勇者は使命を忘れてる

勇者は使命を忘れてる

世界を救うために魔王に挑んでいた勇者の少女のヒズミは、圧倒的力量差から何度も追い払われながらもあきらめずに戦いを仕掛けるうち、魔王に対して恋心を芽生えさせてしまう。思い込みの激しい勇者の少女に振り回される、平和主義者の魔王の日常を描いたカンちがいラブコメディ。「マンガPark」で2018年11月7日から公開の作品で、コミックス刊行にあたって描き下ろしのエピソードも収録されている。

正式名称
勇者は使命を忘れてる
ふりがな
ゆうしゃはしめいをわすれてる
作者
ジャンル
ファンタジー
 
ラブコメ
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あらすじ

第1巻

ある日、勇者である少女のヒズミは、人間界を脅かすという存在の魔王をついに見つけ出す。魔王は意外にも話し合いを提案するが、勇者は問答無用に魔王に攻撃を仕掛ける。だが、必死で説得する魔王の言葉に勇者は渋々、魔王が人間界にいる目的を尋ねる。すると、魔王の口からは美しい庭園を造るという意外な目的が語られるのだった。植物の魅力を喜々として語る魔王のそこはかとない気持ち悪さに混乱した勇者は、剣を構えて斬り掛かる。まったく聞く耳を持たない勇者の相手に疲れ果てた魔王は、仕方なくその力の片鱗を見せ、彼女を力業で追い返すのだった。それでも勇者は、懲りもせずしつこく魔王城にやって来る。そんな事を繰り返していたある日、勇者は自分が実質的に魔王の「通い妻」になっているのではないかと、とんでもない思い込みをしてしまう。そしてこれをきっかけに、彼女は魔王の事を意識し始めるのだった。

登場人物・キャラクター

勇者 (ゆうしゃ)

女神の選定を受けて勇者に選ばれた少女で、本名は「ヒズミ」。たびたび人間界を脅かしてきた魔王を討伐する使命を受け、王城で訓練を受けていたが、10年間にわたって魔族による侵攻が行われなかったため、事実上のお役御免状態にある。ヒマを持て余して入り込んだ森で偶然に魔王の城を見つけ、戦いを挑むうちに何をカンちがいしたのか、魔王に心を寄せるようになる。思い込みが激しいうえに疑り深く、魔王が幾度となく説得を試みてもまったく耳を貸さずに命を狙い続けている。魔王の栽培している庭園を見た際にも、どこかに食人植物が存在すると疑いを抱き続けていた。魔族に対してはいっさいの容赦をせず、魔王のみならずその側近であるイシンに対しても、たびたび脈絡なく斬り掛かっている。一方で、一度打ち解けると魔族ともふつうに会話をするなど、その判断基準は自分本位ではっきりしない。イツワメとは魔王を籠絡するための相談をするなど、女友達のように接していた。実は耳が弱いという弱点がある。

魔王 (まおう)

魔族たちの王として君臨する魔族の男性で、本名は「ヌエ」。10年前に魔王として即位して以降、魔族たちに人間界への侵攻を禁止している平和主義者。自然を愛しており、夢は城に美しい庭園を作り上げる事。その目的のため、わざわざ魔界から人間界に移り住み、魔界にはない植物の研究に日々勤しんでいる。自分たちから人間に危害を加えた事は一度もなく、その事が勇者が魔王討伐の使命をお役御免になる原因となった。だがある日、突然城に押し掛けてきた勇者に命を狙われる事となり、対話による説得を試み続けている。争い事が嫌いな一方、魔族としての力は王としてふさわしいもので、勇者や魔族の実力者が束になってかかっても勝ち目がまったく見いだせないほどの底知れぬ実力を持つ。為政者としても素晴らしい手腕を発揮しているが、恋愛や婚姻に関する事は避ける傾向にあり、勇者の気をヤキモキさせている。

ヨニ

魔王に仕える魔族の使用人。外見からは性別を判断できない。小柄な体形で、鳥のくちばしのような顔をしており、その根元に黒丸の大きな瞳がある。体を城にする能力を持っており、人間界にある魔王の居城はヨニ自身である。非常に勤勉で、魔王に忠実に仕えている。その働きぶりは魔王の側近であるイシンから、オーバーワークが指摘されるほどで、イシンが来るまでは魔王城の雑事を一手に引き受けていた。非常に優秀である反面、料理は壊滅的に苦手。ただし、魔王がヨニを気遣って告げていなかったため、本人はその事実を知らずにいる。

イシン

魔族の男性で、魔王に仕える側近。人間界で魔王をサポートするために派遣されてきた。勇者からは単に「側近」と呼ばれている。左目にモノクル、顔の右半分を仮面に覆った外見をしており、言動は慇懃無礼そのもの。魔王に送られてくる魔界からの仕事を整理するなど、適切にサポートする一方で、魔王の命を虎視眈々と狙っており、自ら魔王に成り代わろうという野望を包み隠しもしていない。魔王に側近として仕えている理由も、暗殺の機会が増えるからと公言している。当初は魔王を陥れるために勇者と手を組もうと考えていたが、情け容赦がないうえにカンちがいの激しい性格を知って断念している。

ズガイ

黒漆族と呼ばれる魔族の一族の男性。牛の頭蓋骨のような顔をしている。魔王であるヌエが人間界への侵攻を禁止した事で不満がたまった一族の代表として、魔王に陳情に来たタカ派の人物。いつものように魔王の城へ遊びに来ていた勇者の提案により、魔界への侵攻を掛けて同じ一族のイツワメと共に、魔王と勇者のタッグに挑んだが敗北した。同じ部族のイツワメの事を思っており、彼女の言葉にはなんだかんだ従ってしまう事が弱みとなっている。

イツワメ

黒漆族と呼ばれる魔族の一族の女性。真っ黒な肌に白抜きをしたような口と目といった外見をしている。また、ノースリーブの服に身を包み、頭にはローブをつねにかぶっている。同じ黒漆族であるズガイと共に、人間界への侵攻を禁止され、不満を溜め込んでいる一族の意見を陳情するため、魔王に謁見した。その後、いつものように魔王の城を訪れた勇者の提案により、人間界の侵攻を懸けて魔王と勇者のタッグに挑んだが敗北している。一度は敵対したが、その後は勇者から魔王を籠絡するための相談を受けるようになり、女友達のような関係となっている。

お母さん (おかあさん)

勇者であるヒズミの母親。魔王が人間界を侵攻してこない事で、実質的に無職になっている娘の行く末を案じている。誰かいい人を見つけて結婚でもしなさいと何げなく口にした言葉が、結果として魔王に対する勇者の行動をあおる事となった。

集団・組織

黒漆族 (こくしつぞく)

魔界で暮らす魔族の一部族。人間界への侵攻を企てるタカ派勢力の一つで、現在の魔王であるヌエが10年前から人間界への侵攻を禁止している事に強い不満を抱いている。一族のズガイとイツワメを派遣して魔王に人間界への侵攻を陳情したが、失敗に終わった。

その他キーワード

ヒデリヅル

魔王が城の庭園で育てている植物の一つ。人間界の植物で、太陽の光がなくても土か水があれば生存できるほどの強い生命力を持っている。ゆくゆくは魔界でも生存できるような品種にするため、現在は魔王によって品種改良が行われている。

カツユド

魔王が城の庭園で育てている植物の一つ。人間界の植物で、成長速度が著しく遅い分、強靱な生命力を持つという特徴を持っている。そのため、魔王からは過酷な環境下でも生き抜く事ができると期待されている。

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