本伸行。

正式名称
ワシズ -閻魔の闘牌-
ふりがな
わしず えんまのとうはい
作者
ジャンル
麻雀
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概要・あらすじ

終戦後、GHQの占領下となった日本では売春やバクチが横行していた。毎晩のごとくきな臭い金のやり取りが行われるなか、鷲巣巌はいずれ世界を相手取った金融戦争を行うための資金調達を繰り返す。経営コンサルティング会社「共生」を立ち上げた鷲巣は、さまざまな謀略を張り巡らせながら、着実にその規模を拡大していく。

登場人物・キャラクター

鷲巣 巌 (わしず いわお)

経営コンサルティング会社「共生」の社長。外側に大きく伸びた後ろ髪と鋭い目元、吊り上がった長い眉毛が特徴の男性。戦中は特別高等警察に所属していた。謀略、機智、観察眼、先見性に優れており、あらゆる場面で勝負強さを発揮する。とりわけ麻雀では、神がかりともいえる豪運を幾度も見せつけ、勝利を収めてきた。人心掌握術にも長けており、不利な環境でも味方を増やして状況を好転させることがある。 また米兵との殴り合いに勝ったり、素手で鋼鉄を破壊したりと、肉体的にも卓越している。春画から骨董品に至るまで教養面でも度々周囲を驚かせ、モンスターハンギングでは艦長にも劣らない絶対音感を披露した。

(はやぶさ)

株屋の青年。持ち前の度胸と先見性を武器に、株式を買い集めている。吊り上がった目元とリーゼントが特徴。戦中は一式戦闘機「隼」のパイロットだった。将来が期待される建設会社の株式を、鷲巣巌に先んじて密かに買い集めていたため、鷲巣に興味を持たれる。どちらが株主として実権を握れるかを決するため、互いの株式を賭けた麻雀勝負を鷲巣と行うが、事前に策を巡らせていた鷲巣に敗北。 その手際の鮮やかさに心酔し、以降は鷲巣の忠実な部下として、経営コンサルティング会社「共生」に入社する。鷲巣にこそ及ばないものの、速攻を得意とする麻雀の実力は確かなもので、対戦相手に幾度となく勝利を収めた。

本部長 (ほんぶちょう)

経営コンサルティング会社「共生」の社員。短く切りそろえた前髪と、涼しげな目元が特徴の青年。隼より早く「共生」に入社しており、鷲巣巌からの信頼も厚いが、その詳細は不明。「共生」の表の顔である経営コンサルティングの中核を担っており、正確な分析能力で数々の契約をものにしてきた。基本的には裏の勝負事には関わらないが、鷲巣の危機や、隼からの依頼があった際には、積極的に情報収集などを行う。

文学 (ぶんがく)

無精ひげに丸眼鏡をかけた、痩せぎすの男性。京大出身で、一度読んだ本を完全暗記できる特技の持ち主。龍神麻雀で鷲巣巌にその才能を見出されて、経営コンサルティング会社「共生」で働くことになった。しかしモンスターハンギングで眠れる本の真実と、その裏にあった鷲巣の謀略に気付いて正気を失い、「共生」を退社した。 60年後の2009年、路上で新聞記者から当時の顛末を取材される場面では、今なお、自分が鷲巣という男のカリスマ性に捉われたままであることを語っている。

船長 (せんちょう)

経営コンサルティング会社「共生」の船舶、第一共生丸の船長。口ひげと白いジャケットが特徴の男性。隼とともに積み荷を運んでいる途中、中尉の指揮する海賊船に襲われ、ハンギング9を挑まれる。ハンギング9が危険なデスゲームだと知ると、部下の代わりに生贄を志願するほど強い責任感の持ち主。

辻 宝生 (つじ ほうせい)

