星を継ぐもの

星を継ぐもの

月で真紅の宇宙服を着た5万年前のヒトの遺体が発見された。SF界の巨匠・ジェイムズ・P・ホーガンのハードSF小説の代表作・「巨人たちの星」シリーズの3作品・『星を継ぐもの』、『ガニメデの優しい巨人』、『巨人たちの星』を漫画化した作品。

正式名称
星を継ぐもの
ふりがな
ほしをつぐもの
原作者
J・P・ホーガン
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
レーベル
ビッグ コミックス(小学館)
巻数
既刊4巻
関連商品
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概要・あらすじ

月で真紅の宇宙服を着た人間の遺体が発見される。物質を透過撮影出来るトライマグニスコープの開発者・ヴィクター・ハント博士と生物学者クリスチャン・ダンチェッカー教授はこの謎を解明すべく兵器を持たない軍隊・国連宇宙軍より招集された。チャーリーと名付けられた宇宙服の遺体はなんと5万年前の地球の人類であると鑑定される。

さらに木星の衛星ガニメデでは100万年前の宇宙船が発見される。

登場人物・キャラクター

ヴィクター・ハント

博士。ケンブリッジで核物理学等を修め、政府の事業や民間企業を転々としながらどこにも収まりきらず、この数年、ロンドンのメタダイン社にたった一人の理論研究部として在籍。トライマグニスコープ(ニュートリノ・ビームで物体内部を詳細に3D透視する装置)の開発者。結果を見てから最も的確な答えを出せる人物として、月面で発見された真紅の宇宙服に包まれた5万年前のヒトの遺体を調査解析するため、国連宇宙軍航行通信局本部長コールドウェルに招集され、月面基地コペルニクスⅢへ向かう。

クリスチャン・ダンチェッカー

ウエストウッド生物学研究所教授。論文も細胞実験もDNA比較も全部中断して月に行くよう所長から命じられ、ムーンシャトルに搭乗し月にある基地コペルニクスⅢへ向かう。月面で発見された宇宙服に包まれた5万年前のヒトの遺体を調査解析するため、国連宇宙軍航行通信局本部本部長コールドウェルに招集された。 20世紀の遺物のようなスタイルの生物学者。チャーリーと名付けられた人型の遺体のDNA鑑定をする予定だったが、チャーリーが火災で燃えて消失してしまい、多くの謎が解明できなくなる。地球には5万年前にそのような文明が存在した痕跡はないものの、生物学者の観点から類推する限りは 他の恒星系、他の惑星では地球人と寸分違わぬ生物が出現する確率がほぼゼロであることから、他の星で進化した生物である可能性はないと発言。 さらに同じ月面で発見された魚のような形をした生物については、逆に地球の生物から進化したものではないことを瞬時に判断する。 現生地球人類が5万年前に消滅した太陽系第5惑星・ミネルヴァの人類・セリオス人の血を直接受け継いだという仮説を立てる。また、ジェヴレンの地球侵略に対し八方塞がりな状態から決定的な打開策を編み出す。

コールドウェル

国連宇宙軍航行通信局本部本部長。女性。人を見る目にかけては右に出る者はない。月面で発見された5万年前の人間「チャーリー」の謎を解明させるべく、ヴィクター・ハントとクリスチャン・ダンチェッカーの二人を月面基地コペルニクスⅢに向かわせる。独自の調査と木星圏へ送り込んだハントとダンチェッカーの考察により、国連平和委員会の正体を知ることとなる。

ニールス・スヴェレンセン

国際平和委員会代表。月で5万年前のヒトの遺体が発見されたことを知り、国連宇宙軍の月面基地・コペルニクスⅢ視察という名目でムーンシャトルに搭乗し月へ向かう。国際平和委員会は世界平和のためという大義名分を振りかざしていることから、誰も文句がいえないが、国際平和委員会は超科学があることを隠し、争いを望んでいることを隠す未知の存在と繋がっている。 国際平和委員会は地球各国の軍隊から兵器を金で買い取り、兵器を持たない国連宇宙軍を作り上げ、地球人類を丸裸同然にしている。 チャーリーが燃えて消失してしまったことを受けて、平和委員会で報告させてもらうといい残し、一足先に地球に帰って行く。

