ボールルームへようこそ

ボールルームへようこそ

ある日、偶然に社交ダンス教室を訪れ、その美しさに魅せられた男子中学生が、ダンサーを志し活動する姿を描いた青春ストーリー。タイトルの「ボールルーム」は「舞踏室」、「ボールルームダンス」は「社交ダンス(競技ダンス)」の意味。「月刊少年マガジン」2011年12月号から連載。テレビアニメは2017年7月よりMBS、TOKYO MX、BS11 ほかにて放送開始。

正式名称
ボールルームへようこそ
ふりがな
ぼーるるーむへようこそ
作者
ジャンル
その他スポーツ
レーベル
講談社コミックス月刊マガジン(講談社)
巻数
既刊12巻
関連商品
Amazon 楽天

世界観

社交ダンスが題材。ある誤解からダンス教室を訪れ、社交ダンスに興味を持った男子中学生の富士田多々良が、ペアを組む相手すらいない状態からダンスを始め、自分よりもキャリアの長い同世代選手たちにもまれながら成長していく姿が描かれる。

あらすじ

1巻(小笠原ダンススタジオへようこそ~シャドー・ベーシック~ワルツを踊れ)

 中学3年生の富士田 多々良は、自分に全く自信がなかった。特にやりたいこともなく、進路希望調査も書きあぐねている。毎日がうつろな日々だった。そのため学校ではモグ田と呼ばれ、イジメを受けていた。その日も、多々良は同級生たちにカツアゲされているところを、通りかかったプロダンサー仙石 要に助けられた。 その仙石に社交ダンスの練習場「小笠原レッスンスタジオ」へ無理やり連れていかれ体験レッスンを受けた多々良は、同級生の花岡 雫に出会う。 初めて目にした社交ダンスの世界と美貌の花岡雫に多々良は強い関心をもち、社交ダンス(競技ダンス)を始めることを決意する。

 仙石の指導を受け始めた多々良は、雫がアマチュアランキング1位で、プロのダンサーを目指していることを知る。しかも彼女は海外留学まで予定していた。 その雫とパートナーの天才ダンサー・兵藤 清春のダンスは華麗だった。雫と清春は結成9年目のカップルで、つけ入る隙はなさそうだった。多々良の雫への淡い恋心には早くも壁が立ちふさがった。

 それでも多々良はワルツの猛練習を開始する。  

2巻 (三笠宮杯~ダンサーズ・ハイ~パートナー~たたらの舞台) 

富士田 多々良花岡 雫と兵藤 清春が出場する大会を見学していた。ところが清春が突然失踪、出番が迫るが姿を現さない。多々良は仙石から無茶ぶりされ、清春の替え玉としてステージに立たされる。パートナーの雫と共に何とか踊りきった多々良。その荒削りだが勢いのあるダンスに感応し、清春は怪我した脚に構わず、激しく踊ってしまう。その結果、脚を壊してしまった清春。多々良は責任を感じ落ち込むが、逆に清春に感謝され、雫を頼むと意味深な言葉を残される。言葉の真意を図りかねる多々良の前に、赤城 賀寿が現れる。彼は、パートナーとして妹の赤城 真子がいながら、強引に雫とカップルを組む。わがままな賀寿を諫めるため、多々良と真子カップルを組み、賀寿に対抗する。 

3巻 (天平杯~現実~花と額縁)

赤城 賀寿花岡 雫のカップルに勝って雫を自由にするため、富士田 多々良は賀寿の妹の赤城 真子とパートナーとなり、非公式戦「天平杯」で雌雄を決することになる。1次予選で多々良たちは初心者用のベーシックルーティンを踊り、時々、清春のバリエーションを混ぜる。ギリギリで1次予選を通った多々良たちは2次予選へ。2次予選で賀寿たちが同じフロアに立つとほとんどの人の視線は彼らに。立ち姿だけでレベルの違いが歴然。多々良は思い切ってフロアの中心へ出ていくが賀寿と衝突してしまう。それでもダンスを続ける多々良に賀寿は怒る。  特別審査員として元プロフェッショナルスタンダードチャンピオンで清春の母・兵藤マリサが登場した。準決勝に進んだ多々良だが体力が限界に。頭ではどう踊ればいいのかわかっているのに思うように身体が動かない。それでも審査員室では多々良たちの組の評価が思いのほか高い。動きの一つ一つが丁寧でワルツとタンゴのリズムが良かったと、最下位ながも決勝進出を果たす。 

 決勝では緊張で身体の冷えと緊張感で、堅実なベーシックルーティンだけを踊る多々良たち。そこから一転、バリエーションを開始、知ってる技を舞台構成を考えた即興でつなげていく。技術は拙いが多々良たちのダンスはボディ・ランゲージに強い存在感があふれだす。賀寿とカップルだった時には埋もれていた真子が花として輝きだし、額縁に徹した多々良とのコンビネーションに、観客や審査員の目がすべて真子に集中していく。