牌匠の老人。稀代の美術牌職人とされた鬼束正宗に、牌造りを教え込んだ。後ろでまとめた白髪と、1本に繋がった眉毛が特徴。山奥の小屋で酒浸りの生活を送っていたが、高井研二との勝負に勝つために訪れた鷲巣巌の熱意に打たれ、牌造りの技術を伝授する。その技術は卓越したものだが、牌は実際に打って使ってこそ意味があるという考えから、鬼束のような美術牌の作成には関心がない。

小柴 (こしば)

経営コンサルティング会社「共生」の新入社員。左右にハネた髪と、穏やかな目元が特徴の若い男性。本部長の指導を受けながら「共生」の営業を的確にこなし、周囲の社員から信用を得る。また牌ダコができるほどの麻雀打ちで、隼とタッグを組んでジャコ萬との勝負に勝利。それ以降、「共生」の裏取引にも参加するようになる。 入社からわずか1年で鷲巣巌の信用を得るまでになった。ところが、実際には「共生」の乗っ取りが目的だった。見世物小屋で虐げられながら働いていたという過去を持ち、鷲巣のような資本家や上流階級に対して強烈な恨みを抱いている。

石崎 寿英 (いしざき ひさひで)

旧財閥「四菱グループ」の総帥。七三の髪と、2つに割れた顎が特徴の男性。経営コンサルティングという新しい会社形態の「共生」が邪魔になり、所有する軍需工場と「共生」とで、互いの経営権を賭けた麻雀勝負を鷲巣巌に挑む。勝負の途中、鷲巣の謀略によって惑わされた部下に裏切られ、死亡。結果として、各地に点在する軍需工場の権利を鷲巣に譲ることとなった。

田神 龍蔵 (たがみ りゅうぞう)

日本の炭鉱の70%を牛耳っている石炭王。白髪と白ひげにまみれた老人で、常に医療機器に繋がった状態。意識ははっきりしており、会話もできる。北海道の炭鉱で龍神麻雀に興じていたところ、その財産目当てに訪れた鷲巣巌と勝負することになる。すでに金や地位に興味はなく、自身に引導を渡してくれる人間を密かに待っていたため、鷲巣を好敵手と認めると、涙を流して喜んだ。

目羅 要 (めら かなめ)

元陸軍少尉の男性。短い前髪と、鼻の大きなほくろが特徴。細菌兵器として老化薬を開発中、偶然生みだした細胞蘇生薬で若返っており、見た目は完全に若者である。若返り薬の製法を確立しようと、麻雀で負かした相手を人体実験の材料にしていたため、警察に追われている。次の標的を求めて訪れた雀荘で、鷲巣巌に待ち伏せされ、手元に残った最後の若返り薬を賭けて麻雀をする。

八神 保 (やがみ たもつ)

京大出身の数学者。文学が50年か100年に1人の逸材と称したほど。短く刈り込んだ髪と、穏やかな目元が特徴の男性。麻雀によって背負った借金の代わりに、泰子を差し出すようにヤクザに迫られ、反抗したために殺害された。生前に「フェルマーの最終定理」を証明していたが、インクが滲んでしまって判読不能だったため、世に出ることはなかった。

泰子 (やすこ)

雀荘の女主人。団子にまとめた後ろ髪と、乱れた前髪が特徴。八神保とは将来を約束する仲だった。ある日、八神が不可解な打ちまわしの末に麻雀で敗北し、多額の借金を背負って精神に異常をきたす。以降、その時の打ちまわしの謎に捉われ、雀荘に訪れる客を捕まえては質問していた。半ば亡霊のような暮らしを送っていたが、鷲巣巌によって謎を解き明かされ、呪縛から解放された。

中尉 (ちゅうい)

