堂本ルール

堂本ルール

阿部秀司の『番長連合』に登場した堂本勘二が主人公を務める、続編的なスピンオフ作品。「お金が発生する仕組み」をテーマに、堂本が型破りな方法で金を生み出していく姿を描く。「実際にありそうな条件」から稼げる仕組みを作っていく過程が、とても分かり易く描かれている。「ヤングチャンピオン」2008年19号から2010年16号にかけて掲載された作品。

正式名称
堂本ルール
ふりがな
どうもとるーる
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
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概要・あらすじ

ネットカフェ難民としてその日暮らしをしている堂本勘二浜田山孝造は、職にあぶれたある日、公園で暇を持て余していた。将来を憂える浜田山に対して堂本は、「王様になる」と自分の目的を言い放つのだった。そこで「神の使いで霊が見える」と自称する老婆・「天女」と出会った堂本は、とりあえず「堂本、浜田山、天女の3人で協力し、月100万円稼ぐ仕組みを作ることができれば勝ち」というゲームを提案。

こうして堂本と浜田山の命を賭けた壮大なる人生ゲームが始まる。

登場人物・キャラクター

堂本 勘二 (どうもと かんじ)

ネットカフェ難民として生きている青年。年齢は21歳。王様になることを目標とし、最終的には世界征服を目論んでいる。非常に頭が切れるが「人生は死ぬまでの壮大な暇つぶしゲーム」という哲学を持っており、すべてのことを「遊び」と捉え、自分の命を躊躇なく賭けることも少なくない。金の仕組みをよく理解していて人心掌握術にも長け、面白そうなことを見つけると、自分で「ルール」という名の目標を掲げて「ゲーム」を開始する。 常にポジティブで肝が座っており、ヤクザの事務所にモデルガン一丁のみという装備で単身殴り込んでも、平常心を崩さない。相棒の浜田山孝造からは「イカれている」と評され、のちに危険視されて敵対関係となる。

浜田山 孝造 (はまだやま こうぞう)

実家を飛び出して半年後にはネットカフェ難民にまで堕ちていた青年。年齢は21歳。左頬に目立つ傷がある。実は実家は伝統ある神小丸町のH組で、祖父は「伝説の任侠」と呼ばれていた。対して父親はアルコール中毒のダメヤクザで、浜田山孝造名義で借金を重ねており、三度目にしてついに怒りを爆発させた浜田山が、実家を飛び出すこととなった。 堂本勘二と知り合い、「儲かるよ」と誘われて堂本の「ゲーム」に参加することになる。嫉妬深く、自己保身が最優先という身勝手な性格で、保身のために他人を死に追いやることも、自分に言い訳がつけばいとわない。外見は祖父とそっくりで、父親が亡くなり実家のH組を継いだ後は、ヤクザとして成長し、日本一の大親分への道を歩き出す。 その過程で堂本を危険視するようになり、彼を殺そうと画策する。H組の構成員である吉村清彦には、H組の後を継ぐ前から「若」と呼ばれ、絶対の忠誠を誓われている。

天女 (てんにょ)

「神の使いで霊が見える」と自称する、頭のボケた老婆。都内にボロいが広い一軒家を持っている。ゴシップ好きで何でも知りたがり、話好きで涙もろくも明るい性格。気に入った人を善意で自分の家に連れて行き、もてなす癖がある。堂本勘二に霊能者として祭り上げられたが、天女自身もそのポジションを非常に気に入っている。他人の話を全力で聞き、感情移入するため、霊能者として相談者には好評だが、金銭欲が薄く相談料は取らない。 実は波瀾万丈な人生を送っており、堂本がその半生を語った動画を動画サイトに投稿したことで、ネット界の有名人となる。ちなみに霊能者としての名前は「マダム島田」だが、一般的にはネット発信の「天女」の名前の方が知られている。のちに天女村の村長となる。

舛添 充 (ますぞえ みつる)

天女のもとに転がり込んだ、元ネットカフェ難民の青年。年齢は30歳。神小丸町に移住してからは、持ち前のリーダーシップを発揮して天女村の青年団長となり、実質的な村の支配者となる。曲がったことが嫌いな正義漢でルールを破った者には厳しく、言っても聞かない相手には、鍛えられた肉体を活かした鉄拳制裁も辞さない。社会主義的な、皆で助け合い幸せを共有していく楽園構築を夢見ており、そのためには嫌っているヤクザと手を組むこともある。 堂本勘二が「神小丸町制圧作戦」を目論んだ際には、最重要人物となる。

吉村 清彦 (よしむら きよひこ)

