響~小説家になる方法~

響~小説家になる方法~

天才的な小説の才能を持つが、非常識な性格の女子高生の鮎食響が、周囲の人々に大きな影響を与え、騒動を巻き起こす姿を描いた青春小説。小学館「ビッグコミックスペリオール」2014年18号から2019年21号まで連載。2018年『響 -HIBIKI-』のタイトルで実写映画化。「マンガ大賞2017」大賞、第64回「小学館漫画賞」一般向け部門受賞。

正式名称
響~小説家になる方法~
ふりがな
ひびき しょうせつかになるほうほう
作者
ジャンル
青春
レーベル
ビッグ コミックス(小学館)
巻数
既刊13巻
関連商品
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あらすじ

第1巻

ある日、小説誌「木蓮」の新人賞宛に届いた、とある原稿を読んだ編集者の花井ふみは、その作品に圧倒されてしまう。ネット応募以外では受け付けていない「木蓮」新人賞に、直筆で送られてきたその原稿のタイトルは「お伽の庭」。「鮎喰響」という著者名以外の情報がわからないが、圧倒的な世界観と死生観に惚れ込んだ花井は、作者とコンタクトを取れない事を嘆きつつも、無理やり応募要項に沿うよう体裁を整え、応募作として受領してしまう。

ちょうどその頃、他人とコミュニケーションを取る事が苦手な15歳の少女、鮎喰響は、高校の入学式を迎え、幼なじみの椿涼太郎と同じクラスになった事に安堵していた。高校生になったのだから、きちんと周りとかかわりを持てと涼太郎には叱責されるが、大の本好きの響は寝ても覚めても読書に夢中で、涼太郎の言葉に耳を傾けようとしない。文芸部への入部を決めた響は、文芸部部長の祖父江sofia凛夏や、入部時に絡んできた上級生の塩崎隆也、ライトノベル好きの同級生、関口花代子、そして自分に付き合って入部してくれた涼太郎らと共に部誌を作る事になる。マイペースで暴力的だが、いつも堂々としていて自分を曲げない響に興味を抱いていた凛夏は、そこで響の書いた小説を目にし、その文才に圧倒される事になる。

第2巻

鮎喰響ら文芸部員が制作した部誌は、市の図書館に置かれる事となった。偶然、それを手にした作家の中原愛佳は、響の書いた短編小説「千年楼」を読んで驚愕する。文芸賞を取って文壇デビューしたものの、2作目の本の売り上げが振るわず、作家引退の危機に立たされていた中原は、本物の才能を目の当たりにした事で自分の現実を直視し、清々しい気分で筆を折る事を決意する。響はプロ作家に作品を褒められた事に喜ぶが、祖父江sofia凛夏の作家になりたいかという問いには、まだわからないとクールな言葉を返す。

そんなある日、響達文芸部員は凛夏の家に遊びに行く事になった。大作家の祖父江秋人を父親に持つ凛夏の家はものすごい豪邸で、興奮した響は、立ち入り禁止と言われていた秋人の書斎に忍び込んでしまう。そこで響は、留守中の秋人の原稿を取りにやって来た小論社の編集者、花井ふみと鉢合わせする。響の破天荒なまでのマイペースぶりに呆れた花井は、どういう小説を書くのか見てみたいと、響達の制作した部誌を持って帰る事にする。帰りの電車で部誌を開いた花井は、そこに探していた「鮎喰響」の名前を見つけて歓喜。響の通う北瀬戸高校へ侵入するという無謀な行動を敢行し、響とのコネクションを作る事に成功する。

後日、花井について小論社を訪れた響は、付き添いで来ていた凛夏が、小説誌「木蓮」の新人賞選考委員でもある作家の鬼島仁に絡まれている現場を目撃し、助けようと鬼島に蹴りを見舞うのだった。

第3巻

出会いがしらに暴力を振るわれた事で、鬼島仁の鮎喰響に対する印象は最悪なものとなった。だが、行きつけのバーで小説誌「木蓮」の新人賞に投稿された響の処女作「お伽の庭」を読んだ鬼島は、新しい才能を前に、自身の才能がもう枯れている事を素直に認めるのだった。一方、鬼島に容赦ない現実を突きつけた響は、小説を書く覚悟が決められず悩んでいた。気晴らしに祖父江sofia凛夏花井ふみと共に原宿へ向かった響は、そこで「木蓮」新人賞選考委員の一人である女流作家の吉野桔梗と出会う。そこで吉野は、なぜ作家になったのかという響の問いに、ほかになれるものがなかったからだと答える。さらに、本当は結婚して普通の家庭を築く幸せを得たかったという吉野の言葉に、響は小説に命を懸けて取り組むならば何かと両立するのは難しい事、そして自分の答えは自分で見つけなければならない事に気づくのだった。