4巻(赤城賀寿~特別振り付け~判定)

赤城 賀寿に技術面では太刀打ちできないことを認めつつ、赤城 真子を輝かせることだけに焦点を絞り、富士田 多々良は賀寿の妹の真子と天平杯の決勝を踊り切った。意外なことに観客から、大きな声援を受ける。しかしそれは、ほとんどが、真子への拍手だった。審査委員たちも戸惑っていた。本来、審査委員は男性選手の技術力と男女の一体感を見て順位をつけるべきなのだが、審査委員達の目も真子だけを追っていたのだった。賀寿とのペアは多々良と真子のペアの踊りに大きな刺激を受けた。全力を出し切っていく2人。闘争心を激しく燃やしながらも、笑みを絶やさず、圧倒的な実力差を見せつける。

結局、 決勝戦で優勝したのは、賀寿と雫のペアだった。 多々良と真子のペアは6組中6位という結果に終わる。 しかし天平杯の大会中、最も華のある女性ダンサーとして選ばれたのは真子。今までは 個性が無いと評価されていた真子を多々良が最大限に輝かせた結果であった。試合には完敗した多々良と真子のペアだったが、真子が雫より高く評価されたため、勝負は多々良と真子たちの勝利とみなされ、 真子は兄・賀寿と再びペアを組むことになる。そして、多々良と真子のペアは解散となるのだった。

第5巻

 富士田 多々良は無事に公立高校の一年生になり、社交ダンスのおかげか背も伸び猫背も直っていた。クラスの自己紹介では社交ダンスの競技ダンスという芸術スポーツをしているとまで公言した。しかし相変わらずヤンキーたちにパシリとして扱われていた。また殴られそうになった多々良をヤンキーたちから助けてくれたのは、突然現れた赤城 賀寿。賀寿は同じ高校の二年生でサッカー部とバスケ部の助っ人をしていた。多々良は花岡 雫と同じ競技会に出場するには三笠宮杯かグランプリに出るしかないと賀寿に教えられた。そこへ仙石 要が帰国し、後楽園ホールで開催される東京ダンスグランプリへ出場すると連絡が入る。仙石はアマチュア時代に10ダンスで世界ファイナリストとなり現在、日本で唯一の世界レベルの選手だと多々良に賀寿が教える。試合を観戦するギャラリーの中にはなぜか社交ダンスはダサイと非難してきたクラスメートの緋山 千夏がいた。試合が始まる。

試合中の仙石の動きの凄さに多々良は車酔いしたような感覚を覚える。試合は当然のように仙石と本郷 千鶴ペアの優勝となった。放課後ダンススクールへ向かう多々良に 試合を観戦に来ていた千夏がついてきた。仙石ペアのファンだと言う。仙石と本郷ペアが二人の前で踊りだす。その後、本郷にシャドー練習を見てもらう多々良だが、そこへ仙石に勧められて千夏も参加。二人はペアを組む。千夏と組んだ多々良はホールドを組んでいるときのテンションを感じる。しかも試しに足を出してみると 千夏はきれいに反応した。姿勢も良い。千夏はダンスの経験者だったのだ。

第6巻

富士田 多々良は個人練習に打ち込んでいたが競技会に出るために一緒に踊るパートナーを見つけなければならなかった。しかし一番の候補者だったダンス経験者のクラスメイト、緋山 千夏には練習相手すら断られてしまう。

千夏は確かにジュニアの経験者だったが、大会では女子同士のペアのリードする側(男役)だった。多々良から練習相手として誘われ一度は組んでみたものの、まるでリードが出来ない多々良にあきれる。仙石が二人の役割を交代させて踊らせてみると千夏はリードが上手く、多々良は自分の知らない技まで千夏のリードで踊ることが出来てしまう。 驚いた多々良はこの千夏に支配されている感じが本来のリードなら今まで自分はリードしたことが無いと気づく。グランプリ出場を目指す多々良はD級に昇格するためのパートナーが決まらず焦るが、千夏はダンスをやる気はないと断り続ける。

千夏の元パートナーの甲本 明が三笠杯のシードを狙い新パートナーと大会へ出場する事を知った千夏は、急に多々良と出場し明の組に勝ち三笠杯に出るのと言いだした。しかし、多々良は千夏をリードできない。千夏はフォローをせず勝手に踊る。ペアとして最悪の取り合わせのように見えたが、練習を続け大会出場にこぎつける。そこには無級の多々良たちと違い、すでにB級である明ペアも出場していた。

