ヴィジランテ―僕のヒーローアカデミアILLEGALS―

本編である『僕のヒーローアカデミア』は「週刊少年ジャンプ」2014年32号より連載の作品。2016年にはテレビアニメ化され、その後、劇場版アニメやアニメの続編も作られている人気作となっている。本編は「個性」と呼ばれる超常的な能力を持つ者が日常的に存在する超人社会で、その力を活かして人助けをする「プロヒーロー」と呼ばれる職業を、主人公の緑谷出久が目指す話となっている。それに対し、本作は「ヴィジランテ」と呼ばれる、非合法に個性を使ってヒーロー活動をすることに焦点を当てており、本編とはあえて対比する設定が採用されている。

本作には本編を魅力的に彩るキャラクターたちも意外な形で登場する。本編で主人公たちの担任だった相澤消太は、本作では教師になる前で、ヴィジランテたちとも深いかかわりを持つこととなる。相澤以外にも、プロヒーローとなる前のミルコや、大ケガを負う前で、まだ健在な先代インゲニウムなどが登場しており、本編を知っていると、さらに楽しめる構成となっている。また、本作において主人公のサポートをする塚内真は、本編に登場する警部である塚内直正の妹で、人間関係でも本編とのつながりを見て取ることができる。

かつてはヒーローを目指したものの、夢をあきらめた灰廻航一は、無為な日々を過ごしつつ、ストレス発散のため陰ながら人助けをするボランティアをしていた。航一はそんなある日、チンピラにからまれていた少女を救うべく身を挺し、窮地に陥る。そんな航一を救ったのは、非合法なヒーロー「ヴィジランテ」として活動する男、ナックルダスターだった。彼に強制的に弟子にされた航一は、ヴィジランテとしての活動に身を投じ、「真のヒーロー」とは何かを問い続けることとなる。この航一とナックルダスターの出会いは、本編における緑谷出久とオールマイトの運命的な出会いのオマージュとなっている。