東亰ザナドゥ

東亰ザナドゥ

TVゲーム『東亰ザナドゥ』のコミカライズ作品。異界と呼ばれる世界から現れるグリードの脅威に対応すべく、彼らと戦う力を持つ少年少女達の活躍を描く。『コミッククリア』に2016年から連載の作品。

正式名称
東亰ザナドゥ
ふりがな
とうきょうざなどぅ
原作者
日本ファルコム
漫画
ジャンル
アクション
関連商品
Amazon 楽天

世界観

本作『東亰ザナドゥ』の舞台は、現実の日本とは似て非なる世界とされており、日本やアメリカといった国の名前こそそのままだが、現実世界で言う東京を「東亰」と書き、ほかにも九州を「玖州」、埼玉を「犀玉」と書くなど、差別化が図られている。また、主要となるエネルギーに電気が用いられておらず、代わりに「導力」と呼ばれる架空のエネルギーが使われている。この「導力」という設定は、TVゲーム『英雄伝説 空の軌跡』が初出で、それ以降、日本ファルコムのリリースするゲームに広く用いられている。

あらすじ

異界化(第1巻)

東亰郊外の杜宮市に住む時坂洸は、アルバイトの帰り道、柊明日香が二人の不良に絡まれている場面に遭遇。放っておけずに割って入ろうとするが、不意に不思議な空間に取り込まれ、謎の怪物に襲われたところを明日香に助けられる。その際に明日香の記憶操作で記憶を失った洸は、翌日、杜宮学園で、倉敷栞伊吹遼太小日向純と変わらぬ日常を過ごしていた。しかし、先日の異界での出来事をおぼろげに覚えており、記憶を失ったかどうか確認しに来た明日香に対して、かつて会った事がないか尋ねるが、否定される。その夜、アルバイトを終えた洸は、何かに追われるように怯えていた栞と遭遇する。洸は彼女に事情を尋ねようとするが、その瞬間、栞の背後で「門」が開き、彼女は姿を消してしまう。洸は「門」を通過し、異界である忘却の遺跡へと足を踏み入れる。さらに、駆けつけた明日香と再会した事で、洸は先日の記憶を完全に取り戻した。さらに彼の前に、謎の少女、レムが現れる。洸は彼女の助言に従い、栞を守りたいという自らの意思に身体と心を委ねる。するとその右手に、ソウルデヴァイスレイジングギアが発現する。適格者となった洸は栞を助けるために、エクセリオンハーツを携えた明日香と共に、異界の奥に潜むエルダーグリードメネスオーガを倒し、栞を救出する事に成功する。それに伴い、明日香から異界やグリード、そして明日香が所属しているという結社ネメシス等に関する説明を受けるが、適格者ではあっても、訓練などを受けていない素人である洸は、これ以上異界にかかわるべきではないと忠告されるのだった。

怪異(第1巻)

忘却の遺跡での戦いから数日後、時坂洸は無断でアルバイトをしていた事を咎められる形で、祖父である九重宗介の道場で久々に稽古をさせられていた。その中で洸は、幼なじみの後輩であり、宗介の弟子でもある郁島空が、稽古に身が入っていない事に気づき、その放課後、彼女の先輩である寺田舞衣相沢千秋に事情を尋ねた結果、空と、彼女の理解者であるはずの千秋のあいだに何らかのトラブルがあった事を察する。さらにその夜、空の自宅の前で、コンプレックスから彼女に心無い言葉を掛けてしまった千秋を発見し、その仲裁を試みる。しかしその直後、空の背後で「門」が開き、彼女は異界琥の小迷宮に取り込まれてしまう。洸は急いでそのあとを追い、異界の中で空を探すが、そこに明日香が現れる。彼女は改めて、洸に対して手を引くよう促すが、幼なじみの後輩を放っておけない洸はこれを拒み、二人で空の救出に向かう。そして、琥の小迷宮の主であるエルダーグリードドレッドゴーレムを倒し、無事に身柄を保護するが、時を同じくして千秋もまた、感情の乱れに目をつけたエルダーグリード、グレアファントムの手により、異界、月下の庭園へと引きずり込まれてしまう。洸と明日香は、千秋を救出するため、月下の庭園へと向かう。そして空も、千秋の気持ちを知ったうえで彼女と仲直りをしたいと強く願い、それに呼応するかのように、彼女の両手にソウルデヴァイスヴァリアントアームが発現。二人と共に、千秋を救出するための戦いに身を投じるのだった。

神様の言うとおり(第2巻)

杜宮学園では、サイフォンを使った占いアプリである「神様の言うとおり」、通称神様アプリが流行していた。時坂洸も、友人である伊吹遼太から紹介をしてもらうが、その画面には不気味な姿をしたキャラクターが、遼太が交通事故に遭うという不吉な予言を残す。さらに、軽傷で済んだとはいえ、実際に事故が起きてしまった事で、洸と明日香はエルダーグリードによる干渉を疑い始める。二人は適格者となった郁島空を伴い、杜宮学園の生徒会長である北都美月の協力を得て、神様アプリを開発したという不登校児の四宮祐騎の住むマンションへと足を運ぶ。洸達は、祐騎に対して神様アプリの詳細を尋ねるものの、自分が作り上げた事は認めつつも、不気味なキャラについては知らないという。洸達はますます、エルダーグリードの干渉を疑うが、そこに祐騎の姉の四宮葵が現れ、洸達を弟の友達だと勘違いし、祐騎は恥ずかしさのあまり姉を含めた一行を部屋から追い出してしまう。帰り際に葵と話をした洸は、風変わりな祐騎にも、きちんと気に掛けてくれている人がいる事を理解する。その翌日、洸のサイフォンに、突如祐騎から連絡が入る。葵の行方が知れず、彼女の仕事先からも連絡が取れないというのだ。さらに祐騎は、先日葵が神様アプリをダウンロードした事がわかっており、ここに至って洸は、この一件にエルダーグリードがかかわっている事を確信。彼女の仕事場の一つである、レンガ小路のギャラリー「クレイドル」で「門」を発見すると早速乗り込み、主であるエルダーグリードを倒して葵を救出する。しかし救出されたはずの葵は、祐騎がいくら呼び掛けても全く反応を示さない。神様アプリに仕掛けを施したエルダーグリードがまだ存在している事を察した洸達は、九重永遠の協力を得て、七星モールのサーバールームに「門」がある事を突き止め、事件の黒幕であるエルダーグリード・アストラルウィドウが鎮座している異界第弐霊子結界へと侵入。さらに、姉を助けたいという気持ちから、ソウルデヴァイスカルバリーメイスを発現した祐騎を味方につけ、葵の精神を救出するため、異界の奥へと向かう。

或る日の社宮探訪(第2巻)

時坂洸は、異界を巡る事件にかかわるようになりながらも、学業にアルバイトにと忙しく駆け回る日々はまったく変わっていなかった。休日においても倉敷栞にも半ば呆れられつつ、ユキノから斡旋されたアルバイトをこなすため、朝から出かけていく。その昼、レンガ小道にある喫茶店「壱七珈琲店」でのアルバイトを終えた洸は、偶然ながら柊明日香と遭遇し、彼女がこの店の2階で寝泊まりしている事を知る。さらにアクロスタワー前で、モリマルの着ぐるみのアルバイトを請け負い、人気アイドルグループのSPIKAのメンバーと共演するなど、いつにも増して忙しい一日を過ごす。しかし、そんな洸を心配した栞は、九重永遠に対して注意を促すようにお願いするが、折り悪くそれを九重宗介に知られてしまう。夜までのアルバイトを終えた洸は九重神社に連れていかれ、宗介からみっちりと反省を促されるのだった。

BLAZE 焔の記憶(第2巻)

杜宮市では、かつて解散したはずの少年グループであるBLAZEが幅を利かせており、住民達を悩ませていた。時坂洸もまた、以前知り合った玖我山璃音がBLAZEの不良に絡まれているところを発見し、助けようとする。九重宗介からの指導で、ソウルデヴァイスなどなくても、不良などは軽くあしらえるはずだったが、突然不良達の目が赤く輝き、人間とは思えない力で攻撃を受ける。高幡志緒が現れた事で事なきを得るが、洸は神様アプリの一件のように、BLAZEの連中が異界、あるいはエルダーグリードにかかわっている可能性を考え始める。翌日、洸は郁島空と出会った志緒と共に、蓬莱町にあるBLAZEいきつけのバーへと向かう。そこでは、かつてBLAZEに身を置いていた頃の志緒の仲間であり、現在のBLAZEを率いている戍井彰宏が待ち受けていた。志緒は、かつてのBLAZEを歪めて、暴力で他を支配しようと試み、さらにHEATと呼ばれる怪しげな薬に手を出した彰宏を問い詰めるが、彰宏はそれを意に介さないどころか、異界、堕竜の洞窟の「門」を開き、志緒をその中へと押し込めてしまう。洸と空は、駆け付けた柊明日香四宮祐騎と合流し、堕竜の洞窟の奥へと向かい、主のエルダーグリード、ブレードレックスを撃破。そして、志緒に対して現在のBLAZEの危険性を説き、彼らを元に戻すために共闘を持ち掛け、志緒もこれを了承する。一方、彰宏はHEATの力を使って鷹羽組の構成員を病院送りにし、かつてのBLAZEの頭であった竜崎一馬の仇である暴走族「ケイオス」の壊滅を狙って動き出そうとしていた。そこに志緒が洸を伴って現れ、彰宏を止める事を宣言。これに憤った彰宏は、大量のHEATを服用するが、それがきっかけとなって「門」が開き、彰宏はエルダーグリード、ダークデルフィニウムの手により、異界、蒼醒めた廃墟へと連れ去られてしまう。志緒は、彰宏の過ちを正すためにも、異界から救出する事を決意。彼や一馬への強い思いを滾らせる事で、ソウルデヴァイス・ヴォーパルウェポンを発現させる。そして、洸達を伴い、彰宏の救出とHEATの破棄のため、ダークデルフィニウムに挑むのだった。

夏の前日(第2巻)

