巌窟王

巌窟王

アレクサンドル・デュマの文学作品『巌窟王』をアニメ化。SFとしてアレンジし、舞台は未来都市として描かれたパリとなった。また、原作では復讐を行なうモンテ・クリスト伯爵が主人公となっているが、復讐を受ける側の親族であり、脇役だったアルベール・ド・モルセールを主役に据えるなど、大幅なアレンジが加わっている。東京都国際アニメフェア2005において、東京アニメアワードテレビ部門優秀作品賞受賞、および第10回アニメーション神戸 作品賞・テレビ部門受賞。3DCGで未来都市を描き、衣装などにテクスチャを貼り込むなど、当時のCG技術を結集させたスタイリッシュな映像表現を起用している。また、世界的デザイナー、アナ・スイが女性キャラクターの一部の衣装デザインの原案を担当した。

正式名称
巌窟王
ふりがな
がんくつおう
原作者
制作
GONZO
監督
前田 真宏
放送期間
2004年10月6日 〜 2005年3月30日
放送局
テレビ朝日
話数
24話
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
アドベンチャー
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概要・あらすじ

未来都市パリの将軍家に生まれ、自身も子爵の地位を持つアルベール・ド・モルセールは友人のフランツ・デピネー男爵とともに月面都市ルナのカーニバルを見物する。そこで出会ったミステリアスな存在、モンテ・クリスト伯爵に新たな世界を見せられ、心酔していく。

ルナでの事件から救われたアルベールが、パリ伯爵を招き入れたことをきっかけに、アルベールの信じていた平和な日常が崩壊していく。

登場人物・キャラクター

アルベール・ド・モルセール (あるべーるどもるせーる)

身分は子爵。黒髪に青い眼、左目の下にほくろがある。登場時は15歳の少年であった。パリでも名門とされる、宇宙軍の英雄フェルナン・ド・モルセール将軍を父に、メルセデス・ド・モルセールを母に持ち、何不自由なく暮らしていた。 そのためか、世間知らずで天然すぎるところもあるが、純粋で裏表がない性格でもある。ルナで出会ったモンテ・クリスト伯爵に今まで知らなかった世界を見せられ、心酔して付き従い、パリの社交界へと招き入れる。 フランツ・デピネーとは親友で、おもに世話を焼かれる立場である。親が決めた婚約者ユージェニー・ド・ダングラールがおり、子ども扱いされがちで反発しつつも仲は良い。 友人の女性ヴァランティーヌ・ド・ヴィルフォールと、新たに友人となった青年マクシミリアン・モレルの恋仲を心から応援する。ほかにも多彩な立場・身分の青年たちとつきあい、友達思いで社交的な人物である。

エデ

アルベール・ド・モルセールがモンテ・クリスト伯爵の邸宅にて初めて会った、結い上げた長い黒髪に、尖った耳と色白の肌を持ち、東洋風の衣装に身を包む、エキゾチックで高貴な雰囲気を持つ少女。竪琴の名手。 伯爵に寄り添い、尽くしているが、東方銀河と地球の間との貿易によって栄えた、ジャニナ星の王女という出自を持つ。パリのオペラ座にてアルベールの父、フェルナン・ド・モルセールを見た折には驚愕し、昏倒するほどの衝撃を受けており、のちにその理由が明かされる。

メルセデス・ド・モルセール (めるせですどもるせーる)

アルベール・ド・モルセールの母親でフェルナン・ド・モルセールの妻。旧姓エレラ。褐色の肌に、カールを入れた長い黒髪の美女。心優しい社交界の華で、アルベールの婚約者ユージェニー・ド・ダングラールとはともにショッピングに行くなど、家族同然に思っている。 アルベールに母として助言を与え、愛情深く育てている。貞淑な女性だが、父以外の男性の写真を見ていたところをアルベールに目撃され動揺させる。 アルベールに紹介されたモンテ・クリスト伯爵と初対面の折には、伯爵がただならぬ反応を見せ、何らかのかかわりがあることが示唆されている。また、夫のフェルナン同様、葬儀案内状に記されたエドモン・ダンテスの名に反応し、関係があったことが匂わされる。

ジェラール・ド・ヴィルフォール (じぇらーるどゔぃるふぉーる)

