あんどーなつ 江戸和菓子職人物語

あんどーなつ 江戸和菓子職人物語

安藤奈津が浅草の老舗和菓子店で、師匠や周囲の人々に見守られながら一人前の職人に成長する物語。季節の和菓子やその由来、茶の湯などの日本文化なども交えて紹介する。原作者西ゆうじ死去のため、全20巻で未完。

正式名称
あんどーなつ 江戸和菓子職人物語
ふりがな
あんどーなつ えどわがししょくにんものがたり
作画
原作
ジャンル
料理人
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概要・あらすじ

専門学校を卒業した安藤奈津はパティシエを目指し、大手菓子店の面接を受けるが失敗。その帰り、ふとしたきっかけで和菓子職人安田梅吉たちと出会い、老舗和菓子店「満月堂」で働くことになる。やがて和菓子職人の道を志す奈津は、そのひたむきさで地元浅草の人々に愛されながら修行してゆく。茶道の一ツ橋流御用達を巡っての大手菓子店・獅子屋との菓子勝負や、奈津の出生に隠された秘密など、和菓子とそれに関わる人々を描いた人情ドラマ。

登場人物・キャラクター

安藤 奈津 (あん どうなつ)

髪を二つにしばった髪型。専門学校を優秀な成績で卒業し、菓子職人を目指していたが、有名菓子店へは就職できず、職が決まるまで満月堂で住み込みのアルバイトをすることになった。和菓子にかける熱心さが、梅吉はじめ周囲の人々を魅了する。一ツ橋流の茶会に収める菓子で不始末をしてしまい、責任を取る意味で福井へ帰るが、女将に連れ戻されて再び満月堂へ。 母は奈津を出産後に亡くなり、父の実家のある福井で祖父母に育てられる。その父も海外勤務中に事故死、天涯孤独に。母親は実の両親から茶碗を持たされており。奈津が成人した後に託された。

安田 梅吉 (やすだう めきち)

満月堂の職人で50年以上のキャリアを持つ。喫煙家でキセルを愛用。奈津の和菓子の師匠として時には厳しく、特には親のように接する。父を南方で、空襲で母と弟を亡くし戦災孤児となったところを満月堂の先々代に引き取られる。

丸岡 竹蔵 (まるおか たけぞう)

丸顔で丸眼鏡。満月堂の職人で奈津にとっては兄弟子。外見は坊主頭に丸眼鏡。ダジャレや冗談が好き。実家は前橋の和菓子店「丸岡屋」だったが、東京で修業している間に妹が婿養子を取って和菓子屋を廃業しコンビニにしてしまった。コロッケが好き。趣味は野球で、地元の浅草カンノンズ所属。 キャッチャーで5番。源月堂の一人娘、藤井美鈴とお見合いの後、婚約。婿養子となる前提で源月堂に入るが、一部職人と衝突し、再び満月堂へと戻る。奈津が失踪した際は、戻るまで祝言を延期したが、後に正式に結婚する。将来生まれる息子は、源月堂の跡取りにすることが条件。

月岡 光子 (つきおか みつこ)

主人を亡き後、店を仕切る満月堂の女将。和服の似合う美人。髪はロングだが、店に出る時は結い上げる。主人が亡くなってからは、塞ぎこんで泣いてばかりだったが、奈津が住み込みでやって来てからは笑顔も見せるようになった。結婚前は書道の先生をしており、指導の時はいつもの優しくて物静かな性格から人が変わったように厳しい。 実家は深川の菓子屋、鈴々軒。

大住 喜八郎 (おおすみ きはちろう)

満月堂の常連。饅頭を買いに来る。実は大住物産の会長で、奈津に様々な援助をする。旧姓は佐嶋。かつてはあやめと交際していたが、一ツ橋流という格式のために無理やり別れさせられた。その時あやめのお腹にいたのが、奈津の母親。つまり喜八郎は奈津の祖父にあたる。自分の孫と分かってからは、あやめと二人で奈津を暖かく見守っている。 兄の健三郎は太平洋戦争時に、鹿児島の知覧から特攻隊として出撃。戦死している。

山口 好江 (やまぐち よしえ)

呉服・太物商「越前屋」の大奥。夫は満月堂の饅頭が好物だったが、入院の後死去。その後も満月堂に通い、相談事等に乗ってくれる。

安藤 達彦 (あんどう たつひこ)

奈津の父。大住物産の社員であったことから転勤が多く、奈津を故郷福井の母の元に預けていた。大住物産会長、大住喜八郎の命でボストンへ海外赴任。奈津の専門学校の卒業式に出席すべく、空港へ向かっていたところ乗っていたタクシーが飲酒運転の車と衝突、客死した。子供の頃に、奈津の笑顔と美味しいケーキさえあれば頑張れると言ったことから、奈津はケーキ職人を目指すようになった。

一ツ橋 あやめ (ひとつばし あやめ)