杜宮市では、BLAZEの事件が解決してもなお、エルダーグリードによる干渉が止まずにおり、さらにエルダーグリードより強力な力を持つグリムグリードが現れ、杜宮学園そのものを異界化されるなど、被害規模はさらに広がりつつあった。ゾディアック所属の適格者である北都美月を仲間に加えた時坂洸達は、適格者である学生を集めて、異界対策コミュニティであるX.R.Cを結成する。そして夏休みを利用し、X.R.Cのメンバーのほかに、洸の友人である伊吹遼太小日向純倉敷栞を交えて、慰安や作戦会議などのため、郊外にある神山温泉へ向かう事になった。現地には、近所にあるという神社を見に来たという佐伯吾郎や、羽休めのために旅行に来ていたというSPIKAのメンバーもおり、洸達は彼らとの交流や、温泉での入浴を楽しむ。そして夜、X.R.Cのミーティングが始まり、その中で柊明日香と美月の口から、彼女達の立場や異界に関する情報。そして、ここ数年、杜宮市にあり得ない数のグリードが発生しつつある事が明かされ、一般人上りのメンバー達に対して、本当にこれからも異界の探索やグリードの退治を続けるのか、決断を迫る。洸は、明日香から、相応の理由がなければ異界にかかわるべきではないと聞かされ、改めて自分の戦うべき理由を考え、栞との会話によって、仲間が危険に巻き込まれるところを見過ごす事などできないと決意を固めるが、そこにレムが現れる。彼女はX.R.Cのメンバー以外の時間を止め、異界、千古の霊域へと誘う。さらに彼らの力を試すために、五尾ノ霊獣をけしかけてくる。エルダーグリードにも劣らない力を持つ霊獣に、X.R.Cのメンバー達は苦戦を強いられるが、それぞれのXストライクを合わせる事で、何とか撃破に成功する。一行は元の世界に戻り、洸はレムとの会話を試みる。彼女は、東亰震災において、洸が大事な事を忘れていると指摘。洸はその時の光景をおぼろげに思い出していく。一方、栞の身体には異変の兆候が見受けられていた。

そして、夜は明ける(第2巻)

杜宮市異界グリードが異常発生するようになったのは、10年前の東亰震災を引き起こしたグリムグリード夕闇の使徒が原因だった。彼は、かつてネメシスゾディアック刻印騎士団の連合部隊や、九重宗介などの活躍によって討伐されたが、消滅の際に、死に瀕していた倉敷栞の願いを受けて、彼女の中に潜んでいたのである。そして、その力は徐々に目覚めていき、ついに栞はかつての夕闇の使徒すら大きく凌駕する力を得た最強のグリード、冥キ禍ノ神姫として覚醒を果たす。数多の事件を経て、玖我山璃音佐伯吾郎を新たに加えたX.R.Cは、かつて解決してきた事件の関係者などの力を借りる事で、ついに冥キ禍ノ神姫が潜む災厄の匣へとたどり着く。そして、東亰震災におけるすべての記憶を取り戻した時坂洸は、自らの過去に決着をつけるべく、仲間達と共に冥キ禍ノ神姫に挑むのだった。

登場人物・キャラクター

時坂 洸 (ときさか こう)

杜宮学園に通っている2年生の少年。両親の長期海外出張が決まったため、2年に進級してからは実家で独り暮らしをしている。ぶっきらぼうなところがあるが、人当たりは悪くなく、友人も多い。現在は特定の部活動に所属しておらず、アンティークショップ「ルクルト」の店主であるユキノの仲介を受けて、さまざまな店舗にアルバイトとして派遣されている。 自他共に認めるお節介焼きで、困っている人を見ると放っては置けずに、進んで首を突っ込んでしまい、それが原因でトラブルに発展する事も少なくない。ある日、同級生の柊明日香を不良から助けようとした際に、偶然ながら異界に紛れ込んでしまう。その時は逆に彼女に助けられて事なきを得たが、その翌日、幼なじみの倉敷栞が異界に引き込まれた際に、レムの呼びかけに応える事でソウルデヴァイス、レイジングギアを発現させ、適格者となる。 それ以降、異界にかかわるいくつかの事件を明日香や仲間と共に解決していき、やがて異界対策コミュニティであるX.R.Cの部長として活動する事になる。かつて大切なものを失ったかのような強い喪失感を抱えており、二度と大切なものを失いたくないという、強い衝動に突き動かされるような行動を取る事が多く、お節介焼きな性格はこの事に起因している。 ただし、少なくとも記憶のうえでは、実際に何かを失った経験があるわけではないため、時坂洸自身もこの感覚の根本にあるものが何なのか理解できず、その事にもどかしさを感じている。

柊 明日香 (ひいらぎ あすか)

杜宮学園に通っている2年生の少女。時坂洸や倉敷栞達と同じクラスで、クラスの委員長を務めている。アメリカからの帰国子女で、容姿端麗かつ頭脳明晰であるため、男女問わず人気が高い。その裏では、秘密結社ネメシスに所属する執行者で、ソウルデヴァイス、エクセリオンハーツを使用する適格者であるほか、記憶操作や催眠術など、ネメシスに伝わっている秘術の数々を使いこなす事ができる。 また、異界やグリードに関する知識も豊富で、エルダーグリードを一目見ただけで、その名称や特徴を把握する事ができるほど。ただし、グリムグリードと戦った経験はないため、そちらにおける知識は所有していない。杜宮市におけるエルダーグリードの干渉や異界の浸食が、通常ではありえない頻度で発生し続けているため、その原因を究明するために派遣された。 現在はレンガ小路の喫茶店「壱七珈琲店」に住まわせてもらっており、そこから杜宮学園に通っている。執行者であった両親を、グリードとの戦いで亡くしており、そのあとを継ぐ形で執行者に就任した。そのため、自らの責務に強い誇りを持っており、杜宮市をグリードから守りたいという強い思いを秘めている。 その一方で、適格者とはいえ、一般人に過ぎない洸達が、異界にかかわる事に懸念を抱いている。また、ゾディアックに対してもいい思いを持っておらず、北都美月に対しては、険悪でこそないものの、どこか一歩引いた様子で接する事が多かった。 しかし、洸達との連携でグリムグリードを撃破した際に、彼らの力と気質を認めて、改めて共に戦う事を決意している。また、これをきっかけとして異界対策コミュニティであるX.R.Cを結成し、柊明日香本人はネメシスの立場から協力する事を決めて、洸を部長に推薦した。また、グリムグリードとの戦いの中でゾディアックへの不信感も解消し、それ以降は美月とも良好な関係を抱いている。

郁島 空 (いくしま そら)

杜宮学園に通っている1年生の少女。古流空手「郁島流」の師範を父親に持っており、その父親から勧められた事で、高校進学に伴って地方から上亰し、現在は杜宮商店街近くのアパートで暮らしている。郁島流と九重流に親交があるため、九重宗介や九重永遠、時坂洸とは幼い頃からの知り合いで、杜宮市に来てからは、学園の女子空手部に所属しているほか、宗介から週に1回稽古を受けている。 真っ直ぐな性格で、寺田舞衣や相沢千秋に対しても明るく接している。また、天才的な武術の心得を持っており、洸や千秋を遥かに超える資質を秘めている。そのため、一時は千秋にコンプレックスを感じさせ、関係が悪化した事もあった。しかし、千秋がエルダーグリード、グレアファントムに囚われた際には、この問題に対してまっすぐに立ち向かう決意を固めると共に、千秋を助けたいという思いから、ソウルデヴァイス、ヴァリアントアームを発現させている。 その後は、適格者として洸や柊明日香と協力し、異界対策コミュニティであるX.R.Cのメンバーとしてグリードと戦い続けている。 また、四宮祐騎が学校に通うようになってからは、よく声を掛けているが、あらぬ噂が立つ事を懸念する彼からは迷惑がられている。

四宮 祐騎 (しのみや ゆうき)

杜宮学園に通っている1年生の少年。IQ180以上の天才で、特にプログラム技術やハッキング技術に長けている。高校生ながらアプリ開発や株取引などでかなりの大金を稼いでおり、現在は杜宮記念公園付近のマンションの一室で暮らしている。さらに、学園にも卒業資格を得るためだけに在籍しており、単位取得に必要な最低限の日数しか出席していないなど、世間に対して斜に構えた言動を取る事が非常に多い。 そんな性格もあって、父親との関係は険悪だが、姉の四宮葵には溺愛されており、その事を迷惑がりつつも、姉の事は大切に思っている節がある。「神様の言うとおり」を開発し、杜宮市の若者のあいだで流行するなどの成功を収めるものの、そのアプリをエルダーグリード、アストラルウィドウに利用されてしまい、その事が葵を危機に陥れてしまう。 その際に時坂洸達に助けられ、自身もソウルデヴァイス、カルバリーメイスを発現して適格者となる。さらにその過程で、四宮祐騎を遥かに上回る情報処理能力を持つ九重永遠の存在を知り、自分を過信しすぎていた事を認め、学校に通うようになる。 その後は適格者として洸達の異界の調査を手伝っており、のちに異界対策コミュニティであるX.R.Cの一員となる。なお、学校に通うようになってからも、アプリ開発や株取引などは依然続けている。

北都 美月 (ほくと みつき)

杜宮学園の生徒会長を務めている3年生の少女。日本有数の大企業である「北都グループ」の令嬢で、父親が早逝した事もあり、現在の会長である祖父から、次期後継者候補として見込まれており、既に北都グループの杜宮市における事業の一部を任されている。まさに才色兼備と呼べる存在で、柊明日香同様、男女共に高い人気を集めている。 性格は穏やかながら、いかなる時でも堂々とした振る舞いを崩さず、BLAZEの初代リーダーであった竜崎一馬や、暴力団の若頭である梧桐英二も、彼女に一目置いているほど。さらに、ゾディアックに籍を置く適格者でもあり、ソウルデヴァイス、ミスティックノードを振ってグリードとも渡り合う力を持つ。 そのため、エルダーグリードが関与していると思われる事件に対して積極的に協力する姿勢を見せており、神様アプリの件においては、不登校の改善も兼ねて、時坂洸達を四宮祐騎のもとに行けるよう手配した。明日香とは、ネメシスとゾディアックの確執もあって関係がうまくいってなかったが、グリムグリードがかかわる事件において協力し、それ以降は生徒会長でも北都グループとしてでもなく、ゾディアックに身を置く一人の適格者として、異界対策コミュニティであるX.R.Cに所属するようになる。

