堤鯛之進包丁録 極楽長屋編

堤鯛之進包丁録 極楽長屋編

江戸の町を舞台に、料理が得意な食道楽の浪人の堤鯛之進が、流しの砥ぎ師としての仕事の傍ら、美食に明け暮れる姿を描いたグルメ時代劇。「たそがれ食堂」vol.9から掲載の作品。

正式名称
堤鯛之進包丁録 極楽長屋編
ふりがな
つつみたいのしんほうちょうろく ごくらくながやへん
作者
ジャンル
時代劇
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あらすじ

ある夜、堤鯛之進が手製の鰯の煮付けを肴に友人の清兵衛と一杯やっていると、不穏な物音を耳にする。急を要すると察した鯛之進はその場に駆け付け、とある女性を辻斬りが斬り捨てるところを目撃する。辻斬りは逃げ去ってしまうが、その場には斬られた女性の子供と思しき、一人の少年が残されていた。その少年を放ってもおけず、鯛之進は素性調査のあいだだけ自分の家で引き取ることにする。いっしょに暮らす中で、少年は鯛之進の作った大根餅に相好を崩し、鯛之進に懐くようになる。そして鯛之進は、少年に「鯉太郎」という仮の名をつけるのだった。

登場人物・キャラクター

堤 鯛之進 (つつみ たいのしん)

江戸で暮らす年齢不詳の浪人で、磨屋の看板を掲げている。流しで包丁などの砥ぎの仕事をしており、腕は非常にいい。また、剣術にも長けている。浪人ながらそれなりに稼ぎがあるものの、そのほとんどを食道楽につぎ込んでいるため、身なりなどはあまり気にしていない。食事に関しては自分で作るのを好み、酒も少しながら嗜む。あまり治安のよくない一帯にある極楽長屋で、成り行きから「鯉太郎」と自ら名づけた少年といっしょに暮らしている。

鯉太郎 (こいたろう)

素性不明な少年で、記憶を失っている。一蝶によれば、親を目の前で斬られたショックで記憶に蓋をしているのだろうと見立てられている。身なりや行儀のよさなどから、卑しからぬ身分の出なのではないかと推測されている。堤鯛之進によく懐いている。

清兵衛 (せいべえ)

江戸で暮らす魚売りの老人で、ふだんは棒手振(ぼてふ)りを担いで行商をしている。一般の行商人が恐れて近づかない極楽長屋辺りを流しているので、堤鯛之進と縁があって親しい。ある夜、鯛之進と酒を酌み交わしていた時に、鯉太郎の母親らしき女性が斬られるという事件が起こる。

一蝶 (いっちょう)

不思議な力を持った老婆で、堤鯛之進と同じ極楽長屋に暮らしている。人の心を読み取ることができ、医学の心得もある。鯉太郎が最初に担ぎ込まれてきた時、記憶喪失の状態であることを鯛之進に伝えた。殺し屋をはじめとした裏社会の事情にもよく通じている。

六助 (ろくすけ)

坊さんの身なりをした巨漢の男性で、堤鯛之進と同じ極楽長屋に暮らしている。腕っぷしが強く、強面ながらも子守りを得意としている。一蝶とよくつるんでおり、一蝶と同様に殺し屋をはじめとした裏社会の事情にもよく通じている。

辻斬り (つじぎり)

正体不明の侍で、鯉太郎の母親と見られる女性を斬って殺害した。堤鯛之進の見立てではかなり腕は立つとされていたが、後日絞殺死体となって発見される。斬った女性の顔を切り刻んでいたが、鯛之進はこれを怨恨のためではなく、被害者の素性を隠すためであると推測している。

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