仮面ティーチャーBLACK

仮面ティーチャーBLACK

藤沢とおるの『仮面ティーチャー』の続編。東京の名門私立高校を舞台に、学園の闇を払い、光を取り戻すために奮闘する新たな仮面ティーチャーの活躍を描く。テイストは前作と同様だが、登場人物はほぼ一新されており、独立した作品として楽しめる。「週刊ヤングジャンプ」2013年21・22合併号から2014年46号にかけて連載された作品。

正式名称
仮面ティーチャーBLACK
ふりがな
かめんてぃーちゃーぶらっく
作者
ジャンル
学園
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あらすじ

第1巻

柊学園の2年A組に在籍する戸越リクは、同じ学校の先輩達からのカツアゲ被害に遭っていた。だが、そんなリクの前に十文字隼人と名乗る仮面の人物が現れ、カツアゲをしていた生徒達を叩きのめす。翌日、学園集会でリクは新任教師として赴任した十文字に再会。十文字は自らを「仮面ティーチャー」と名乗り、学園のルールを守らない生徒や教師を指導するのだと、その目的をリクに語るのだった。同じ頃、リクの在籍する2年A組には、新しい担任として荒木剛太という教師が赴任する。クラスの副担任である藤田陽菜は、かつてA組の担任が精神的に追いつめられて退職した経緯を剛太に説明するが、剛太はそれをまったく意に介さない。剛太を追い出すように画策するクラスの生徒達を前に、仮面ティーチャーである十文字と剛太の指導が始まった。

第2巻

柊学園特A生徒である桐島力也は、仮面ティーチャーである十文字隼人荒木剛太を学園から追い出すために、彼らの首に懸賞金をかけて川崎Q人會というヤンキー集団に剛太を襲わせる。生徒の戸越リク北村リオを人質にとられ、窮地に陥る剛太だったが、そこへ現れた十文字は川崎Q人會のヤンキー達を叩きのめし、剛太を助け出すのだった。川崎Q人會の総長、QUEは、十文字達から懸賞金を用意した桐島に標的を変更し、金を引き出すために柊学園を襲撃する。追いつめられ、同じ特A生徒の神木冬至桜庭栞に相談した桐島は、十文字に助けてもらったらどうかと提案される。

第3巻

荒木剛太十文字隼人の活躍で、川崎Q人會は壊滅。総長のQUEは、剛太の仲間である草薙みゆきによって闇に葬られた。仮面ティーチャーの活躍を知った柊学園の2年A組では、桐島力也桜庭栞特Aの生徒達も、少しずつ剛太と藤田陽菜に心を開き始める。しかし、それを快く思わない水森亜里紗は、剛太達を陥れようと策略を巡らせる。手始めに亜里紗は戸越リクの父親を痴漢冤罪で逮捕させ、さらに偽の仮面ティーチャーを仕立てあげて暴行事件を起こす。この事件により、剛太は容疑者として逮捕されてしまう。

第4巻

戸越リクの父親を痴漢冤罪で陥れた水森亜里紗は、次に北村リオ藤田陽菜を罠にかける。そんなリク達を見かねた転入生の真壁恭二は亜里紗達に対抗しようとするが、偽の仮面ティーチャーに襲撃されてしまう。そこへ本物の仮面ティーチャーである十文字隼人が現れて偽者を叩きのめす。偽者の正体は柊学園の教師である剛力で、亜里紗に弱みを握られて悪事を働いていたのだった。容疑の晴れた荒木剛太は留置場から出て、草薙みゆきや十文字らと共に亜里紗に対して反撃に出る。一方、亜里紗もまたそんな剛太達の動きを察知して、偽仮面ティーチャーである剛力に指示を出していた。

第5巻

仮面ティーチャーによって柊学園から転校する羽目になった水森亜里紗は、生徒会長の久能竜也に自身の復讐を依頼する。竜也は、風紀委員の奥沢から情報を得て、柊学園の転入生である真壁恭二が、十文字隼人を名乗って仮面ティーチャーとして活動していた事実を突き止める。さらに警察にその情報を流して、恭二を逮捕させる事に成功する。しかし、そんな竜也の前に新たな仮面ティーチャーが出現。その後も、驚く竜也達を尻目に、柊学園には全国から続々と仮面ティーチャーが集結する。そして、柊学園の生徒や教師の中にも、仮面ティーチャーの指導によって学園を変えようという意識を持つ者が増えていく。こうして柊学園を舞台に、竜也に対する仮面ティーチャーの「補習」が始まるのだった。

登場人物・キャラクター

荒木 剛太 (あらき ごうた)