高幡 志緒 (たかはた しお)

杜宮学園に通っている3年生の少年。大柄で腕っぷしも強く、威圧感を感じさせる振る舞いを絶やさないため、下級生からは杜宮学園一の不良と噂されている。しかし実際は、寡黙ながら一本気の通った性格で、同級生からは頼られる事もあり、生徒会長の北都美月からも信頼されている。並外れた精神力を持っており、適格者でもある程度通じるはずの明日香の記憶操作をまったく受けつけない。 孤児の生まれで、さらに生まれ育った施設の院長が虐待騒ぎを起こしたため、竜崎一馬と共に脱走。二人で必死に仕事を見つけつつ、やがて彼らを頼る少年達を率いてBLAZEを結成する。しかし、ある事件で一馬を失い、BLAZEも解散。杜宮商店街の「蕎麦処《玄》」の店長夫妻に引き取られる事になる。 さらに、彼らの援助によって杜宮学園に通えるようになったため、強い恩を感じており、自分なりの方法で恩返しする事を固く誓っている。しばらくは学校に通いつつ、放課後は家の出前や、時には調理なども行う事もある。しかし、最近になってBLAZEが復活し、さらに暴力事件を起こしていると聞きつけ、放課後は独自に彼らの足取りを追っていた。 その最中、時坂洸達と出会い、かつての仲間だった戍井彰宏がBLAZEを再編した事や、彼がHEATを用いて異界の「門」を開く能力を得ている事などを知り、彰宏を止める事を決意。彼が異界、蒼醒めた廃墟に取り込まれた際には、連れ戻して目を覚まさせようという強い思いから、ソウルデヴァイス、ヴォーパルウェポンを発現させる。 BLAZEの事件が解決した後は、元の生活に戻りつつ、適格者として洸達の活動を手伝っており、のちに異界対策コミュニティであるX.R.Cの一員となっている。

玖我山 璃音 (くがやま りおん)

杜宮学園に通っている2年生の少女。人気アイドルグループ、SPIKAの一員で、学園に籍を置いているものの、多忙であるため登校の頻度は高くない。SPIKAの初期メンバーである天堂陽菜、および如月怜香とは親友であると同時にライバルでもあり、歌唱力の高さを武器に、彼女達とセンター争いをしている。学校で偶然ながら時坂洸と出会い、SPIKAをよく知らないという彼に、自前のCDをプレゼントする。 それ以降も時折会うようになり、次第に気心の知れた仲となっていた。しかし、ある事件をきっかけに、グリムグリードの干渉を受けている事が発覚。アイドルはおろか、命の危機にすらさらされるが、X.R.Cの協力を得て事件を解決。 戦いの中で、玖我山璃音自らもソウルデヴァイス、セラフィムレイヤーを発現させ、それ以降、X.R.Cのメンバーとして共に戦う事になる。

佐伯 吾郎 (さえき ごろう)

杜宮学園で教師を務めている青年。英語を担当している。年齢は28歳。モデル並みの身長に優れたルックスを備えており、さらに深い知性や独特のユーモアの持ち主で、女子生徒に絶大な人気を誇っている。一方、かつては男子生徒からやっかまれていたが、話してみると男女分け隔てなく接しており、その気さくな性格から次第に信頼を寄せられるようになった。 時坂洸が、禁止されているバーの夜間アルバイトをしていた時も、美味しいカクテルを作ってくれれば黙っていると、冗談交じりにその行動を黙認した。登山を趣味としており、休日はフィールドワークを兼ねて各地の史跡などを見て回る事もある。X.R.Cのメンバーが神山温泉に行った時も、付近の遺跡を見るために訪れており、偶然ながら鉢合わせた。 かつて東亰震災で恋人を亡くしており、その時にソウルデヴァイス、アーク=トリニティが発現し、適格者となった。そのため、夕闇の使徒を恋人の仇と思っているが、それと同時に自分と同じような目に遭う人間が出ない事を望んでおり、のちに夕闇の使徒の復活を阻止するため、協力者としてX.R.Cに同行する。

倉敷 栞 (くらしき しおり)

杜宮学園に通っている2年生の少女。時坂洸とは家がとなり同士の幼なじみで、幼い頃から家族ぐるみの付き合いがある。現在は、独り暮らしの洸を心配し、朝起こしたり、アルバイトをほどほどにするように言い聞かせるなど、まるで母親のように接する事もある。そのため、伊吹遼太からは、まるで洸と夫婦みたいだと茶化される事があるが、まったく動じる様子を見せない。 しかし、洸の危うい部分もしっかりと把握しており、それも含めて見守っていたいという強い意志を持っている。実は東亰震災の際に、洸をかばって命を落としており、今わの際に泣き叫ぶ洸を思うあまり、現実を変えたいと強く願った結果、夕闇の使徒の干渉を受けて死そのものをなかった事にされる。 しかし、その影響で身体がグリードに変質しており、神山温泉の旅行以降、それが表面化し始める。杜宮市に大量のエルダーグリードが発生するのも倉敷栞の存在があるためで、やがて夕闇の使徒の影響で身体が変質し、夕闇の使徒を超えるグリード、冥キ禍ノ神姫として覚醒を果たす。

伊吹 遼太 (いぶき りょうた)

杜宮学園に通っている2年生の少年。時坂洸とは小学生からの幼なじみで、倉敷栞とも親しい。今どきの高校生を地で行くタイプで、剣道部に所属しているものの、遊びを優先する傾向があるなど、不まじめと思われる点も多い。しかし、洸や栞、そして高校に上がってから友人になった小日向純の事をつねに気にかけるなど、仲間思いな一面も持ち合わせている。 またアイドルグループ、SPIKAの大ファンで、彼女達のライブには欠かさず参加している。夕闇の使徒の影響で杜宮市が異界化してしまってからは、グリードを倒すための武器を受け取り、洸や純達のサポートに回る事もあった。

小日向 純 (こひなた じゅん)

杜宮学園に通っている2年生の少年。小柄かつ童顔で、女子からの人気が高いが、本人は大して気にしていない。1年生の時に時坂洸や伊吹遼太、倉敷栞と知り合い、なかよくなった。最近のアニメやサブカルに興味を持っており、クラスメイトとオタク的な会話に興じる事もある。また、不良に絡まれても顔色一つ変えないなど、どこか得体の知れないところがある。 その正体は、聖霊教会より差し向けられた刻印騎士団の一人。杜宮市におけるグリードの異常活性に伴い派遣され、活動の際に白い装束をまとっている事から「白装束」と呼ばれていた。X.R.Cのメンバー達を遥かに上回る戦闘能力を持つが、表立って行動する事は少ない。潜入先の杜宮学園でもできるだけ目立たないように振る舞っており、柊明日香や北都美月からもその正体を見抜かれていなかった。 しかし洸や遼太、栞と出会って共に行動するようになってからは、彼らに対して情が生じてしまっており、のちにX.R.Cにその正体を明かして洸達と共闘している。

九重 永遠 (ここのえ とわ)

杜宮学園で教師を務めている女性。数学と情報処理を担当している。年齢は23歳。九重宗介の孫娘で、時坂洸とは従姉弟同士の間柄。中学生と見まがう外見をしているが、新任でありながら2年生の担任を任され、さらに委員会の顧問や学年主任の補佐を務めており、学園関係者から厚い信頼を受けている。また、大学時代はある研究グループに所属しており、大学からは重要なポストを用意してまで引き留められたが、これを固辞してまで教師の道に進んでいる。 既にいくつもアプリを開発している四宮祐騎からも、本物の天才だと強い賞賛を受けるなど、その能力は極めて優秀。週末は九重神社で、巫女として宗介を手伝ったり、道場で九重流柔術を教えている。師範だけあって、武術の腕前も相当に高く、洸や郁島空を上回っている。 一方でドジな面が目立つ事も多いが、そのギャップが生徒達から人気を得る一因にもなっている。適格者としての資質はなく、グリードを感知する事こそできないが、持ち前の情報処理能力を活かして、柊明日香や北都美月の協力のもと、対グリード用のアプリなどを作りだしたり、のちにX.R.Cの顧問に就任するなど、異界対策における洸達の協力者となる。

九重 宗介 (ここのえ そうすけ)

九重神社の神主を務める男性。時坂洸と九重永遠の祖父の祖父にあたる。年齢は70歳。高齢だが身体能力は非常に高く、代々受け継がれてきた古武術である九重流柔術を修めた実力者で、永遠や洸にも武術を教えていた。また、玖州に本家を構える郁島流とも親交があり、その縁で東亰に引っ越して来た郁島空に稽古をつけている。 厳格な雰囲気を持つ一方で、茶目っ気のある一面も持っており、孫達にもつねに愛情を持って接している。しかし、洸の深夜アルバイトに対しては厳しく、時折説教を食らわせる事もある。10年前の東亰震災の折では、グリムグリード、夕闇の使徒を討伐する部隊の一員として出撃しており、レムとも面識がある。これらの事を洸や永遠に語った事はなかったが、再び杜宮市が夕闇の使徒の脅威にさらされた時は、自らの出自を明かすと共に、洸やX.R.Cを支える役割を担った。

レム

時坂洸の前に時折姿を現す謎の少女。中性的な顔立ちをしているが、人種や国籍はおろか、人間であるかどうかすら定かではない。グリードが徘徊する異界の中を平然と移動し、謎めいた言葉を投げかける。洸の事を以前から知っていたような言動を取り、彼が囚われた倉敷栞を追って忘却の遺跡に突入した際には、助言を与えてソウルデヴァイス、レイジングギアの発現を促した。 当初は洸以外の人間には見えていなかったようだが、神山温泉にて、時を止めたうえで、X.R.Cのメンバー達の前に姿を現す。異界を理想郷(ザナドゥ)と表現するなど、ネメシスやゾディアックにも知り得ない事柄を熟知している節があるが、その真意は謎に包まれている。

天堂 陽菜 (てんどう はるな)

人気アイドルグループ、SPIKAの初期メンバーを務めている少女。年齢は17歳。黒髪と清楚な雰囲気が魅力の正統派アイドルで、同じ初期メンバーである玖我山璃音や如月怜香とは、信頼し合える友人であると同時にセンターを争うライバルでもある。歌唱力もさる事ながら、演技力が抜群であるため、女優としてドラマや舞台などに出演もしており、そちらでも大きな人気を博している。 また、サイフォンなどで有名な大手企業のCMへの出演も決まっており、現在最もブレイクしているアイドルの一人ともいわれている。

