あさきゆめみし

あさきゆめみし

平安時代の女流作家、紫式部の名作『源氏物語』を漫画化した一大古典絵巻。平安時代の生活様式や風俗、文化などをわかりやすく描き、古典への興味を持たせたとの評価が高い。「月刊mimi」1979年12月号から連載を開始し、1986年NO.1より「mimi Excellent」に掲載誌を移し、1993年No.27まで15年にわたって連載された大和和紀のライフワーク的作品紫式部著『源氏物語』54帖を漫画化。物語を描くにとどまらず、平安時代の生活様式や文化をわかりやすく描き、古典への興味を持たせた功績は大きいと評価が高い。

正式名称
あさきゆめみし
ふりがな
あさきゆめみし
作者
ジャンル
時代劇
レーベル
講談社漫画文庫(講談社) / KC KISS(講談社)
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概要・あらすじ

平安時代、桐壺帝の第二皇子で絶世の美男子である光源氏が、理想の女性を求め様々な女性と関わりを持ちながら、栄華を極めていく。序盤から中盤にかけては、主に光源氏の恋愛遍歴が描かれるが、中盤以降は光源氏の人生に対する苦悩、光源氏の妻達の、女性としての生き方に対する苦悩が描かれる。

『宇治十帖』編は、光源氏の子であるを中心とした物語。

登場人物・キャラクター

光 源氏 (ひかるげんじ)

桐壺帝の第二皇子。母は桐壺更衣。幼少の頃から輝くばかりの美貌と才能に恵まれ、「光る君(ひかるきみ)」と綽名される。母は三歳のとき亡くなる。母に似る女性・藤壺への思慕が初恋となり、その面影を求めて生涯様々な女性と関係を持つ。皇族出身の貴族ではあるが、女性へ対する分け隔てはなく、恋の相手は帝の妻から人妻、市井の女性までと幅広い。 教養のある女性を好むが、基本的にどんな女性に対しても批判的なとらえ方をすることは少ない。理想の女性像を求め続けるがために、関係を持った女性を悩ませることが多く、女心の機微には疎い。晩年は自らの運命や過ちに対して苦悩することが多くなり、出家を望むようになる。

紫の上 (むらさきのうえ)

藤壺中宮の姪で兵部卿宮の娘。正妻の娘ではなかったために、幼少時代を祖母と暮らしていたところ、光源氏に見出される。祖母の死後、光源氏に引き取られて養育され、葵の上亡き後、事実上の正妻となる。子供好きだが光源氏との間に子はできず、明石の上の娘である明石の中宮を養女とする。 光源氏の妻となった後も、様々な女性との浮き名を流す夫に翻弄され、女性としての幸せや生き方について悩み続ける。晩年は女三宮の降嫁により、光源氏との関係に溝が生まれるものの、最後まで光源氏を愛し続けた。思い遣りや優しさに溢れ、教養や女性としてのたしなみにも秀でた優れた女性として描かれている。

藤壺中宮 (ふじつぼのちゅうぐう)

桐壺帝の先帝の内親王。光源氏の母・桐壺更衣に瓜二つであり、そのため更衣の死後、求められ入内する。桐壺帝の妻となったものの、光源氏とは5歳差であり、光源氏が幼い頃は姉のように接していた。しかし光源氏が元服を迎えることにより、男性として意識するようになり、意図的に距離を置くようになる。 強い自制心で光源氏に対する恋心を抑えていたが、光源氏からの強引なアプローチを拒みきれず、ついには受け入れてしまう。その結果、不義の子となる冷泉帝を産む。後年までその過ちに悩み続け、桐壺帝の死後、出家する。

葵の上 (あおいのうえ)

左大臣の娘であり、頭中将の妹。光源氏より4歳年上の正妻。母・大宮は桐壺帝と兄妹であり、光源氏とは従姉弟同士。もともとは帝の妻となるため教育されたため気位が高く、感情を表に出さないが、不器用なだけで本心では光源氏を愛し、夫が他の女性の元へ通うことを不安に思っている。 夫婦仲は長らくうまくいかなかったが、息子・夕霧が生まれたことで光源氏との仲を修復させ、夫婦関係をやり直そうとしていたところ、六条御息所に怨まれ、生霊によってとり殺される。

明石の上 (あかしのみや)

光源氏が謀反の疑いを受けて都を追われていた間に明石で出会った。紫の上より1歳年下。当時、田舎とされていた明石で育ち、身分は低いが、父・明石の入道の手ほどきもあり、高い教養を身につけている。父親が自分を光源氏と結婚させようとしていることを、身分の違いや行きずりの相手となる不安から拒んでいた。 しかし光源氏と結ばれた後、身ごもり、光源氏の帰京後、後の明石の中宮となる娘を産む。それを知った光源氏に娘を都で養育することを提案され、幼い娘を紫の上に預ける。後年、娘の入内に伴い女房として入内し、娘に実母であることを明かす。自分の身分が低いことに引け目を感じており、常に控えめ。 しかし光源氏からは紫の上とも引けを取らない女性として扱われ、紫の上からも良き友、良きライバルとして迎えられている。

