蛮勇引力

蛮勇引力

スーパーテクノロジー神機力によって人間が管理される近未来の東京神都で、神機力による支配を拒む由比正雪たちの戦いを描く。慶安の変をモチーフとしており、主人公由井正雪、金井半兵衛、丸橋忠弥などは、実在の人物が名前の由来となっている。

正式名称
蛮勇引力
ふりがな
ばんゆういんりょく
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
アクション
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概要・あらすじ

近未来、かつての東京は神都と名を改め、スーパーテクノロジー神機力によって人々は安定した生活を送っていた。しかし、人々は神機力との融合によって人間性を失い、また神機力の庇護を受ける資格を持たない失業者たちは「浪人者」と呼ばれ、政府によって弾圧されていた。そんななか神都に現れたひとりの浪人者由比正雪は、浪人者たちを守り、失われた人々の人間性を取り戻すために、政府を支配する巨魁徳川惑星への反乱を開始するのだった。

登場人物・キャラクター

由比 正雪 (ゆい しょうせつ)

長髪にスーツを着た精悍な男性。サングラスを着用し、酒を呑むことを好む。背中には日本を守る龍の図案、胸から腹にかけての正中線上に「敬人尊野蛮」の書かれた刺青がある。優れた直観と並外れた身体能力を持ち、特に電撃・電磁波への耐性は常人より遥かに優れている。高度なテクノロジーによって人々が人間性を失う中で、人間が持つ「蛮性」を尊び、徳川惑星の治める神都への反乱を始める。 職人集団張孔堂の技術で作られた多数の武器を持ち、中でも短刀「春夏秋冬」は抜群の切れ味を誇る。実は徳川惑星の息子だが、当人はその事実を知らない。

朝露 歩 (あさつゆ あゆみ)

神都でタクシー運転手を生業とする女性。他人や生物に優しい性格だが、世間知らずな一面もある。神都の役人から追われている由比正雪を自宅にかくまったことで、正雪と知り合い、次第に惹かれるようになる。

金井 半兵衛 (かない はんべえ)

神都の路上に生活する失業者「浪人者」の青年。神都防疫隊による失業者狩りから逃げまわる中で、由比正雪と出会い、正雪の仲間になる。

徳川 惑星 (とくがわ わくせい)

電撃を操る特異体質の持ち主で、電撃への耐性を持つ。徳川神機力産業総帥。神機力によって日本を支配している。由比正雪の神都出現と反乱を察知し、正雪を抹殺しようとする。20世紀末に世界中で蔓延したE-ウイルスが再び発生することを防ぐため、人々同士の接触を最低限に抑えた防疫都市神都を設計する。 その一環として、人間の肉体と神機力の融合を図っているが、同時に政策に従わない失業者たちの隔離・抹殺も計画している。

中曽根 まり (なかそね まり)

見かけは幼い少女だが内閣総理大臣であり、国民のアイドル。徳川惑星のことを「パパ」と呼び慕っている。実は徳川によって作られたアンドロイドだが、本人はそのことを知らない。また、国民のアイドルとしての役目を与えられたため、失業者に対する隔離政策など、神都の闇の部分は何も知らされずにいる。

松平 伊豆守 信綱 (まつだいら いずのかみ のぶつな)

『蛮勇引力』に登場するロボット。徳川惑星によって作られた。自我を持つ高性能な頭脳を備え、石原十兵衛の死後、都民の支持を得て神都知事に当選。都政を取り仕切る中で、失業者たちの殺害・駆除を実行し、さらに由比正雪の命を狙う。全身が神機力で構成されており、圧倒的な戦闘能力を誇るが、徳川惑星のDNAを継ぐ者に対して攻撃することができないようプログラムされており、正雪との戦闘で自壊。 修復後、徳川への反乱であることは知りながらも自らプログラムを削除し、戦闘用ボディ「銀河」へと換装して正雪との再戦に望む。

石原 十兵衛 (いしはら じゅうべえ)

神都知事。体のほとんどがサイボーグ化されており、「神機力と人間の融合種」を自称する。神都に侵入し、反乱を開始した由比正雪を抹殺するように徳川惑星から司令を受けるが、正雪の言動に心を揺さぶられ、知事の権限を行使することなく、正雪との一対一の決闘を望んだ結果、敗北し死亡。

丸橋 忠弥 (まるばし ちゅうや)

神都湾に存在する失業者区画やすらぎのボス。筋肉質の大男で、粗暴だが義に厚い性格。原子力発電所が暴走した際に、人力で制御棒を炉内に挿入する「原子力決死隊」を組織する。由比正雪に勝るとも劣らない身体能力を持ち、やすらぎにあらわれた松平伊豆守信綱との戦闘をきっかけに正雪の仲間になる。 戦闘では原子炉内部に突入する際の臨海収束作業用多重防護服「和(やまと)」を着用。

比良部 貝蔵 (ひらぶ かいぞう)

やすらぎで張り形屋を営む男。かつては張孔堂のひとりで、由比正雪とは家族同然の関係。徳川惑星との戦いに臨む正雪を引き止めるが、最終的には張孔堂の職人たちの仇を討つために正雪に同行する。

響 銀孤 (ひびき ぎんこ)

浪人者の女性。新婚早々に夫の会社が倒産し、町をさまよっている時に防疫隊によって夫と死別する。そのため神都の役人に対して恨みを持っており、夫の仇を討つため、一人で役人との戦いを行っている。武器は人形に仕込んだ散弾銃。金井半兵衛の紹介で由比正雪と知り合い、正雪たちの仲間になる。

由比 入鹿 (ゆい いるか)

由比正雪の母親。駿河湾に住む海女。駿河湾開発に反対した夫が、開発を取り仕切っていた徳川惑星に殺害されたため、徳川を襲撃するが反撃され、強姦されて正雪を妊娠する。正雪を出産した後に、病死する。

イベント・出来事

張孔堂 (ちょうこうどう)

『蛮勇引力』に登場する、鍛冶、研刃、彫物などの職人の会。東京に店を構え、職人たちの技術を売りにしていた。由比入鹿との約束で、15歳になった由比正雪を預かる。しかし、東京が神都と改名する際に業務停止命令を受け、解散。正雪を静岡に送り返した後、徳川惑星を襲撃するが返り討ちにあい、比良部貝蔵を以外の全員が死亡する。

場所

神都 (しんと)

神機力によって管理された近未来の東京都。一般市民には快適な生活を供給している一方、人々は神機力との融合を遂げており、人間性を失いつつある。また失業者に対しては徹底した隔離政策を行っている。

その他キーワード

国常立尊 (くにとこたちのみこと)

『蛮勇引力』に登場する装置。日本から世界中へ四百五十万メガワットの神機力を半永久的に安定供給する能力を持つ。神機力の普及によって、世界のエネルギー問題は解決したが、同時に都市の自動化によって国内での失業者増加の原因となっている。

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