全国に多くの門下を持つ、一ツ橋流茶道の家元。大柄な女性。茶道の心得はないが、細やかな気遣いができる奈津を見初めて弟子に取る。後に奈津が持ち込んだ井戸茶碗から、自分の娘の子、孫であることが判明する。大住喜八郎とはかつて交際しており、別れる前には妊娠していた。その時の子が奈津の母親。 自らが祖母であることを隠し奈津の成長を暖かく、時に厳しく見守る。

安藤 小夜子 (あんどう さよこ)

奈津の母で旧姓は湯川。一ツ橋あやめと大住(佐嶋)喜八郎の間に生まれた子。茶道家元である一ツ橋流の娘が、親無し子を産むという醜聞を避けるため、出生後すぐに一ツ橋流の湯川花江の元へ里子に出される。その後大学時代に達彦と出会い、卒業後に結婚。しかし生来体が弱く、奈津を出産後に死亡する。 茶道に興味を持ち、高校大学と茶道部に所属。実の親から託されたという高麗の井戸茶碗は、重要文化財クラスの逸品で3億は下らない値がつくと言われている。小夜子はこれを奈津が成人し、就職したら渡すよう託けていた。

安藤 たみ (あんどう たみ)

奈津の父方の祖母で、実質的に奈津の母親代わりとなって育てた。福井に住むが病院に入院しており、奈津には「一人前の職人になるまで帰ってくるな」という手紙を送っていた。そのため、容体が悪くなった際にも奈津は福井に向かうのを躊躇い、梅吉に「これだけは一人前」と認められたぼたもちを持って駆け付ける。 たみは、このぼたもちを食べてから安らかに息を引き取った。

佐嶋 ゆりえ (さじま ゆりえ)

有名な洋菓子店「ドアノー」の娘。専門学校時代に奈津と知り合う。若きカリスマパティシエとして、マスコミでも有名になるが、後にパリに修業に出る。大叔父は大住喜八郎。

外崎 冬実 (とざき ふゆみ)

実家は獅子屋。父は現社長。茶道の家元・一ツ橋流御用達の座を狙っており、家元に弟子入りしていたところに、奈津が後から弟子入りしてきた。御用達の金看板を奪うべく、満月堂の職人である奈津に数々の嫌がらせをする。性格はわがままで陰湿。一応外面を取りつくろうことはあるが、それ以外には尊大な態度を取る。 後に満月堂に弟子入りしたボビー・カープに一目ぼれする。

秋山 伊兵衛 (あきやま いへい)

獅子屋の和菓子職人]。満月堂を潰すための刺客として「江戸和菓子老舗展」はじめ数々の菓子展などで勝負を挑むが、奈津の職人としての可能性を認てもいる。現在の獅子屋が洋菓子に注力しており、そのことに不満を持っているが、店への忠誠心は固い。若い頃、満月堂に教えを乞いに来たことがある。

田沼 信太郎 (たむら しんたろう)

浅草の老舗牛鍋屋、田之久(たのきゅう)の五代目。みんなからは 何度も見合いをして振られてばかりいたが、街角で見た奈津に一目ぼれする。竹蔵とは昔からの飲み友達で、度々誘いにくる。惚れた奈津に会おうとするが、何故かいつも行き違い、いつも陰から見守る羽目になっている。

松宮 伝四郎 (まつみや でんしろう)

提灯屋の主人。浅草の町内会長も務める。宝くじで100万円当たったことから、町おこしの一環で町内餅つきを企画する。若い頃は素人噺家として鳴らしており、現在でも落語通。

藤井 美鈴 (ふじい みすず)

鎌倉の老舗和菓子店、源月堂の一人娘。竹蔵と見合いをし、源月堂に婿養子として入ってもらう予定だった。かつて職人の今岡と同様の話が持ち上がったが、美鈴が拒否したため遺恨となり、職場に入った竹蔵は今岡から日常的な嫌がらせを受ける。その後竹蔵は満月堂へ戻り、後を追う形で美鈴も満月堂を手伝うことになった。 その後交際を経て竹蔵と結婚。趣味はサーフィンとスノーボードを経て、現在は写真。

場所

満月堂 (まんげつどう)

『あんどーなつ』に登場する、浅草にある250年続く小さな老舗和菓子店。満月堂饅頭が名代。商標はウサギで満月に掛けただけでなく、ウサギは後退りしないで前に飛ぶことから縁起がいいとされるため。

獅子屋 (ししや)

『あんどーなつ』に登場する、銀座の名店。和菓子だけでなく洋菓子も手掛ける。創業65年と老舗とは言い難いがCMなど広告露出も多く、全国に店舗を展開している有名店。初代や現在職人として働いている秋山伊兵衛が満月堂で修業しており、浅からぬ縁。

源月堂 (げんげつどう)

『あんどーなつ』に登場する、鎌倉の老舗和菓子店。現店主で美鈴の父、藤井一光は先々代の元、満月堂で修業したこともある。光子のおじであり、梅吉の兄弟子に当たる。

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