頭の中将 (とうのちゅうじょう)

光源氏の幼なじみであり、親友。光源氏の正妻・葵の上の兄。明るく奔放な性格であり、光源氏とは違うタイプの恋多き男。若い時から光源氏の恋敵として女性を取り合うこともしばしば。光源氏に対しては常にライバルとして対峙していたせいか、光源氏が絡むことになると何事においても意地になることが多い。 奔放ではあるが情に厚く、謀反の疑いをかけられた光源氏と変わらぬ付き合いを続けたり、若い頃の恋人の行方を捜し続けたりと、一度懐に入れた人間に対しては一途な一面を見せる。

六条御息所 (ろくじょうのみやすどころ)

前の春宮の后であり、秋好中宮の母。教養深いことで知られており、非常に高貴な貴婦人。当初は光源氏のアプローチを拒んでいたが、次第に心惹かれていく。しかし年上の寡婦であることに負い目があり、光源氏の愛人であることと自尊心の間で苦しむこととなる。強く光源氏を愛し、気位の高い女性であるがゆえに、心底では光源氏と関係のある女性に強い嫉妬心を抱き、その強烈な思いが怨念となって様々な人物に影響をもたらす。 後年は自らを律するため、娘が伊勢の斎宮となったのを機に娘とともに伊勢へ同行し、光源氏と距離を置くようになる。帰京後は出家し、娘の後見となってくれるよう光源氏に託し、亡くなる。

夕霧 (ゆうぎり)

光源氏と葵の上の息子。光源氏の若い頃に生き写しと言われるほど似通っているが、性格は生真面目で純朴であるため、女性の扱いは不器用。母・葵の上の死後、母方の祖母である大宮(頭の中将の母)に預けられ養育される。その時期に同じ年頃だった頭の中将の娘・雲居の雁と初恋をし、将来を誓い合うが、頭の中将に疎まれ仲を引き裂かれてしまう。 しかしその後、勉学や仕事に励み、頭の中将にも認められ雲居の雁と結婚する。元服後は花散里を養母とする。親友である柏木と光源氏、女三の宮との三角関係にはうすうす気付いてはいたが、あくまで知らないふりを通し、不義の子・薫に対しても兄としての態度を崩すことはなかった。

朧月夜 (おぼろづきよ)

桐壺帝の妻・弘徽殿の女御の妹であり、光源氏の異母兄・朱雀帝の妻。光源氏とは入内する前から関係を持っていたが、姉・弘徽殿の女御が光源氏を憎んでいたため、関係を隠していた。入内後は朱雀帝の寵愛を受け自らの地位を確立していたが、密かに光源氏との関係は続いていた。 しかしふとしたことから光源氏との関係を光源氏の政敵である朧月夜の父・右大臣と姉・弘徽殿の女御に知られてしまい、別れを余儀なくされる。奔放で情熱的な女性であり、光源氏との関係もスリルを楽しんでいるようなところもあった。正式な夫である朱雀帝のことは尊敬してはいるが、愛してはいない。

夕顔 (ゆうがお)

頭の中将が恋愛遍歴の一つとして光源氏に語って聞かせた女性。頭の中将がかつて恋人としており、娘を一人もうけていた。しかし正妻との折り合いが悪く、頭の中将には知られぬまま行方知れずとなる。後日、偶然光源氏が夕顔の隣家へ用事で訪れ、夕顔の花を介して歌を贈ったことがきっかけで光源氏の恋人となる。 だが同時期に光源氏と交際を始めていた六条御息所に嫉妬を向けられ、生霊となった六条御息所にとり殺された。頭の中将との間にもうけた娘はその後行方不明となっていたが、後に発見され光源氏の養女として引き取られる。

花散里 (はなちるさと)

桐壺帝の妻・麗景殿の女御の妹。若き光源氏が藤壺の宮との関係に行き詰まり苛立っていた頃、出会った。内裏の女性の中にあって、優れた容姿ではないものの控えめで優しく温かな人柄は、光源氏にとって他の恋人にはない魅力として映り、生涯を通して精神的な癒しとなり続けた。 また後年は光源氏から実子や養子の養育を任される等、絶大な信頼を得る。

末摘花 (すえつむはな)

天皇家の血筋にあたる常陸宮の娘。しかし、父である常陸宮がしかるべき官職についておらず、後見もなかったため台所事情は厳しく、貧しい暮らしをしていた。美人という噂を聞いて口説く光源氏と、その様子を知って張り合う頭の中将の二人から口説かれることになるが、最終的に光源氏と契る。 しかしその実、見目は美人とはほど遠く、教養にも乏しい女性だったため、光源氏を絶句させた。

女三の宮 (おんなさんのみや)

光源氏の腹違いの兄である朱雀帝の娘。光源氏とは親子ほど年が離れているが、女三の宮の将来を憂う朱雀帝からのたっての願いとして、光源氏と結婚することとなる。過保護に育てられたこともあり、よく言えば素直、悪く言えば主体性がなく、自分の好みや主張がほとんどない。 機転の良さや教養もさほどなく、藤壺の宮の姪という関係から理想の女性を期待していた光源氏を失望させた。その後、光源氏へ降嫁する前から女三の宮を思慕していた柏木から強引に迫られ、拒みきれずに逢瀬を重ねる。その結果、不義の子・薫を産む。出産後、柏木と密通してしまった背徳感と、柏木との関係を知った光源氏からの無言の軽蔑に耐えきれず、出家する道を選ぶ。

