ザ・ワールド・イズ・マイン

ザ・ワールド・イズ・マイン

日本中を恐怖に陥れるテロリスト・モンちゃん&トシと、突如現れた謎の怪獣ヒグマドンを中心に、警察や自衛隊や日本政府、果てはは世界までも巻き込んだ物語が描かれる群像劇。現実に即した舞台設定が生み出すリアリティに溢れたストーリーと、過剰なバイオレンス描写が話題となった。

正式名称
ザ・ワールド・イズ・マイン
ふりがな
ざ わーるど いず まいん
作者
ジャンル
裏社会・アングラ
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概要・あらすじ

消火器爆弾を設置しながら、日本を北上するモンちゃんトシ。青森県でトシが逮捕され、モンちゃんが警察署を襲撃したことにより、2人は日本を揺るがすテロリストとしてその名を知られることになる。一方、日本の北では謎の怪獣・ヒグマドンが津軽海峡を渡って本州へ上陸してきた。ヒグマドンを追って超人と呼ばれたハンター飯島猛とそれを追う新聞記者星野隆之も東北へ入る。

モンちゃんトシへの対応に苦慮する警察や日本政府。ヒグマドンを生かすか殺すか世界中から注目され、難しい対応を迫られる自衛隊。テロリストと怪獣に、数多くの人間が振り回されていく。

登場人物・キャラクター

モン

本名も年齢も過去も不明の謎の男。モンという名前は、梶井基次郎の小説『檸檬』にちなんでトシが名づけた。倫理観や社会的通念は薄く、暴力や殺人、強姦を平気で行う。トシを引きつれ、消火器爆弾を設置しながら北海道方面へ向かう途中の青森でトシが逮捕されたことで、青森西警察署を襲撃。 立てこもった後に脱出して山内へ逃亡した。そこでヒグマドンと出会い、全身を引き裂かれる幻覚を見る。以降は人を傷つけると自分も痛みを感じるようになり殺人を忌避。しかし秋田県大館市でヒグマドンと再び会った際、恐怖を乗り越え拳のみで立ち向かう。消息を追う警察からの逃亡劇の末、1人だけ逃亡に成功。 国内外のテロリストのカリスマ的存在となる。

三隅 俊也 (みすみ としや)

もともとは大阪の郵便局員で、月に一度だけ自作の爆弾を背負ってサイクリングすることと、チャットで知り合った人物との会話を楽しみとする青年だった。強大な力に憧れがあり、タンクローリーを爆破して暴走族を全滅させたモンちゃんの姿を見たことから、自作した大量の消火器爆弾を車に積み込み、モンちゃんと行動を共にする。 当初はモンちゃんの行動に恐れながらも振り回されるばかりだったが、ヒグマドンとの出会いによりモンちゃんが力を行使しなくなったこと、母が世間の糾弾を受け自殺したことにより、自ら率先して殺人に手を染めるようになる。モンちゃん・マリアとの逃亡劇の末、逮捕された。

阿倍野 マリア (あべの まりあ)

秋田県大館市の旅館の娘で、悪いことは悪いと誰にでもはっきりと言う、芯の強い女子高生。モンちゃんとトシの犯罪行為が世間に知られていない時点で2人に会っており、自宅の旅館に泊めた。その後、テロリストとして認知されたモンちゃん・トシと再会し、トシに脅され同行することを強いられる。 だがその直後にヒグマドンが大館市に襲来。混乱の中モンちゃん・トシと逃亡することになる。友人の関谷潤子をトシに殺されたことと、モンちゃんに銃を握らされ秋田市内で乱射事件を起こしたことで、精神が崩壊してしまう。

ヒグマドン

『ザ・ワールド・イズ・マイン』に登場する怪獣。津軽海峡を渡って青森県に上陸した、8メートルを超える熊のような巨大生物。青森県の山中ではモンちゃんに恐怖を植えつけた。その後秋田県大館市に上陸し、市街地を破壊。追ってきたハンターの飯島猛に右目を撃ち抜かれたものの、その後も山形県、宮城県と移動した。 自衛隊の懸命の攻撃にも関わらず止まることはなかったが、仙台市の中心地から西へ8km地点で突如自ら動きを停止する。その後はアメリカへ海上輸送されることになるが、輸送中の太平洋でさらに巨大化。成長を止めるために水爆が撃ち込まれた。

星野 隆之 (ほしの たかゆき)

ヒグマドン事件を追う新聞記者。物腰は一見柔らかいが、常に携帯するノートには、見えないのをいいことに取材相手の悪口や卑猥なイラストなどを常に書き綴っている。ヒグマドン退治にやってきたハンター・飯島猛に付いて取材するうちに、飯島の思想に感化されていった。大館市へのヒグマドン襲来で右腕を失うが、残された左腕のみでその後はモンちゃんの出生の秘密を独自に取材する。 バツイチだが取材中に知り合った青森県庁職員の有吉悦子と関係を結び、子供を授かった。

