仕掛人 藤枝梅安

仕掛人 藤枝梅安

江戸時代、針医者・藤枝梅安が裏の世界で凄腕の仕掛人として活躍し、悪を成敗する姿を描く。池波正太郎の小説を原作として漫画化された。脚色・北鏡太。

正式名称
仕掛人 藤枝梅安
ふりがな
しかけにん ふじえだばいあん
原作者
池波 正太郎
作者
ジャンル
時代劇
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概要・あらすじ

江戸時代後期。江戸の郊外・品川台町の鍼医者・藤枝梅安は腕もよく、面倒見のよい人柄で患者から頼りにされていた。しかし、藤枝梅安には人に知られてはならない秘密があった。藤枝梅安の裏の顔は、金で殺しを請け負う仕掛人であった。藤枝梅安は仲間の彦次郎とともに、その仕掛け針で許せぬ悪を闇に葬っていく。

登場人物・キャラクター

藤枝 梅安 (ふじえだ ばいあん)

普段は江戸の郊外・品川台町で鍼医者として過ごしている。鍼医者としての腕前は確かで、面倒見もよいため患者たちからは大変頼りにされている。しかし、その裏の顔は、金で殺しを請け負う仕掛人である。特別な針を使って、人知れず命を奪うことを得意とする梅安は、江戸でも一二を争う凄腕の仕掛人として、闇の世界では知られていた。 坊主頭と太い眉毛という容貌。大きな体の持ち主で、体力にも優れている。「この世にいてはならぬ悪党のみを仕掛ける」ことを信条としている。

彦次郎 (ひこじろう)

藤枝梅安の相棒。吹き矢を得意とする仕掛人。普段は房楊枝作りの職人として暮らしている。藤枝梅安より年上だが、梅安の人柄と腕前に心酔しており、相棒として仕掛けをともに行うようになる。かつて浪人に女房を陵辱され、それが原因で女房と娘を失っている。後年、彦次郎は梅安の力を借りて、上方でその仇を討った。

小杉 十五郎 (こすぎ じゅうごろう)

藤枝梅安の友人である浪人。剣の達人で、後に梅安の仕掛人仲間となる。目の前で亡くなった遊女の頼みを受け、その家族の仇を討とうして梅安と知り合った。その後、代稽古を務めていた剣術道場の跡目争いに巻き込まれたことから、お尋ね者となってしまう。梅安の手引きで、上方で白子屋菊右衛門の世話になり身を隠していたが、その間に仕掛人となった。 このことで、梅安と白子屋菊右衛門の関係は悪化してしまう。その後、小杉十五郎は江戸に戻り、梅安と共に白子屋菊右衛門と戦った。この抗争の後、小杉十五郎は浅井新之助の推挙を受け、木内左衛門と名を変えて松平定信に仕えた。

音羽の半右衛門 (おとわのはんえもん)

小石川から雑司ヶ谷を縄張りとしている香具師の元締で、江戸の裏社会でその名を知らぬ者がいない程の存在。女房のおくらに小石川で吉田屋という料理茶屋をやらせている。おせき婆さんに「一寸法師にかびが生えたような爺さん」と言われるような冴えない容貌の小男だが、度量は大きく、後に藤枝梅安がもっとも信頼する元締となる。

おもん

料亭・井筒の座敷女中。井筒のなじみ客であった藤枝梅安と深い仲となる。気だてがいい上によく気の付く30代の女性。亭主を亡くしており、ひとり息子の芳太郎を実家に預けて働いている。後に芳太郎は藤枝梅安の内弟子となる。

羽沢の嘉兵衛 (はねざわのかへい)

本所・両国一帯の香具師の元締。藤枝梅安に何度も殺しを依頼した。それとは知らず、梅安に彼の妹・おみの(本名・お吉)の殺しの依頼をしたのも彼である。後に小杉十五郎に関する一件で敵味方に分かれた梅安に刺客を送った。しかし果たせず、最後は熱海の湯につかっているところを梅安に暗殺された。

お吉 (おきち)

幼少時に生き別れた藤枝梅安の実の妹。油断のならぬ毒婦として成長し、おみのと名乗って、薬研堀の料理屋「万七」の後妻に収まっていた。元締・羽沢の嘉兵衛の依頼を受けた梅安は実の妹とは知りながら、針で彼女をあの世に送った。

白子屋 菊右衛門 (しらこや きくえもん)

大阪から京都にかけての香具師の元締。町奉行でも一目置く、裏社会の顔役である。京都の祇園町で妾に茶屋を営業させている。藤枝梅安は白子屋菊右衛門の依頼で何度も仕掛けを手がけており、お互いに信頼しあっていた。このため、小杉十五郎が江戸にいられなくなった際には、上方の白子屋の元に彼を預けた。 しかし、「小杉十五郎を仕掛人にしない」という約束を白子屋が破ったことから、両者の関係に亀裂が生じ始めてしまう。挙げ句、白子屋は梅安抹殺を決意し、刺客を江戸に送り出す。

