火の鳥 宇宙編

火の鳥 宇宙編

一年交替で冷凍睡眠から目覚め、操縦を担当する決まりになっている宇宙船で、宇宙飛行士の牧村五郎が手足を縛られた状態でミイラとなっているのを発見される。隕石の衝突で宇宙船を脱出した5人は、かれらの4つの脱出カプセルを追うようについてくるもう一つのカプセルに気づくのだった。謎のカプセルに乗っているのは誰なのか。別々に宇宙を飛行するカプセルの間で交わされる会話を中心に、実験的なコマ割りを駆使して語られるSFサスペンス。

正式名称
火の鳥 宇宙編
ふりがな
ひのとり うちゅうへん
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
ファンタジー
 
推理・ミステリー
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

一年交替で冷凍睡眠から目覚め、操縦を担当する決まりになっている宇宙船で、宇宙飛行士の牧村五郎が手足を縛られた状態でミイラとなっているのを発見される。隕石の衝突で宇宙船を脱出した5人は、かれらの4つの脱出カプセルを追うようについてくるもう一つのカプセルに気づくのだった。やがて、2つのカプセルは脱落し、残った三つは名も知らぬ星へとたどり着く。

謎のカプセルを開けた一宮ナナは、搭乗者が生まれたばかりの赤ん坊にもどった牧村五郎であることを知る。そこは、罪を犯した者たちが流されて永遠に罰を受ける流刑の星だったのだ。

登場人物・キャラクター

牧村 五郎 (まきむらごろう)

一年交替で冷凍睡眠から目覚め、操縦を担当する決まりになっている宇宙船で、手足を縛られた状態でミイラとなっているのを発見される。「ぼくはころされる」というダイイング・メッセージを残す。天才的な技術者であったが、彼と恋仲になった乗組員の一宮ナナは彼の頭部がロボットかあるいはサイボーグであるかのように金属でできているのを目撃する。 出発時、12歳であった一宮ナナをはじめ、ほかの隊員が若いのに対して、彼は282歳であった。

一宮 ナナ (いちのみや なな)

希崎と恋愛関係にあったが牧村五郎と知り合って、彼に惹かれるようになる。流刑星にたどり着き、罰を受けることになった牧村五郎と運命をともにする。

猿田 (さるた)

ペテルギウス第3惑星ザルツから地球へ向かう亜光速ロケットの乗組員。牧村五郎、一宮ナナとともに流刑星にたどり着く。一宮ナナを自分の者にするため赤ん坊の牧村五郎を崖から投げ落とす。その罪によって、火の鳥から醜い顔と、子々孫々にわたって宇宙をさまよい満たされない旅を続けることを宣告される。

希崎 (きざき)

一宮ナナへの思いを断ち切れず、牧村五郎を憎む。脱出カプセルが、ほかの乗組員のコースとずれ始めて、やがて音信不通となる。

城之内 (じょうのうち)

ペテルギウス第3惑星ザルツから地球へ向かう亜光速ロケットの船長。隕石で損傷した船から脱出カプセルで逃げ出す。彗星に接近した際、その引力の虜となる。

火の鳥 (ひのとり)

『火の鳥 宇宙編』に登場する不死鳥。フレミル星に派遣された牧村五郎の前にフレミル星人の姿で現れる。虐殺を繰り返す彼に命乞いをするふりをしてその生き血を飲ませる。宇宙船の中で赤ん坊に戻った彼を密かに脱出カプセルに乗せ、流刑星へと導く。

ラダ

鳥に似た姿をもつフレミル星人の娘。一人フレミル星にやってきて荒れた生活をしている牧村五郎を慰めるため、献身的に世話をして、やがて、牧村五郎と結婚するが、自分を振った地球人の女の幻影にそそのかされた牧村によって撃ち殺され、鳥のように食べられてしまう。

場所

ザルツ

『火の鳥 宇宙編』に登場する惑星。ペテルギウス第3惑星。地球からの開拓民が住む星。

フレミル星

『火の鳥 宇宙編』に登場する惑星。ラトマス星系第11惑星。牧村五郎がかつて派遣された星。ここに派遣された牧村五郎は、住民を虐殺し、フレミル星人の姿になった火の鳥の生き血を飲む。

流刑星 (るけいせい)

『火の鳥 宇宙編』に登場する星。フレミル星人を虐殺した牧村五郎が火の鳥によって導かれた星。そこでは、植物が動物のように走ったり飛んだりし、逆に動物は植物のように根を下ろし動かない。崖から落ちた岩は明くる日には元に戻っている。ここに流された囚人への罰として天変地異が引き起こされ、そして元に戻ること繰り返しているのだった。 牧村五郎は大人になっては若返り、また大人になり、それを永遠に繰り返すという罰を受ける。植物のように動かない動物たちは、この罰に耐えられなくなった囚人がメタモルフォーゼされた姿であった。

その他キーワード

スクランブル・ダンス

『火の鳥 宇宙編』に登場する娯楽。ペテルギウス第3惑星ザルツで行われる無重力のホールで男女が踊るレジャー。

亜光速ロケット (あこうそくろけっと)

『火の鳥 宇宙編』に登場するロケット。ペテルギウス第3惑星ザルツから782年をかけて地球へ向かう地球連絡船。乗組員は一年交替で冷凍睡眠から目覚め、操縦を担当する。

宇宙集像機 (うちゅうしゅうぞうき)

『火の鳥 宇宙編』に登場する機械。心に浮かんだイメージを浮かび上がらせる機械。牧村五郎に頼まれたフレミル星人の妻ラダが兄に作ってもらう。それによって映し出された牧村五郎を振った地球の女の幻影にそそのかされ、牧村五郎はフレミル星人たちを虐殺していく。

皮膚ケース (ひふけーす)

火の鳥の血を飲んだせいで、次第に若返っていく牧村五郎のが、子どもに戻っていく姿を隠すために作った精巧な着ぐるみ。頭部だけが金属でできている。この抜け殻が死んだ牧村五郎のミイラだと勘違いされた。

関連

火の鳥 (ひのとり)

火の鳥と呼ばれる超生命体が見守る古代から超未来にわたる人類の叙事詩。 関連ページ:火の鳥

SHARE
EC
Amazon
logo