パリ高等法院の主席判事を務める。後ろで束ねた白髪にブラウンのモノクル姿で、裁判時には礼装としてカツラを被る。パリの司法の頂点に座し、冷酷で厳しい判決を下す。アルベール・ド・モルセールの女性の友人、ヴァランティーヌ・ド・ヴィルフォールの父親だが、出世欲や権力欲が強く、家族に対しても心無い対応をしがちである。 父親で元内務省特務機関長官のノワルティエ・ド・ヴィルフォールに激しいコンプレックスを抱いている。 アルベールがパリへ招いたモンテ・クリスト伯爵による夜会の折、アルベールの婚約者ユージェニー・ド・ダングラールの母親ビクトリア・ド・ダングラールとは過去にただならぬ関係があったことが暴かれる。 このことをきっかけに伯爵について不審に思い、計略をめぐらせる。

アンドレア・カヴァルカンティ (あんどれあかゔぁるかんてぃ)

身分は侯爵。右側だけ巻いた金髪が特徴。東方宇宙から伯爵に連れられてきた。由緒正しい家柄、莫大な財産を相続したばかりの御曹司と名乗る。経済界の情報や自身の財産によって、ダングラール男爵に取り入る。 のちに、アルベール・ド・モルセールの婚約者だったユージェニー・ド・ダングラールの、新たな婚約者となる。元はモンテ・クリスト伯爵が手引きし逃がした受刑者ベネデットで、出生には秘密があり、伯爵と利害が一致したため手を組んでいる。

ヴァランティーヌ・ド・ヴィルフォール (ゔぁらんてぃーぬどゔぃるふぉーる)

前髪が片目にかかるヘアスタイルの、控えめで清楚な女性。アルベール・ド・モルセールの女友達で、ジェラール・ド・ヴィルフォール主席判事の娘。先妻の娘で、現在の妻エロイーズ・ド・ヴィルフォールからは疎まれている。 物静かな性格で女性らしい気配りに溢れ、体が不自由な祖父のノワルティエ・ド・ヴィルフォールの世話を献身的にしている。アルベールの親友、フランツ・デピネーの婚約者だったが、彼らの友人マクシミリアン・モレルに恋され、心を開いていく。

ペッポ

小悪魔的な魅力を持つ少女だが、正体は男。月面都市ルナにて盗賊団の一味としてアルベール・ド・モルセールを誘拐する。しかし、アルベールに一目ぼれしたと言い、盗賊団を抜け、パリのモルセール家の邸宅でアルベールのメイドとして働くようになる。 いたずらっぽい振る舞いでアルベールをからかいつきまとうが、恋愛以外の何らかの目的があることが匂わされている。

ダングラール男爵

身分は男爵。ダングラール銀行の頭取であり、パリでも有数の資産家。アルベール・ド・モルセールの婚約者、ユージェニー・ド・ダングラールの父親。派手なスーツにサングラス姿で小太り。 家族よりも金儲けを優先し、システムによる取引をほぼ一日中続け、妻のビクトリア・ド・ダングラールとも関係は冷え切っている。アルベールの父親、フェルナン・ド・モルセールの危機を感じ、一方的に娘との婚約を解消し、新たに御曹司を名乗るアンドレア・カヴァルカンティを婚約者とするが、大きな失策となった。

フェルナン・ド・モルセール (ふぇるなんどもるせーる)

身分は宇宙軍の将軍。アルベール・ド・モルセールの父親。グレーの髪に髭をたくわえている。東方銀河と地球との貿易で栄えた星ジャニナを最後まで守った英雄とされ、次期大統領の椅子を狙えるほどの権力を持っている。 パリ高等法院の主席判事ジェラール・ド・ヴィルフォールや銀行頭取のダングラール男爵とも交流がある。紳士然としており、息子のアルベールにも妻のメルセデス・ド・モルセールにも愛情を注ぐが、野心家で嫉妬深い面も見え隠れする。 葬儀案内状に記されたエドモン・ダンテスの名に怯え、何らかの後ろ暗いかかわりがあることが示唆される。

フランツ・デピネー (ふらんつでぴねー)

センターで分けた金髪が特徴。身分は男爵で、貴族らしいスマートさを持ち、外交の仕事を目指すが、父親とは死別し、家は没落している。父の葬儀で出会ったアルベール・ド・モルセールとは幼なじみで親友であり、それ以上に篤い親愛の情を抱いている様子で、身を挺して彼を救うために行動する。 アルベールの婚約者ユージェニー・ド・ダングラールとも仲が良い。婚約者のヴァランティーヌ・ド・ヴィルフォールへは無関心なそぶりを見せているが、友人となった青年マクシミリアン・モレルが彼女に好意を寄せていることを知り、彼らの幸せを願い助力する。 モンテ・クリスト伯爵に心酔するアルベールに危うさを感じ、伯爵について独自の調査を行なう。