札掛の吉兵衛 (ふだかけのきちべえ)

本郷から下谷にかけてを縄張りとする香具師の元締。本郷六丁目の善福寺門前に住む。本間左近殺し、伊豆屋長兵衛殺しなどを藤枝梅安に依頼した。

津山 悦堂 (つやま えつどう)

藤枝梅安の鍼医者としての師匠。父親が病死し、母親に捨てられた十歳の梅安が東海道・藤枝の宿でこきつかわれているのを見かねて引き取り、京都に連れ帰って、弟子として育てた。既に死亡しており、京都に墓がある。梅安は津山悦堂を人生最大の恩人と感謝しており、敬慕の念を抱き続けている。

おせき婆さん (おせきばあさん)

藤枝梅安の品川台町の家の面倒を通いで見ているお手伝いの婆さん。口の悪いところはあるが、梅安の世話を親身になってやいてくれる。梅安が上方などへ旅に出ている間も足繁く通って掃除などを行っている。梅安の仕掛人としての裏の顔のことは何も知らない。

塚本 桃庵 (つかもと とうあん)

北本所で医院を構える腕のよい外科医。藤枝梅安を優れた鍼医者として信頼しており、外科医の領分からはずれた治療を頼むことがある。また、梅安も外科治療が必要な患者を塚本桃庵に委ねるなど、お互い医者として信頼しあう間柄である。

おくら

小石川から雑司ヶ谷を縄張りにしている香具師の元締・音羽の半右衛門の女房。小石川の吉田屋という料理茶屋の女将をしている。夫・半右衛門が小柄であるのに対して、おくらは「女相撲」と称されるほどの大きな体格の持ち主。力が強いだけでなく、度胸もあり、半右衛門の子分からも一目置かれている。 半右衛門が外出する際、駕籠まで彼を抱きかかえて運ぶことがある。

萱野の亀右衛門 (かやののかめえもん)

かつて目黒から渋谷へかけての縄張りを持っていた香具師の元締だった老人。今は隠居して、女房とふたりで農作業をしている。隠居した身であるが昔のしがらみから抜けきれず、藤枝梅安の元に「仕掛け」の話を何度も持ち込む。

玉屋 七兵衛 (たまや しちべえ)

品川宿で水茶屋を営む土地の顔役。店の隣に谷山稲荷があることから、土地の者は彼のことを稲荷の親分と呼ぶ。彦次郎が小杉十五郎と懇意であることを知らず、彼を仕掛けることを依頼した。彦次郎は依頼を断ったが、玉屋七兵衛は同時に腕利きの仕掛人・林又右衛門にも依頼していた。 この後、小杉十五郎殺害に失敗した玉屋七兵衛は妓楼の子供を誘拐して金をつくって逃げようとしたが、音羽の半右衛門の依頼を受けた藤枝梅安の仕掛けによって殺害された。

林 又右衛門 (はやし またえもん)

剣客にして仕掛人。仕掛人の世界では、藤枝梅安と並び称される程の力を持つ。「まともに闘ってはとても勝ち目はない」と梅安に言わせるほどの実力者。役者のような美男子である。玉屋七兵衛から小杉十五郎の仕掛けを請け負ったことで、梅安に狙われた。釣り好きで道具にものすごく金をかけている。

芳太郎 (よしたろう)

おもんの息子。父親に死に別れ、母と離れて暮らしていたため、一時期ぐれてしまっていた。面倒を見ていたおもんの父親が殺されたことをきっかけに、藤枝梅安がひきとり、鍼医者の内弟子として面倒を見ることとなる。梅安の薫陶を受け、人間的にも成長していく。

場所

井筒 (いづつ)

浅草の橋場にある藤枝梅安なじみの料亭。梅安と深い関係にあるおもんはこの店の座敷女中であった。亭主に大もうけしようという気がなく、よい素材を使った美味い料理を客に出すことから繁盛していた。

その他キーワード

仕掛人 (しかけにん)

『仕掛人 藤枝梅安』の用語。江戸時代、依頼人からの「殺し」の依頼を仲介者をへて金銭で請け負い、暗殺する稼業の者を仕掛人と呼んだ。その存在は一般には知られておらず、一部の裏稼業の人間たちのみの間で流布した言葉であるとされる。『仕掛人 藤枝梅安』の原作者である小説家の池波正太郎が独自に考案した名称である。

クレジット

原作

池波 正太郎

関連

仕掛人 藤枝梅安 (しかけにん ふじえだばいあん)

池波正太郎の小説『仕掛人・藤枝梅安』のコミカライズ作品。江戸の暗黒街に生きる鍼医者、藤枝梅安の暗殺稼業「仕掛人」としての峻烈な生きざまを描く時代劇。「コミック乱ツインズ」2016年6月号から掲載の作品... 関連ページ:仕掛人 藤枝梅安

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