飯島 猛 (いいじま たける)

超人と呼ばれるハンターで、太平洋戦争中はガダルカナル島へ送り込まれ生き残った経験を持つ。ヒグマドン退治のため青森県へやって来た。狩りの間もイヤホンで株価情報を聴いているほど、金を重視。秋田県大館市ではヒグマドンの右目を銃で打ち抜くことに成功するが、同じ場で素手でヒグマドンに立ち向かおうとするモンちゃんを見て、怪物と称した。 ヒグマドンの被害により右腕を失った星野隆之を病院に預けた後は秋田県の山中に入り、そこでモンちゃんとの対決に挑む。

由利 勘平 (ゆりかん ぺい)

『ザ・ワールド・イズ・マイン』の登場人物で、第75代内閣総理大臣。青森西警察署に立てこもったモンちゃんとトシが時間稼ぎに行った「人命の重さと価値とは何か教えよ」「人を殺してはいけない理由を説明せよ」「世に棲む生きとし生けるものすべてが、自由に平和に平等に美しく明るく楽しく暮らせる、幸福と善意と優しさと愛に満ちた世界を実現せよ」という要求に対し、大臣や長官たちが検討を重ねて作った原稿を無視して独断で「人命は時価である」「殺人がいけない理由はない」「要求のような世界は永久にない」と、一国の首相とは思えない発言で応じた。 後に、テレビの特番で「人を殺す人間はバカである」という発言をしたところ、反発したモンちゃんとトシから公然でのストリップを要求される。 モンちゃんとトシに影響される国民を現実に引き戻すためにジャンボ伊丹のコンサートでストリップを実行。その際に行動を快く思わない人物に刺され、表舞台から退いた。

塩見 純一 (しおみ じゅんいち)

青森県警本部の捜査一課長。話す際に大きく高速で手を振る癖がある。青森西警察署に立てこもったモンちゃんとトシを逮捕するため指揮を取るが、部下の山崎重行が人質にされたことと、自分の指揮の結果30人以上の命が失われたことにより、現場を放棄してしまう。捜査一課長を解任された後は薬師寺善治と行動をともにし、モンちゃんとトシを追って秋田県の山中へ。 秋田県警本部長須賀原譲二を説得して現場の指揮を取り、モンちゃん・トシ・マリアを包囲。モンちゃんは取り逃がすがが、トシの逮捕に成功する。

薬師寺 善治 (やくしじ ぜんじ)

警視庁警備局公安3課の課長補佐で、職場放棄した塩見純一に代わって青森西警察署立てこもり事件の指揮を取った。しゃべる際にヨダレを大量に撒き散らす癖がある。娘がいるが顔がそっくりであり、娘の写真を見た塩見は「まごうかたなきドブス」と評したほど。結局、立てこもり事件ではモンちゃんとトシに逃亡を許してしまう。 その汚名を返上するため、塩見とともにモンちゃん・トシを追跡する。

須賀原 譲二 (すがわらじょうじ)

秋田県警本部長兼大館市非常災害対策本部の総指揮。極度の潔癖症で、窓などの細かな汚れも拭き取りながら指揮を取る。たとえ人質が肉親であっても正義を選ぶ覚悟の持ち主。モンちゃんとトシを非常に危険視しており、殺害するよう現場に伝える。このとき、マリアの素性については不明だったが、たとえマリアが人質であってもモンちゃんとトシ殺害のためであれば犠牲になっても致し方ないと考え、マリアがテロリストの一味であるという偽の情報を流した。

山崎 重行 (やまざき しげゆき)

青森県警本部捜査一課の巡査長で、塩見純一の部下。青森県内で確保されたトシを青森西警察署で暴力まで使い取り調べしていたが、モンちゃんにより青森西警察署が制圧されてからは、人質とされると同時にトシにいたぶられる。その後、人質の立場のままモンちゃんに撃たれ死亡。 死体となってからもトシに生きているように見せかけられ、要求の駒とされる。

伊丹 修造 (いたみ しゅうぞう)

日本のキング・オブ・ロックと呼ばれるアーティストで、幼い頃は貧しかったがロックで立身出世を果たし、ビルボード1位を獲得するなど海外でも活躍している。テレビの特番でユリカンと競演し、国民すべてを守ろうとするユリカンの心意気を知り、親交を深める。自身のコンサートをユリカンの公開ストリップの会場として提供した。

浜口 武彦 (はまぐち たけひこ)

ユリカン内閣で官房長官を務める政治家。行動が読めないユリカンの発言に毎回肝を冷やす。ユリカンが刺されて表舞台から姿を消した後は、首相臨時代理としてヒグマドンへの対応に追われた。

竹中 通 (たけなか とおる)

元首相で、民自党内最大派閥である由利派の最高顧問。ユリカンも世間的には竹中子飼いの政治家として認識されていた。アイドルや料亭の女将の尿をすすり、愛液を炙って楽しむ趣味を持つ。その発言力は強大で、電話1本でユリカンを解任に追い込めるほど。

