今どきの若いモンは

三ツ橋商事で働く麦田歩は、まじめな性格ながらまだ新人ということもあり、仕事における悩みが尽きない。そんな歩が困っていると、そこに上司の課長･石沢一がいつの間にやら姿を現し、「ったく、今どきの若いモンは」とため息混じりに口にする。当然、自分を否定する言葉が投げかけられると歩は身構えるが、実際はそうではなく、一はその後に「まじめに働きすぎだ」などとねぎらいや慰めの言葉をかけ、麦田にアドバイスを送る。この一連の流れがハイテンポで行われ、現実の「今どきの若いモン」が大きくうなずける、カタルシスあふれる展開が楽しめる。

部下の悩みを受け入れ、寄り添い、有形無形の手助けをすることから、石沢一は周囲の人たちから非常に慕われている。しかもそれは彼の部下たちにも波及しており、一の周りの人々は誰もが悩みを抱えつつも、自分より目下の者に対して理解ある姿勢で寄り添う。そんな温かい労働環境の中、彼らの姿に触発されて、新人の麦田歩もビジネスへの心構えを身につけ、社会人として少しずつ成長していく。

麦田歩が入社して1年が経ち、新入社員を部下として迎える頃、石沢一らの三ツ橋商事の仕事を、ヨツバ商事に横からさらわれることが増え始める。ヨツバ商事は商売敵である三ツ橋商事を潰そうと画策しており、その陣頭指揮を執っているのは、かつて犯罪まがいのなりふり構わない卑劣な手を使いながらも社内抗争で一に敗れ、結果的に三ツ橋商事を追われた鬼戸誠一郎だった。誠一郎の一に対する復讐心はすさまじく、こうして物語は当初のほのぼのとした人情ストーリーから、三ツ橋商事vsヨツバ商事のビジネスウォーズへと様相を変えていく。