それからしばらく経ち、夏休みに入った響ら文芸部員は、凛夏の父親、祖父江秋人の持つ海辺の別荘に遊びに行く事になった。海で遊んでいる最中、花井から響の携帯に「木蓮」新人賞受賞の連絡が入る。顔色一つ変えずに受賞を受け入れる響に釈然としない凛夏は、響の処女作「お伽の庭」の発表と自身のデビュー作「四季降る塔」の刊行時期が重なる事から、次期芥川賞の候補作に選ばれるのはどちらだろうかと、響の対抗意識を煽る。

第4巻

第50回「木蓮」新人賞の授賞式当日、すかした態度で暴挙を働いた同時受賞者の田中康平に対し、鮎喰響はスピーチの最中にもかかわらずパイプ椅子で襲いかかる。今回の受賞パーティーには大御所作家、メディア関係者はもちろんの事、芥川賞の選考委員も招待されており、式での失態は芥川賞受賞にマイナスに影響すると考えた花井ふみは、響の暴力的な行動に顔面蒼白となる。会場を困惑させたまま、響は式典を途中退席してしまうが、何はともあれ、こうして作家「響」が誕生する事となる。

響の文壇デビューに続き、祖父江sofia凛夏のデビュー作「四季降る塔」も刊行される。これによりメディア出演を果たした凛夏は、一躍時の人になる。過剰な宣伝と祖父江秋人の七光りで本の売れ行きは好調なものとなったが、リライトを重ね過ぎた「四季降る塔」はもはや自分の書きたかったものではないと、凛夏は複雑な思いを抱いていた。一方の響は、凛夏の心情を見透かしたかのように、刊行された「四季降る塔」を読み、つまらないとむげに切り捨てるのだった。そんな響に対し凛夏は、1か月後に控えた芥川賞の候補作発表まで、作品の批評を待ってほしいと頼む。そんなものを待たなくても、つまらないものはつまらないと断固として言う響に、凛夏は1か月間の絶交を提案する。そして1か月後、もやもやした思いを抱えたままテレビをつけた凛夏は、芥川・直木両賞に響の作品「お伽の庭」がノミネートされた事を知り、静かに落ち込むのだった。

第5巻

芥川・直木賞の候補作発表後、鮎喰響は絶交を解消しようと祖父江sofia凛夏宅を訪れる。無事に仲直りをした二人のもとへ、花井ふみから連絡が入る。これは、芥川・直木両賞にノミネートされた響への取材可否を確認するものだったが、当然響はいっさいの取材を拒否。だがそんな中、田中康平が週刊文衆の記者、須田に響の個人情報を漏らしてしまう。須田に付きまとわれた響は、いつものように暴力によって須田を退かせるが、須田の「才能のあるやつは多少人に妬まれて粗探しされても文句を言うな」という言葉が心に引っかかるのだった。

その頃、関口花代子はライトノベル系のNF文庫新人賞の一次選考落選の結果を知り、落ち込んでいた。響に作品を見せたところ、酷評を受けたためリライトしたが、やはりオリジナリティはない。それでも小説を書く事自体を楽しんでくれればいい、と優しく見守る凛夏の横で、響が、自分も同じ題材で小説を書いてみたと言う。ヴァンパイアのロマンをテーマにした響の作品は、花代子の書いたものとは雲泥の差であった。だが、格の違いを見せつけられながらも、花代子は響の作品をいたく気に入る。それに気をよくした響は、花代子にその原稿をあげてしまうのだった。

そしてついに、芥川・直木両賞の受賞作発表の日がやってきた。東京まで出て来た響に動物園、ディスティニーランドと連れ回される中、花井は響の「お伽の庭」が、史上初の芥川・直木両賞を受賞した事を知り、共に受賞式会場のホテルへと向かう。鬼島仁のコートで顔を隠した響の記者会見に不満を持った記者の一人が、響の素顔を写真に収めようとコート越しに頭を摑む。その行動に激昂した響は、花井の制止も聞かずに、注目を浴びる中、記者の一人を蹴り飛ばすのだった。

第6巻

記者に暴行して授賞式の会場から逃げ出した鮎喰響は、帰宅の途中で、近くの踏切で電車に飛び込もうとしている作家の山本春平と出会う。山本は文壇デビューして10年経つが芽が出ず、今回の芥川賞受賞を逃したら死を選ぼうと考えていたのである。傍若無人な態度ながら圧倒的存在感で山本を思いとどまらせた響は、その後、花井ふみから、「お伽の庭」を初版で100万部発行する事が決まったとの連絡を受ける。発売された「お伽の庭」は社会現象を巻き起こし、著者の響もまた、いっさいの素性を世間に明かさないまま、一躍時の人となるのだった。

時は流れて4月、響は北瀬戸高校の2年生になった。文芸部への新入部員は男子1人、女子3人で、新入部員の一人、柊咲希は「お伽の庭」の大ファンであった。著者の響を神と崇める彼女は、部室で出会った響が「お伽の庭」の著者、響である事にいち早く気づくが、世間に騒がれたくないという響の心情を汲み、正体を誰にも明かさない事を誓う。