元海軍の男性。浅黒く日焼けした肌と傷だらけの顔、ヘアバンドで固定された長髪が特徴。顔の傷は戦時中に米軍戦闘機によって、軍艦を襲撃された時に負ったもの。その時に、実の兄でもある艦長を助けることができなかったことを悔いている。戦後は糊口を凌ぐため海賊行為に手を染めており、経営コンサルティング会社「共生」の船舶もその標的となった。 海に慣れていない人間が、波の揺れや日差し、潮風などに長時間曝されると五感に異常をきたすことを利用し、船上での麻雀で勝利を収めてきた。眠れる本の秘密にたどり着いた兄を守るため、最後は襲撃してきたGHQの軍艦に特攻を仕掛けた。

艦長 (かんちょう)

元海軍の男性。ぼさぼさの髪と後退した額、大きくぎょろついた目が特徴。第二次世界大戦時、弟である中尉と軍艦を航行中のところ、米軍の戦闘機に襲撃されて海に落下、消息不明となる。終戦から2年後、海賊行為を始めていた中尉によって、孤島で暮らしているところを保護された。すべての記憶を失い、精神的にも不安定になっていた。孤島での洞窟暮らしによって、異常ともいえる聴力と絶対音感を獲得しており、麻雀では、あらかじめ牌に仕込んだ球体が転がる音を聞き分けて特定することが可能。 鷲巣巌との勝負によって、眠れる本の秘密にたどり着くが、その直後に、口封じのためGHQの戦艦に襲撃される。

ゲス

元海軍の副艦長の男性。ぼろぼろになった歯と、鼻を隠すように巻いた包帯が特徴。中尉とともに海賊行為を始めた当初は、海賊船のリーダーとして傍若無人な振る舞いをしていた。艦長の復帰とともに立場を失墜。艦長の不在期間、秘密裏に作成していた眠れる本の内容を艦長に問い質されたが、口を割らなかったためモンスターハンギングによって海中へと引きずり込まれた。 しかし手元にあった鋸で鼻をそぎ落とし、枷(かせ)から脱出、一命を取り留める。海中での呼吸困難から、脳に障害を負っており、簡単な言語でしか会話できない。現在は船で海賊の下っ端として働いている。

高井 研二 (たかい けんじ)

製造業への大規模投資を行う「カズミ産業」の二代目社長。たれ目と下まつ毛、2つに割れたあごが特徴の男性。日本経済連合会の運営も取り仕切っている実力者であり、企業間の親睦会と称して麻雀大会を開催するほどの麻雀好き。日本の産業技術を世界に誇示すべく、緻密な彫りのなされた美術牌の大規模生産に乗り出している。自慢の牌を、鷲巣巌に安いオモチャだと貶(けな)されて激昂、究極の牌を互いが用意するという勝負を持ちかける。

結城 (ゆうき)

プロ野球球団「ジャガーズ」のエースにして球界を代表するピッチャー。刈り込んだ坊主頭とあごひげが特徴の男性。戦争中、手榴弾を120m先の米兵に投げ込んだという逸話を持つほどの剛腕を誇る。曲がったことや小細工が大嫌いで、野球はもちろん、趣味の麻雀にもその性格が反映されている。会員制の麻雀俱楽部で鷲巣巌に敗北した際、一方的にペテン師と罵ったため、鷲巣から興味を持たれる。 結城への意趣返しのために、経営コンサルティング会社「共生」がプロ野球球団を所有するきっかけをつくった。

野口 隆 (のぐち たかし)

山奥の村で行われる村長選挙の立候補者。高く整った鼻筋と丸眼鏡、切れ長で垂れた目元が特徴の男性。農家の地位向上を訴え、ダム建設を推進する現村長に反対の立場を取っている。押され気味だった現村長の依頼により、選挙コンサルティングを引き受けた鷲巣巌と対立する。鷲巣とは大学時代の同級生で、実家の農業を継ぐために自主退学した経歴を持つ。 学生の頃から農業の重要性を説き、農業による国家再生を訴えていたため、鷲巣からは理想主義者と揶揄されている。

ジャコ萬 (じゃこまん)