如月 怜香 (きさらぎ れいか)

人気アイドルグループ、SPIKAの初期メンバーを務めている少女。年齢は17歳。同じく初期メンバーである天堂陽菜、および玖我山璃音とは、養成所時代から付き合いがある。メンバーの中では最も身長が高く、モデルとしても活躍しており、男性はもちろん、女性の支持者も非常に多い。自他共に厳しく、妥協をよしとしない性格であるため、時にはキツい事を言ってしまう事もあるが、それはSPIKAが誰一人欠けても成り立たない事を理解しているためである。 ブレードと呼ばれるカードゲームを好んでおり、その腕前はかなりのもの。

柚木 若葉 (ゆずき わかば)

人気アイドルグループ、SPIKAの2期メンバーを務めている少女。年齢は15歳。健気で気遣いもできる優しい性格の持ち主で、先輩である天堂陽菜、如月怜香、玖我山璃音を強く慕っている。その性格から、主に年上のファンからの人気を集めており、親しみを込めて「ワカバちゃん」と呼ばれる事が多い。また、同期メンバーである七瀬晶とは、外見も性格もまったく正反対といえるが、非常に仲がよく、先輩達のような立派なアイドルになる事を目標に、互いに切磋琢磨している。

七瀬 晶 (ななせ あきら)

人気アイドルグループ、SPIKAの2期メンバーを務めている少女。年齢は15歳。ボーイッシュな雰囲気を漂わせるショートカットの髪型をしている。運動神経が高く先輩達すら圧倒するほどのダンステクニックを誇る。口数が少なく、鋭いツッコミを入れる事もあるが、メンバーに対する信頼は確かで、玖我山璃音がグリムグリードの事件に巻き込まれて行方がわからなくなった時は、必死になって探し続けた。 また、同期メンバーである柚木若葉とは仲がいい。

モリマル

杜宮市で人気のご当地マスコットキャラ。市内には多くのファンが存在する。頭には、大木を象ったちょんまげが生えており、着物を着こなし腰には刀のようなアクセサリーを付けている事から、武士をイメージして造られたキャラクターと思われるが、モリマル本人は、自分の事を妖精だと言い張っているという。また、杜宮市発祥のアイドルであるSPIKAとコラボレーションをしており、その際には時坂洸が、アルバイトとして着ぐるみに入り、モリマルを演じていた。

ユキノ

レンガ小路にあるアンティーク屋「ルクルト」の店主を務めている女性。杜宮市のさまざまな店に顔が利き、時坂洸にアルバイトを斡旋している。つねに余裕を絶やさない性格で、洸に対して情報の提供を行う事も多い。また、ネメシスやゾディアックともつながりを持っており、異界やグリードに関する情報も定期的に獲得している。 その縁もあって、柊明日香や北都美月とは面識がある。

相沢 千秋 (あいざわ ちあき)

杜宮学園に通っている2年生の少女。女子空手部に所属しており、明るく面倒見のいい性格から、部長である寺田舞衣からは信頼され、新入部員だった郁島空からは慕われていた。また、時坂洸とも知り合いで、その性格から気が合う様子を見せていた。しかし、ある時から、空に対する対応が冷たいものになっていき、彼女を悩ませるようになっていく。 その理由は、次元の違い過ぎる実力を持つ空を見る事で、自分の無力さを思い知らされるためで、相沢千秋本人もそれが間違っている事だと思いつつも、どうすればいいのかわからないまま悩み続けていた。さらに、空を傷つける発言を行った事で自己嫌悪に陥り、そこをエルダーグリード、グレアファントムに目を付けられ、異界、月下の庭園に囚われてしまう。 しかし、駆けつけて来た洸や空によって助けられ、そこで空の思いに触れる事で、仲直りする事ができた。その後はプライベートでも親しくなり、先輩後輩の関係でありつつも友人として付き合っている。杜宮市が異界化してからは、グリードを倒せるように調整した手甲を受け取り、舞衣と共に住民達をグリードの手から守っている。

寺田 舞衣 (てらだ まい)

杜宮学園に通っている3年生の少女。女子空手部の部長を務めており、相沢千秋や郁島空からも信頼されている。空の資質については認めており、寺田舞衣本人はその事にコンプレックスを抱いていなかった。しかし、千秋が空に辛く当たりだすようになってからは、彼女達の対応に頭を悩ませており、無事に仲直りできた事を知った時は心から安堵していた。 杜宮市が異界化してからは、グリードを倒せるように調整した手甲を受け取り、千秋と共に住民達をグリードの手から守っている。

四宮 葵 (しのみや あおい)

四宮祐騎の姉。学芸員を務めている。弟をつねに気にかけており、特に父親と不仲である事を悩んでいた。また、高校1年生でありながら独り暮らしをしている彼に、時折サイフォンで連絡を取っているが、彼から連絡があった場合は3コール以内に必ず出るなど、少々行き過ぎている感もある。神様アプリの事件において、祐騎に事情を聞きに来た時坂洸達を偶然鉢合わせ、彼ら友人だと勘違いしてしまうなど、思い込みが激しい面もある。 このような性格から、祐騎からはやや鬱陶しいと思われていたが、エルダーグリード、アストラルウィドウに精神を奪われてしまった際には、心配するあまり全力で洸達に力を貸すなど、内心では大切に思われている。事件解決後は、柊明日香から記憶操作を受けてグリードの記憶を失うが、祐騎が学校に通うようになった事を喜び、洸達に祐騎となかよくしてもらえるよう頼み込んでいた。

雪村 京香 (ゆきむら きょうか)

北都美月の秘書を務めている女性。年齢は27歳。何事もそつなくこなす有能な人物で、杜宮市における美月の仕事を完璧にサポートしている。また、ゾディアックの一員として、異界やグリードに関する知識も備えており、有事の際には特殊な武器を使って、グリードと戦うために前線に立つ事もある。美月とは互いに信頼し合う仲で、彼女が悩んでいる際には、優しく見守ったりアドバイスをしたりしており、彼女からは自分の心の内を晒せる数少ない相手として慕われている。

戍井 彰宏 (いぬい あきひろ)

杜宮市を拠点に活動しているチーム、BLAZEの二代目リーダーを務める少年。年齢は17歳。BLAZEは、初代リーダーであった竜崎一馬がある事件で亡くなり、リーダーの片割れであった高幡志緒が解散を宣言していたが、突如新リーダーとして名乗りを上げ、チームを新たにまとめ上げて新生BLAZEとして活動を再開させた。 しかし、かつての弱者救済などの理念はまったくなくなっており、カツアゲや抗争などに手を染める不良グループとして名を挙げ始めており、さらにグループのメンバーが、素手でコンクリートを破壊するなどの常軌を逸した力を備え始めた事から、柊明日香には不審人物としてマークされ、かつての仲間だった志緒からも危険視されている。 さらに、どこからか入手したという特殊な薬物、HEATを使い、異界を開く力を獲得するに至り、これに伴い性格も狂暴化していく。かつては一馬と志緒と共にBLAZEで活躍していた好漢だったが、ある日「ケイオス」というチームに目をつけられ、人質として囚われてしまう。さらにそれがきっかけで一馬を失ってしまい、その事に対する強い自責の念と、ケイオスへの憎しみを抱くようになる。 その負の感情をエルダーグリード、ダークデルフィニウムに見込まれ、HEATをもたらされた事で、BLAZEを再編し、ケイオスへの復讐を果たそうとしていた。しかし、力を暴走させた事でダークデルフィニウムに異界、蒼醒めた廃墟に囚われてしまい、そこを志緒達に助けられた。 事件解決以降は、志緒の言葉を受ける事で改心し、鑑別所に送られていた。だが杜宮市が異界化し、鑑別所をグリードの群れに襲われたところを志緒に助けられ、グリードを倒すための武器である霊木の木刀を受け取り、かつてのBLAZEの仲間を率いて街をグリードから守っている。

竜崎 一馬 (りゅうざき かずま)

少年チームBLAZEの初代リーダー。孤児の出身で、ある施設で高幡志緒と出会い、友人となっていた。しかし、施設の院長が虐待騒ぎを起こした事で、志緒と共に脱走。二人で死に物狂いで働いていくうちに生活を軌道に乗せていき、二人と似たような境遇の人達を迎えて面倒を見るうちに、BLAZEというチームを作り上げていった。 さまざまな仕事を経験していくうちに広い人脈を持っており、北都美月とも親交があり、彼女を通じて北都グループからの依頼による仕事を受けていた事もあった。しかし、「ケイオス」と呼ばれるチームがBLAZEに一方的に抗争を仕掛けてきて、杜宮市に被害が及ばないように苦慮していたが、ある時、仲間だった戍井彰宏がケイオスに囚われ、志緒と二人で呼び出される。 何とか襲撃をはねのけ、彰宏の救出を果たしたものの、刃物による不意打ちを受けて、命を落としてしまう。竜崎一馬の死は、志緒と彰宏の心に深い影を落としている。

梧桐 英二 (ごとう えいじ)

杜宮市を拠点とする暴力団である「鷹羽組」の若頭を務めている男性。年齢は35歳。大柄な体格と、周囲を圧倒するような凄みを持っているが、仁義に反する事は決して許さない任侠派の人物で、組員からは広く慕われている。また、北都グループとも独自のつながりを持っており、北都美月の事をお嬢さんと呼び、彼女に一目置いている。 最近になって、鷹羽組の事務所の周辺で、BLAZEのメンバーが事件を起こしている事を問題視しており、彼らをそれとなく監視するようにしていた。しかし、ある時BLAZEのメンバーに組員が襲われ、ケガを負った事から強い警戒心を抱いていた。事件解決後は、美月の執りなしもあり、解散したBLAZEのメンバーへの責任を追及しない姿勢を取る。 また杜宮市が異界化してからは、グリードに効果がある特別な銃器をひっさげ、街の治安維持に動いている。