そんな中、響のもとへ関口花代子が悪い話を持ってくる。以前、響に書いてもらったヴァンパイアロマン小説「漆黒のヴァンパイアと眠る月」を、勝手にライトノベル系の新人賞に応募したのだという。結果、「漆黒のヴァンパイアと眠る月」は大賞を受賞し、アニメ化の話まで進んでいるらしい。響は花代子を連れて出版社「ナリサワファーム」へと向かい、正体を隠したまま受賞を辞退する旨を伝える。だが、担当編集者の月島初子と、アニメ化計画を進めている一ツ橋テレビの敏腕プロデューサー、津久井淳二の説得により、受賞辞退を取り消す事になった。それどころか、津久井の誘導により、響は未完の状態だった「漆黒のヴァンパイアと眠る月」を完結させるという約束まで結んでしまう。その会話の中、津久井は目の前の少女が、今世間をにぎわしている「お伽の庭」の著者である響なのではないかと疑いを深めていく。

第7巻

関口花代子と共に現れた鮎喰響が「お伽の庭」の作者である響ではないかと疑う津久井淳二は、「漆黒のヴァンパイアと眠る月」の刊行、アニメ化にあわせて、その素顔を追った特番を作れないかと模索していた。部下に響の日常を盗撮させた津久井は、「漆黒のヴァンパイアと眠る月」のイラストを担当する人気イラストレーターの霧雨アメを使い、響の暴行場面を激写する事に成功。また、津久井は、響を追いかける中で響が花井ふみ祖父江sofia凛夏といっしょにいる現場を目撃し、響が「お伽の庭」の作者、響である事を確信する。

そんな中、夏休みに入って祖父江秋人の別荘に泊まりがけで遊びに来た響達は、文芸部の活動の一環として、短編小説を書く事になった。別荘近くの川や森を自由に探索する響達は、それぞれのインスピレーションに胸を高鳴らせる。響は森で熊に出会うが、死んだふりでやりすごし、これを題材に小説を書く事を決定。だが、出来上がった小説を見た宇佐見典子由良かなえに、響が「お伽の庭」の作者である事がばれてしまう。おしゃべりな二人には何とか口止めをしたものの、「漆黒のヴァンパイアと眠る月」の刊行やアニメ化を控えている事もあり、覆面作家を続けるのは限界かもしれないと心配する凛夏に対し、響は最終的にはなんとかなるから大丈夫だと、あっさり告げるのだった。

第8巻

夏休み中も、津久井淳二は相変わらず部下達を使って鮎喰響の盗撮を続けていた。そしてついに、一ツ橋テレビの大物編成者が集う中、津久井が企画した響のドキュメンタリー番組は、収録日や放映日までが決定する。一方の響きは自分が盗撮されている事に気づいており、津久井の部下を罠にはめてその目的を問う。そこに姿を現した津久井は、天才は人前に出てあこがれられなければならないと語り、これまで撮り溜めた盗撮映像を流す収録に、ぜひ来てほしいと言い残してその場を立ち去るのだった。その後、修学旅行で京都・奈良を訪れた響は、どうやって津久井の鼻を明かしてやろうかと考え、一つの案を練り上げる。そして、津久井が特番で使うための資料を要求してきたと連絡してきた花井ふみに対し、その企画はどうせ潰れるから適当に相手をしておくようにと告げる。

東京に戻って来た響は、クラスメイトの笹木を引き連れ、予告されたドキュメンタリー番組の収録日に、一ツ橋テレビに殴り込みをかける。一ツ橋テレビのオフィスフロアへの侵入に成功した響は、一ツ橋テレビの社長を人質に取り、津久井に収録を中止するよう要求。そして要求に応じなければ、五つ数えるごとに人質の指を1本ずつ折ると脅す。これに対し、津久井は狂言だと取り合わず、響に向かってカメラを回し続けるが、最終的に人質ではなく、自身の小指を折った響の揺るぎない精神力に屈服。私を本物だと思うのならば、最後までその直感を信じるべきだったという響の言葉に、その場にいた誰もが彼女を本物の天才なのだと確信するのだった。

実写映画

2018年『響 -HIBIKI-』のタイトルで実写映画化。9月14日より公開。監督は月川翔、脚本は西田征史。平手友梨奈(欅坂46)が映画初出演で主演を務め、主人公の鮎喰響を演じる。

登場人物・キャラクター

鮎喰 響 (あくい ひびき)

