君といっしょに踊りたい

君といっしょに踊りたい

なんの取り柄もない平凡なOL野川灯萌が、かつての天才ダンサー梓沢圭と車いすダンスに出会い、人生を変えていく。障害者である圭と、健常者である灯萌の恋を描いた、社会派ラブストーリー。

正式名称
君といっしょに踊りたい
ふりがな
きみといっしょにおどりたい
作者
ジャンル
ラブコメ
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概要・あらすじ

野川灯萌は仕事にやりがいを感じられず、自分には何ができるのか、なにが得意なのかもわからずに、惰性で毎日を送っていた。そんなある日、会社から社交ダンスの教室に行くように命じられる。軽いボランティアのつもりで向かった灯萌だったが、実際にやることは、梓沢圭という元プロの天才ダンサーの青年とともに、車いすダンスのパートナーとして3か月後の舞台でデモンストレーションとして踊るという内容だった。

怖気づいた灯萌は逃げ出そうとするが、圭に挑発されてやけになり、踊ることを決意。だが、圭のリードに任せて踊っているうちに、灯萌は自分でも驚くほどダンスが好きになっていくことに気づく。これまで、なんの取り柄もないと思って腐っていた自分自身を変えようと一念発起した灯萌は、ダンスの世界にのめり込んでいくのだった。

さらに「可哀想な障害者」だと思っていた圭に対する気持ちも、尊敬と憧れ、そして恋心へと変化していく。

登場人物・キャラクター

野川 灯萌 (のがわ ともえ)

仕事にやりがいを感じられず、日常に飽き飽きしながら生活している若いOL。気が弱く頼まれると断れない性格で、ダンスは未経験でありながら、会社命令により車いすダンスをやることになってしまう。何事にも自信がなく、これまではできないことからはいつも逃げて来た。しかし、梓沢圭のおかげでダンスの楽しさを知り、何かを最後までやり遂げる充実感を味わえたことから、たくましくしっかりした女性へと成長していく。

梓沢 圭 (あずさわ けい)

車いすを利用している青年で、年齢は23歳。かつては世界選手権の優勝候補ともいわれた天才ダンサーで、手を取るだけで相手の考えていることがわかってしまう。自動車事故に遭って下半身不随になり、現在は立って歩くことができない。口が悪いところがあり、弱気な野川灯萌に対して何かと辛辣なツッコミを入れることが多い。自分の身体の障害と向き合って前向きに生きているものの、プライドの高さが邪魔をして、灯萌に対して甘えたり協力を仰ぐことがうまくできずにいる。

日野原 麗子 (ひのはら れいこ)

車いすダンスのインストラクターをしている中年の女性。野川灯萌や梓沢圭にダンスを教える先生で、圭の父親・梓沢厳や圭の母とも旧知の仲。基本に忠実で、指導は厳しくも的確。車いすダンスをアジア諸国に普及させたいと考えており、少々計算高いところがある。

桜井 妃奈 (さくらい きな)

車いすダンスを始めてまだ1か月というビギナーの女性で、年齢は19歳。おとなしいが芯は強く、粘り強い性格をしている。生まれつき足に障害があり、上半身にも少し機能的障害を抱えている。それを引け目に感じて引きこもりがちだったが、ダンスを始めたことで明るくなっていく。ダンスパートナーの真鳥高史と心を通わせ、のちに交際を経て結婚することとなる。

真鳥 高史 (まとり たかし)

25歳の青年。かつてダンスの選手権で戦ったことがある梓沢圭のことを一方的にライバル視している。自己顕示欲が強く、いい成績を収めることにしか興味がないため、これまでは目の前のパートナーを置き去りにしていた。だが、桜井妃奈と出会い、彼女と心を通わせたことからひとりよがりだった性格が変わっていく。ついには妃奈と助け合って生きていきたいと考えるようになり、のちに交際を経て結婚することとなる。

梅文麗 (めいうぇいりー)