メネスオーガ

時坂洸が戦闘を行った最初のエルダーグリード。巨大な一つ目の鬼のような姿を持ち、忘却の遺跡を住処としている。倉敷栞を執拗に狙っており、彼女を自らの異界に引き寄せるが、それを追って来た洸および柊明日香と戦闘状態になる。レイジングギアの扱いに慣れていない洸を苦戦させるが、彼との戦いで生じたスキをついた明日香のクリミナルブランドを受ける事で消滅した。

ドレッドゴーレム

琥の小迷宮の主を担うエルダーグリード。岩の巨人のような姿をしている。郁島空を自らの異界に引き寄せ、捕食しようとしていたが、彼女の抵抗に遭い、その最中に時坂洸と柊明日香の接近を許してしまう。その巨体に見合ったパワーを誇り、明日香に攻撃を掠らせただけで吹き飛ばし、洸にも一撃を食らわせる。しかし、その攻撃はレイジングギアで防がれており、反撃として放たれたエクステンドギアを受け、粉々に砕かれた。

グレアファントム

月下の庭園の主を担うエルダーグリード。骨で形成された魔獣のような姿をしており、巨大な爪を使って攻撃を仕掛けてくる。人の心に付け込む事を得意としており、郁島空の途方もない才能に強いコンプレックスを抱き、さらに空を傷つけてしまった事で自己嫌悪に陥った相沢千秋に目をつけ、異界に引きずり込んで捕食しようとしていた。 しかし、月下の庭園の入り口を時坂洸と柊明日香、そして空に発見され、戦闘状態に陥る。しかし、千秋に対して自らの思いを伝える事で精神的に強くなった空の敵ではなく、彼女の手から放たれた風塵虎吼掌を受ける事で跡形もなく消滅した。

アストラルウィドウ

蜘蛛の型状を持つエルダーグリード。第弐霊子結界の主。精神を捕食する性質を持っており、ほかのエルダーグリードに囚われた四宮葵に目をつけ、その精神だけを自身の異界へと運び込んだ。このため、現実世界における葵の肉体が抜け殻のようになってしまう。また、導力ネットワークの中を自在に行き来する能力を持っており、四宮祐騎がアップデートした神様アプリを改ざんして人類に有害なデータに書き換えたり、ネット回線を通じて移動する事で、異界に通じる「門」を発見されにくくなるなど、さまざまな用途に活用された。 しかし、九重永遠の策によって「門」の場所を突き止められ、時坂洸達と、新たに適格者となった祐騎に追い詰められる。 最期は祐騎が放ったヴァリアブルメテオを受けて倒され、捕えていた葵の精神も無事に解放された。

ブレードレックス

竜の姿をしたエルダーグリード。堕竜の洞窟の主。杜宮市に異界を潜めていたものの、何らかの行動を起こしてはいなかったが、戍井彰宏がHEATの力を使った事で開かれた「門」に放り込まれた高幡志緒を発見し、襲い掛かって来た。しかし、ソウルデヴァイスを持っていないものの、ケンカ慣れしている志緒に苦戦してしまい、そのあいだに駆けつけて来た時坂洸達と戦闘になり、彼らの連携攻撃によって瞬殺させられた。

ダークデルフィニウム

植物の姿を模したエルダーグリード。蒼醒めた廃墟の主。戍井彰宏の持つ強い憎しみに着目し、異界、蒼醒めた廃墟へと招き入れ、そこに生えている植物を原料として、特殊な薬物であるHEATを作らせた。その力によって異界の「門」を開きやすくするが、ある時、彰宏が大量にHEATを服用した事で蒼醒めた廃墟への「門」が開いてしまい、引きずり込まれた彼を捕える。 そして、それを追って来た時坂洸達と、新たに適格者となった高幡志緒を一蹴しようと襲い掛かるが、四宮祐騎の射撃スキルであるラムダショットによってひるまされ、志緒の放ったクリムゾンレイドで一刀両断された。

五尾ノ霊獣 (ごびのれいじゅう)

レムの眷属と思しき巨大なキツネ型の獣。千古の霊域に生息している。「霊域の番人」の異名を持ち、真っ赤な4つの瞳と、5つの尻尾を持っている。グリードではないようだが、その力はエルダーグリードに匹敵しており、口から吐き出される炎のブレスは、広範囲をまとめて焼き払うほどの威力を持っている。X.R.Cのメンバー達の力を測るためとして彼女の手で召喚され、時坂洸達を大いに苦戦させた。 しかし、六人のソウルデヴァイスによるXストライクの連続攻撃を受ける事で倒される。

夕闇の使徒 (ゆうやみのしと)

東亰震災の引き金となったグリムグリード。巨大な影絵のような姿をしている。グリムグリードの中でもトップクラスの力と危険性を秘めており、杜宮市そのものを異界化させるという、途方もない能力を持ち、一時は杜宮市はおろか、東亰、ひいては日本そのものが壊滅するほどの被害が想定されていた。しかしネメシスやゾディアック、刻印騎士団の連合部隊と、さながら戦争と言える規模の激戦を繰り広げた結果、多数の犠牲を出しながらも殲滅された。 だが消滅間際に、時坂洸と、彼の側で致命傷を負っていた倉敷栞と遭遇。彼女を新たな依代にするべく、夕闇の使徒の本質である、事象を偽る力を使い、栞の死をなかった事にしたうえで、その中へと消えていった。

冥キ禍ノ神姫 (くらきわざわいのしんき)

倉敷栞の体内に眠る夕闇の使徒が覚醒する事で誕生した、最強のグリード。10年前、栞が一度死を迎えた際に夕闇の使徒によって蘇生されたが、時を経てその影響が現れ、完全に変質してしまう。それからは、夕闇の使徒の性質に突き動かされるように、杜宮市をまるごと異界に変えてしまうなどの途方もない力を見せるが、栞としての意識も残っており、大切な杜宮市を自らが消滅させてしまう前に、洸に討たれる事を願うようになる。

集団・組織

X.R.C

杜宮学園の適格者達が集う事で結成された異界対策コミュニティ。頻発する異界やグリードによる被害を抑えることが目的。部活動という形を取っており、時坂洸が部長を、九重永遠が顧問を務める。活動内容は、主に異界への「門」を発見し、その主であるエルダーグリードを倒して市民への被害を防ぐ事にある。 ネメシスの柊明日香や、ゾディアックの北都美月が所属している事から、部員は異界に対する知識も得られているが、エルダーグリードはおろか、半ば伝説の存在と知られているグリムグリードまでもが複数出現している状況は、二人からもはっきりと異常であると判断されている。そのため、ここ最近の杜宮市における、グリードの異常発生の原因究明も目標の一つに掲げられている。 現在は一つの部活程度のコミュニティでしかないため、ネメシスやゾディアック、刻印騎士団などから問題視はされておらず、対グリード用の戦力として認識されている。

ネメシス

異能のエージェントを多数抱えているという秘密結社。異界の「管理」というスタンスで、裏の世界で広く活動しており、魔術師や霊能力者、呪具職人など、広いネットワークを築いている。イギリスとアメリカに本部となる施設を置いているが、日本を含めて、いずれの国でもその存在を知るものはごくわずかとされる。ネメシスに見出された適格者は、希望する事で特殊な訓練が施され、ソウルデヴァイスの扱い、異界やグリードなどの知識を学ぶ事で、「執行者」と呼ばれる特殊なエージェントとして活動する事が許される。 柊明日香の両親もかつてネメシスの構成員だったが、グリードとの戦いで命を落としてしまい、彼らの遺志を継ぐように明日香自身も執行者となり、ネメシスの意向で杜宮市に派遣されている。

ゾディアック

70年前の技術革命以降、世界の経済と産業を主導してきた12の巨大企業による連合体。北都美月の実家である北都グループも、ここに属している。異界に関しても詳しく、これを「利用」するというスタンスで活動している。国家の枠組みを超えた影響力を持つが、表の世界における国家間の争いなどについては、基本的に不干渉を貫いている。 また、ゾディアックに所属している企業同士も、異界の調査に関しては協力を結んでいるが、異界にかかわる新エネルギーや素材、導力ネットワークやサイフォンなど、さまざまな分野でその技術を競っている。また、異界にかかわるトラブルを防止するため、ソウルデヴァイスを研究しつつ、適格者でなくても使える対グリード用の武器開発や、戦闘員の育成などにも携わっており、適格者である美月やグリードとの戦いに備えて訓練をしている雪村京香など、グリードと戦える人材も揃っているが、ネメシスや刻印騎士団には一歩譲っているとされる。 ネメシスとは基本的に協力関係にあるが、異界に関する技術を巡ってトラブルになる事も少なくない。

刻印騎士団 (くろのすおるでん)

宗教組織「聖霊教会」から派遣された騎士団。異界に対するスタンスは、ネメシスの「監視」でもゾディアックの「利用」でもなく、「封印」というもので、異界を発見した先からエルダーグリードを殲滅し、その「門」自体を破棄するのが主な任務とされている。所属する戦闘員は「刻印騎士」と呼ばれており、白い装束で全身を覆い隠しているため、その素顔を知る事は不可能とされている。 また、ソウルデヴァイスとは異なる、巨大な剣を武器として使用しており、その実力も訓練を積んだ適格者を大きく凌駕するといわれている。

SPIKA (すぴか)

若者に絶大な人気を誇る、五人組の女性アイドルグループ。本格的な歌唱力とダンスから、アイドル業界のみならず、ミュージックシーンでも注目を集めている。当初は天堂陽菜、如月怜香、玖我山璃音の三人グループとして始まったが、1年前から2期メンバーとして柚木若葉と七瀬晶が加入した事で、さらに高い人気を集めるようになった。 また陽菜は舞台やドラマの女優として、怜香はモデルとしても活躍しており、年齢や性別にかかわらず、さらに多数のファンを擁するようになった。初期メンバー達は、それぞれ多忙な生活を送っており、プライベートでの交流は減ってしまっているが、仲のよさは変わっておらず、辛い時は常に励まし合っている。2期メンバーの二人も公私にわたって仲がよく、先輩達に追いつく事を目標に日々努力を重ねている。 璃音がグリムグリードの影響で窮地に陥った時も、必死に彼女を元気づけて、事件の解決のきっかけの一つとして機能した。

BLAZE (ぶれいず)