北瀬戸高校に通う1年生の女子。父親は市役所勤務の公務員、母親は専業主婦という、ごく普通の家庭で育った。県外に住む大学生の兄がいる。 黒髪で眼鏡をかけた地味な文学少女で、姿勢はいつも猫背気味。自分に絶対の信念を持っており、それを一歩も譲らない頑固な性格。他人とコミュニケーションを取る事を苦手としており、今のところ心を開いているのは幼なじみの椿涼太郎だけ。どこへでもついて来る涼太郎がたまに面倒くさくなり、高校に進学してからは、何か口出しされるたびに、保護者面するなと反発している。手取り足取り世話してくれる彼と、それに何も返せない自分は、どこかいびつな関係であると考えている一方で、涼太郎の愛情を受け入れてもいる。口より先に手が出るタイプで、初対面の人間をいきなり殴る事もある。ただし、これは相手が響の正義に反する事をしたからであり、のちに暴力を振るわれた側が反省する事も多い。 読書が趣味で、歩きながら本を読む事もしばしば。基本的に無口で他人と馴れあわないが、好きな作家には顔を赤らめて握手を求めるなど、ミーハーな一面もある。小説誌「木蓮」の新人賞に処女作「お伽の庭」を送った事で職業作家としての道が開かれ、以後は「響」のペンネームで小説家として活動するようになる。祖父江sofia凛夏とは作品を見せ合うようになってから急速に距離を縮め、親友だと公言するようになった。

椿 涼太郎 (つばき りょうたろう)

北瀬戸高校に通う1年生の男子。鮎喰響の一番身近な男友達。響を溺愛するあまり、将来の結婚計画まで考えており、保護者同様の立ち位置で、響の交友関係や学校生活を見守っている。響には普通の女の子として穏やかに暮らしてほしいと考えており、彼女の文才に気づきながらも、頑なに認めようとはしない。そのため、響を文芸界に引きずり込もうとする祖父江秋人とは犬猿の仲。実家はブックカフェを経営しており、放課後はよく店に立ち、家業を手伝っている。イケメンで運動神経抜群、勉強も得意のためモテるが、椿涼太郎自身は響一筋。部屋中に響の写真が貼ってあり、中には隠し撮りしたものも多い。その部屋の異常な状態は響本人も知っているが特に気にしておらず、涼太郎の母親が息子の変態性を嘆くのを、響がなだめるのが通例となっている。

祖父江 sofia 凜夏 (そぶえ そふぃあ りか)

北瀬戸高校に通う2年生の女子。超大物純文学作家の祖父江秋人の娘。文芸部で部長を務めており、部誌でのペンネームは「ric@」。母親がフィンランド人のハーフで、非常に整った容姿をしている。ガングロで遊んでいそうな見た目と違い、成績優秀で文才もある。本に対するこだわりが強く、どこか鮎喰響と似通ったところがある。大作家を父に持ち、また自身の能力の高さにも自信があったため、響の文才を目の当たりにした時には呆然自失状態になった。響の才能を認めたあとも、敵わないまでも少しでも近付けるよう、ひたむきに努力を続けている。幼い頃から父親の仕事関係のパーティに出席していた関係で、考え方が大人びており、コミュニケーション能力も高い。上下関係に厳しく、後輩の響が年上の自分を敬った行動をしない、という理由で彼女を叱った事がある。反対に、父親の同業者、鬼島仁にからまれた時には、父親に迷惑がかかるからと、言われっぱなしでおとなしくしているなど、場の空気を読む事に長けている。花井ふみの勧めで、小論社から祖父江秋人の娘である事を明らかにしたうえで小説家デビューした。デビュー作のタイトルは「四季降る塔」で、商業用のペンネームは「祖父江リカ」である。花井の事を一編集者として以上に気に入っている。

花井 (はない)

小論社に勤める女性編集者。入社3年目で年齢は25歳。祖父江秋人の担当編集者をしている関係で、彼の娘の祖父江sofia凛夏とも交流があり、彼女の文才にいち早く気づいて注目していた。出版業界の不況をスターの現れる前兆だとポジティブに捉え、仕事にのめり込む熱血漢。小説誌「木蓮」の新人賞に送られてきた、応募規定を大幅に外れた鮎喰響の原稿に最初に目を通した人物で、その才能に心底惚れ込んだ。実際に響と対面したあとは、彼女の文才には敬意を表しつつも、マイペースで傍若無人な態度を取る響に対し、まるで姉のように叱責し、導くようになる。まだ高校生の響が「お伽の庭」で有名になったあと、彼女のプライバシーを守るために体を張る日々を送る。出版業界における、響のよき理解者である。

大坪 (おおつぼ)

小論社に勤める男性編集者。花井ふみの先輩で、教育係を務めている。また、中原愛佳と鬼島仁の担当編集者でもある。花井が編集長に食ってかかろうとするたびになだめる役回り。つねに冷静で、純文学を愛しており、出版不況のせいで、好きな作家に自らの手で引導を渡さなければならない事に苦悩している。人手不足を理由に新人賞の選考のほとんどを下請けに任せようとする編集長に怒った花井が、この状況を変えるために編集長になるというのを激励するなど、編集部内における花井の最大の理解者。

関口 花代子 (せきぐち かよこ)