エドモン・ダンテス (えどもんだんてす)

当初は直接登場せず、アルベール・ド・モルセールの父親フェルナン・ド・モルセール、その知人のジェラール・ド・ヴィルフォール、ダングラール男爵らのもとに、この名の人物の葬儀案内状が届き、三人を驚愕させ、過去に何らかの事件があったことを示唆する。 不審に思ったアルベールの親友フランツ・デピネーはこの名前の男性について調査することとなる。のちにアルベールやフランツの友人マクシミリアン・モレルの実家のモレル商会と関係が深い人物と判明する。

モンテ・クリスト伯爵 (もんてくりすとはくしゃく)

身分は伯爵だが、出自は不明。東方宇宙の田舎貴族を自称し、異様な風貌から吸血鬼との噂がある。莫大な富と権力を持ち、優雅な物腰とカリスマ的な存在感で社交界の花形となる。目は赤と緑のオッドアイ。 髭をたくわえており、長髪の間から尖った耳がのぞき、時折額に目のような禍々しい紋章が浮かび上がる。食事はせず、ほぼカプセルの薬のみを摂取して生きている。月面都市ルナにてアルベール・ド・モルセールと出会い、ある事件がきっかけで恩人となり慕われる。 その縁でパリの社交界にてアルベールの父で将軍のフェルナン・ド・モルセールやダングラール男爵、 ジェラール・ド・ヴィルフォール主席判事ら実力者らとも知己を得るが、ある目的を持っていた。 社交の場では謎の美女エデを伴うこともある。また、褐色の肌にサングラスで体格の良いジョヴァンニ・ベルッチオや、リーゼントが特徴で口が達者なバティスタン、異星人で治癒能力などを持つアリらが家令として付き添い、慕われている。 ベルッチオには「巌窟王」の名で呼ばれることもある。過去の壮絶な事情により肉体が結晶化したとされる存在。

マクシミリアン・モレル (まくしみりあんもれる)

平民出身の陸軍大尉。軍の特殊部隊に所属していたため、筋肉強化処置が施されており、立派な体躯を持つ。不器用なほど真面目で誠実な好青年。実家は祖父の代から貿易商モレル商会を営んでいる。アルベール・ド・モルセールの女友達で、アルベールの親友フランツ・デピネーの婚約者でもあるヴァランティーヌ・ド・ヴィルフォールに恋して真っ向から求婚し、最初は拒絶されるが徐々に好意を深め合う。 ヴァランティーヌが毒殺されるおそれがあることを知り、フランツらの協力を得て、危険を顧みず救出する。 ¶。

ユージェニー・ド・ダングラール (ゆーじぇにーどだんぐらーる)

金髪のショートカットの可憐な女性。アルベール・ド・モルセールの婚約者で幼なじみ。銀行の頭取であるダングラール男爵の令嬢だが、自身で車を運転するなど活発な性格。アルベールを子ども扱いし、喧嘩になることもあるが、相思相愛の仲である。 ピアノを得意としており、ピアニストを目指している。社交的で明るく振る舞うが、母のビクトリア・ド・ダングラールが友人男性と不倫していることを知り、嫌悪している。

場所

ルナ

幻想未来の月面都市。カーニバルが催され、太陽系中から見物客が押し寄せる。ヨーロッパ風の趣向だが未来的な設備が多くある。アルベール・ド・モルセールはモンテ・クリスト伯爵と出会い、ロスポリ・ホテルからカーニバルのクライマックスとなる公開処刑を眺めた。

パリ

幻想未来のパリ。城壁で囲まれている。エッフェル塔やシャンゼリゼ通り、オペラ座、ブローニュの森など実際のパリと同様の名所もあるが、移動式マンションや宙港があり、人間以外にさまざまな風体の異星人が闊歩しており、宇宙中で憧れの「自由の都」となっている。

クレジット

原作

アレクサンドル・デュマ

監督

シリーズ構成

作画監督

松原秀典

音楽

ジャン=ジャック・バーネル , 笠松広司 & 北里玲二

アニメーション制作

GONZO

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