杜宮市内で活動している少年グループ。事件を起こした施設から脱走した竜崎一馬と高幡志緒が、拠り所のない子供達を迎えた事で結成された。不良という認識こそあるものの、決して犯罪などには手を染めず、チンピラに絡まれた中学生を助けたり、市民を脅かすヤンキーを退治したりと、治安維持に大きく貢献していた。しかし、東亰最大の不良チームである「ケイオス」に一方的に抗争を仕掛けられ、杜宮市を守るためにケンカに明け暮れる事になり、その最中に発生した事件で一馬が命を落としてしまい、残された志緒もチームの解散を宣言した。 だが当時No.3だった戍井彰宏が再結成し、かつての面影をまったく見せない悪質なチームとして生まれ変わってしまう。しかし、彰宏を利用していたエルダーグリード、ダークデルフィニウムが時坂洸や志緒達によって討伐され、志緒が彰宏を叱咤した事で、再び解散した。

場所

杜宮市 (もりみやし)

東亰郊外にある、人口約40万人の中核都市。大規模な商業地区に加えて、副都心的な官公庁、オフィス街があるほか、昔ながらの街並みや歴史的な建物が保全されている地区も存在する。交通機関は、杜宮駅に国鉄や私鉄を含めた3路線の鉄道が通っているほか、8年前から新都市交通システムのモノレールが運行されている。10年前に東亰震災の被害を受けたが、無事に復興を遂げている。 しかし最近になって、異界やグリードが異常発生しており、さらに伝説の存在であるとされるグリムグリードまでが多数現れ、再び混乱の兆しを見せつつある。そのため、ネメシスやゾディアック、刻印騎士団などが秘密裏に調査を進めており、さらに、ソウルデヴァイスの適格者として覚醒した市民も複数確認されている。

杜宮学園 (もりみやがくえん)

杜宮市内に存在する男女共学制の高等学校。時坂洸や柊明日香などが通っている。市の中心地である駅前広場から徒歩圏内に位置しているなど立地条件もいい。生徒会長を務めている北都美月は、ゾディアックの一角である北都グループの令嬢であるほか、ネメシスから明日香、刻印騎士団からは小日向純が派遣されているなど、表向きには知られていないが、異界にかかわる人物が多く所属している。 さらに頻発している異界がらみの事件によって、洸や郁島空、四宮祐騎、高幡志緒、玖我山璃音など、多数の生徒がソウルデヴァイスの適格者として覚醒しており、のちに異界対策コミュニティであるX.R.Cが立ち上げられ、それぞれの組織からさらに注目されるようになっている。

駅前広場 (えきまえひろば)

杜宮市の中心部に位置する公共スペース。交通機関の要所である杜宮駅を中心とした駅ビルとつながっており、杜宮市のアクセスポイントとして、昼夜問わず多くの市民が行き交っている。広場の中央に存在するアーチ状のモニュメントは、広場シンボルマークになっており、待ち合わせスポットとして人気も高い。サイフォン、ゲーム機、音楽CDを多数扱う量販店「スターカメラ」や、倉敷栞の父親が店長を務めている「オリオン書房」などもあり、杜宮学園の生徒が放課後に立ち寄る事も多いとされる。

杜宮商店街 (もりみやしょうてんがい)

杜宮市の一角に位置する、昔ながらの面影を残す地域密着型の商店街。入り口には時代を感じさせるアーチが立っており、そこを潜るとメインストリートとの両脇に八百屋やぜい肉店、金物、鍛冶屋、スポーツ用品店など数々の商店が軒を連ねており、この商店街で生活必需品の一通りが揃うため、主に主婦などによって賑わっている事が多い。伊吹遼太の実家である八百屋もこの商店街にあり、時坂洸もアルバイトのために、よくこの商店街を訪れている。

九重神社 (ここのえじんじゃ)

九重宗介が神主を務めている神社。東亰の中でも古い歴史を持つ。周囲が木に囲まれており、古めかしいながらも神聖な雰囲気を強く感じさせられるため、杜宮市民からの人気は非常に高く、さまざまな願いや悩みなどを持つ参拝客が日々訪れている。敷地の外れには、宗介が孫娘の九重永遠と共に暮らす九重家があり、併設されている九重道場には、宗介が教えている九重流柔術を学ぶ人々が訪れているほか、永遠の従姉弟である時坂洸や、三人の知り合いである郁島空が時折稽古に訪れている。

レンガ小路 (れんがこみち)

駅前広場の近くに位置する西洋風の通り。レトロながらもしゃれた雰囲気が魅力で、杜宮市の穴場として幅広い年齢層から注目を集めている。柊明日香が住まわせてもらっている喫茶店「壱七珈琲店」や、最先端のファッションを取り扱うブティック「ノマド」、時坂洸がアルバイトを斡旋してもらっているユキノが店主を務めるアンティークショップ「ルクルト」、学芸員である四宮葵の仕事先の一つであるギャラリー「クレイドル」などが立ち並んでいる。

アクロスタワー

3年前に竣工した、杜宮市のランドマークとして広く知られている施設。建設には東亰都や北都グループも協力している。館内には、1Fに「アクロスショップ」や、10Fに「杜宮市立美術館」など、さまざまな商業、文化施設が入っており、20Fの「アクロスシアター」では、デビュー3周年を迎えるSPIKAの記念ライブが行われた。 さらに、スカイラウンジでは杜宮市を一望する事が可能で、その眺めのよさから連日多くの観光客が訪れている。

七星モール (ななほしもーる)

杜宮市に存在する、2階建ての複合施設。グリードと戦うために役立つような防具などを揃えるミリタリーショップ「トガシ」や、コスプレ用品を扱う「ピクシス」、アニメ関連グッズを販売している「アニメイト杜宮店」などの店が並んでおり、若者からは「サブカルといえば七星」ともっぱらの評判である。また、導力ネットワークを管理するサーバールームが存在しているが、四宮葵の精神を奪い取ったエルダーグリード、アストラルウィドウが回線を使って逃げ込み、この場所に異界、第弐霊子結界の「門」を形成している。

蓬莱町 (ほうらいちょう)

杜宮市最大の歓楽街。時坂洸がアルバイトをしており、佐伯吾郎も愛用しているカフェバー「N」や、質屋「大黒堂」、ゲームセンター「オアシス」などといった店が並んでおり、主に夜に賑わいを見せている。反面、暴力団「鷹羽組」の事務所があり、最近ではBLAZEのメンバーがたむろしているため、警戒する若者も多く、人通りは減少傾向にある。

杜宮記念公園 (もりみやきねんこうえん)

杜宮市の西部に位置する自然豊かな公園。中央にある大きな池を囲うように遊歩道が設置されており、ランニングコースやデートスポット、市民の憩いの場として利用されている。池は貸しボートを楽しむ事ができ、オープンカフェやクレープ屋台などといった飲食施設も存在する。また、付近には大きなマンションが存在しており、そこでは小日向純や四宮祐騎などが暮らしている。

神山温泉 (かみやまおんせん)

杜宮市の北東、県境に位置する「神山」と呼ばれる山のふもとにある温泉旅館。湧き出る温泉は名湯として知られており、パワースポットとしても有名。旅館の中も、モダンなロビーや趣のある中庭、別館である「星見荘」に温泉をつねに楽しめる露天風呂「月の湯」など、施設も充実しており、県外から訪れる客も多い。グリムグリードの脅威を退けたX.R.Cのメンバーが旅行のために訪れており、そこには偶然ながら佐伯吾郎やSPIKAのメンバーなどもおり、共に温泉を楽しんだ。 しかしその夜、レムの干渉によって裏の祠に呼び寄せられ、さらにそこから異界、千古の霊域へと招かれてしまう。

異界 (いかい)

現実とは異なる空間で、迷宮のような形をしている。中にはグリードと呼ばれる怪物のような存在が徘徊しており、人間にとっては非常に危険な場所とされている。その奥にはエルダーグリードと呼ばれる強力なグリードが存在し、それを殲滅する事で脅威が取り除かれる。多くの場合、一般人が異界を認識する事ができず、原因不明の事件や不可思議な自然災害、都市伝説や怪談などで処理される事が多い。 しかし、異界とかかわる事でソウルデヴァイスと呼ばれる武器を生み出す事ができる適格者や、ネメシス、ゾディアック、刻印騎士団など、異界の存在を認識し、その対応策を持つ組織なども存在し、異界ゆかりの技術によって秘密裏に文明が発展していたりなど、有益な側面も少なくない。 レムはこの世界を理想郷(ザナドゥ)と呼んでいるが、その真意は明らかにされていない。ちなみに、大抵の異界は現実世界で何らかの事象が起こる事で、「門」(ゲート)と呼ばれる扉を介して現れる事が多いが、グリムグリードのような強力なグリードは、逆に現実世界を異界に変化させる事ができるとされる。 なお、異界が現実世界とつながったり、現実世界が異界に変化する事を異界化(イクリプス)という。

忘却の遺跡 (ぼうきゃくのいせき)

レンガ小路に現れた「門」を介して、現実世界とつながった異界の一つ。焔属性や風属性のグリードが多く徘徊しており、その奥にはエルダーグリード、メネスオーガが、倉敷栞を捕えて待ち構えていた。その名の通り、石造りの遺跡のような外観をしているが、内部構造は単純で、グリードとの戦いに慣れている柊明日香はもちろん、時坂洸もさしたる苦戦をせずに最奥までたどり着いている。 そして、明日香の手によってメネスオーガが討伐された事により、異界化は収まり、栞も救出された。

琥の小迷宮 (このしょうめいきゅう)

杜宮商店街に現れた「門」を介して、現実世界とつながった異界の一つ。忘却の遺跡で見られた、焔属性や風属性のグリードのほか、新たに鋼の属性を持つグリードも多く徘徊している。黄土色のブロックで構成された迷宮のような外観をしている。その奥では、エルダーグリード、ドレッドゴーレムが、引き込んだ郁島空と戦っていた。 ソウルデヴァイスを持たない空は返り討ちに遭ってしまうが、そこに駆けつけた時坂洸と柊明日香がドレッドゴーレムを倒す事により、異界化は収束した。

月下の庭園 (げっかのていえん)