北瀬戸高校に通う1年生の女子。ライトノベルが大好き。おとなしい性格で、背が高い事にコンプレックスを抱いている。いかにも青春という高校生活にあこがれており、鮎喰響にロマンチックな雰囲気の中で説得され、文芸部に所属する事を決めた。自分でも「華京院華夜」のペンネームで小説を書いており、ライトノベル系の新人賞に応募したものの一次選考も通過しなかった。落ち込んでいたところを、自分と同じヴァンパイアを題材にして書いた響の小説に心を奪われ、それを悪意なく新人賞に投稿した。その応募作「漆黒の月とヴァンパイア」はNF文庫新人賞を受賞し、アニメ化される事となる。同じ文芸部員の塩崎隆也を恐れていたが、彼の優しくて男らしい一面を知り、徐々に惹かれていく。まじめさと文芸を愛する点を評価され、祖父江sofia凛夏に文芸部の次期部長に指名された。小説を書く際、身近にいる凛夏や響の文体の影響をもろに受けてしまう、非常に素直な性格。

タカヤ

北瀬戸高校に通う2年生の男子。祖父江sofia凛夏とは中学生の頃からの友人で、凛夏に誘われて文芸部に所属するようになった。友人達からは「タカヤ」と呼ばれている。背が高くがっしりした体つきで顔が恐く、いかにも不良然とした外見をしている。ただ不良といってもその行動は、教師に隠れての喫煙など、進学校の生徒らしくおとなしいもの。初対面時、その強面を過剰に怖がった関口花代子とのかかわりを面倒くさがっていたが、徐々に花代子に心を許していく。ただ、恋愛に関してはつねに相手の立場になって考える性質で、花代子のとなりにこんな不良が並ぶのは相応しくないだろうと、一歩引いている。鮎喰響には小指を折られた事があり、以来真正面から逆らう事はない。建築の勉強をしたいと思っており、大学進学を目指している。

祖父江 秋人 (そぶえ あきひと)

小説家の男性で、祖父江sofia凛夏の父親。かつて東凌大学文学部中退後にベルギーへ渡航し、ヨーロッパ各地を放浪。29歳の時に執筆した処女作「デ・レイケ・パークヒルズ」で小説誌「木蓮」の新人賞を受賞し、デビューした。この作品で、同時に芥川賞も受賞している。代表作「欠ける8月」は世界で1500万部を売り上げたほか、50歳で出版した「白のズエラット」は、ファンタジー要素を取り入れ、新境地を開拓したと話題になるなど、純文学作家として長きにわたり第一線で活躍している。売れにくい純文学の分野で、新刊が出ればたちまち重版がかかるなど、その人気ぶりはデビュー以来30年間、衰え知らずである。一方で文壇とは距離を置いており、同業の友人は少ない。またメディアへの露出をいっさいせず、その姿勢は鬼島仁から反感を買っている。妻はフィンランド人で、妻を連れてフィンランドへ帰省する事も多い。非常にシャイな性格で、凛夏が友達を連れて来ると知るや、取材旅行だと言い訳し、妻を連れてフィンランドへ旅立つ事もあった。小論社の担当編集者は花井ふみで、花井の上司、神田とは若い頃から共に出版業界を生き抜いてきた戦友同士として仲間意識が強く、仕事の話に交えて昔話をするような、気の置けない仲である。その縁もあり、「木蓮」新人賞の審査員を務めている。湘南、北欧、地中海に別荘を所有している。

黒島 智 (くろしま さとし)

鮎食響の通う高校の3年生の倫理を担当している男性教諭。文芸部の顧問だが、名ばかりで何もしていない。人格は最低。

中原 愛佳 (なかはら あいか)

ライター兼小説家の女性。国立東名大学文学部卒で、28歳で作家デビューした。文体で魅せるタイプの、典型的な純文学作家。デビュー作「蓮華郷」を出版したのち、2作目「午後の邂逅」の売り上げ不振により、「木蓮」編集部の編集者、大坪から作家引退を打診された。小説家になるためだけに生きてきた人生を振り返ってくすぶっていたところを、鮎喰響の短編小説「千年楼」を読んで、作家としての本物の才能を感じ、30歳で筆を折る事を決めた。小説家引退後は、近所のベーカリーショップに就職し、そこで出会ったサラリーマンと交際し、32歳で結婚。慎ましくも穏やかな家庭を築き、小説家をあきらめたあとこそが幸せな人生だったと回顧している。

神田 (かんだ)

小論社に勤める男性編集者。小説誌「木蓮」の編集長を務めている。いつもニコニコしていて一見温和そうだが、決して自分の意見を曲げない頑固な人物。売れ行きの低迷する純文学に対して、純文学は芸術であり、存在する事に意義があるのだという考えを持つ。一方で、「木蓮」新人賞の二次選考はこれまで編集部で行っていたが、業務に支障が出るという理由で、外部に選考を委託する事を強行し、花井ふみの反感を買う事となった。作家、祖父江秋人とは旧知の仲である。

鬼島 仁 (きじま ひとし)

