助太刀09

助太刀09

仇討死刑を執行する特別司法警察の特殊執行隊「助太刀人」に所属する、九人のメンバー達の活躍や生き様を描くアクション漫画。「月刊少年ガンガン」2014年11月号から2016年8月号にかけて連載されたほか、「ガンガンONLINE」でも配信された。

正式名称
助太刀09
ふりがな
すけだちないん
作者
ジャンル
軍隊・軍人
関連商品
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あらすじ

第1巻

日本では、残忍な殺人などの凶悪犯罪が増え続けていた。これに対し政府が取った政策は、仇討法の再開による仇討死刑の執行だった。犯罪被害者と遺族の無念を晴らすため、仇討死刑を執行するのに選ばれた特殊司法警察の特殊執行隊、通称「助太刀人」が立ち上がる。助太刀人の一人である山岸優二は、ひき逃げされて亡くなった少年・小山昇の遺族と出会う。優二は昇と遺族のために、凶悪ひき逃げ犯の死刑囚・誤田と対峙するのだった。

第2巻

山岸優二の友人であるジャーナリストの柳瀬春香は、マスコミを恨む女性・蛭口冷子に捕まり、ピンチに陥ってしまう。蛭口は春香が週刊誌で書いた記事を理由に、春香に恨みを抱いていた。そこに特殊執行隊・助太刀人桜田和成が現れ、春香は危機を回避する。助太刀人や仇討死刑について新たな疑問を持つ春香だったが、桜田や優二に会った事で元気を取り戻し、真実を求めて新たな決意を胸にするのだった。

第3巻

清寺功太中谷雪と絵画展でのデートの帰り道、落ちてきた鉄筋から雪をかばい、大ケガを負ってしまう。病院に見舞いに来た山岸優二は、功太に対し、雪の抱える残酷な過去を語る。一方、自分が体験した過去の事件と似た殺人事件の仇討死刑を担当する事になった雪は、自身の過去を乗り越えるべく、死刑囚に立ち向かう。

第4巻

連続殺人事件の仇討死刑を担当する事になった萩原吉彦は、快楽殺人者・羽葉倉と対峙していた。マッドドクターである萩原と快楽殺人者の羽葉倉は、理解者同士のように思えたが、萩原は羽葉倉との徹底的な違いを指摘し、ついに二人の究極対決に決着をつける。一方、なくしていたはずの痛覚を取り戻した山岸優二は、家族と過ごした日々と、自分が過去に体験した事件を思い出すのだった。

第5巻

北区で起こった連続殺人事件の犯人は桜田和成だった。桜田の仇討死刑を担当する事になった山岸優二は、彼の真の過去を知る。激闘の末に勝利した優二は、命を懸けて大切な事を教えようとした桜田のために、新たな決意を胸にする。そんな中、世間では仇討死刑反対の動きが強まり、特殊執行隊・助太刀人は凍結状態となる。そして、小泉涼子は優二と瓜二つの男と遭遇し、優二は死んだはずの兄・山岸優一が生きている事を知る。

登場人物・キャラクター

山岸 優二 (やまぎし ゆうじ)

特殊執行隊・助太刀人No.7の男性で、年齢は24歳。フリーターを自称しているが、実際は犯罪を憎み、助太刀人の仕事に真剣に取り組んでいる。普段はのんびり屋で流されやすいところがあるが、神経質な一面も持つ。また父親・山岸克也から、双子の兄・山岸優一と比べられる事が多かった影響で、何かと比較してしまう癖がある。 幼い頃に自分を守ってくれた優一をヒーローとたたえ、以来ヒーローに強いあこがれを抱くようになった。だが一方で、克也にひいきされている優一に嫉妬する事もあった。学生時代に放火事件によって克也と優一を亡くし、自身も両手足を失った。この時、魅輪紫狼によって優一の両手足を移植されており、以来両手足の痛覚がなくなっている。

柳瀬 春香 (やなせ はるか)

山岸優二の友人の女性。年齢は24歳。職業はジャーナリストで、関西弁で話す。愛称は「春」。優二とは腐れ縁の関係で、プライベートでもたまに会っているが、彼が特殊執行隊・助太刀人である事は知らない。明るく仕事熱心な性格で、仇討法や仇討死刑の在り方に疑問を持ち、熱心に取材している。

織田 カムイ (おだ かむい)

特殊執行隊・助太刀人のリーダーを務める男性。年齢は50歳。仇討法が制定された直後に、奥村健士と協力して助太刀人を組織した。元傭兵で顔のあちこちに傷跡があるが、過去の経歴などは謎が多い。

堀部 こまつ (ほりべ こまつ)

特殊執行隊・助太刀人No.1の男性。助太刀人の中では古株だが、小柄なため一見頼りない。年齢不詳だがすでに一世紀以上も生き続けているという謎の老人で、助太刀人の長老でもある。「平和の使者」を自称する平和主義者ながら能力や経歴など謎が多い。猫が好き。