沢木 慎一郎 (さわき しんいちろう)

ユリカンの第一秘書で、広告代理店からの出向者。そのためメディアを使った戦略に長けており、現職総理のユリカンとジャンボ伊丹をはじめとする有名人がメッセージを発信するテレビ特番を発案し、実現にこぎつける。

浜喜多 初江 (はまきた はつえ)

北海道に住む実業家で、青森西警察署襲撃時のモンちゃんに武器を提供した。老婆ながら流氷の上に乗っていたモンちゃんを見て恋に落ち、しばらくモンちゃんと同居人の剣城由美子とともに、3人で共同生活をしている。モンちゃんを人間ではなく鬼神と評した。 旧姓は日下。

剣城 由美子 (けんじょうゆみこ)

浜喜多初江の同居人。かつて初江は亡くなった夫の不倫相手だった。警察には知らぬ存ぜぬを通し続けたが、初江が武器を持っており、モンちゃんに協力したことも知っている。

関谷 潤子 (せきや じゅんこ)

阿倍野マリアの友人。高校の入学式からピンクに染めた髪と鼻ピアスで登校した不良で、週末には売春行為を続けていた。留年後に高校を辞めて東京に出るが、父親不明のまま子供を身ごもり大館市に戻る。マリアに説得されたことで子供を生む決意をし、女手1人で育てていた。 その後、秋田市に移り住んでいたところ、モンちゃん、トシが秋田市に逃亡してきたことで、脅迫され同行させられていたマリアと再会。マリアのことを快く思わないトシにより、マリアを苦しめる目的で殺害される。

ダグウッド・ヘイズ

アメリカ合衆国大統領。世界の王者と呼べる立場で、ヒグマドンを自国に移送するよう日本政府に要請した。過去にテロリストに撃たれた妻が流産して精神に影響をきたしたため、テロリストの存在を特に憎んでいる。

三隅 忠俊 (みすみ ただとし)

トシの父で、トシが青森西警察署に立て篭もる犯人だと報道で知った後は、自殺を何度も図ろうとするが死に切れなかった。全国放送される中でトシへの投降勧告を行うが、その途中でトシへの恨みをぶちまけ逃走する。

三隅 沙也香 (みすみ さやか)

トシの母。トシが青森西警察署に立て篭もる犯人であることを知り、警察の事情聴取を受ける。しかし途中で不正出血し、入院してしまう。その後、病院で飛び降り自殺。

有吉 悦子 (ありよし えつこ)

青森県庁職員で、おじは飯島猛を北海道から呼び寄せた銃砲火薬店の店主。星野隆之の取材に協力し、星野から興奮気味に飯島の話を電話で聞かされるなど、親密な関係になった。星野が右腕を失った後、男女の関係となり、子供をもうける。

曽根崎 レオン (そねざき れおん)

17歳にして伝説の歌人と呼ばれたアーティスト。彼のファンはレオナーと呼ばれ、その数は100万人とも200万人ともいわれる。ユリカンやジャンボ伊丹とともにテレビ特番に出演。日本国民に向けた曲を歌い、その途中でギターを折り本人も怪我をするダイブを見せた。

高部 紀子 (たかべ のりこ)

立て籠もっていた青森西警察署から脱出したモンちゃんとトシに脅迫され、検問突破まで車を運転させられたカップルの女。検問を抜けた後、トシのナイフによって殺害された。スナックを経営する母がいる。

山口 勤 (やまぐち つとむ)

立て籠もっていた青森西警察署から脱出したモンちゃんとトシに脅迫され、検問突破まで車を運転させられたカップルの男。モンちゃんから銃撃を受けポポひょんより先に射殺される。

坂本 淳 (さかもと あつし)

陸上自衛隊東北方面総監部防衛課運用班長。ヒグマドンへの対応を行い、仙台市方面へヒグマドンが向かった際は電話で的確に指示を出した。ヒグマドンを殺すことなく、捕獲することが最善であると考えている。

集団・組織

チュピード

『ザ・ワールド・イズ・マイン』に登場するアイドルグループ。体操服にランドセルというコスチュームで活動する女の子4人組。デビュー曲「生えかけ」で大ブレイクし、国民総ロリ化と呼ばれる社会現象を巻き起こした。ユリカンやジャンボ伊丹が出演したテレビ特番に登場。子供らしい視点からユリカンの質問に答える。

場所

青森西警察署 (あおもりにしけいさつしょ)

『ザ・ワールド・イズ・マイン』に登場する警察署。青森県内で確保されたトシが連れられた場所であり、トシを取り戻すためモンちゃんが浜喜多初江から武器を調達した後、襲撃する。モンちゃんとトシは建物内に立てこもり、時間稼ぎのため、日本政府に向けて無意味な要求を伝えた。

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