ブローヒリオ

5万年前に消滅した太陽系第5惑星ミネルヴァの人類・ランビア人(地球のネアンデルタール人)の子孫であるジェヴレン人の長。地球とは別の恒星系の惑星ジェヴレンにいる。管理コンピュータ・ジェヴェックスというシステムを使った超光速通信が可能なイメージ転送装置のパーセプトロンを使い地球の国際平和委員会へリアルタイムで指示を出している。 惑星ジェヴレンから遠く離れた場所にある衛星アッタン付近の宇宙空間に建造したアッタン基地の兵器プラント(アッタン要塞)で、宇宙戦艦(バトルシップ)72隻、宇宙駆逐艦(デストロイヤー)154隻を完成させている。 さらに月産8隻のペースで生産を続けており「計画」発動の機会を伺う。だが、ミネルヴァの原生人類であった巨人・テューリアンに対し脅威を抱いており、空間を制御しテューリアンを封じ込めるカドリフレクサーの完成を急いでいる。

ヴェリコフ

国際平和委員会委員。5万年前に消滅した太陽系第5惑星ミネルヴァの人類・ランビア人(地球のネアンデルタール人)の子孫であるジェヴレン人。国際平和委員会代表ニールス・スヴェレンセンの補佐的存在であるが、スヴェレンセンとは別の独自の思想を持ち行動する。地球人類と混血を繰り返したスヴェレンセン家より、ランビア人として純血に近い自分のことを誇りに思っている。 思慮が浅い人物。

ガルース司令官

太陽系第5惑星ミネルヴァの原生人類・ガニメアン。ウラシマ効果で100万年前の世界からやってきた宇宙船シャピアロン号の司令官。ヴィクター・ハント達地球人類と出会ったことで自分たちがミネルヴァを去った後の歴史を知ることになる。子孫であるテューリアン達は現在の地球で起こりつつある地球人類とジェヴレン人による抗争には関与しないスタンスを維持することを表明するが、古いガニメデアンとして、ジェヴレン人の陰謀をあえて受け入れようとしているテューリアンと戦力を持たない地球人類双方を守るため、成功確率5%以下のジェヴレン艦隊を殲滅する一か八かの闘いを行うことを決意する。

シローヒン博士 (しろーひんはかせ)

太陽系第5惑星ミネルヴァの原生人類・ガニメアン。ウラシマ効果で100万年前の世界からやってきた宇宙船シャピアロン号の ガルース 司令官の補佐的存在。女性。シャピアロン号のコンピュータ・ゾラックから地球の歴史を聞き、地球人類の性質が、集団になると必ずふたつ以上の立場に分かれて対立し、相手を倒すまで争うということを学ぶ。 夫と子供を100万年前の惑星ミネルヴァに残してきた。故郷のガニメアン達は親・兄弟・友人達を含めて100万年前の世界でそれぞれの人生をまっとうしており、5万年前に消滅した惑星ミネルヴァの名残である小惑星帯への上陸に対しては感傷的な儀式に過ぎないと言っている。 だがその心境は、言葉の通りではない。

チャーリー

月面で発見されたの宇宙服に包まれた遺体。調査の結果5万年前の死体と判断される。トライマグニスコープ(ニュートリノ・ビームで物体内部を詳細に3D透視する装置)でスキャンし、その翌日DNA鑑定をする予定だったが火災により消失する。後にルナリアン(月人)という正式名称となる。 専門家達が調査した事実を取り纏めたヴィクター・ハント博士は、その正体が5万年前に消滅した太陽系第5惑星ミネルヴァの人類・セリオス人(元は地球のクロマニョン人)であるということをつきとめる。かつて惑星ミネルヴァでは彼の属するセリオス人、そしてセリオス人と敵対するランビア人との間で戦争が勃発し、その戦いに勝利するため、当時 惑星ミネルヴァの衛星だった月に移動し、月面から敵ランビア中枢部に向けて殲滅兵器(アニヒレーター)を使ったビーム攻撃を決行する。 作戦は成功し本星での闘いには勝利したもののその後も月面での戦闘は続き、援軍を呼ぶため親友のコリエルと共に徒歩にて月面のセリオス軍ゴーダ基地を目指す。 だが、途中、宇宙服のヒーターが故障したことで両足の感覚が麻痺し力尽きる。その際、謎の消滅兵器による惑星ミネルヴァ消滅の瞬間を目撃する。

集団・組織

国際連合宇宙軍 (こくさいれんごううちゅうぐん)