男性小説家で、年齢は42歳。「木蓮」新人賞選考委員の一人。28歳の時に小説誌「木蓮」の新人賞を受賞してデビュー。3作目「雪見て」で志賀文芸賞を、5作目「花枯れ国朽ち」で芥川賞を受賞した。メディアへの露出が多く、鮎喰響がW受賞した回の芥川・直木賞候補作の解説者としてテレビ出演もしている。自分とは対照的に、メディアに露出しないにもかかわらず純文作家の代表者と見られている祖父江秋人の事を嫌っている。 秋人の娘としてデビューの決まった祖父江sofia凛夏をネチネチといじめているところを響に蹴られるという最悪の出会いをするが、のちに「お伽の庭」を読み、響の才能に感服。芥川賞を受賞して以来の自身の作品のマンネリ化を響に指摘された際には、世界を感動させるのはお前に任せるとエールを送った。 以来、同業者の中で響を支える心強い味方の一人となる。芥川賞審査員も務めており、響が芥川賞を受賞した際は、正体を隠したがる響のためにダウンコートを貸した。

吉野 桔梗 (よしの ききょう)

恋愛系小説の名手とされる女流作家で、年齢は39歳。「木蓮」新人賞選考委員の一人。25歳で白樺新人賞を、32歳で芥川賞を受賞した。大柄でごつい骨格の容姿にコンプレックスを抱いており、メディアへの露出のいっさいを拒んでいる。見た目とは裏腹に乙女チックなものが好きで、原宿でのファッションチェックが趣味。鬼島仁とは飲み友達で、祖父江秋人には異性として思いを寄せている。 秋人に恋している事を祖父江sofia凛夏に疎ましがられているが、吉野は自分を女性として扱ってくれる凛夏に対し好感を抱いており、凛夏にも職業作家にしては珍しく常識人であると一定の評価を受けている。響といっしょに原宿に遊びに行った際、ゴスロリの服一式をプレゼントし、その服を気に入った響が、一張羅として「木蓮」新人賞授賞式に着用する事となった。

田中 康平 (たなか こうへい)

第50回「木蓮」新人賞を鮎喰響と同時受賞した男性。28歳で文壇デビューした。自分の才能を信じて、執筆活動をしながらフリーターとして生活していたが、凡人を見下すような発言、態度を繰り返した事で、どの仕事も長く続かなかった。受賞式でも響に対して同じような態度で接し、彼女の怒りを買ってパイプ椅子で暴行される事となった。 その後、響の作品を批判しようと「お伽の庭」を読むが、以降は響のファンになった。響には自分の作品を独りよがりのメタフィクションであると酷評されたが、それすら素直に受け入れるほど、田中康平の中で響の存在は絶対的なものとなっている。その後、いつかお前を超えてみせるとどこかふっ切れた表情で語り、響の前から姿を消した。

須田 (すだ)

週刊文衆の男性記者。芥川・直木賞にダブルノミネートされた鮎喰響にものすごい執念で近づき、取材しようとした。もともと作家志望だった事もあり、響の事を天性の文才を持ち何の努力もしていないと快く思っていない。しつこい取材に逆上した響にカメラを壊されたうえ、7歳の息子・勇太に危害を加えると脅され、やむを得ず響の取材を断念した。 この時、響に対し、どんな天才にも人間らしい欠点がある事を人々に伝え、自分を含む凡人を救いたかったと心情を吐露する。

山本 春平 (やまもと しゅんぺい)

24歳で銀都社の第59回勁草新人賞を受賞し、文壇デビューした男性作家。デビュー作「オリヴィエに花束」が芥川賞にノミネートされた過去を持つ。普段は工事現場でアルバイトし、夜間に執筆をしている。無口で人付き合いが悪いが、コツコツ堅実に机に向かう努力家。芥川賞に三度ノミネートされたあと、しばらくのあいだ候補作にすら選ばれなくなっていた。 これに苦悩し、アルバイトをやめて小説一本に集中した結果、「豚小屋の豚」で久しぶりに芥川賞候補にノミネートされた。結局芥川賞は響の「お伽の庭」が受賞したため、山本春平は受賞を逃した形になったが、死を選ぼうとすら思いつめていた山本は響に叱咤激励されて、立ち直った。

豊増 幸 (とよます みゆき)

「屍と花」で鮎喰響と同時期に芥川賞にノミネートされた女性作家。35歳のシングルマザーで、小学生の娘・ハナと暮らしている。「屍と花」は無事芥川賞を受賞し、記者会見では娘に感謝と喜びを伝えるメッセージを送った。

宇佐見 典子 (うさみ のりこ)

北瀬戸高校に通う女子で、2年生に進級した鮎喰響の後輩。髪型をおさげにした元気いっぱいな文学少女で、文芸部に所属している。かなりの読書家で、中でも祖父江秋人の作品が好き。秋人の娘・祖父江sofia凛夏が北瀬戸高校の文芸部に所属している事を入学前から知っており、文芸部入部後はミーハー魂も手伝い、凛夏によく付きまとっている。 同じ文芸部員の由良かなえといつもいっしょに行動している。

