太平天国演義

太平天国演義

19世紀の中国・清王朝で起きた「太平天国の乱」をモチーフに、甲斐谷忍が描く歴史作品。乱の首謀者で宗教家・洪秀全を、極悪匪洪火秀にして描いている。高い戦闘力を持つ者が戦闘する武侠作品と、同氏が描く『ワンナウツ』や『ライアーゲーム』のような狡知がぶつかる策謀劇の2つが融合した作品になっている。掲載誌の休刊後、雑誌を変えて何回か掲載されたが、完結には至っていない(2015年現在)。

正式名称
太平天国演義
ふりがな
たいへいてんごくえんぎ
作者
ジャンル
その他歴史・時代
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概要・あらすじ

清王朝末期の中国。洪火秀は極悪匪として指名手配を受けていた。日蝕の闇にまぎれて逃げ込んだ貧しい村で、なぜか神として崇められることに。村で生活する中で、官吏の横暴や野盗の横行の前に死んでいく人々の姿に怒りを感じ、彼の心の中に正義が目覚める。やがてキリスト教を信じる老爺馮雲山や仲間と共に、打倒清王朝を目指して立ち上がることになる。

登場人物・キャラクター

洪 火秀 (こう かしゅう)

肩ほどまでのボサボサな金髪で、顎髭を生やした風貌。強盗・略奪・殺人などの犯罪を犯してきた極悪人として指名手配されている。生まれついての怪力と敏捷さ、観察力の高さ、狡知に長けた頭脳により高い戦闘能力を誇る。非道を行うことに躊躇はしないが、そうしなければ生き残れない環境で育ったためで、根は純朴で素直。 歴史上の実在の人物、洪秀全がモデル。

馮 雲山 (ふう うんざん)

『太平天国演義』の登場人物にして実在の人物。聖書を手に民を救おうと中国全土を旅してきた老爺。最初は村で神を僭称し、糧食を漁っていた洪火秀を退治しようと考えていた。しかし、後に彼こそが腐敗した清王朝を倒せる男と見込んで、救世主としての教育をし始める。歴史上の人物、馮雲山がモデル。

石 達開 (せき たつかい)

『太平天国演義』の登場人物にして実在の人物。貴県出身の客家の農民で、八極拳や朱家拳を修めた武闘家。殺人の罪を着せられて処刑間近となった妹の石明藍を助けるために、賞金目当てで洪火秀を狙う。だが、清の役人同知に騙されているのを知り、洪火秀の仲間になる。後に五幹部の一角を担うようになる。 歴史上の実在の人物、石達開がモデル。

石 明藍 (せき めいらん)

石達開の妹。心優しい客家の少女だが、子供の頃に患った病気のために盲目になってしまった。客家を妬む役人と土着民の陰謀で、殺人の罪を着せられ捕縛される。看守の辱めを受けるのを拒み自刃する。

楊 秀清 (よう しゅうせい)

『太平天国演義』の登場人物にして実在の人物。学は無いが、並外れた度胸と明晰な頭脳を持つ青年。裏社会からの信頼も厚く、運び屋として危険だが高報酬の仕事を請け負っている。按察使の李寿祥の差配で洪火秀討伐に乗り出す。後に洪火秀の仲間になり、五幹部の一角を担う。歴史上の実在の人物、楊秀清がモデル。

蕭 朝貴 (しょう ちょうき)

『太平天国演義』の登場人物にして実在の人物。楊秀清の知り合いで、共に運び屋をしていた青年。後に洪火秀の仲間になり、五幹部の一角を担う。歴史上の実在の人物、蕭朝貴がモデル。

韋 昌輝 (い しょうき)

『太平天国演義』の登場人物にして実在の人物。裕福な地主の息子で、優しげな風貌をしている。洪火秀の「飢えた子供を見捨てれば、それは殺人に等しい」という言葉に感銘を受け、貧民への施しをするようになる。洪火秀捕縛の報奨金を手に入れる際には、馮雲山と組んで役人を騙そうとした。後に五幹部の一角を担う。歴史上の実在の人物、韋昌輝がモデル。

集団・組織

(しん)

1644年に愛新覚羅によって打ち立てられた中国に実在した最後の統一王朝。『太平天国演義』の舞台になるのは、清王朝末期の19世紀中頃。アヘン戦争に負け、国の内側も官吏の腐敗や内乱でボロボロだった。男は髪を編み後ろに垂らす辮髪にすることが義務付けられていたため、『太平天国演義』の男性キャラは洪火秀以外のほとんどが辮髪にしている。

拝上帝会 (はいじょうていかい)

『太平天国演義』に登場する組織名。紫荊山の廟に住むようになった洪火秀を神として崇める集団に付いた名称。富める者は感謝と共に富を捧げ、貧しい者は捧げものによって救われたという。後にこの組織が「太平天国の乱」を起こす。

場所

紫荊山 (しけいざん)

『太平天国演義』に登場する中国南部、広西省にある実在の地名。洪火秀が日蝕の日に闇にまぎれて流れ着いた貧しい村があった。この村には北方から移住してきた客家が多く住んでいた。

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