神小丸町のH組で若頭を務める男性。年齢は31歳。パンチパーマで顔に傷があり、実にヤクザらしい風貌をしている。神小丸町を支配していたH組の再興を目指し、先代の組長が亡くなった際に浜田山孝造を連れ戻すため東京へとやって来た。ヤクザ稼業に命を賭けており、ただのネットカフェ難民の浜田山を「若」と呼び、常に組長扱いするほど忠誠心は高い。 浜田山について来た堂本勘二に興味を持ち、堂本の「ゲーム」に参加したものの、いち早く堂本の危険性に気付く。その後は、堂本を殺そうと敵対組織に引き渡し、「助かる目が見つからない」と思わせるほど追い詰めた。

常盤 高志 (ときわ たかし)

秋羽台団地に住む男性で、年齢は18歳。祖父と二人暮らしをしていて、老人だらけの団地内での唯一の若者。同級生のヤンキーにいじめられており、日常的にお金を取られたり殴られたりしている。堂本勘二と知り合い、「この辺一帯の不良たちの王にしてやる」という申し出を受け入れた。のちに秋羽台団地が地上げに遭っている時、団地をヤクザから守るために先頭に立って戦うよう堂本に焚き付けられる。 団地内でヤクザに唯一対抗できる若い肉体を持った男という立場を得て、周りの老人たちから認められることで、常盤高志の中で何かが変わり始めていく。

長谷川 正義 (はせがわ まさよし)

神小丸町のH組の上部団体に位置する組で、組長を務める男性。年齢は51歳。出身は北海道で、豊かな家庭に育ち成績も優秀だったが、19歳の時に殺人を犯し、札幌でチンピラをしていた時に前組長に拾われ極道となった。過去に殺した人数は10人以上にも及ぶ。左眼が義眼になっており、交渉事に際しては相手に精神的プレッシャーをかけるためにわざと取り外すこともある。 堂本勘二と似た感性をの持ち主で、遊びで自分の命も平気で賭けるため、浜田山孝造からは堂本同様「イカれている」と評されている。秋羽台団地の地上げのために長谷川正義の組から10億円出資しており、地上げの責任者である浜田山にプレッシャーをかけ続けている。その一方で、ある孤児院に毎月200万円寄付しているという人情家な一面もある。

集団・組織

H組

神小丸町を縄張りとする弱小ヤクザ組織。のちに浜田山孝造が組長を務めることとなる。組員は吉村清彦と角谷有司の2人だけ。現在では組員のアルバイトで生計を立てており、若頭を務める吉村は再興を心から願っている。神小丸町に存在する別のヤクザ組織であるK組とB組は、もともとH組から分派した組だが、現在では本家であるH組よりはるかに大きい力を持っている。 神小丸町を掌握していた浜田山の祖父にして先々代のH組の組長は、弱きを助け強きを挫く「伝説の任侠」と呼ばれ、今なお影響力を持っている一方で、先代である浜田山の父は「酔っ払いのロクデナシ」と蔑まれており、彼の存在がH組の分裂の原因となった。

場所

天女村 (てんにょむら)

天女のもとに集まったネットカフェ難民たちが、神小丸町の山間部に移住してできた村。天女が村長を務め、舛添充が青年団長として実質村を支配している。主に農業や畜産などの一次産業を営んでいて、のちに舛添による「マスゾエファーム」という全国的な大規模農場の原型となった。天女村の人数はネットカフェ難民たちが移住し始めてからわずか半年で、もともと過疎化が進んでいた神小丸町の人口の過半数を占めるほどに肥大化した。 村民は舛添により10人ずつの班を組まされており、班員は連帯責任を負わされる他、目安箱の設置により村が監視社会となっている。そのため村民同士が本音で話せず、村内の空気は悪い。

秋羽台団地

昭和31年入居開始の分譲型集合住宅。緑に囲まれ、駅まで徒歩10分、都心まで15分という好立地にも関わらず、建物の老朽化が進みゴーストタウン寸前の状態になっている。住んでいるのも老人ばかりで、常盤高志が唯一の若い住人である。過去には「スターハウス」と呼ばれ、当時は入居の抽選倍率は60倍もあった。現在では打ち捨てられた団地だが、住環境は最高に良いためヤクザに目を付けられ、タワーマンションの建設を前提とした地上げの対象になっている。 地上げの責任者は浜田山孝造が務め、あの手この手で住人は嫌がらせを受けている。

神小丸町 (かみこまるちょう)

浜田山孝造の出身地である地方の田舎町。山間部には荒れた農地が打ち捨てられ、過疎化が進んでいる。特に目立った産業もないが、総工費16億円の橋が建設されることが決まっており、それを仕切る地元のヤクザはそこから8億円は抜けるだろうといわれている。その公共事業を狙って隣町からヤクザが攻め入って来ることとなり、浜田山をトップとした地元ヤクザ連合との抗争の舞台となる。

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