桜田 和成 (さくらだ かずなり)

特殊執行隊・助太刀人No.2の男性。年齢は44歳で、妻と二人暮らし。助太刀人の副隊長を務めており、リーダーの織田カムイを支えている。未熟な頃の山岸優二の世話役として彼を支え励ました、恩師のような存在。温厚な性格だが助太刀人としての仕事には強い信念を持っており、命を懸けて任務に臨んでいる。自身の身体を武器とした、手刀をはじめとする体術を得意とし、人体についても医者並の知識を持っている。

萩原 吉彦 (はぎわら よしひこ)

特殊執行隊・助太刀人No.3の男性。年齢は36歳。かつては医者として活躍しており、その卓越した技術により、若い頃から「執刀の神」とも呼ばれていた。「切る」事に強いこだわりを持っており、幼い頃からナイフやメスを集めている。またつねにナイフを持ち歩いており、刺殺事件に関する任務を担当する事が多い。心臓病の患者を救うため、事故で救急搬送された大学生をあえて見殺しにした疑いをかけられた過去を持つ。

近松 狂弦 (ちかまつ きょうげん)

特殊執行隊・助太刀人No.4の男性で、年齢は不詳。額部分に「鏡」と書かれた仮面をつねにつけており、素顔を見せる事はほとんどない謎の多い人物。寝ている事が多く、また都合が悪いと狸寝入りをして誤魔化す癖がある。

日野村 のぼる (ひのむら のぼる)

特殊執行隊・助太刀人No.5の男性。巨漢で怪力の持ち主で、いつも二体の人形を持ち歩いている。穏やかでのんびりしており、心優しく純朴な性格の人物。

中谷 雪 (なかたに ゆき)

特殊執行隊・助太刀人No.6の女性。年齢は25歳だが少女のような見た目をしており、天真爛漫な性格。一人称は「ボク」。生まれつき全盲で目を閉じているが、嗅覚と聴覚に優れ、匂いや足音などで周りにいる人物を認識している。また音の周波によって、空間と物の位置を把握できる。高い機動力を持ち戦闘能力にも優れる。かつては裕福な家庭に育ったお嬢様だったが、嫉妬した家政婦に家族を惨殺された過去を持つ。

小泉 涼子 (こいずみ りょうこ)

特殊執行隊・助太刀人No.8の女性。年齢は23歳。助太刀人としては新人。高校生の頃にAA事件を体験しており、この事件の唯一の生き残りでもある。AA事件のトラウマにより極度の男嫌いになっており、自宅には何重ものロックをかけている。また自然に笑う事ができなくなり、無表情でいる事が多い。AA事件のあとは入院していたが、同じ病院でリハビリ中だった山岸優二に託されたペンダントを所有しており、優二の物である事を知らないまま、大切にしている。 関節を外して自由に曲げる事が可能で、その鞭のような身体を活かした体術を得意とする。

清寺 功太 (きよでら こうた)

特殊執行隊・助太刀人No.9の男性。年齢は21歳。小泉涼子と共に入隊した新人。恵まれた体格、優れた動体視力と高い運動能力を持つ。単純な面もあるが情に厚く、誰にでも感情移入しやすい涙もろい性格をしている。幼少期に母親を失い父親にも捨てられ、祖父に育てられていた。しかし、清寺功太が11歳の頃に戻って来た父親が祖父を殺害したため、勢いで父親を刺殺した過去を持つ。 同僚の中谷雪に思いを寄せている。

山岸 優一 (やまぎし ゆういち)

山岸優二の双子の兄。弟思いの勇敢な性格で、父親の山岸克也や同級生から弟の優二を守っており、優二にとってヒーロー的存在だった。放火魔に家を焼かれた際に一酸化炭素中毒で命を落としたが、その両手足は生き残った優二に移植された。

山岸 克也 (やまぎし かつや)

山岸優二と山岸優一の父親。死刑で兄を亡くしており、検察や司法を恨んでいる。また世の中から死刑をなくすために、人権団体・命を設立した。息子の優二を出来損ない扱いしており、躾と称して暴行する事もある。妻の山岸泉を亡くしてからは酒に溺れていたが、放火による火事で焼死した。

山岸 泉 (やまぎし いずみ)

山岸優二と山岸優一の母親。病弱だが家族思いの女性。息子達には平等に接しており、山岸克也に暴行を受ける優二をかばう事もあった。優二と優一が幼い頃に病に倒れ、渦巻き状のペンダントを二つに割って二人に託したあと、命を落とす。

羽柴 秀喜 (はしば ひでよし)

特殊執行隊・助太刀人先代No.7の男性。両親を殺害され、幽閉された過去を持つ。幽閉中に牢の外に見えた百合の花を生きる希望にしていた事があり、以来百合の造花を持ち歩くようになる。また百合に限らず花が好きで、少々ナルシストなところもある。亜九津元の仇討死刑執行の際に亜九津の罠にはまり、人質となった遺族を救うために、自害する形で殉職した。 享年24歳。

