何度、時をくりかえしても本能寺が燃えるんじゃが!?

何度、時をくりかえしても本能寺が燃えるんじゃが!?

藤本ケンシの代表作。原作は2011年に歴史漫画『オキザリスの旗 長宗我部元親伝』を手掛けた井出圭亮。織田信長が「死に戻り(タイムリープ)」を駆使して本能寺の変を繰り返し、天下人を目指すというコンセプトの時代劇で、公式では「信長リスポーン大河」と呼称されている。歴史改変に真摯に取り組む信長が、想定外の死を迎えることで生じるシリアスな笑いが特徴。また、直球のギャグや有名作品のパロディー、お色気要素も多分に含まれている。なお作画の藤本ケンシは、コンペで選ばれて本作を描くことになったという経緯がある。講談社「ヤングマガジン」2020年第50号から連載。

正式名称
何度、時をくりかえしても本能寺が燃えるんじゃが!?
ふりがな
なんど ときをくりかえしてもほんのうじがもえるんじゃが
原作者
井出 圭亮
漫画
ジャンル
ギャグ・コメディ
 
戦国
レーベル
ヤンマガKCスペシャル(講談社)
巻数
既刊13巻
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シリアスなテーマを扱いながら、まるでギャグのような展開

本作は歴史上、天正10年に本能寺の変で滅んだとされる織田信長が、「死に戻り(タイムリープ)」を繰り返しながら、いかにしてこの事件を起こさず生き延びるかを描いた歴史ifストーリー。だが、シリアスな絵柄に反してスピーディでハイテンションな展開により、さながらギャグマンガの様相を呈している。信長も、人を人とも思わない破天荒な人物として描かれており、場合によっては歴史をやり直すために自ら破滅するように仕向けるなど、メタフィクション的な要素も多い。

歴史の改変と「死に戻り(タイムリープ)」

織田信長が歴史の改変に失敗すると、基本的にいきなり本能寺のシーンに飛ばされ、そこで討たれることになる。謀反を起こすのは明智光秀に限らず、光秀を討てば別の誰かの手によって、必ず本能寺の変は起こってしまう。ちなみに信長の行動は、謎の空間にいる熊のぬいぐるみのようなクマに、つねにモニタリングされており、信長が死亡すると、一度クマのいる空間へと誘われるようになっている。基本的にクマは秘密主義だが、あまりにも歴史改変に失敗し「死に戻り(タイムリープ)」する信長を見かね、時にヒントをくれることもある。それによれば、死亡後は基本的にそれまでに信長が辿(たど)った好きな時間に戻してもらうことが可能で、歴史の改変を成功させ信長が生き残るためには「誰一人殺さないこと」が重要だという。ただし、人を殺してもそれが他人に認知されなければ大丈夫だったり、信長以外の誰かが代わりに殺した場合は対象とならなかったりと、解釈には幅がある。なお、信長が本能寺で死亡した場合は問題ないが、本能寺の外での死亡を3回迎えると、信長は完全に滅びてしまうというルールもある。

織田信長が辿る新たな歴史とは

織田信長が何度もの失敗を繰り返した末に迎えた新たな天正10年、それは本能寺の変ではなく、明智光秀率いる西国連合に本能寺が攻められるという、「本能寺の戦」となっていた。かつての侍女であり、優秀な武者として成長した唯一の忠臣、お遥の助けを得て、攻め込まれた本能寺から脱出した織田信長は、歴史改変が成功の道に乗りつつあることを確信。この流れを加速させるべく、改めて過去に戻った信長は、明智光秀の自分に対する敵対心を可能な限り解消させつつ、新たな歴史で起こるであろう事態への対応を徳川家康と織田信忠に託し、自らは西国連合に対する力を得るため、妻の帰蝶と侍女のお遥を伴い奥州平定へと向かう。こうして信長の歴史改変は着々と進んでいくが、奥州の地でもこれまでと同様、信長は歴史のさまざまな難題に直面することとなる。

登場人物・キャラクター

織田 信長 (おだ のぶなが)

天下布武を掲げて覇道を邁進する戦国武将。髻(まげ)を結い、口ヒゲと顎ヒゲを生やしている。高い順応性と先見の明を持ち合わせた傑物だが、冷酷なうえに短気な性格で、すぐに人を殺そうとする悪癖がある。また、家臣を道具扱いしており、日頃から無理難題を強いたり、罵詈雑言を浴びせたりしている。自らを天下人の器と信じて疑わない自惚れ屋でもあり、増長の果てに明智光秀に裏切られ、天正十年(西暦1582年)に本能寺で死亡する。しかし、異空間で不思議なクマに導かれ、天正三年に岐阜城で行っていた軍議の場面まで「死に戻り(タイムリープ)」できるようになった。その後、数回の失敗を経て、クマから本能寺の変が織田信長の自業自得であること、運命から抜け出すには「不殺の掟」を守る必要があることが示された。これは常人であれば容易に達成できる掟だが、自己申告で少なくとも36004人を殺害している信長には難しい掟であり、以降は邪魔者を殺したいのに殺せないという葛藤に苛まれるようになった。「死に戻り」を繰り返すうちに、正史とは異なる道筋をたどった「明智光秀が西日本を支配する天正十年」(覇王光秀の編)を経験することになる。実在の人物、織田信長がモデル。

濃姫 (のうひめ)

織田信長の正室。またの名を「帰蝶」。美濃国を拠点とする武将・斎藤道三の娘で、幼い頃に信長と政略結婚した。豊かな長髪と大きな胸の持ち主で、家臣の目の前で胸部を晒され、乳房を揉みしだかれても黙って受け入れるほどに度量が大きい。世話焼きな性格ながら、介抱と称して信長を包帯で縛り上げて窒息寸前まで追い込んだり、曲者の気配を感じたとして城中の天井を槍で突こうとしたりと、やり過ぎてしまう一面がある。空回りしながらも信長に健気に尽くす一方で、本能寺の変までに死亡することから、「死に戻り(タイムリープ)」を始めた信長からは用済みの女と見なされ、冷遇されている。なお、信長の「死に戻り」の起点となる天正三年の軍議において、濃姫は信長に膝枕をしていた。そのため、軍議まで「死に戻り」した信長が最初に目にするのは、皮肉にも用済みと断じた濃姫である。実在の人物、濃姫がモデル。

クレジット

原作

井出 圭亮

書誌情報

何度、時をくりかえしても本能寺が燃えるんじゃが!? 13巻 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉

第1巻

(2021-03-05発行、 978-4065225813)

第2巻

(2021-05-06発行、 978-4065232934)

第3巻

(2021-08-05発行、 978-4065243442)

第4巻

(2021-11-05発行、 978-4065258378)

第5巻

(2022-02-04発行、 978-4065268230)

第6巻

(2022-05-06発行、 978-4065277928)

第7巻

(2022-08-05発行、 978-4065287965)

第8巻

(2022-11-04発行、 978-4065297926)

第9巻

(2023-03-06発行、 978-4065310564)

第10巻

(2023-06-06発行、 978-4065320327)

第11巻

(2023-09-06発行、 978-4065330067)

第12巻

(2023-12-06発行、 978-4065339305)

第13巻

(2024-03-06発行、 978-4065349120)

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