柊学園に赴任して来た新任教師の男性。グラビアアイドルをこよなく愛し、中でも特に好きなジャンルは巨乳。4階から落下したり、自動車にはねられてもかすり傷程度で済むほどの、超人的な身体能力を誇る。教師になる以前は自衛隊の空挺部隊に所属し、傭兵として世界各地の戦場を生き抜いてきた異色の経歴の持ち主。その正体は、柊学園の抱える問題を解決するために、教育査問委員会から送り込まれた特命教師である。

藤田 陽菜 (ふじた はるな)

柊学園の2年A組の副担任を務める女性。特A生徒達に弱みを握られており、授業やテストなどでも生徒達の言いなりになっていたが、荒木剛太や仮面ティーチャーの十文字隼人の活躍でそれを克服する。その後は学園の抱える問題と向き合うようになり、剛太達のよき協力者となる。

戸越 リク (とごし りく)

柊学園2年A組に在籍する男子高校生。正義感の強い性格で、柊学園が一部の特権階級によって私物化されている現実を打破しようと考えるが、それが逆に特A生徒達に目をつけられる要因となっている。仮面ティーチャーに救出され、友人の真壁恭二や北村リオと共に学園の闇に立ち向かう決意を固める。

北村 リオ (きたむら りお)

柊学園2年A組に在籍する女子高校生。戸越リクとは家が近所の幼なじみ。クラスでは学級委員を務めるなど、面倒見のいい性格ながら思い込みが激しい一面もある。自分が好きになったものに対しては強い執着を見せる。自分を助けてくれた荒木剛太に対して恋心を抱く。

真壁 恭二 (まかべ きょうじ)

柊学園2年A組に転入して来た男子高校生。転入して来たばかりで、柊学園の抱える事情については知らない部分が多い。しかし、仲間意識が強く、戸越リクや北村リオとはすぐに親しくなった。実は教育査問委員会から柊学園に送り込まれた人物で、仮面ティーチャーの十文字隼人の正体である。

桐島 力也 (きりしま りきや)

柊学園2年A組に在籍する男子高校生。特A生徒の一人で、会社経営者の息子。荒木剛太と仮面ティーチャーの十文字隼人を柊学園から追い出すために懸賞金をかけ、川崎Q人會をはじめとするヤンキー集団を利用する。川崎Q人會を返り討ちにした剛太達を認め、和解したあとは剛太と打ち解けるようになる。

神木 冬至 (かみき とうじ)

柊学園2年A組に在籍する男子高校生。特A生徒の一人で、大手スポーツメーカーの社長の息子。始業式の最中でもローラーブレードで走り回ったり、ペイント弾を仕込んだラジコン戦車を使って担任イジメをしようと考案するなど、奔放にして大胆な性格をしている。桐島力也と共に、荒木剛太と十文字隼人を柊学園から追い出そうと狙って行動していたが、少しずつその認識を変えていく。

桜庭 栞 (さくらば しおり)

柊学園2年A組に在籍する女子高校生。特A生徒の一人。何事に対しても冷めた目線で見ているが、同じ特A生徒である桐島力也や神木冬至に対しては仲間意識も強く、川崎Q人會に桐島が狙われた際には、仮面ティーチャーに助けを求めるように助言した。

草薙 みゆき (くさなぎ みゆき)

柊学園の養護教諭を務める女性。その正体は教育査問委員会の特命教師であり、荒木剛太達よりも先に柊学園に赴任していた。実家は日本最大の暴力団であり、その立場を利用して剛太達のバックアップを行う。また、草薙みゆき自身も養護教諭という立場を超えて、生徒達の悩みに対応する事もある。

水森 亜里紗 (みずもり ありさ)

柊学園の生徒会に所属する女子高校生。特A生徒の中でもトップクラスの地位と家柄の持ち主。父親が元警察キャリアの国会議員のため、警察組織を自由にあやつる事ができる。荒木剛太と十文字隼人を柊学園から追い出すため、さまざまな策を考案する。

久能 竜也 (くのう りゅうや)

柊学園の生徒会長を務める男子高校生。特A生徒の中でも天才的な頭脳を持っているものの、「休学中」と称して、普段は学校にほとんど姿を見せない。実家はいくつもの関連企業を抱える経済ヤクザ。「戦うからにはどんな事をしても勝て」という父親の信条に従い、数々の武闘派集団をあやつる。水森亜里紗に依頼され、荒木剛太と仮面ティーチャーの十文字隼人を社会的に抹殺するために柊学園に現れる。

蓮見 (はすみ)

柊学園の生徒会に所属する男子高校生。特A生徒の一人。つねに感情を表に出さない冷静沈着な人物。両親が弁護士という家で育ち、法律に詳しい。水森亜里紗に協力し、荒木剛太と仮面ティーチャーの十文字隼人を追い出そうと、北村リオを罠にかける。