杜宮記念公園に現れた「門」を介して、現実世界とつながった異界の一つ。主に鋼属性を持つグリードが多く徘徊している。忘却の遺跡や琥の小迷宮とは異なり、空が見える庭園のような外観をしており、ところどころに銀色の葉を茂らせた木が生えているほか、空には巨大な月が浮かんでいる。また、道の途中にいくつか水路が流れており、進行を妨げる仕掛けになっている。 その最奥には、相沢千秋を捕らえたエルダーグリード、グレアファントムが、追撃して来た時坂洸達を待ち構えていたが、千秋を助けるために奮闘する郁島空に倒され、異界化は収束し、千秋も無事に救出された。

第弐霊子結界 (だいにれいしけっかい)

七星モールのサーバールームに現れた「門」を介して、現実世界とつながった異界の一つ。風属性と霊属性を持つグリードが多く徘徊している。かつて時坂洸達が攻略した異界とは異なり、機械的な雰囲気を持っており、四宮祐騎は、導力ネットの内部のような世界だと表現している。その最奥には、四宮葵の精神を奪い取ったエルダーグリード、アストラルウィドウが潜んでいたが、洸達によって倒された事で異界化が収束し、精神を失い昏睡状態だった葵も無事に目を覚ましている。

堕竜の洞窟 (だりゅうのどうくつ)

戍井彰宏の手によって蓬莱町に現れた「門」を介して、現実世界とつながった異界の一つ。名前の通り洞窟のような外観をしており、道中には毒性を含んだ沼地などが存在し、侵入者の行く手を阻んでいる。その奥では、エルダーグリード、ブレードレックスが、彰宏によってこの異界に落とされた高幡志緒と戦っていたが、ソウルデヴァイスがないため決定打に欠けていた彼に代わり、時坂洸達が打ち果たす。 その結果、ほかと同様に異界化は収束している。

蒼醒めた廃墟 (あおざめたはいきょ)

杜宮市の廃工場に現れた「門」を介して、現実世界とつながった異界の一つ。忘却の遺跡同様、石造りの建物のような外観をしているが、そのいたるところに蒼い光を放つ植物が生えており、これらがHEATの原料となっていた。強力なグリードが多数徘徊しているが、攻撃力に優れた高幡志緒を加えた時坂洸達の敵ではなく、たちまち最奥まで突破されていく。 そこには、エルダーグリード、ダークデルフィニウムが、戍井彰宏を捕らえて待っていたが、志緒の手によって討ち取られた事で異界化は収束し、彰宏も無事に保護された。

千古の霊域 (せんこのれいいき)

神山温泉の裏手の祠にレムが開いた「門」を介して、現実世界とつながった異界の一つ。堕竜の洞窟のように、洞穴のような外観をしているが、その内部には多数の鳥居が存在しており、ほかの異界にはない神聖な雰囲気が感じられる。その最奥にはレムが待っており、時坂洸達の前に現れると、眷属と思しき獣である五尾ノ霊獣をけしかけてくるが、力を合わせた洸達によって討伐されると、いつの間にか元の空間に戻っており、レムに止められていた時も動き出していた。

災厄の匣 (ぱんどら)

杜宮市が異界化した事によって、その中心部に現れた謎の巨大建造物。かつて時坂洸達が攻略してきたどの異界よりも広大な難所で、狭間の道、境界の道、幽世の道、輪廻の道、最終回廊の5エリアに分かれている。最終回廊の奥には、冥キ禍ノ神姫と化した倉敷栞がおり、さまざまな思いを胸に洸達が訪れる時を待っている。

イベント・出来事

東亰震災 (とうきょうしんさい)

10年ほど前に東亰で発生した、巨大地震を始めとした気象異常と、それに伴う大災害の通称。2005年3月15日、午前11時38分、雲一つなかった空が前触れもなく緋色に染まり、その直後マグニチュード7.5の巨大地震が東亰全域を襲う。断続的に余震が続く中、地震に伴う火災や、地中で発生した毒性のガスに加えて、竜巻、落雷、寒波などの局地災害が各地で発生した。 死者2万2000人、行方不明者7000人という大きな被害を生み出し、首都圏への大きなダメージに日本中が恐慌状態に陥ったが、5年にわたる集中復興計画によって都市のインフラが災害発生前より強化され、現在ではその傷跡はほぼ見られない。しかし、実際は自然災害ではなく、グリムグリード、夕闇の使徒が顕現した事で発生しており、ネメシスやゾディアックなど、異界を知る者達からは「東亰冥災」の名前で現在も恐れられている。 杜宮市でも異界やエルダーグリードが異常発生し、さらに複数のグリムグリードが現れた事から、近いうちに再び東亰震災に匹敵する災害が起こるのではないかと危惧されている。

その他キーワード

ソウルデヴァイス

異界とかかわり、適格者として覚醒した人物が発現させる特殊な兵装。形状は千差万別で、同じものは存在しないとされている。現実世界には存在しない特殊な素材で構成されており、グリードに対して有効なダメージを与えられるという特質を持つ。また、所有者の身体能力を増幅させる働きを持っており、遠くの敵へ攻撃する「射撃スキル」や、所有者を滞空させる「飛翔スキル」、力を込めて攻撃する事で回りの敵を一気に薙ぎ払ったり、巨大な障害物を破壊できる「剛撃スキル」など、さまざまな攻撃を繰り出す事ができる。 さらに、中心部にはマスターコアと呼ばれるアタッチメントをセットするスロットが存在しており、これを付け替える事で、「焔」「霊」「鋼」「風」「影」のいずれかの属性を得られる。 これらの属性には相性が存在し、効率よく使う事でグリードの弱点を突く事が可能になっている。なお、ソウルデヴァイスを顕現できるのは異界の中のみで、現実世界ではサイフォンのアプリに擬態している。

レイジングギア

時坂洸が使用する蛇腹剣型のソウルデヴァイス。忘却の遺跡で倉敷栞が危機に陥った際に、レムの呼びかけに応える形で発現した。初期属性は「焔」だが、マスターコアを付け替える事で、すべての属性に変化させられる。近距離においては、連結された刃を鞭のように振るったり、まっすぐに伸ばす事で敵を刺突する戦法などを得意とし、遠距離の敵に対しては、射撃スキルである「スティンガー」を使い、衝撃波をまとった剣先を飛ばす事で攻撃を仕掛けられる。

エクセリオンハーツ

柊明日香が使用する片手剣型のソウルデヴァイス。初期属性は「霊」だが、マスターコアを付け替える事で、「影」属性に変化させる事ができる。切り裂いたり、突き刺したりと、多彩な攻撃を仕掛けられるが、レイジングギアと比べるとリーチが短いという欠点がある。しかし、射撃スキルである「スプラッシュアロー」は、同時に4つ以上のエネルギーを飛ばすという特性を持っており、威力や命中精度に優れている。 明日香はこのソウルデヴァイスを幼い頃に発現しており、執行者としての任務において、エクセリオンハーツを用いて幾多の異界を攻略しているため、扱いに慣れており、そのスペックを最大限に発揮させられる。

ヴァリアントアーム

郁島空が使用する手甲型のソウルデヴァイス。月下の庭園に突入する際に、相沢千秋を救いたいという強い思いから発現した。初期属性は「風」だが、マスターコアを付け替える事で、「鋼」属性に変化させる事ができる。手甲型ではあるが、身体全体を強化する特性を持っているようで、蹴り技などでもグリードに大きなダメージを与えられるようになっている。 持ち前の武術を活かした連続攻撃のほか、高くジャンプして、前方に素早い飛び蹴りを繰り出す飛翔スキル「天翔脚」や、右腕に力を溜めて一気に解き放ち、正面の敵に叩きつける剛撃スキル「轟雷撃」などを用いる事で、近距離戦において無類の強さを発揮する。

カルバリーメイス

四宮祐騎が使用するハンマー型のソウルデヴァイス。第弐霊子結界に囚われた四宮葵の精神の無事を強く祈った際に発現した。初期属性は「鋼」だが、マスターコアを付け替える事で、「霊」属性に変化させる事ができる。殴りつける事でグリードにダメージを与えられるほか、「霊子殻」と呼ばれる、飛行する球形のデヴァイスがオプションとして付属しており、射撃スキル「ラムダショット」を用いる事で、祐騎が指定したグリードに攻撃を仕掛けたり、飛翔スキルである「イデアルアタック」でバリアを展開させるなど、多種多様な使い方が可能となっている。

ミスティックノード

北都美月が使用する片手杖型のソウルデヴァイス。初期属性は「影」だが、マスターコアを付け替える事で、「焔」属性に変化させる事ができる。振るう事で複数の魔法の弾を発射し、離れた距離にいるグリードに攻撃を仕掛けられる。剣の形に収束した魔力を連続して打ち出す射撃スキルの「イノセントエッジ」は強烈な破壊力を持ち、剛撃スキルの「ハーミットシェル」は、身の回りに結界を展開してグリードの攻撃を防いだり、異界における人体に有害な瘴気を無効化するなど、攻守にわたって役立つソウルデヴァイスとして仕上がっている。 柊明日香同様、美月も昔にこのソウルデヴァイスを発現しており、ゾディアックの技術部で定期的にメンテナンスをしてもらっている。

ヴォーパルウェポン

高幡志緒が使用する重剣型のソウルデヴァイス。異界ゆかりのドラッグであるHEATの影響で道を踏み外してしまった、戍井彰宏を救い出したいという強い思いによって発現した。初期属性は「焔」だが、マスターコアを付け替える事で、「風」属性に変化させる事ができる。大振りで隙が大きいが、攻撃範囲が広いうえに威力も高く、一振りで複数のグリードを薙ぎ払う事も可能。 また、刃を振り下ろしながら突進する飛翔スキル「ブラストエッジ」や、回転するように刃を振るって、広範囲に衝撃波を生み出す剛撃スキル「イグニスブレイク」は、立ちふさがるグリードの大軍を蹴散らすほどの威力を誇る。

セラフィムレイヤー

玖我山璃音が使用する翼状のソウルデヴァイス。初期属性は「風」だが、マスターコアを付け替える事で、「霊」属性に変化させる事ができる。低空ながら飛行が可能で、璃音が自ら回転する事で翼を振るい、周囲のグリードを薙ぎ払う事ができる。また、翼にはレーザーの発射口が6門備わっており、射撃スキル「ブリリアントレイ」を使う際に用いられる。 腕ではなく身体全体を使って攻撃を仕掛けるため、ダンスが得意なアイドルである璃音にうってつけのソウルデヴァイスといえる。