政治家や暴力団のスキャンダルを専門にしているジャーナリスト。深くかぶったニット帽と左目の傷が特徴の男性。手に入れたスキャンダルで相手を脅迫したり、強請(ゆす)ったりして大金をせしめていた。政治家と経営コンサルティング会社「共生」との取引現場を収めた写真を元に強請ろうと画策。しかし、隼が一筋縄ではいかない男だと知ると、ネガを賭けた麻雀勝負へと切り替えた。 勝負に勝つため、事前に雀荘の従業員や客を手下で固め、さらに「共生」側の人間である小柴と手を組んでいたが、その小柴に裏切られて敗北。理由を問いただそうとするが、小柴の不気味な言動に危機を感じ、「共生」から手を引いた。

木乃伊男爵 (みいらだんしゃく)

正体不明の窃盗犯。ミイラのような特殊メイクを施した顔に、包帯を巻いた奇抜なファッションに身を包んでいる。高価な美術品ばかりを狙い、警察をあざ笑うかのように、事前の予告状を欠かさないという美学を持つ。黒塗りの気球や等身大の人形を用意し、あえて逃亡劇を演出するといった計画性の高さから、相当の知能犯であることが予想されている。 木島忠夫の所有する美術牌を狙ったため、鷲巣巌と対決することになる。

木島 忠夫 (きじま ただお)

リゾート開発に携わる「木島商会」の会長。禿げ上がった頭部と厚い唇が特徴の男性。所有している美術牌を木乃伊男爵に狙われ、警察に警護を依頼。さらに取引相手だった経営コンサルティング会社「共生」を通して、鷲巣巌にも相談を持ち掛けた。木乃伊男爵を待ちながら、現場で麻雀の卓を囲むという酔狂な性格の持ち主。

教授 (きょうじゅ)

帝国科学大学の教授。片目が隠れるほど垂れた前髪と団子鼻、切れ長の細い目元が特徴の男性。戦争中、新薬の研究のために訪れたボルネオの密林で黎明を発見して以来、ツキを完全にコントロールできる超人類を生みだそうと、人体実験を繰り返している。ツキの実態の解明を取引材料として、経営コンサルティング会社「共生」に資金援助を受けている。 美佐という一定の研究結果が生まれたので、鷲巣巌と隼を研究施設である古城に招いた。

美佐 (みさ)

生まれたばかりでありながら、自由に言語を使いこなす赤ん坊。教授が黎明を用いた研究結果として生み出した超人類。麻雀のルールを理解し、鷲巣巌や隼にも引けを取らない打ちまわしが可能。非常に口が悪く、高圧的で反抗的な言動を繰り返す。常に母親に背負われており、勝負の最中でも頻繁に授乳されないと体力が維持できない。 当初、鷲巣と隼は牌を実際に触っている母親の方が美佐だと勘違いしていた。

柳 勇二 (やなぎ ゆうじ)

元軍人の青年。パーマがかった髪にギョロついた目、しゃくれた顎が特徴。物事の選択を迫られた時、あえて選択しなければ結果的に勝利し、積極的に選択すれば必ず敗北してきた、という異様なツキの巡りを持つ。戦中、自身が選択に関わったため部隊員を全滅させて以来、自分からはなにも選ばなくなった。結果として、人並み外れた勝負強さを発揮、いつしか裏の麻雀界で名が知られるようになった。 そのツキの正体を研究しようとした教授によって、研究施設である古城へと誘われる。自称、ツキに憑かれた男。

牛島 (うしじま)

古物商の男性。坊主頭でがっしりとした体格をした人相の悪い人物。半年前の交通事故で足に障害を負っており、片足を引きずるようにして歩く。賭け麻雀専用列車の「麻雀列車」に鷲巣巌や隼と乗り合わせ、一緒に卓を囲む。時価3億円相当の猫の彫刻を肌身離さず持ち歩いており、鷲巣から賭けを申し入れられたが、断固として拒否した。 麻雀を終えて1人で個室へ戻るが、その後死体で発見された。

アーロン少佐 (あーろんしょうさ)

