君に愛されて痛かった

君に愛されて痛かった

いじめのトラウマから正常な人間関係を築けず、援助交際で承認欲求を満たしている女子高校生の叶井かなえが、初めての恋人、野村寛や寛に恋をする友達の市川一花とぶつかり合い、苦悩する姿を描いたサイコサスペンス作品。かなえをはじめ、登場人物達の苦悩や過激な暴力描写がストレートに激しく描かれている。また、女同士の友情の水面下に広がる微妙なかけひきなど、心の闇の部分にも踏み込んでいる。「漫画アクション」2017年6月20日号~8月1日号から2017年11月号にかけて連載され、一度は終了したが、その後、「まんが王国」2018年5月25日配信分から連載が再開された。

正式名称
君に愛されて痛かった
ふりがな
きみにあいされていたかった
作者
ジャンル
サスペンス
レーベル
ヤングチャンピオン・コミックス(秋田書店)
巻数
既刊8巻
関連商品
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あらすじ

第1巻

中学時代に激しいいじめに遭ったトラウマを持つ叶井かなえは、高校に入学してから市川一花達のグループに所属するが、打ち解けられずにいた。かなえは行き場のない気持ちの隙間を援助交際で埋める日々を過ごしていた。しかしある日、合コンで出会った野村寛に援助交際の男性と歩いている現場を目撃されてしまう。そんな中、寛に恋心を抱く一花は、かなえと寛が交際しているのではないかと疑い、二人を呼び出す。かなえは寛に会いたくないために激しく動揺するものの、寛はそんなかなえに対して優しく接する。帰り道に気分が悪くなったかなえを介抱する寛を目撃した一花は、かなえに裏切られたと激怒し、次の日から里虹瑠奈富田とみ子と協力してかなえへの陰湿な嫌がらせを開始する。かなえは、このいじめで無気力状態になるが、援助交際の詳細をメモしていた手帳を一花に破られた事で錯乱し、一花への復讐を決意。鳴海の力を借り、鳴海の不良の先輩に一花を襲わせる計画を立てる。

第2巻

市川一花は、叶井かなえの依頼を受けた鳴海の不良の先輩達から襲われ、そのまま登校拒否になる。一方のかなえは里虹瑠奈富田とみ子から再びグループの仲間として受け入れられ、楽しい時間を過ごしていた。かなえと野村寛との関係も良好で、毎日連絡を取り合ったり、寛の野球の試合を観に行ったりと順調に距離を縮めていた。そんな中、みんなと寛の応援に行ったかなえは「人は周囲の評価によって存在価値が決まる」と実感し、自分には評価されるための武器がなにもない事を絶望する。そしてかなえは、自分が寛と交際すれば周りから自分の存在を認めてもらえるのではと考えるようになる。一方の鳴海は、かなえのために一花への強姦に加担したものの、まったく自分が恋愛対象として意識されていない現実に苛立つ。そして鳴海はSNSで寛についての情報を集め、夜道で彼に襲いかかってケガを負わす。

登場人物・キャラクター

叶井 かなえ (かない かなえ)

自分に自信が持てない気弱な女子高校生。中学生時代に激しいいじめを受けた事がトラウマになっており、高校に入学してからは周囲の顔色ばかりをうかがって生活している。市川一花、里虹、瑠奈、富田とみ子のグループには所属しているが、みんなとなじめずに悩んでいる。自己承認欲求を満たすために定期的に援助交際をしており、その際には「かなみ」という偽名を使用している。 相手の男性から渡された金額を手帳に記入する事が唯一の楽しみになっている。精神的に弱いところがあり、誰かに責められたり、予想外の事を言われたりするとパニックに陥る。市川一花達を交えた合コンで野村寛と出会い、初めて純粋な恋に落ちるが、寛から連絡が来ないと精神が不安定になるなど、心が揺れ動いている。 華やかな顔立ちではないが、胸が大きくスタイルがいい。

野村 寛 (のむら ひろし)

叶井かなえとは別の高校に通う男子。野球部に所属しており、ピッチャーとして将来を嘱望されている。優しく思いやりにあふれた性格の持ち主で、やや天然気味。偶然、かなえが援助交際をしている事実を知った時には周囲にはしゃべらず、そんな事をして自分を傷つけてはいけないと心配していた。市川一花達を交えた合コンでかなえと知り合い興味を抱き、少しずつ距離を縮めていく。 かなえは異性として意識しているものの、告白をするでもなく適度な距離を保ち続けている。一時は一花から激しいアプローチを受けていたが、まったく相手にしていなかった。

鳴海 (なるみ)

