九月病

九月病

実の妹と同居し肉体関係を持つ銀行員の青年・伊坂広志と妹の伊坂真鶴、そして広志の同僚・海老沢碧の三人を中心に、それぞれ心に歪みを持った男女の愛と性を描いた青年向漫画。作者が2002年秋から2005年初冬にかけて同人誌で発表した作品を単行本化した。

正式名称
九月病
ふりがな
くがつびょう
作者
ジャンル
ラブコメ
 
悲恋
 
不倫
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概要・あらすじ

親に「いけない子」と言われて育った伊坂真鶴は、家庭内で唯一の心の安らぎであった兄・伊坂広志を愛し、やがて肉体関係を持った。母親の死後、広志の就職に伴い故郷を離れた伊坂兄妹は、同居しながら関係を続ける。その一方、広志の同僚・海老沢碧は、広志の心の傷に触れ、救いたいと思ううちに深い関係となってしまう。

登場人物・キャラクター

伊坂 真鶴 (いさか まつる)

兄の伊坂広志と同居し、肉体関係を持つ女性。幼い頃、買い物にはお金が必要と理解しておらず悪気無く万引きをする、正直のあまり父親の不倫を暴いてしまうといった行動から、親に「いけない子」として扱われながら育った。不登校気味で、唯一の心の拠り所であった広志を愛し、16歳のとき肉体関係を持つ。母親の死と広志の就職に伴い、故郷の小樽を離れて本州のアパートで同居生活を送る。 アルバイトをしているが長続きせず、職場を転々としていた。また、広志にも隠して冴木と援助交際をしており、冴木には「マキ」と名乗っていた。同じアパートの住人からは夫婦と思われていたが、隣人の田中沙織が訪れた病院の看護士だったことから、兄妹での肉体関係が発覚する。

伊坂 広志 (いさか ひろし)

銀行に勤める29歳の青年。妹の伊坂真鶴と同居し、肉体関係を持っている。幼い頃から良い子として扱われ、学生時代から現在に至るまで真面目な人物と評価されがちであったが、内面には鬱屈したものを抱えていた。特に大きなトラウマは、婚約者の田代早千に結婚式一週間前に駆け落ちされた経験にあり、女性不信に陥っている。同僚の海老沢碧には好意を抱いており、強引に肉体関係を持ってからは彼女に執着するようになった。 端正な容姿で異性から好意を持たれやすいが、若く見られることを気にして視力が高いにも関わらず高校時代から眼鏡を着用している。方向音痴。

海老沢 碧

伊坂広志と同じ銀行に勤める女性銀行員。29歳。「男らしい」とまで言われる勝ち気な性格で、広志に恋する後輩の幹本を応援したが、幹本の告白を断わった広志に詰問するうち、彼の心の傷に触れ、強引に肉体関係を結ばれてしまう。その後も広志の頑なな心を癒そうとするうちに関係を深めていく。金銭、特に札束を手にする感覚が好きで、支店長を目指している。 25歳の時、半年つきあった相手に「美人だけどかわいくない」と言われてから恋人はいなかったが、職場の男性たちからはかなり人気があった。

原口 ハヤト (はらぐち はやと)

伊坂広志の高校・大学時代の友人。酒屋の息子で現在は一児の父。大学で女子短大との合同サークルに入り、そこで会った儀同由利子にひと目ぼれした。由利子を酔って口説き、関係を持つ直前に友人のトラブルに巻き込まれたが、友人を見捨てなかったことで気に入られ、結婚に至る。結婚直前に一度浮気をしてしまい、それを目撃した清水早千に脅され、広志の連絡先を教えてしまう。

原口 由利子 (はらぐち ゆりこ)

原口ハヤトの妻で旧名は儀同由利子。元は外資系企業の秘書課に勤めており、ハヤトとはOGとして参加した大学の合同サークルで知り合った。自分を抱くことよりも友人を助けることを優先したハヤトを気に入って交際し、結婚に至った。しかし元々伊坂広志が目当てで、そのため友人のハヤトに近づいたという動機もあった事を後に明かしている。

幹本 (みきもと)

伊坂広志、海老沢碧と同じ銀行に勤める、後輩の女性銀行員。広志に憧れており、告白しようとしたが遮られ、振られた。

清水 早千 (しみず さち)

伊坂広志の婚約者だったが、結婚式の一週間前に高校時代の師・清水耕輔と駆け落ち、結婚した。旧姓は田代。実家は自転車店で、簡単な修理ならこなす。高校時代は快活な少女で学級委員長をしていたが、ひそかにリストカットをくり返す一面もあった。在学中から耕輔に好意を示しており、妻が実家に帰った隙を突いて肉体関係を持った。 広志との交際は耕輔の代理だったが、結婚した後も原口ハヤトを脅して連絡先を聞き出す程度には広志への執着を見せた。

清水 耕輔

清水早千の夫にして、高校時代の英語担当教師。教師時代は女生徒たちに軽蔑される冴えない中年男性だったが、早千には好意を持たれていた。当時の妻が子を連れて実家に帰った際、早千に迫られ肉体関係を結ぶ。後に、伊坂広志と結婚寸前だった早千と駆け落ちし、結婚した。現在は翻訳業を営むが、裕福ではない様子。広志と早千が会っているところに現れ、ローンの説明を装った広志の話を聞くが、別れ際に二人の関係に感づいていた素振りを見せる。

冴木 (さえき)

伊坂真鶴の援助交際相手。女子校の教師を務める、小太りな男。「実の兄を誘惑した生徒・マキに先生が罰を与える」という設定のプレイで関係を続けていたが、性行為だけが目的ではなく、出会ったとき真鶴が適当に語った夢に投資したいと思っていた。一度、真鶴と会っているところで伊坂広志と顔を合わせてしまい詰め寄られるが、冴木の純粋な一面を見た広志と打ち解け、穏やかに別れた。

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