マルクスガール

マルクスガール

主人公の伊藤栄が、世界の「革命」を目標に活動を続ける菅野清子に惹かれる中で、自分自身の戦いを見出していく姿を描く。山本夜羽音が山本夜羽名義で発表した作品。

正式名称
マルクスガール
ふりがな
まるくすがーる
作者
ジャンル
青春
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概要・あらすじ

高校受験を控えた中学三年生の主人公伊藤栄は、自分より一学年上の菅野清子が描いた絵に感銘を受け、清子のいる県立幸徳社高校を志望していた。入試の全日、新宿でホームレスたちと酒盛りしている清子と偶然出会ったは、酔いつぶれて清子のアパートに泊まりこむが、清子と付き合っていた大学助教授の宮代慎一と鉢合わせになってしまう。

その後、幸徳社高校に合格したは、清子の所属する現代美術研究会に入部しようとするのだった。

登場人物・キャラクター

伊藤 栄 (いとう さかえ)

県立幸徳社高校に通う男子高校生。中学生のころから美術部に所属しており、三年生の時に、県展に出品された菅野清子の絵を見て幸徳社を志望し、清子のいる現代美術研究会に入部する。奔放な清子には出会った当初から惹かれ続け、振り回されることになる。絵を描くのは得意で、入学当初は美術部と兼部しており、上級生からも評価されていた。 しかし、現代美術研究会の活動を通して、権威主義的な美術部の空気とはそりが合わなくなり、美術部を退部。現代美術研究会を背負って立つ存在になる。

菅野 清子 (かんの すがこ)

県立幸徳社高校に通う女子高校生。伊藤栄より一学年上。現代美術研究会会長。グラビアモデルにスカウトされるほどの美人だが毒舌家で奔放な性格。絵を描くことで社会を「革命」することを目標にしている。創作活動と称して過激な行動をとり、停学処分を受けることが多く。教師や生徒たちからは問題児とみられている。 現代美術研究会創設メンバーのひとり秋水毅に憧れを抱いている。とある事件から投獄されている秋水を助けるために行動を起こし始める。

金子 フミ (かねこ ふみ)

県立幸徳社高校に通う女子高校生で伊藤栄と同学年。中学生の頃にいじめにあい、自殺未遂をして入院した病院で菅野清子と知り合う。清子に憧れてそのまま現代美術研究会に入部する。入部した当初の栄に対しては、清子との仲を巡って冷たい態度をとっていた。中学生の頃のいじめっこたちから襲われたところを、栄と清子に助けられたことで、栄に対しても好意を抱くようになる。

大杉 ルイーズ 玄美 (おおすぎ るいーず ひとみ)

県立幸徳社高校に通う女子高生。子供の頃から左耳が悪く、補聴器を使用している。菅野清子とは同学年で幼なじみ。新聞部に所属しており、特ダネ記事のネタとして清子の行動を追いかけている。清子には劣等感混じりの複雑な感情を抱いており、伊藤栄と関係を持とうとしたことも。学内では交友関係が広く、ヌードモデルとして美術部の活動に参加することもある。

辻 仁太 (つじ じんた)

現代美術研究会部員のひとりで、人気パンクバンド「クロンシュタッツ」のボーカリストJINTAとして活動している。菅野清子とは同学年で、音楽活動のために休学していたが、清子の活動を見て県立幸徳社高校に復学。清子には恋愛感情を抱いており、伊藤栄を恋敵として認めるが、気さくな性格で栄や金子フミともすぐに打ちとけている。

秋水 毅 (しゅうすい たけし)

県立幸徳社高校定時制の生徒会長で、年齢は33歳。廃部状態だった現代美術研究会を、菅野清子・辻仁太とともに再興した人物。定時制に通いながら地域労組の専従も行っていたが、ある日本語学校の争議に関わったことから、留学生の不法就労斡旋の罪を被せられ、拘置される。そのため県立幸徳社高校は休学中の扱いになっている。 菅野清子の憧れの人物であり、多大な影響を与えている。

宮代 慎一 (みやしろ しんいち)

多摩川国立大学助教授の社会学者でテレビの出演も多い。菅野清子の恋人であり、清子をトークイベントに出演させたり、秋水毅の冤罪を暴くために協力したりする。実在の社会科学者宮台真司がもdル。

太田 薫 (おおた かおる)

県立幸徳社高校に通う女子高校生。伊藤栄とは同じクラス。栄とは同じ中学校の出身で、その頃から一方的に憧れを抱いていたが、栄からは覚えられていなかった。入学当初は地味な容姿だったが、茶道部に入ったことで二学期からはコギャル風にイメチェン。

南山 洋介 (みなみやま ようすけ)

県立幸徳社高校に通う男子高校生。美術部部長。祖父が著名な画家で、権威主義に染まった人物。美術部と対立している菅野清子のことを忌み嫌っている。そのため清子に従って退部を申し出た伊藤栄のことも強く非難し、美術部を除籍処分とした。

甘粕 巧司 (あまかす こうじ)

県立幸徳社高校の教員。生徒指導を担当している。何かとトラブルを起こす菅野清子と現代美術研究会を問題視している。しかし、事なかれ主義で清子たちを放任している県立幸徳社高校の教師たちのことは輪をかけて嫌っている。

境 登志子 (さかい としこ)

県立幸徳社高校に通う女子高校生で、茶道部部長。左翼過激派団体の有力人物である父親を、夢見がちな理想主義者とみなして嫌っている。「革命」を標榜する菅野清子に強い興味を持ち、「世界を破壊する」という自分の野望を満たすために、清子と関係を築こうとする。

佐藤 青狼 (さとう せいろう)

右翼系団体迷走社の書記長を務める男で、日々デモ活動に精を出している。菅野清子と仲がよく、いじめっこたちに拉致された金子フミの救出に協力する。SPEEDの熱烈なファン。モデルは実在の政治活動家佐藤悟志と思われる。

(たかむら)

右翼系団体迷走社の総統。菅野清子の異母兄。日本語学校のストライキを巡って秋水毅と交渉を行い、争議を終息させるが、そのことは不法就労の罪を被せられた秋水が組合から疎まれて見放される原因にもなった。

楯 順一郎 (たて じゅんいちろう)

芸術家の中年男性。大杉ルイーズ玄美の別荘の近くにアトリエを構えており、夏合宿に出向いた現代美術研究会の一同に同行した。ルイとは肉体関係を持っている。かつての現代美術研究会とは何らかの因縁を持つ人物として描写されている。

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