大巨蟲列島

大巨蟲列島

REDICEの『巨蟲列島』の続編。巨大な昆虫が跋扈(ばっこ)する島からの脱出を果たした少女たちの、新たなる巨大昆虫との戦いを描くパニックホラー。「マンガクロス」で2019年4月25日から配信の作品。

正式名称
大巨蟲列島
ふりがな
だいきょちゅうれっとう
原作者
藤見 泰高
漫画
ジャンル
パニック
レーベル
チャンピオンREDコミックス(秋田書店)
巻数
既刊12巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

私立鳳翔高等学園の修学旅行生を乗せた飛行機が突如として墜落する。織部睦美ら生き残った生徒たちは東ノ小島と呼ばれる小島に流れ着く。だが、その島は巨大化した昆虫たちの巣窟となっていた。睦美と仲間たちは多くの犠牲を出すも、どうにか島から脱出するが、ようやくたどり着いた辰野神島もまた巨大昆虫が支配する島であった。巨大カブトムシの襲撃を睦美の機転でかわした一行は、島民の無雲兵衛に妹の無雲葵を助けて欲しいと頼まれ、島の社へと向かう。そこには巨大化した蚊に刺されて意識不明になっている葵と、京介をはじめとする島の者たちがいた。睦美たちは葵を運び出そうするが、乗ってきた救命艇が巨大フジツボに張りつかれて沈没。脱出の手段が失われてしまったため、外部と連絡を取るべく島の基地局へ向かう。そこで電波障害を発生させるアブラゼミの群れを駆逐し、通信機器の復旧に成功した睦美たちだったが、社では睦美に裏切られたと思い込んだ京介らが暴走。止めようとした識森涼子を撃ち、葵を連れ出してしまう。睦美たちは京介の後を追うが、すでに彼らは無数の巨大カマキリに襲われていた。京介たちと合流した睦美は島民が避難している小学校に逃げ込むが、追ってきたカマキリに侵入され校内は地獄と化していた。

スピンオフ

漫画

本作『大巨蟲列島』の派生作品に、さざなみ陽輔の『巨蟲山脈』がある。オカルトスポットとなっている山中のトンネルに、肝試しと称して動画撮影にやって来た大学生たちが巨大昆虫に襲われるという内容で、『大巨蟲列島』の主人公、織部睦美の師匠である榎稲穂も登場する。

関連作品

漫画

本作『大巨蟲列島』の関連作品に、カミムラ晋作の『サイカチ 真夏の昆虫格闘記』がある。昆虫相撲に魅了された少年の活躍を描いた作品で、本作の主人公、織部睦美の師匠である榎稲穂が登場する。ほかに、昆虫が原因のさまざまな事件を描いたカミムラ晋作の『ベクター・ケースファイル 稲穂の昆虫記』があり、こちらでは榎稲穂が主人公を務める。

登場人物・キャラクター

織部 睦美 (おりべ むつみ)

私立鳳翔高等学園2年1組に在籍する女子。東ノ小島での惨劇を生き抜いたメンバーの一人。子供の頃は昆虫のことを恐れていたが、榎稲穂との出会いを機に昆虫を愛するようになり、以来昆虫採集に必要な知識と体力を身につけるために日々努力してきた。そのため、昆虫に関する豊富な知識と高いサバイバル能力を合わせ持っており、昆虫採集の用具などを入れたリュックサックを「ゴマ夫さん」と名づけて、いつも持ち歩いている。高校では変人扱いされ、いじめの対象になっていたが、東ノ小島では持ち前の昆虫の知識を駆使して数々の危機を乗り越えてきたことから、現在では仲間たちに頼られる存在になっている。一方で生き残るためとはいえ、大好きな昆虫を殺すことに抵抗感を覚えている。辰野神島でもリーダー格として活躍するが、一人で抱え込み過ぎるところがあり、島の通信基地局に向かう際、これ以上犠牲者を出せないという焦りからゴマ夫さんを持って行くのを忘れてしまい、危機に陥る。それでもなおクマゼミやオニヤンマが巣くう危険なエリアを強行突破しようとするが、親友の成瀬千歳に叱責され、冷静さを取り戻した。

成瀬 千歳 (なるせ ちとせ)