獅子度 哲 (ししど てつ)

仇討死刑の舞台となる仇討場で使用される道具などを作成する、「仇討場内特殊製作部」の主任を担う男性。白ひげを生やしゴーグルをかけた老人で、年齢は60歳。通称「おやっさん」。道具に対して愛情を抱いており、「凶器」という言葉を嫌っている。

奥村 健士 (おくむら けんじ)

警視庁警視監の男性で、年齢は45歳。警察トップのキャリアでありながら、織田カムイと交流・協力して仇討法設立に尽力した。またこの仇討法によって、犯罪増加や人口減の問題が改善されると信じている。ビリヤードが趣味。

鬼束 一 (おにづか はじめ)

現法務大臣の男性。通称「鬼」。AA事件のあとに内閣入りし、法務大臣に就任した。仇討死刑にも深くかかわっており、事件ごとに仇討死刑執行の可否を決めている。ジャーナリストの事を見下している。

魅輪 紫狼 (みわ しろう)

仇討法や仇討死刑に関する事件の特別検死官をしている女性で、年齢は68歳。「解剖学の天才」と呼ばれる。山岸優二が手足に大火傷を負った際に、優二の兄の手足を移植した。目を見開いてこめかみをいじりながら話す癖がある。

亜九津 元 (あくつ げん)

3年前に羽柴秀喜を返り討ちにして殺した男性。仇討死刑に反対する組織に所属しており、仇討法に関わる人間を殺害した罪で仇討死刑の判決を受けた。だが、羽柴に勝利した事で3年の恩赦と安楽死の権限を得る。

神蜱 悟 (かんだに さとる)

AA事件の首謀者で、宗教団体「天歳教」の信者の男性。母親の影響で女性を汚れた存在と信じ込むようになり、母親を殺そうとしたあと、女子高校に侵入し生徒達を大量虐殺した。だが、当時女子高校の生徒であった小泉涼子の事だけは「天使」として崇めた。のちに絞首刑となるが、被害者の遺族によって遺体をバラバラにされる。

集団・組織

助太刀人 (すけだちにん)

凶悪犯罪の被害にあった被害者遺族に代わって、仇討死刑を執行する国家公認の組織。正式名称は「特殊司法警察特殊執行隊」。所属する者はいずれも戦闘のスペシャリストであり、何らかの犯罪被害にあった過去を持つ。そのためメンバーは犯罪を強く憎んでおり、被害者とその遺族に対して心から共感しながら、命を懸けて任務に臨んでいる。

(いのち)

死刑制度全般に反対する人権団体。死刑によって兄を失った山岸克也によって設立された。仇討死刑や仇討法といった仇討制度全般にも反対しており、特殊執行隊・助太刀人と対立する事もある。

場所

仇討場 (あだうちじょう)

仇討死刑の舞台となる、国家管理下にある特殊施設。高い壁に囲まれており、外界との接触を断った無人の空間となっている。仇討死刑の際にこの施設に入れるのは死刑囚と仇討死刑を担当する特殊執行隊・助太刀人のみとなっており、両者の脱出も不可能となっている。獅子度哲が主任を務める「仇討場内特殊製作部」によって、仇討死刑にかかわる事件の現場や状況などが、巧みに再現される。

イベント・出来事

AA事件 (だぶるえーじけん)

仇討法が制定されるきっかけとなった事件。正式名称は「アドベントエンジェル事件」。名称は事件の首謀者である神蜱悟が汚れの浄化と「天使降臨(アドベントエンジェル)」を求め、自身の母親を殺そうとしたあと、女子高校生を大量虐殺した事に由来する。のちに神蜱は絞首刑となるが暴走した遺族によってその遺体は切り刻まれ、さらに事件の遠因となった神蜱の母親も殺害された。 この一連の出来事をきっかけに、仇討法が制定される事となった。

その他キーワード

仇討法 (あだうちほう)

殺人を始めとした凶悪犯罪を抑止するために、2015年より制定された法律。被害者が殺害された時の状況と同じ方法を用いて、「仇討死刑」という形で執行される。凶悪犯罪の減少につながっているものの問題点もあり、人権団体・命を始めとした組織からは反対されている。

仇討死刑 (あだうちしけい)

仇討法に基づいて導入された死刑。被害者の遺族が仇討死刑を申請したあと、厳正な審査のうえで決定され、特殊執行隊・助太刀人が遺族の代理となって執行する。加害者が被害者を殺害した方法・手段と同じ内容で、助太刀人が死刑囚と決闘する形で執行される。ただし、この決闘で死刑囚が助太刀人を返り討ちにした場合は仇討死刑は中止となり、決闘に勝利した死刑囚は恩赦や安楽死といった特別な権限を得る事ができる。

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