有名な女性ダンス選手。車いすダンスを台湾で広めたいと考え、日本に勉強しにやって来た。美人だが少々厚化粧気味。ダンスには非常に意欲的で、言いたいことは遠慮なく言うタイプ。夫にしてダンスパートナーでもあった言明旭が病気で片足を失ってしまったことから、何とかして彼にもう一度人生に前向きになって欲しいと車いすダンスを勧める。

言明旭 (いぇんみんしゅー)

梅文麗の夫であり、かつてのダンスパートナー。大腿骨下にできてしまった悪性腫瘍を取り除くため、片足を失った。梅文麗が自分を見捨てて日本に行ってしまったと誤解し、自殺を図った。すべてを悲観していじけてしまっているが、野川灯萌と梓沢圭の車いすダンスを見て、障害に負けずに生きることの美しさに気付かされる。

問仁田 恵 (まにた めぐみ)

テレビ局で新人ディレクターを務める女性。ずばずばものを言うことが周囲に面白がられ、職場では気に入られている。野川灯萌と梓沢圭の車いすダンスのドキュメンタリーを撮影することになり、密着取材をするが、性生活のことまでずけずけと踏み込み、2人の間に波紋を投げることとなる。

新座 (にいざ)

野川灯萌と同じ会社の庶務課に勤めている新人OL。茶色のふわふわな髪をおさげにしている。ボランティア活動をしたいと考えており、車いすダンスに興味を抱いている。灯萌の紹介で車いすダンスのボランティアに参加し、障害を抱えながらも前向きに生きる車いすの少年に心打たれる。

久留米 (くるめ)

野川灯萌と同じ会社の庶務課に勤めている新人OL。黒髪ショートの髪型で、眼鏡をかけている。ボランティア活動をしたいと考えており、車いすダンスに興味を抱いている。灯萌の紹介で車いすダンスのボランティアに参加し、障害を抱えながらも前向きに生きる車いすの少年に心打たれる。

車いすの少年 (くるまいすのしょうねん)

16歳の少年。2年前にスケートボードをしていた時に転んで頭を強打し、身体の左半分に障害が残った。一生寝たきりと宣告されていたが、リハビリに励んで車いすでなら動けるようになった努力家。障害により左手が使えない状態にあったが、車いすダンスを用いたリハビリで少しずつ腕が上がるようになった。受難にも負けず、人生に対してとても前向きな考え方を持っている。

梓沢 厳 (あずさわ げん)

梓沢圭の父親。圭が車いすダンスに取り組んでいることを反対しており、世間の目ばかりを気にして、踊っている息子をちゃんと見ようとしない、固い考え方の持ち主。普通のダンスを踊れなくなった圭には普通の仕事をさせたいと考え、スウェーデンに留学させて、福祉について学ばせようとする。かつてはプロの社交ダンサーだったが、40歳の時に稽古中の怪我によってダンスを辞めた過去がある。

圭の母 (けいのはは)

梓沢圭の母親。かつてはプロの社交ダンサーであり、梓沢厳のパートナーを務めていた。日野原麗子とはその頃からの知り合いで、圭が障害を抱えながら車いすダンスに取り組んでいることを密かに応援している。普段は夫の決めたことに逆らわない貞淑な女性だが、実は面白いことが好きな話がわかる人物で、圭と野川灯萌の関係も応援している。

大友 美夕 (おおとも みゆ)

かつて梓沢圭のダンスパートナーを務めた女性。当時18歳の圭を乗せて車を運転していたところ、交通事故を起こして亡くなった。享年21歳。この事故の影響で、圭が半身不随となるほどの大怪我を負うこととなった。面差しや雰囲気が野川灯萌に少し似ている。

その他キーワード

車いすダンス (くるまいすだんす)

社交ダンスの一種で、健常者と車いすに乗った障害者がペアを組み、対等なパートナーとして踊る競技。定期的に大会が開かれており、スタンダードとラテンアメリカの2部門があり、車いすドライバーの障害の程度によって、それぞれクラスⅠ、クラスⅡに分けられている。

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