由良 かなえ (ゆら かなえ)

北瀬戸高校に通う女子で、2年生に進級した鮎喰響の後輩。セミロングの髪型のかしましい少女で、文芸部に所属している。無口な柊咲希にも強面の西嶋嗣郎にも気軽に話しかける気さくな性格で、文芸部入部の際の挨拶では、将来性のあるイケメンが好きだと公言した。同じ文芸部員の宇佐見典子といつもいっしょに行動している。

柊 咲希 (ひいらぎ さき)

北瀬戸高校に通う女子で、2年生に進級した鮎喰響の後輩。無口で、いつもうつむいて読書ばかりしており、文芸部に所属している。友達がほしいと願っているが、その思いに言動がついていかない事に悩んでおり、自分を「おかっぱちゃん」と呼んで友好的に接してくれる宇佐見典子や由良かなえには徐々に心を開いていく。「お伽の庭」の作者・響の事を神扱いして慕っており、文芸部に入部早々、先輩の響が「お伽の庭」の作者という事実に気づいた。 実は響と似たところがあり、口より先に手が出るタイプ。クラスメイトの西嶋嗣郎にちょっかいを出された際には、いきなり平手打ちして周囲を驚かせた。

西嶋 嗣郎 (にしじま しろう)

北瀬戸高校に通う男子で、2年生に進級した鮎喰響の後輩。文芸部に所属している。小学生がそのまま高校生になったような子供っぽい不良少年で、気に入らない事があるとすぐに暴力に訴える。文芸部に入ったのは一番楽そうだからというのが理由だが、入部申し込み時に早速響の暴力による洗礼を受け、その後はおとなしくなる。

津久井 淳二 (つくい じゅんじ)

一ツ橋テレビ総合制作局アニメ制作部所属の男性プロデューサー。今はアニメ制作を生業としているが、3年前まではドラマ部に所属し、20%越えのヒット作品を連発していた局内の有名人。NF文庫新人賞大賞作品「漆黒のヴァンパイアと眠る月」を一ツ橋テレビとのコラボでアニメ化しようと企画した。やり手のプロデューサーで、「漆黒のヴァンパイアと眠る月」の著者が女子高校生である事を知り、アイドル作家として育てていこうと考えていた。 鮎喰響との初対面時、その確かな存在感に圧倒され、自分の求めていたスター性を見つけたとすら思った。多少強引な手を使ったが、未完の状態で送られてきた「漆黒のヴァンパイアと眠る月」を響に最後まで書かせる事を承諾させる。ドラマ制作局を離れ、アニメ制作部に移った彼の野望は、ゴールデンタイムにアニメ枠を作る事であったが、本人許可を得ずに響のドキュメンタリー特番を作ろうとした事により謹慎減給処分を受け、出世の道が絶たれる事となった。

子安 紡 (こやす つむぎ)

中学生や高校生に人気の男性ライトノベル作家。デビュー作「異世界建設ライフ」は現在12巻まで刊行されており、シリーズ累計200万部を突破した超人気作品である。携帯の課金ゲームが趣味で、10万円以上を投資している。汗っかきで、初対面で握手をしようと手を差し出したところ、その手が汗まみれだったため鮎喰響に気持ち悪がられ、殴られてしまう。 突然の暴挙に憤ったものの、響のNF文庫新人賞受賞作「漆黒のヴァンパイアと眠る月」を読み、そのレベルの高さに思い上がっていた自身を恥じる事となった。

霧雨 アメ (きりゅう あめ)

人気イラストレーターの男性。NF文庫新人賞審査員特別賞を受賞した鮎喰響の著書「漆黒のヴァンパイアと眠る月」のイラストを担当する事になった。子安紡のヒット作「異世界建設ライフ」のイラストも担当しており、その実力は折り紙付き。表面上は謙虚な言葉を口にする割に、自身の能力に慢心している。自分が担当するだけで必ず作品はヒットすると言い放ち、「漆黒のヴァンパイアと眠る月」をろくに読まずにラフ画を描いてよこしたため、響を激昂させた。 響に殴る蹴るの暴行を受け、絶対に「漆黒のヴァンパイアと眠る月」を読まないと意地を張るが、自分の小説を勝手にいじられて傷ついたと語る響についに折れ、原稿に目を通す事となった。その小説の面白さに感服し、以降は驕らずどんな仕事にも全力を尽くそうと心を改める。

廣川 益章 (ひろかわ ますあき)

一ツ橋テレビの敏腕プロデューサーの男性。主にアイドル番組でヒットを飛ばしている。7年前に事故で妻を亡くしたあと、幼い娘の寂しがる姿を見て自分が母親になろうと考え、以来、女性ホルモンを注射し、ロングヘアのウィッグをつけ、女装するようになった。人を発掘する能力に優れており、鮎喰響の写真を見て、その眼光の鋭さに一目置いた。 唯我独尊タイプの津久井淳二が唯一その才能を認め、意見を仰ぐ存在である。

