麒麟館グラフィティー

麒麟館グラフィティー

北海道にある下宿に新しく来た管理人の森川妙とその憧れていた先輩宇佐美とその妻菊子をめぐる愛の葛藤を描く。94年小学館漫画賞を受賞。

正式名称
麒麟館グラフィティー
ふりがな
きりんかんぐらふぃてぃー
作者
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概要・あらすじ

札幌の麒麟館に新しく管理人としてやってきた森川妙は冬の雪道にうずくまっている女性を拾う。その女性は、が大学時代にあこがれていた先輩宇佐美の妻菊子だった。は宇佐美の想いを抱えながら、菊子との友情を育んで行く。

登場人物・キャラクター

森川 妙 (もりかわ たえ)

22歳。大学の仲間とインテリア雑誌を作っており、卒論に間に合わず、大学留年中。亡くなった祖母から引き継いだ下宿所・麒麟館の管理人をすることになる。3年前に先輩の宇佐美にフラれ、今でも失恋の痛手を引きずっている。口が悪く言いたいことはハッキリ言うタイプ。見た目は少年のようだが、乙女のように繊細な一面もある。 宇佐美の菊子に対する扱いがあまりにもひどいため、守ることを決意。菊子の優しさに触れ、友情を育んでいく。

宇佐美 菊子 (うさみ きくこ)

21歳。夫婦ゲンカで家を飛び出し雪の中行き倒れているところをに拾われ、それ以来、麒麟館の管理人の仕事をしながら居候することになった。妙の片思いの相手・宇佐美の妻。料理と裁縫が得意で、自分が作った服を売るのが夢。性格は優しくてマイペースだが、発する言葉は説得力があり、いざという時の行動力は抜群で、周りが圧倒されることも多い。

宇佐美 秀次 (うさみ ひでつぐ)

妙の先輩で初恋の相手。エリート建築設計士で自分の出世のためには手段を択ばない。美形だが、他人に対する態度は冷たく傲慢。大学卒業後すぐに菊子と結婚するが、彼女に対しては仕事をせずに家事だけやっていれば良いと、自分の都合のいい妻になるように育ててきた。妙とは菊子のことでカッとなり感情的に言い合うことが多い。

火野 美棹 (ひの みさお)

19歳。麒麟館の3バカの1人で、202号室の住人。自分で映画を作るのが夢で、映画研究会に所属している。人がよく純粋な性格ゆえに、人にだまされ、大変な目に合うこともしばしば。密かなコンプレックスは女顔。菊子に次第に惹かれ愛するうちに、男として彼女を守れるように成長していく。大学卒業後は、花屋に就職する。

梶井 純平 (かじい じゅんぺい)

20歳。麒麟館の3バカの1人で、201号室の住人。横山とはおさななじみで仲良し。日本一の大詩人になるのが夢。大きいメガネがトレードマーク。酔うとオカマ口調になる。農学部で火野の先輩だが、横山とともに大学を留年し続ける。

横山 是親 (よこやま これちか)

20歳。麒麟館の3バカの1人で、203号室の住人。絵を描いているだ誰も見たことはなく、未来のピカソが夢。目が見えないほどの長い前髪で、いつもくわえタバコをしている。酔うとところかまわず寝てしまう。農学部。梶井とはおさななじみで、大学留年まで腐れ縁。

志村 チカ (しむら ちか)

麒麟館103号室の住人。短大生で、きちんと家賃を収める優等生。住人には内緒でコツコツとプロを目指し、漫画を描いていた。メガネでおかっぱ頭のそばかす顔という自身の外見から、暗くてダサくてブスだと自覚しており、コンプレックスがゆえに友達を作れないでいた。菊子と出会い、周囲に心を開くようになっていく。

森川妙の父 (もりかわたえのちち)

妙の義父。妙の母親の十六夜にひとめ惚れ。しかし、まだ画学生だったは彼女の幸せを願い姿を消す。その後、十六夜との間に娘ができていたことを知らず、妙が中学生の時に戻ってきたが、十六夜は病死していた。画家として全国を周っており、妙は中学3年から1年間一緒について周った。 麒麟館は彼の実家でもある。マイペースな自由人だが、火野や菊子にとっては頼もしい相談役。

十六夜 (いざよ)

妙の母親。ホテルで働きながら、女手一つで妙を育ててきた。働いていたホテルで行われていた結婚式で、森川に一目ぼれされ、アパートまで押しかけられてしまう。2人は恋人同士になるが、森川は失踪。その後、妊娠が発覚し、妙の妹となる女の子を生む。しかし、働き過ぎでこじらせた十二指腸潰瘍が悪化し急性腹膜炎を起こして、34歳の若さで他界。

小川 佐保子 (おがわ さほこ)

菊子の母親。実家は老舗旅館を営んでおり、佐保子は一人娘。15歳の時に旅館に勤める青年に強姦され、菊子を身ごもる。父親の青年は自分の罪の重さに自殺。経営が苦しい実家の勧めで親ほど年が離れた金持ちの男性と結婚する。不幸な目に遭いながらも、菊子を優しく見守り、大事に育ててきた。

容子 (ようこ)

宇佐美の従姉妹で、彼が仕事でノルウェーに行っている1年間一緒に暮らしていた。妻の菊子から届いた手紙を宇佐美にわからないように隠していたことも。宇佐美を愛し、手に入れようとするやり方は強引。日本に来て菊子の前に現れ、宇佐美と離婚させようと宣戦布告する。

佐藤 オリエ (さとう おりえ)

火野が働く花屋の社長の娘。からかいやすい火野のことが気に入り、彼の片想いの相手・菊子にいじわるをしに麒麟館に入り浸る。性格は気が強く、社長の娘らしいわがままな面が表に出ているが、根はいい子。

館林 功 (たてばやし いさお)

新進気鋭のインテリアデザイナー。32歳。妙が働くインテリア店のオーナーの甥で、宇佐美の実兄。妙とは出会って3か月でプロポーズ、婚約まで話を進めた。雑誌に紹介されるほどのルックスの良さを持ち、大人の落ち着きもあるが、やや強引。

場所

麒麟館 (きりんかん)

2階建ての木造でボロボロ。大学生向けの下宿所で、妙が亡くなった祖母からの管理人を受け継いだ。管理人の妙と居候の菊子は1階の管理人室、102号室は空き室、103号室はチカ、2階には3人の男子大学生、屋根裏部屋に妙の父が暮らしている。家賃は1か月2万円。

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