私立鳳翔高等学園2年1組に在籍する女子。東ノ小島での惨劇を生き抜いたメンバーの一人。やや生真面目過ぎるところもあるが、メンバーが方針を巡って仲間割れしかけた時には、みんなでシャワーでも浴びようと提案して緊張感をほぐすなど優れたリーダーシップを発揮する。高校でも変人扱いされていた織部睦美に優しく接した、一番の理解者というべき存在で、睦美がゴマ夫さんを忘れていった時、真っ先にそのことに気づき、自分一人だけでどうにかしようと焦る彼女を叱責した。睦美が京介に犯されそうになった時にも、自らが身代わりを申し出るなど、睦美とは強い信頼関係で結ばれている。

三浦 真美 (みうら まみ)

私立鳳翔高等学園2年1組に在籍する女子。東ノ小島での惨劇を生き抜いたメンバーの一人。アイドルとして活動しているが、今はすっかり落ち目で事務所から見限られつつある。東ノ小島では、ひ弱で誰かに頼るだけの存在だったが、何かが吹っ切れたのか辰野神島では銃を持つことを躊躇しなくなった。

桃崎 香住 (ももさき かすみ)

私立鳳翔高等学園2年3組に在籍する女子。東ノ小島での惨劇を生き抜いたメンバーの一人。お嬢様気質だったが、東ノ小島で数々の危機を乗り越えたことで精神的にタフになった。京介と法嘩に拉致され、食用ミミズの詰まった箱に落とされるという拷問を受けても、最後まで口を割らなかった。

甲斐 和彦 (かい かずひこ)

私立鳳翔高等学園2年4組に在籍する男子。東ノ小島での惨劇を生き抜いたメンバーの一人。見た目はドレッドヘアのチャラ男だが、優れた状況判断能力の持ち主で、東ノ小島ではいち早く織部睦美の能力に信頼を置き、生きのびるために彼女と行動を共にするようになる。電気機器に関する知識も持ち合わせており、辰野神島の基地局に向かうことになった睦美に同行した。セミの鳴き声が通信異常の原因であることに気づくなど、仲間たちにとって欠かせない存在となっている。

青山 望 (あおやま のぞみ)

私立鳳翔高等学園2年4組に在籍する女子。東ノ小島での惨劇を生き抜いたメンバーの一人。誰かにすがることで安心感を得ようとする依存心の強い性格で、東ノ小島で死亡した女性教師の中城茉莉華を信奉しており、彼女を助けられなかったことで織部睦美のことを逆恨みしていた。しかし、巨大カブトムシに襲われた際、危険を省みずに自分を助けてくれた睦美の姿を見て、今度は彼女を崇拝するようになる。

識森 涼子 (しきもり りょうこ)

海上保安庁所属の女性隊員。階級は三等海上保安正で、東ノ小島での惨劇を生き抜いたメンバーの一人。任務に忠実で民間人を助けるためならいかなる危険も厭わない。織部睦美たちが通信機器を復旧しているあいだ、島の社で意識不明の無雲葵を守っていたが、勝手に行動しようとする京介と法嘩を止めようとした際、アクシデントから京介に撃たれて重傷を負ってしまう。

無雲 兵衛 (なぐも ひょうえ)

辰野神島に住む青年。無雲葵の兄。京介と法嘩に捕えられていた桃崎香住を助け出し、巨大蚊に襲われて意識不明となった葵を助けて欲しいと織部睦美たちに頼む。京介たちのような余所者への敵対心はさほどなく、睦美のことも信頼している。睦美たちが乗ってきた救命艇が沈んでしまったため、島外と連絡を取るべく島の通信局に向かうことになった睦美と甲斐和彦に同行した。電波障害を発生させていた巨大なアブラゼミの群れを駆逐した。

無雲 葵 (なぐも あおい)

辰野神島に住む少女。無雲兵衛の妹で、年齢は16歳。島に出現した巨大な蚊に襲われたことにより壊血病のような症状を発症し、意識不明となっている。中学1年の時、土砂崩れに巻き込まれて大ケガを負うが、島中の人が輸血してくれたおかげで一命を取り留めたという経験を持つ。以来、島のため自分にできることをしたいと思うようになり、京介や法嘩のような嫌われ者の不良たちにも分け隔てなく親切に接してきた。そのため、島中の者から愛される存在となっている。

京介 (きょうすけ)