叶井かなえが中学生の頃から親しい男子。同じ団地に住んでいる。現在は学校には通っていない。先輩の指示ではあるが、原付バイクを盗むなどいわゆる不良。明るい性格でかわいらしい顔立ちをしている。かなえにとっては唯一の理解者ではあるものの、異性としては意識されていない。鳴海自身はかなえに恋心を抱いており、いつしか野村寛の存在を邪魔に思うようになっていく。 かなえからの依頼を受けて不良の先輩を使い、市川一花を強姦させ、自身も周囲に促されて不本意ながら参加してしまう。

市川 一花 (いちかわ いちか)

叶井かなえと同じ高校に通う女子。かなえ、里虹、瑠奈、富田とみ子の四人で行動を共にしており、グループのリーダー格でもある。かわいらしい容姿をしているものの、非常にわがままな性格の持ち主。自分の思い通りに物事が進まないと機嫌が悪くなり、周囲にも同じように苛立ちを覚えてほしいと要求するなど、自己中心的な考え方をしている。 合コンで知り合った野村寛に猛アプローチを開始するが、かなえが寛と親しくなっていく様子を見て嫉妬し、かなえをグループから外した。かなえへの嫌がらせをしているうちに、いじめがエスカレートし、ついにかなえの怒りを買ってしまう。その後、かなえの依頼を受けた鳴海の不良の先輩から強姦され、ショックで登校拒否になる。 女友達の前では性格の悪さを隠そうとしないが、男性の前ではぶりっ子になる。人をランク付けしており、自分より下の者に対しては容赦しない。一方で夢見がちな少女らしい一面もあり、ドラマのような恋にあこがれている。

里虹 (りこ)

叶井かなえと同じ高校に通う女子。かなえ、市川一花、瑠奈、富田とみ子の四人で行動を共にしている。グループの中では一番背が低く、かわいらしい容姿をしている。かなえが野村寛と親しくしている事で一花が激怒した際には一花側につき、かなえに対して嫌がらせを行った。一花達には友情が大切だと言っているものの、学校生活は波風を立てずに平和に過ごしたいと願っており、そのために時には涙を見せるなど、腹黒く計算高い人物。 一花が登校拒否になってからは、再度かなえを自分達のグループに引き入れた。

瑠奈 (るな)

叶井かなえと同じ高校に通う女子。かなえ、市川一花、里虹、富田とみ子の四人で行動を共にしている。長めの髪をポニーテールにしている。かなえが野村寛と親しくしている事で一花が激怒した際には一花側につき、かなえに対して嫌がらせを行った。一花が登校拒否になってからは、再度かなえを自分達のグループに引き入れた。 料理が苦手。

富田 とみ子 (とみた とみこ)

叶井かなえと同じ高校に通う女子。かなえ、市川一花、里虹、瑠奈の四人で行動を共にしている。食べる事が大好きで、ふくよかな体型をしている。染めた髪の毛は根元の黒い部分が目立つなど、だらしのない印象を与える。自宅もゴキブリが何匹も出るほど汚い。富田とみ子自身も太っている事を自覚してネタにしており、周囲からのいじられ役になっている。 また表面上はなかよくしているものの、グループで自分の扱いだけが悪い事に内心不満を抱いている。かなえが野村寛と親しくしている事で一花が激怒した際には一花側につき、かなえに対して嫌がらせを行った。一花が登校拒否になってからは、再度かなえを自分達のグループに引き入れた。

越智 (おち)

野村寛と同じ高校に通う男子。野球部に所属している。ポジションはキャッチャーで、ピッチャーの寛とは休みの日や夜の自主練習もいっしょに行うなど仲がいい。硬派な性格のため、愛想がなく怖い印象を与えるものの、根は優しい。思った事はストレートに口にするため、少々デリカシーに欠ける一面を持つ。

かなえの母 (かなえのはは)

叶井かなえの母親。かなえの事をいてもいなくてもいい存在だと考えており、彼女の顔を見るたびに辛辣な言葉を吐くなど、厳しく接している。遊んでばかりのかなえには興味がなく、かなえの弟に厳格な教育を施しており、優秀な人物に育てようとしている。夜になると自宅のキッチンで酒をあおる習慣がある。

かなえの弟 (かなえのおとうと)

叶井かなえの弟。かなえの母から勉強を強いられており、ゲームなど楽しみの時間を厳しく制限されている。この事態を招いたのは、遊んでばかりのかなえのせいだと考えているため、姉弟関係は非常に悪い。

書誌情報

君に愛されて痛かった 8巻 秋田書店〈ヤングチャンピオン・コミックス〉

第1巻

(2023-02-20発行、 978-4253309912)

第2巻

(2023-02-20発行、 978-4253309929)

第3巻

(2023-02-20発行、 978-4253309936)

第4巻

(2023-02-20発行、 978-4253309943)

第5巻

(2023-02-20発行、 978-4253309950)

第6巻

(2023-02-20発行、 978-4253309967)

第7巻

(2023-06-20発行、 978-4253309974)

第8巻

(2024-03-18発行、 978-4253309981)

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