大監獄「監獄六区」の所長。リーゼントと垂れ目、筋肉質で大きな体躯が特徴の男性。戦争による負傷を治療する際、腹部と拳に鉄板を仕込んでいる。そのため、鷲巣巌との初対面では、その攻撃をあっさりと防いだ。監獄六区では独裁を敷いている。特に年に一度の収穫祭では學点則を操縦して、囚人たちを殺戮することを楽しみとしている、非道な性格の持ち主。

オイチョ

フリーの博徒。パーマがかった短髪と垂れ目が特徴の男性。関西の裏賭場では、手本引きと丁半博打で、組織が傾くほどの勝ちを上げたとされる天才。米軍基地から武器を横流しした罪で、大監獄「監獄六区」に収容された。麻雀のルールを知らなかったが、鷲巣巌とタッグを組み、収監からわずか2か月で北棟の寮長へと昇りつめる。

鬼束 正宗 (おにづか まさむね)

牌匠の男性。鼻にかかるほど伸びた前髪と鋭い眼光が特徴。辻宝生に師事し、美術牌の作成では並ぶものなしとされる。太平洋戦争で戦死したとされていたが、実は密かに大監獄「監獄六区」で偽札作りに協力していた。ガン牌の達人で、収穫祭では北棟の代表としてオイチョと対戦する。

場所

共生 (きょうせい)

鷲巣巌が立ち上げた経営コンサルティング会社。表向きはマネーリスクを回避する手段としての情報販売、各会社への事業計画の提案などで利益を得ている。裏では鷲巣の財力と地位向上のため、強引な資金集めや資源および人材確保を行っている。政財界との繋がりも強く、鷲巣が違法行為などに手を染めても、大概のことは揉み消せるほどの力を持つ。 そのパイプの太さから敵視されることも多く、度々その経営権を賭けの対象にされる。

麻雀列車 (まーじゃんれっしゃ)

麻雀好きな富裕層だけを乗せて深夜に出発する高級列車。麻雀のプレイルームだけでなく、個室や食堂車、サロンも備えている日本版オリエント急行。賭博罪に問われぬよう、警察が踏み込みにくい場所で賭け麻雀を楽しみたい、という者のために生み出された。また警察の潜入捜査対策として、車内では現金の代わりにコインチョコでやり取りし、終着駅のホテルで換金するというルールを用いている。

監獄六区 (かんごくろっく)

凶悪な知能犯のみを収容する監獄。一度入れば二度と出られないとされている。周囲を崖に囲まれた窪地に存在し、囚人自ら農業を営み、完全な自給自足で成立している。囚人は東西南北の4つで構成された棟に振り分けられ、棟間で収穫物を分配する。各棟には明確なヒエラルキーが存在するため、決して平等な分配ではない。また収容所内での力関係は、すべて麻雀によることが、アーロン少佐に決められており、囚人たちは食料や所内専用の通貨を賭けて、麻雀を行うことが日課となっている。 鷲巣巌は偽札製造の濡れ衣で、ここに収容された。

イベント・出来事

龍神麻雀 (りゅうじんまーじゃん)

田神龍蔵が考案した2人麻雀。8対8のチーム戦で行われ、1枚で一抱えもある大きな石板牌を用いる特殊麻雀。配牌やツモでは、舞台中央にある石板牌を自由に選んで手牌にして良いため、打ち手は自分以外の7人に指示し、牌を相手チームと奪い合うことになる。力づくでの奪い合いとなるため、必然的に体格や腕力に優れたチームほど良い牌をそろえられる。 面前ツモがない代わりに、ロンでは得点が2倍となり、一翻1点として先に20点獲得すれば勝利。また挑戦者はロンされるたびに、ペナルティとして鉄球を首につける。勝利すれば田神の全財産と炭鉱の全権を得られるが、敗北すれば全財産を奪われたうえ、目と口を縫われて炭鉱で働くことになる。