麗良 (れいら)

柊学園の生徒会に所属する女子高校生。特A生徒の一人。俳優の娘で、自身もモデルとして芸能活動をしている。水森亜理紗に協力し、荒木剛太を学園から追い出す作戦に参加する。女優の卵として高い演技力を持ち、戸越リクの父親を冤罪で痴漢に仕立てあげた。

奥沢 (おくさわ)

柊学園で風紀委員を務める男子高校生。だが風紀委員とは名ばかりで、普段から後輩からカツアゲをしたり不当な暴力を振るったりと、横暴な振る舞いをしている。真壁恭二と対峙した際に彼の身体能力を見て、仮面ティーチャーの十文字隼人の正体ではないかと考え始める。

QUE (きゅー)

川崎Q人會の総長を務める男性。桐島力也の呼びかけに応じ、懸賞金のかかった仮面ティーチャーを倒すために、チームを率いて柊学園に現れる。目的のためには手段を選ばない冷酷で残忍な性格で、仮面ティーチャーである十文字隼人に勝てないと見るや、今度はターゲットを桐島に変更する。

西村 薫 (にしむら かおる)

柊学園の学年主任を務める男性教師。荒木剛太や藤田陽菜の直接の上司であり、つねにトラブルの中心にいる剛太に対して厳しく対応する。その反面、柊学園の支援者達である特A生徒とその父兄に対しては低姿勢で接するなど、自分の保身を第一に考えている。

村雨 (むらさめ)

警視庁の男性刑事。柊学園をめぐる仮面ティーチャーの存在に目をつけ、数々の暴力事件にかかわっていると見なした荒木剛太を執拗に追跡する。剛太が仮面ティーチャーの十文字隼人の正体ではないかと推測しており、傷害容疑で逮捕した際には、仮面ティーチャーの秘密を聞き出そうとした。

剛力 (ごうりき)

柊学園の男性教師で、担当は体育。レスリング部の顧問を務めており、自身もレスリングの学生チャンピオンだった経歴を持つ。水森亜里紗に弱みを握られており、亜里紗によって偽の仮面ティーチャーとして活動するように命令される。本物の仮面ティーチャーである十文字隼人の評判を落とすために暗躍する。

十文字 隼人 (じゅうもんじ はやと)

柊学園に荒木剛太と共に赴任して来た教師。つねに仮面をかぶっているため「仮面ティーチャー」と呼ばれている。超人的な身体能力で、多数のヤンキーに囲まれても瞬時に撃破できるほど戦闘能力も高い。また、超一流のバイクの運転技術を持ち、校舎内をはじめとするどんな場所でもバイクに乗って現れる。その正体は、柊学園の転入生である真壁恭二。

集団・組織

川崎Q人會 (かわさききゅーじんかい)

QUEが総長として率いるヤンキー集団。神奈川県川崎市を拠点とする。桐島力也によって懸賞金のかけられた荒木剛太と十文字隼人を倒すため、川崎市から東京の柊学園まで遠征して来た。総長のQUEをはじめ、メンバー全員が目的のためには手段を選ばない、何でもありの狂気の集団。

教育査問委員会 (きょういくさもんいいんかい)

仮面ティーチャーを派遣する組織。略称として「教査」とも呼ばれる。日本政府内に設立された独自の機関であり、強力な権限と豊富な人脈を有する。日本各地にある問題を抱えた学校を調査し、その学校を正しい方向へと矯正する事を目的として活動を行っているが、その実態は一般には極秘とされている。

場所

柊学園 (ひいらぎがくえん)

東京都の池袋にある私立の名門校。芸能人や政治家の子供達が通うセレブ校として、一般の知名度も高い。しかし、現在は金持ちの生徒が優遇されて治安の悪化が進んでおり、教師はそれを見て見ぬふりをしている状態にある。そのため問題のある学校として教育査問委員会に指定され、仮面ティーチャーが派遣された。

その他キーワード

仮面ティーチャー (かめんてぃーちゃー)

仮面をかぶった正体不明の教師。教育査問委員会から派遣され、その支援者である特命教師も含めて「仮面ティーチャー」と呼ばれる事もある。問題のある学校に派遣され、その学校の実態調査と自浄作用を促す事を使命とする。指導の対象は生徒のみならず教師も含まれており、特に問題のある生徒や教師に対しては、「補習」と称したさまざまな措置が取られる。

特A (とくえー)

私立校の柊学園に大口の献金をする親を持つ生徒。献金者の多くは政治家や大企業の社長など、社会的な地位が高い人物が多く、柊学園の学校経営に対して口出しするケースも少なくない。また、生徒の教育に対してもクレームをつける事が多いため、教師達は特A生徒の対応に細心の注意を払っている。

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