元気やでっ

元気やでっ

どこにでもいる普通の女子中学生・佐伯幸子が気に障るという理由で、突然クラスメイトからいじめを受けるようになる。周囲の支えを受け、いじめに対して真っ向からぶつかっていく幸子の姿を描いた問題提起作品。「週刊少年ジャンプ」1995年14号から24号にかけて連載された。

正式名称
元気やでっ
ふりがな
げんきやでっ
漫画
ジャンル
いじめ
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概要・あらすじ

佐伯幸子は中学2年生に進級したにもかかわらず、誰も友達と呼べるクラスメイトがいないので焦っていた。そんな中、伊藤京子から声をかけられ、吉田和美山内記子を交えた4人で行動を共にするようになる。幸子は自分の居場所を見つけて喜びを感じていたが、京子は大らかな性格の幸子を次第に疎ましく思うようになる。

そして京子は和美と記子に相談して、「どこまでやったら幸子が嫌がるのか」といった遊び半分のつもりで、幸子に対していたずらやからかいを開始する。最初は軽いいたずら程度であったものの、次第に生徒手帳や教科書を破ったり、幸子の存在をないものとして扱ったり、ボールをぶつけたりと、その行為は過激な内容にエスカレートしていた。当初は自分に火の粉が降りかからないように、見て見ぬふりをしていたクラスメイト達も、次第に幸子ならばいじめても構わないという思いに捕らわれていく。

こうしてクラスメイト達から拒絶されていく幸子に対し、親友の内田優香や教育実習生の榊公嗣は、いじめをなくすよう周囲に協力を呼びかける。しかし、クラス担任の上沼校長は、このいじめ問題を隠蔽しようと画策していた。

そんな中、榊のアドバイスを受けた幸子は意図的に登校拒否をして、以前から日記に記していたいじめ内容や自身の体験談を新聞社に発表するのだった。

登場人物・キャラクター

佐伯 幸子 (さえき さちこ)

中学2年生の女子。2年A組に在籍している。友達からは「さっちん」と呼ばれている。1年生の頃には親友の内田優香と同じC組に在籍していたが、2年に進級するとクラスに知り合いが誰もおらず、浮いた存在になってしまう。そんな中、声をかけてきた伊藤京子や吉田和美、山内記子と仲よくなり、彼女達のグループに入る。 朝が苦手なので、遅刻ギリギリで通学するが多いため、同じく遅刻癖のある教育実習生の榊公嗣と親しくなった。素直で大らかな性格をしており、何か嫌な事をされても笑って受け流せる。ある日、そんな性格が気に障ると京子が難癖をつけ、「どこまでやったら幸子が嫌がるのか」といった遊び感覚で、いたずらやからかいが始まった。それからは次第にクラス全員がいじめに加わり、過激なものへとエスカレートしていく。

内田 優香 (うちだ ゆか)

中学2年生の女子。佐伯幸子とは親友同士。1年生の頃は幸子と同じC組に在籍していたが、2年進級時にクラスが別々になってしまう。2年A組には元1年C組の女子がいなかったため、幸子に友達ができるかどうか心配していた。幸子が伊藤京子、吉田和美、山田記子の3人からいじめを受けているのにもすぐに気づき、それからは幸子を励まし、元気づけていた。

伊藤 京子 (いとう きょうこ)

中学2年生の女子。2年A組に在籍している。吉田和美と山内記子からは「お京」と呼ばれている。大人っぽい容姿で、クールな雰囲気を漂わせている。思った事ははっきり口にする気の強い性格で、クラスの女子達は誰も伊藤京子には逆らえない。クラスで一人浮いていた佐伯幸子に声をかけ、自分のグループに誘って友達になった。 しかし、ひょんなきっかけから、素直で大らかな性格の幸子の存在が気に障るようになり、「どこまでやったら幸子が嫌がるのか」といった遊び感覚で、和美と記子の二人を誘い、幸子へのいやがらせやからかいを始める。クラス全員が加わったいじめの主犯格になっていく。

吉田 和美 (よしだ かずみ)

中学2年生の女子。2年A組に在籍している。伊藤京子と山内記子とは1年生からの付き合いで、二人からは「吉りん」と呼ばれている。京子が佐伯幸子に声をかけたので、4人で行動を共にする事が多くなる。最初は幸子の大らかな性格を好意的に受け止めていたが、京子からの「どこまでやったら幸子は嫌がるのか」といった誘いに応じてしまう。 当初はいじめに対して抵抗感を感じていたが、次第に積極的にいじめに加担していくようになる。一度、幸子がいじめに切れた時には慌てるなど、ほかの二人に比べて罪悪感を覚えてはいるものの、いじめが楽しくてやめられないでいる。食べる事が大好きで、ややぽっちゃりとした体型をしている。お弁当の時間が、学校に来る一番の楽しみでもある。

山内 記子 (やまうち のりこ)

中学2年生の女子。2年A組に在籍している。伊藤京子と吉田和美とは1年生からの付き合いである。京子が佐伯幸子に声をかけたので、4人で行動を共にする事が多くなる。当初は幸子に対しても友情を感じていたが、京子からの「どこまでやったら幸子は嫌がるのか」といった誘いに応じてしまう。いじめに加担するようになってからは、体育の時間にわざと幸子にボールを当てるなど、いじめを楽しむようになっていく。 細身で顔にそばかすがあるのが特徴。

榊 公嗣 (さかき こうじ)

2年A組に教育実習生としてやって来た男子大学生。素朴な雰囲気を漂わせている。伊藤京子からは、100点満点中32点の容姿と酷評された。遅刻癖があり、朝の弱い佐伯幸子といっしょに走って登校する事も多く、幸子とはすぐに親しくなった。しかし、その姿が京子らクラスメイトの一部から「幸子をひいきしている」と反感を買ってしまう。 幸子をいじめから救うため、周囲に協力を呼びかけた。

上沼 (かみぬま)

2年A組の担任を務めている女性教師。佐伯幸子が、伊藤京子や吉田和美、山内記子の3人にいじめられているのを知っていながら、波風を立てたくないといった理由で、見て見ぬふりをしている。また、幸子に対するいじめを問題にしようとした榊公嗣に対しては、余計な事をすると実習終了のハンコを押さない、と脅迫っぽい言葉を投げかけた。 いじめられていると訴えかける幸子に対しても、一方的に京子や和美、記子の4人で解決するように、と話し合いの場を設けただけで、事なかれ主義を貫いている。

校長 (こうちょう)

佐伯幸子らが通う中学の校長を務めている男性。何の問題のない中学校である事を誇りに思っており、幸子のいじめ問題が表面化した時にも、幸子の勘違いではないかと、一切認めようとしなかった。その後、幸子の両親から直訴されても、自らは行動を起こさなかった。

クレジット

原案

土屋 守

構成

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