辰野神島に住む男子高校生。はみ出し者の不良で、法嘩や三下ミツオら高校の不良仲間のリーダー格を務めていた。織部睦美たちが島に上陸した際、乗って来た救命艇を奪うべく襲撃する。桃崎香住を拉致し、彼女を拷問にかけて船の操縦者の名を聞き出そうとした。船を奪おうとしたのは謎の病を発症した無雲葵を助けるためで、無雲兵衛の仲裁を受け入れ、睦美たちと一時協力するが、彼女たちのことを信じきれず、識森涼子を撃って葵を連れ出す。しかし、巨大カマキリの群れに襲われたため、後を追って来た睦美らと島の小学校に逃げ込むこととなった。巨大昆虫による被害が発生した際、島の外から逃げ込んで来た者たちが狼藉(ろうぜき)を働いたため、余所者への不信感が非常に強い。ただ、睦美の必要性は痛感しており、彼女を自分たちの側に引き込もうと目論んでいる。

法嘩 (のりか)

辰野神島に住む女子高校生。はみ出し者の不良で、高校では不良仲間である京介、三下ミツオとつるんでいた。京介と同じく余所者のことを信用しておらず、辰野神島に上陸した織部睦美たちを襲い、桃崎香住を拉致。彼女を拷問にかけて船の操縦者の名を聞き出そうとした。無雲葵を助けたいという思いは強く、睦美たちと一時協力するが、識森涼子を撃って葵を連れ出した京介に同行した。しかし、巨大カマキリの群れに襲われたため、後を追って来た睦美らと島の小学校に逃げ込むこととなった。

仲宗根 鏡 (なかそね かがみ)

辰野神島で漁師見習いをしている女性。年齢は19歳。巨大化した蚊に襲われ意識不明となった無雲葵を無雲兵衛らと共に島の社で守っていた。男勝りで腕っぷしも強いが、同性愛の気があり、酔いつぶれた織部睦美と肉体関係を持とうとした。睦美たちに信頼を寄せており、ゴマ夫さんを忘れた睦美を成瀬千歳らと追い、彼らと協力して電波障害を発生させていた巨大アブラゼミの群れを駆逐。さらに、葵を連れ出した京介らを追うための道案内を買って出る。

婆々 (びぃびぃ)

辰野神島に住む老婆。巨大化した蚊に襲われ意識不明となった無雲葵を島の社で保護し、無雲兵衛や仲宗根鏡らと共に守っていた。きっぷのいい性格で、島の若者たちから慕われている。織部睦美たちを快く受け入れるが京介の暴走を止められず、彼らに葵を奪われてしまう。

三下 ミツオ (みしも みつお)

辰野神島に住む男子高校生。年齢は18歳。はみ出し者の不良で、高校では京介や法嘩とつるんでいたが、そんな自分たちにも親切にしてくれた無雲葵を助けたいと奮起。診療所に輸血用の血液パックを取りに行くが、巨大化したヤマビルに襲われて死亡した。

宮杜 刻 (みやもり とき)

辰野神島の神社で巫女(みこ)見習いをしている女性。年齢は22歳。無雲兵衛に好意を持っており、島の社で婆々と共に意識不明の無雲葵を保護していた。しかし、気弱で流されやすい性格のため、京介に逆らうことができず、彼らと共に意識不明の葵を連れ出す。さらに、織部睦美を自分たちの側に引き入れようとする企みに手を貸してしまう。

沢田 (さわだ)

辰野神島に住むモヒカン頭の青年。水嶋や木田ら島の若者たちを引き連れており、無雲葵を連れ出した京介、法嘩らと合流するが、巨大カマキリの軍団に襲われ、助けに来た織部睦美らと共に島の小学校に逃げ込んだ。見た目はチンピラ然としているが、実は医学部卒のインテリで無雲葵の様子を確認したり、カマキリに襲われた水嶋に応急処置を施したりした。

アキ

辰野神島に住む女性。ミキとは双子の姉妹。沢田のグループに属しており、無雲葵を連れ出した京介、法嘩らと合流するが、巨大カマキリの軍団に襲われ、助けに来た織部睦美らと島の小学校に逃げ込んだ。小学校でのカマキリとの戦いでは睦美を援護するため、ミキといっしょに囮(おとり)となってハラビロカマキリの成体の気を引くが、攻撃をかわしきれず窮地に陥る。しかしミキに助けられ、かろうじて生きのびた。