笹木 (ささき)

北瀬戸高校に通う2年生の女子。鮎喰響のクラスメイトで、椿涼太郎に思いを寄せている。告白する勇気はないが、どうしても涼太郎に近づきたくて、彼と仲のいい響に橋渡し役を頼んだ。響にどんなにそっけなくあしらわれてもめげずに執念深く付きまとい続け、ついには響を根負けさせる事となった。だが最終的に、響を思う涼太郎の姿を見て、泣く泣く涼太郎をあきらめた。

その他キーワード

お伽の庭 (おとぎのにわ)

鮎喰響が最初に執筆し、世に出した作品。第50回「木蓮」新人賞受賞作品。ネットからのデータ応募のみという応募規定を守らずに郵送投稿されたため、一度はゴミ箱に捨てられたが、小論社の編集者・花井ふみが拾いあげ、その才能を見出した。作品は山あいの寒村を舞台にしており、描写されている風習やしきたりから、100年ほど前の日本を思わせる内容となっている。 具体的な時代や場所は明記されていないが、生から死までが小さな社会の中で完結しており、確立された世界観と死生観が描かれている。花井いわく、文章力には目を見張るものがあるが粗も目立ち、処女作といわれても納得するが、芥川賞を取ったとしても納得できてしまうほどのクオリティ。のちに芥川・直木賞にダブルノミネートされ、両賞を受賞した。 170万部を発行し、社会現象を巻き起こす事となった。

千年楼 (せんねんろう)

鮎喰響が執筆した2作目の小説。原稿用紙10枚にも満たない短編小説で、北瀬戸高校文芸部の部誌に掲載された。響が商業デビューする前だったため、本名で掲載・発表された。小さな町の小さなステージに立つ16歳の踊り子が主人公で、造船場に勤める22歳の婚約者、小さなアパルトマンに住む両親と三つ違いの姉との日常生活を淡々とつづった純文学作品である。 起承転結もヤマもオチもないが、関口花代子には非常に高く評価された。市立柚木図書館に置かれた部誌を手に取った純文学作家・中原愛佳からは、当初、作品の出来がよすぎて盗作ではないかと疑われた。

四季降る塔 (しきふるとう)

小論社から出版された、「祖父江リカ」のデビュー作。1日で1年が過ぎるという「四季降る塔」に一人で生きる少女の物語。祖父江秋人の娘のデビュー作品として過剰宣伝された影響で、初刷り10万部、すぐに3万部の重版が決まったが、鮎喰響はつまらなかったと酷評し、芥川賞にもノミネートされなかった。担当編集者・花井ふみに言われるがままリライトを繰り返した結果、自分でも何が書きたいのかわからないまま世に出してしまったと反省した祖父江sofia凛夏は、花井に、二度と同じ轍は踏まないよう、今度からはきちんとぶつかると涙ながらに伝えた。

漆黒のヴァンパイアと眠る月 (しっこくのばんぱいあとねむるつき)

鮎喰響にもらった「眠る月」を関口花代子が勝手に改題して応募し、NF文庫新人賞大賞を受賞した作品。ナリサワファームのNF文庫として刊行が決まっており、担当編集者は月島初子が務めている。響の執筆した作品だが、打ち合せでは花代子のペンネーム「華京院華夜」名義で出版される予定だったが、のちに作者名「ひびき」でNF文庫新人賞審査員特別賞受賞作として刊行する事がNF文庫ホームページで発表された。 350年に一度、3日間のみ受肉するヴァンパイアが、2010年の神奈川に現れたところから物語は始まる。ヒロイン・千鶴の前に現れ「アステカ」と名付けられたヴァンパイアが招く災厄を描く。大賞を受賞した時点では、受肉し3日間存在するはずのアステカの1日目しか描かれていないが、月島は、シリーズ化するので問題ないと語っている。

書誌情報

響~小説家になる方法~ 13巻 小学館〈ビッグ コミックス〉

第1巻

(2015-02-27発行、 978-4091867698)

第2巻

(2015-07-30発行、 978-4091871480)

第3巻

(2015-12-28発行、 978-4091873682)

第4巻

(2016-06-30発行、 978-4091876461)

第5巻

(2016-11-30発行、 978-4091892447)

第6巻

(2017-04-12発行、 978-4091894908)

第7巻

(2017-08-10発行、 978-4091896209)

第8巻

(2017-12-27発行、 978-4091897077)

第9巻

(2018-04-27発行、 978-4091898647)

第10巻

(2018-08-30発行、 978-4098600670)

第11巻

(2019-01-30発行、 978-4098602094)

第12巻

(2019-06-28発行、 978-4098603237)

第13巻

(2019-11-29発行、 978-4098604487)

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