『星を継ぐもの』に登場する組織。上層組織・国際平和委員会によって設立された 兵器を持たない軍隊。2030年代に安価で無尽蔵のエネルギーが普及し世界の経済不安が解消されたことで100億の人類の生活が安定し紛争も軍隊も激減。国際平和委員会が湯水のように資金を投じ世界中の武器を買い上げ、大陸間ミサイルをはじめとする軍備はほぼ全廃され、その予算や人材が移行し成立した。

国際平和委員会 (こくさいへいわいいんかい)

『星を継ぐもの』に登場する組織。数百年前から地球人類を裏から支配してきたジェヴレン人により構成された組織。代表はスヴェレンセン財団のニールス・スヴェレンセン。平和を謳い、世界中から兵器や軍隊を撤廃した。世界平和のためという大義名分を振りかざしていることから誰も文句が言えないが、世界中から軍備を撤廃した真の目的は地球人類を丸裸同然にし、 地球を支配し人類を奴隷化することにある。

ランビア人 (らんびあじん)

『星を継ぐもの』に登場する人種・組織。5万年前に消滅した太陽系第5惑星ミネルヴァに生息していた二つの人類のうちの一つ。惑星ミネルヴァの原生人類・テューリアンが地球から連れてきたネアンデルタール人に特殊酵素を注入し進化した人類。同じくテューリアンが地球から連れてきたクロマニョン人に特殊酵素を注入して発生したセリオス人と敵対関係となり、5万年前、大規模な戦争を起こし、最終的には自ら開発した超小型のブラックホール兵器を使い惑星ミネルヴァを消滅させたとされている。 月で生き残った兵士達をテューリアンが救い惑星ジェヴレンに移住させる。

セリオス人 (せりおすじん)

『星を継ぐもの』に登場する人種・組織。5万年前に消滅した太陽系第5惑星ミネルヴァ に生息していた二つの人類のうちの一つ。元は地球のクロマニョン人。その多くは消滅した惑星ミネルヴァと運命を共にするが、当時惑星ミネルヴァの衛星だった月に取り残された僅かな軍人だけが生き残る。だが生き残りは全員男性で種族を維持出来ないことから、救助に駆付けた惑星ミネルヴァの原生人類・ガニメアンに対し地球への移住を希望する。

ジェヴレン人 (じぇゔれんじん)

『星を継ぐもの』に登場する人種・組織。惑星ジェヴレンに住むランビア人の生き残りの子孫。数百年前地球に降り立ち、地球人類を影から支配してきた。北米のロスフェラック家、ロシア・東欧のヴェリコフ家、西欧のローゼンシルト家、北欧のスヴェレンセン家等、その他の地域も含めて地球の金融・資源を牛耳ってきた闇の支配者。 近年では国連平和委員会を発足させ、世界平和の名のもとに地球の軍事力をすべて買い上げ、軍備を全廃させた。そしてその予算や人材については国連平和委員会が設立した兵器を持たない国連宇宙軍に移行させる。その真の目的は地球人を奴隷化し、地球の真の支配者になることである。 そのためには空間を制御するカドリフレクサーを完成させ、驚異的存在である巨人たち、つまりテューリアン人を封じる必要がある。本星は地球とは別の星系の惑星ジェヴレンにある。ブローヒリオを指導者とするジェヴレン連邦を形成しており、管理コンピュータ・ジェヴェックスが管理運営するイメージ転送装置・パーセプトロンを使い地球の国際平和委員会へリアルタイムで指示を出している。

テューリアン

『星を継ぐもの』に登場する組織。5万年前に消滅した太陽系第5惑星ミネルヴァの原生人類・ガニメアンの100万年後の姿。数百年前から地球人類を影から操っていたジェヴレン人が恐れる巨人。かつて地球から人類の祖先であるホモ・エレクトスを惑星ミネルヴァに運び出し、知恵と攻撃性を高める酵素を注入してしまう。 その後、惑星ミネルヴァが寒冷化で住めなくなり、他の恒星系の惑星テューリアンへ大移住するが、その際、ホモ・エレクトスを置き去りにしてしまう。

クレジット

書誌情報

星を継ぐもの 4巻 小学館〈ビッグ コミックス〉

第1巻

(2011-06-30発行、 978-4091838889)

第2巻

(2011-11-30発行、 978-4091842305)

第3巻

(2012-04-27発行、 978-4091844279)

第4巻

(2012-09-28発行、 978-4091847201)

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