ミキ

辰野神島に住む女性。アキとは双子の姉妹。沢田のグループに属しており、無雲葵を連れ出した京介、法嘩らと合流するが、巨大カマキリの軍団に襲われ、助けに来た織部睦美らと島の小学校に逃げ込んだ。小学校でのカマキリとの戦いでは睦美を援護するため、アキといっしょに囮となってハラビロカマキリの成体の気を引くが、攻撃を食らいそうになったアキを身を挺してかばい、巨大なカマで真っ二つにされた。

水嶋 (みずしま)

辰野神島に住む青年。沢田のグループに属しており、無雲葵を連れ出した京介、法嘩らと合流するが、巨大カマキリの軍団に襲われ重傷を負う。小学校でのカマキリとの戦いでは、織部睦美を援護するべく負傷をおしてカマキリの幼体の群れと戦い、仲間たちの無事を見届けたあと力尽きた。

木田 (きだ)

辰野神島に住む青年。沢田のグループに属しており、無雲葵を連れ出した京介、法嘩らと合流するが、巨大カマキリの軍団に襲われ、助けに来た織部睦美らと共に島の小学校に逃げ込んだ。怪力自慢の大男で、丸太や斧を振るって奮戦するが、小学校でのカマキリとの戦いの際、背中に致命傷を負い死亡した。

新垣 千里 (にいがき ちさと)

辰野神島の役所に勤める女性。小学校に避難した島民たちのまとめ役になっており、カマキリの群れに追われて逃げ込んだ織部睦美たちを受け入れる。さらに、睦美たちと協力して学校に侵入したカマキリの群れと戦うが、倒したカマキリの死骸から飛び出して来たハリガネムシに襲われ死亡した。

榎 稲穂 (えのき いなほ)

織部睦美が昆虫に親しむきっかけとなった白衣姿の女性。まだ若いが昆虫の生態に精通しており、睦美にさまざまな昆虫の生態やサバイバルの知識などを教え込んだ。クールかつ無表情で言動もぶっきらぼうだが、実は優しく面倒見がいい。ただネーミングセンスは最悪で、何かと睦美のことを変な呼び名で呼んでいる。

場所

東ノ小島 (あずまのこじま)

私立鳳翔高等学園の修学旅行生たちが漂着した小島。2週間前までは人々が暮らすふつうの島だったが、現在は巨大化した昆虫たちのテリトリーと化している。わずかな住民が暮らす小島には似つかわしくない巨大な医療施設があり、なんらかの実験が行われていたようだが詳細は不明。

辰野神島 (たつのかみしま)

東ノ小島を脱出した織部睦美たちが上陸した島。東ノ小島と同じく巨大化した昆虫の脅威にさらされているが、人口が多いこともあって、まだ全滅には至っていない。ただ、すでにカブトムシやカマキリなどの強力な虫たちが活動を開始しており、巨大化した肉食昆虫の中でも強い種族しか生き残れない過酷な環境となっている。島外の人々にも優しくするのが昔からの習わしで、ほかの島から逃げて来た者たちを受け入れるが、避難民たちが暴徒化して島内で略奪や女性への暴行を繰り返したため、現在は余所者(よそもの)を忌み嫌う者が増えつつある。

その他キーワード

ゴマ夫さん (ごまおさん)

織部睦美が愛用しているアザラシの形をしたリュックサック。完全防水で双眼鏡や虫よけのための忌避剤、夜間採集の際に使用するレーザーポインタといったさまざまな昆虫採集の用具や、サバイバルに必要な知識をまとめた自作のノートなどが入っている。睦美がもっとも大事にしているもので、「ゴマ夫さん」と呼んでいつも肌身離さず身につけている。

クレジット

原作

藤見 泰高

書誌情報

大巨蟲列島 12巻 秋田書店〈チャンピオンREDコミックス〉

第8巻

(2022-08-19発行、 978-4253237987)

第9巻

(2022-12-20発行、 978-4253237994)

第10巻

(2023-05-18発行、 978-4253238007)

第11巻

(2023-10-19発行、 978-4253238151)

第12巻

(2024-03-18発行、 978-4253321396)

SHARE
EC
Amazon
logo