ハンギング9 (はんぎんぐないん)

麻雀の特殊ルール。「共生」の船舶、第一共生丸を襲った海賊たちとの麻雀勝負で用いられた。挑戦者は自軍から1人を差し出し、積み上げられた9個のタイヤの上に生け贄として座らせる。タイヤは5000点を失うごとに、だるま落としの要領で弾かれていく。9個のタイヤにはそれぞれワイヤーが取り付けられており、そのうちの1つは船外にぶら下げられた重りと生け贄の首に繋がっている。 そのため対応するタイヤが弾かれた時、生け贄は首を吊って死に至る。

ハンギング0 (はんぎんぐばーす)

麻雀の特殊ルール。「共生」の船舶、第一共生丸を襲った海賊たちとの麻雀勝負で用いられた。2対2のチーム戦で、互いに代表を決めて卓を囲む。代表の首にはロープが結ばれ、そのロープは重りを支えるワイヤーに繋がっている。持ち点が0になるとワイヤーが切断され、代表者は縛り首となる。開始時の持ち点は25000点で、上がっても増えることはなく、互いに減らしあうものとなっている。 4人で打つ麻雀だが、味方への振り込みやツモもカウントされるため、実質2人麻雀に近い。

モンスターハンギング

ハンギング0を乗り切った鷲巣巌たちに艦長が提案した特殊麻雀。巨大な海亀の背中に固定された麻雀卓と椅子を用いて行う。参加者は椅子に両足と首を枷で固定し、合計で3つの鍵をかける。その鍵は相手に渡し、自分は他の参加者の鍵を持つ。点棒のやり取りはなく、8000点ごとに鍵のやり取りが行われるため、8000点以下のアガリは無視される。 海亀が空腹になって海中へ潜る前に、すべての鍵をそろえられなかった参加者は、溺死することとなる。

収穫祭 (はーゔぇすと)

1年に一度、監獄六区で収穫された大量の麦を各棟に分配する行事。同時に各棟のヒエラルキーが決せられる麻雀勝負の場でもある。各棟の代表が卓を囲み、麻雀を行う。一半荘を繰り返して日没で終了、これを2日間繰り返し、その合計点で順位が決まる。勝負の間、各棟の囚人たちは學点則の前に待機。満貫以上のアガリがあった場合、そのアガリを出した棟以外の囚人を、アーロン少佐の操縦する學点則が襲う。

その他キーワード

眠れる本 (すりーぴんぐぶっく)

表紙に「DIARY」と書かれた1冊のノート。艦長の不在時、航海日誌としてゲスが記録したものだが、その内容は帳簿に近い。GHQが帝国陸軍から接収した莫大な財宝群、M資金の隠し場所を暗示している、と噂されていた。しかし、真相を知るゲスが正気を失ったため、真偽不明となっていた。実際にはM資金の在りかではなく、GHQが行っていた複数の海賊行為についての記録だったことが、鷲巣巌によって明かされた。

黎明 (れいめい)

ボルネオの密林で教授によって発見された寄生虫。寄生された生物は、脳が通常時の10倍の働きをするようになり、爆発的に知能が上がる。その影響は現地のオランウータンが人語を解し、銃の使い方や麻雀のルールを学習するほどである。教授の人体実験の結果、被験者が5時間以内に死亡するなど、人間に寄生させるのは極めて困難であることが判明。 その寄生に初めて成功したのが美佐であった。

學点則 (がくてんそく)

人型の巨大機械。1年に一度、監獄六区で収穫された大量の麦を各棟に分配する収穫祭で用いられる。本来は麦の刈り取り用のコンバインだったが、アーロン少佐によって麻雀の罰ゲーム用に改造されている。罰ゲームの実行時には、両手の鎌で対象の囚人たちを強襲、実際に命を奪う。歴史上、東洋で初めて作られたロボット「學天則」を真似て作られたもの。 その名前には麻雀の点棒に学ぶ、という意味が込められている。

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