アーク=トリニティ

佐伯吾郎が使用する銃剣型のソウルデヴァイス。初期属性は「鋼」だが、マスターコアを付け替える事で、「焔」属性に変化させる事ができる。用途に応じて変形するという特徴があり、近接攻撃を仕掛ける際には槍の形が取られ、遠距離にいるグリードを攻撃する際にはライフルのような形態になる。ライフルから収束した粒子を発射する射撃スキル「フォースバレット」や、刺突槍の形態で突撃する飛翔スキル「バーストランサー」など、総じて破壊力に特化された攻撃を得意としている。

サイフォン

10年程前から普及し始めた個人用情報端末。通話はもちろん、ほかにも高度な情報サービスを多数利用可能になっている。SNSやゲームといったアプリなども充実しており、四宮祐騎が開発した神様アプリなども、サイフォンに対応したものである。所有者の生体情報を認証し、同期する機能も搭載されており、それを利用したサービスやセキュリティシステムなども開発されている。 さらに、適格者として覚醒した人間のサイフォンには、自動的に電子化したソウルデヴァイスがアプリとして登録される。

HEAT (ひーと)

最近になって、宮市に蔓延するようになったタブレット状の薬品。主にBLAZEのメンバーによって利用されている。服用すると、殴るだけで数メートル吹き飛ばすような超人的な身体能力を発揮できる。さらに定期的に服用し続けると、異界の「門」を自らの意思で作り出す事すら可能になるという。ただし、精神が狂暴化してしまうという副作用があり、戍井彰宏はこれを使う事で徐々に歪んでいってしまっていた。 その正体は、エルダーグリード、ダークデルフィニウムによってもたらされたもので、現実世界には存在しえない原料が使われている。いわば異界の薬品という事で、柊明日香からは「異界ドラッグ」と呼称されている。

グリード

異界の中を徘徊する正体不明の敵性存在。「怪異」と表現される事もある。種類や形状はさまざまだが、成長や生殖といった生命活動は確認されず、霊的な存在とも、何者かに創造された異次元生物ともいわれている。ほとんどの個体が人類に対して攻撃的で、霊的措置が取られていない武器などでは、傷一つ付ける事ができないとされる。そのため、郁島空のように武術を嗜んでいたり、高幡志緒のようにケンカ慣れをしている人間なら、ある程度対抗する事ができるが、ソウルデヴァイスなどの特殊な武器がなければ消滅させる事ができないため、いずれ力尽きて捕食されてしまう。 逆に言えば、霊的措置がなされた武器さえあれば、適格者でなくても倒す事が可能で、杜宮市が異界化した事でグリードが発生してからは、霊木を削って作られた木刀や、刻印騎士団によって聖別された銀の弾丸を用いた銃などが用意され、市民達に広く流通し、発生するグリードを打倒する一助となっている。

エルダーグリード

異界の主として君臨するグリード。通常のグリードより大柄で、彼らとは比較にならないほど強力な戦闘能力を誇る。「門」が開かれる事で、現実世界の人間に干渉できるようになるが、エルダーグリード自らの力では、自由に門を開く事はできない。そのため、現実世界に間接的に干渉し、人間の感情の揺らぎによって門を開かせようと考えているエルダーグリードもいる。 第弐霊子結界の主であるアストラルウィドウは、神様アプリを利用する事で門を開きやすくし、蒼醒めた廃墟の主であるダークデルフィニウムは、戍井彰宏の復讐心を利用して、HEATを作らせる事で、彼に門を開かせようとしていた。なお、エルダーグリードが倒されても、彼らが統べていた異界自体は残るが、門が開く事はなくなり、人間が引きずり込まれる事もなくなるため、実質的に無害になる。

グリムグリード

エルダーグリードを遥かに超える力を持つグリード。戦闘能力のない一般人でも視認可能な異界を作り出す事ができ、学校のような巨大な建築物を、そのまま自分自身の支配する異界に作り替えたり、街全体を異界に変えてしまうなど、非常に危険な存在である。ネメシスやゾディアック、刻印騎士団などの対抗組織ですら恐れるほどの強大な力を行使する事が可能で、ある個体が、かつて一つの村を一夜にして全滅に追い込んだという記録が残っている。 一方、その個体数は非常に少なく、半ば伝説に近い存在とされており、柊明日香や北都美月も、杜宮市で実際に戦う事になるまでは、グリムグリードを実際に見た経験はなかったという。しかし、杜宮市には複数のグリムグリードが立て続けに発生するようになり、異界にかかわる組織からは明らかな異常事態として強く警戒されている。

適格者 (てきかくしゃ)

異界とかかわる事で、ソウルデヴァイスを発現させた人間の事を指す。ネメシスやゾディアックで用いられている用語。適格者として覚醒すると、ソウルデヴァイスを用いてグリードを殲滅できるほか、異界と現実世界をつなぐ「門」を視認できるようになる。覚醒するための明確な条件は判明していないが、時坂洸や郁島空など、X.R.Cに所属する適格者達は、誰かを守ろうとする強い意志を働かせた際に、ソウルデヴァイスを発現させている。

導力ネットワーク (どうりょくねっとわーく)

20年前にゾディアックで提唱され、アメリカと日本でテストされる形で瞬く間に広まっていた情報処理ネットワークシステム。現在では世界各国で普及しており、サイフォンの通話などにも用いられているなど、社会インフラとして必要不可欠な存在となっている。その基本アーキテクチャには不可思議な点があり、ゾディアックのほかにネメシスも開発に何らかの寄与を施しているため、異界ゆかりのテクノロジーではないかと推測されている。

神様アプリ (かみさまあぷり)

四宮祐騎が開発した、サイフォンに対応している占い用のアプリケーション。正式名称は「神様のいうとおり」だが、愛用している人達からは、もっぱら神様アプリと呼ばれている。かわいらしいキャラクターが本格的な運勢の診断や、悩みの解決などを行う事から、主に若者から高い人気を集めており、そのブームは杜宮学園にも波及している。 伊吹遼太もこのアプリの愛用者で、友人である時坂洸や倉敷栞らにも喧伝していたが、ある時エルダーグリード、アストラルウィドウによって悪用されてしまい、このアプリを使う事で事故が発生するようになってしまう。

Xストライク

適格者が戦いの中で高めた闘気を、ソウルデヴァイスを振るう事で一気に解放する必殺技。効果は適格者およびソウルデヴァイスによってそれぞれ異なっているが、いずれも非常に高い威力を誇り、エルダーグリードにすら大きなダメージを与える事ができる。また、複数の適格者が同時にXストライクを撃つ事で、その効果を高める事も可能で、これをストライクチェインと呼ぶ。

エクステンドギア

時坂洸が、ソウルデヴァイス、レイジングギアを用いて放つXストライク。刃に炎をまとわせたまま、鞭のようにしならせながら敵を滅多切りにし、剣先のアンカーを巨大化させて撃ち込む事でトドメを刺す大技。琥の小迷宮にて、エルダーグリード、ドレッドゴーレムに向けて使用され、その硬い身体を粉々に粉砕した。

クリミナルブランド

柊明日香が、ソウルデヴァイス、エクセリオンハーツを用いて放つXストライク。切っ先に氷の闘気をまとわせせ、刺突と斬撃を織り交ぜた連続攻撃を繰り出したあと、上空から巨大化させたエクセリオンハーツを投げつけ、闘気を爆発させる。爆発した闘気は青白い花のような美しい形になるが、これを受けたグリードが跡形もなく消え失せる事も少なくない。 忘却の遺跡にて、エルダーグリード、メネスオーガを撃破する際に使用された。

風塵虎吼掌 (ふうじんここうしょう)

郁島空が、ソウルデヴァイス、ヴァリアントアームを用いて放つXストライク。ソウルデヴァイスから分身を生み出し、共に高速で敵グリードに接近。連続して攻撃を仕掛け、圧縮した風の闘気を両手のあいだから光線のように放つ。月下の庭園にて、エルダーグリード、グレアファントムに対して使用され、全身にヒビが入るほどの致命傷を与えた。

ヴァリアブルメテオ

四宮祐騎が、ソウルデヴァイス、カルバリーメイスを用いて放つXストライク。霊子殻を分裂させ、四方八方から同時に攻撃を仕掛け、さらにそれらを融合させて巨大な霊子殻に変化させ、隕石のように上空から落下させる。第弐霊子結界において、エルダーグリード、アストラルウィドウに放たれ、その巨大な身体を叩き潰す事で粉砕した。

カオス・エルドラド (かおすえるどらど)

北都美月が、ソウルデヴァイス、ミスティックノードを用いて放つXストライク。ミスティックノードを振るって、光を思わせる白い魔法弾と、闇を彷彿させる黒い魔法弾を、それぞれ複数召喚。敵グリード目掛けて撃ち込み、最後に白と黒の魔法弾を融合させる事で金色の巨大な弾を作り上げ、トドメの一撃として発射する。千古の霊域において、五尾ノ霊獣に対してX.R.Cのほかのメンバーと共に撃ち込まれた。

クリムゾンレイド

高幡志緒が、ソウルデヴァイス、ヴォーパルウェポンを用いて放つXストライク。炎の闘気をまとったヴォーパルウェポンで横薙ぎに切り裂いて、構えたまま上空に跳躍。敵に向けて突進しつつ、地面にヴォーパルウェポンを叩きつけて大爆発を引き起こす。蒼醒めた廃墟での戦いで、エルダーグリード、ダークデルフィニウムに対して使用された時は、先に四宮祐騎が弱らせていた影響もあり、一刀両断にしつつ炎で焼き払う事で決定打を与えた。

記憶操作 (きおくそうさ)

柊明日香が使用する、ネメシスゆかりの特殊能力。その名のとおり、対象の記憶を部分的に操作するもので、一般人がグリードや異界に遭遇する事によるパニックを抑えるために使用される。ただし、適格者の資質を持つ者には効果が薄い場合が多く、その場の記憶を消去しても、近いうちに記憶がよみがえる傾向にある。また、高幡志緒のように、まったく効果がない相手も稀に存在する。

クレジット

原作

日本ファルコム

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