柏木 (かしわぎ)

頭の中将の息子。夕霧の幼なじみであり、親友。文武に優れ、将来の期待される若者。女三の宮に結婚を申し込み、身分を理由に断られるが、諦めきれずに光源氏へ降嫁した女三の宮のところへ忍び込み、強引に契りを結ぶ。しかし、女三の宮の懐妊によって不義密通が光源氏に知られるところとなる。 これによって裏切りの呵責と女三の宮からの拒絶が重なり、精神的に苛まれ、衰弱して亡くなる。

(かおる)

表向きは光源氏の息子ということになっているが、実は柏木の息子。母は女三の宮。生まれながらにして芳しい香りをまとっていることから「薫」と呼ばれる。幼い頃に自分が光源氏の本当の子ではないと知り、そのため自らのアイデンティティについて悩み続け、仏道に救いを求めている。 仏道に造詣の深い八の宮から教えを請うている関係で八の宮の娘、大君と中の君のことを知り、次第に姉・大君へ惹かれていく。自分の出自がわからないことから、恋愛については興味がなく無関係だという風を装い、匂の宮に揶揄されていたが、大君と出会うことで恋心を認め、自分自身の変化を知ることとなる。

匂の宮 (におうのみや)

光源氏と明石の上の娘・明石の中宮と今上帝の三男。明石の中宮の息子であることから、義理の祖母である紫の上に育てられる。薫とは幼なじみ。光源氏に憧れを抱いており、その息子である薫に対抗心を持っている。親王という立場にもかかわらず、自分が真に愛した人を妻にしたいという願望を持ち、理想の女性を追い求めている。 薫が宇治の八の宮へ足繁く通う噂を聞きつけ、八の宮の姫君への取り次ぎを頼むなど、恋に関しては情熱的で積極的。

大君 (おおいぎみ)

光源氏の異母兄である八の宮の娘。同じく娘である中の君の姉。都を離れ、宇治の地で中の君とともに慎ましく暮らしていたが、八の宮の元へ薫が通うようになり、見初められる。儚げで奥ゆかしい美しさを持ち、物静かさを好む薫から求婚されるようになるが、自身よりも妹の中の君の行く末を案じ、薫と中の君を結婚させようと画策する。 しかし思惑はうまくいかず、中の君は匂の宮と結婚することとなり、またその中で大君自身も薫への恋心を自覚する。元々病弱であったため、父・八の宮の死や中の君の結婚などが度重なり、心労のため体調を崩し、そのまま帰らぬ人となる。

中の君 (なかのきみ)

光源氏の異母兄である八の宮の娘。同じく娘である大君の妹。八の宮の元へ通っていた薫に、大君とともに見いだされる。姉・大君と違い華やかで明るい美しさの持ち主。薫を通じて噂を聞きつけた匂の宮と文を交わすようになり、薫の手引きによって半ば強引に匂の宮と結婚する。 結婚後は子供にも恵まれるが、正妻である六の君や浮舟によって心乱され、匂の宮の浮気心に悩まされることとなる。

浮舟 (うきふね)

光源氏の異母兄である八の宮の娘。大君・中の君とは異母妹となる。幼い頃に父親と生き別れ、再婚した母親とともに常陸の国にいたが、養父の任期が明けたことで上京した。その際、姉である中の君へと挨拶に行き、薫にその存在を知られることとなる。 亡くなった姉の大君に生き写しと言われるほど似ており、そのことを知った薫に大君の身代わりとして妻にと求められる。しかしそのさなか、同時期に匂の宮からも迫られ、強引に契りを交わされしてしまう。その後、薫と匂の宮の双方から迫られ、身の振り方を決めかね、宇治川に身を投げ入水する。

ベース

源氏物語

書誌情報

あさきゆめみし 7巻 講談社〈講談社漫画文庫〉

第1巻

(2001-07-31発行、 978-4063600506)

第2巻

(2001-07-31発行、 978-4063600513)

第3巻

(2001-07-31発行、 978-4063600520)

第4巻

(2001-07-31発行、 978-4063600537)

第5巻

(2001-07-31発行、 978-4063600544)

第6巻

(2001-07-31発行、 978-4063600551)

第7巻

(2001-07-31発行、 978-4063600568)

あさきゆめみし 新装版 7巻 講談社〈KC KISS〉

第1巻

(2021-12-13発行、 978-4065263174)

第2巻

(2021-12-13発行、 978-4065263181)

第3巻

(2022-01-13発行、 978-4065263198)

第4巻

(2022-01-13発行、 978-4065263204)

第5巻

(2022-02-10発行、 978-4065268155)

第6巻

(2022-02-10発行、 978-4065268162)

第7巻

(2022-02-10発行、 978-4065268179)

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