7巻

富士田 多々良緋山 千夏兵藤 マリサのダンス教室へ通い始める。レベルアップを目指し、マリサの論理的な厳しい指導についていく。兵藤 清春花岡 雫のペアと同じ舞台に立つため、多々良と千夏のペアは静岡グランプリに参加した。しかし清春たちは海外の試合に出場中で不在なことがわかる。グランプリに出場した多々良ペアは格上ばかりのメンバーたちに圧倒され試合を途中棄権する。しかしグランプリでダンス中に、多々良はペアを組む千夏と一体化して、まるで一人で踊っているような感覚を得た。それはプロダンサー特有の感覚だった。今までは、頭では分かっていても身体がついてこずに苦しんでいたが、今度は、身体の動きに、頭がついてこない感覚だった。

マリサのダンススクールの強化合宿が軽井沢の別荘で行われることになる。そこには、清春と 雫ペアや赤城 賀寿赤城 真子ペアやマリサの一番弟子、釘宮 方美井戸川 民絵ペアも参加していた。釘宮は事故に遭い、一時的にダンスから引退していたが、リハビリを終え、最近戻ってきていた。釘宮は口が悪く、パートナーの井戸川を「落武者」と呼んだりする。合宿が始まり、各ペアのダンスは順調に進化し始める。しかし多々良と千夏ペアは互いの関係が悪化し、とうとうダンス中に千夏が多々良を振り切り逃げ出していく。

8巻  

兵藤 清春が、部屋に閉じこもっていた緋山 千夏を連れ出し、強制的に富士田 多々良と練習させる。しかしペア練習の息が全く合わない。どんどん仲が悪化する。多々良が赤城 真子と天平杯に出場していたことを知った千夏は自分と真子を多々良が比べていると悟る。

千夏は真子に、自分が今までパートナーに恵まれず、公式戦に出られなかったこと、真子は、初めからパートナーに恵まれていると話す。真子はパートナーがいても同じように苦しいこと、自分の力不足で一度、兄の赤城 賀寿にパートナーを解消されたことを告白。千夏は自分の甘さに気づき、多々良とのペア練習に心を改めて集中し出す。 一方、 千夏との関係に悩んだ多々良は、花岡 雫に、雫と清春の記憶に残りたいために、今ダンスをやっていると打ち明ける。 多々良の父親と母親は離婚しており、今まで、 多々良は親にも誰にも期待されてこなかった。父親には夢を追うのはいいが後悔するなと言われてきた。 多々良はダンスで、自分の存在証明をしようとしていた。ペア練習で何かをつかみかけた 多々良と千夏は、東京都民ダンススポーツ大会に参加する。

9巻

東京都民ダンススポーツ大会A級戦二次予選を富士田 多々良緋山 千夏ペアは踊り抜く。審査員たちは、このペアのダンスの動きがあまりにも激しく荒いため、どう評価したものか困惑する。しかし観客たちは、多々良ペアの強烈なダンスに強く反応しており、審査員たちの合計評価ポイントは満点。二次予選をフルマークで通過する。

千夏とライバル甲本 明の過去の関係が明かされる。小学生時代、いじめられていた明を千夏が助け友達になった二人は一緒に社交ダンスを始める。明は、ジュニアのダンス時から千夏を独占しようとするストーカー気味なところがあった。しかし千夏が偶然、仙石 要のパートナー本郷 千鶴の踊りを見て感動し、競技社交ダンスの方に気持ちが向いていく。千夏と明の間に生まれた溝は深まるばかりで、修復不可能なほど仲が悪くなっていく。

千夏はジュニア時代、男役をしていたため、パートナーに合わせることが不得意になった。このため、何度もペアを解消するしかなかった。多々良とペアとなっても今までと同じで、息を合わせることが難しかった。しかし、これから更に高みへ向かうには自分が息を合わせるしかないと気づき、徐々に多々良の踊りに寄り添っていく。まだ息が完全に合っているわけではないが、多々良のダンスが千夏と一体化していくことが増えていく。 

コラボレーション

TVアニメ『進撃の巨人 Season 2』×TVアニメ『ボールルームへようこそ』

2017年6月、TVアニメ『進撃の巨人 Season 2』と、TVアニメ『ボールルームへようこそ』のコラボレーション企画が行われた。こちらは『ボールルームへようこそ』が『進撃の巨人 Season 2』の後番組として放送されることにちなんで、『進撃の巨人』のキャラクターのリヴァイ・アッカーマンと『ボールルームへようこそ』の富士田多々良が社交ダンス用の正装をしてダンスを踊るイラストが描き下ろされた。このイラストは2作品のコミックスの購入者用プレゼントのブックカバーに使用されたり、特性グッズが制作された。

タイアップ

複製原画展

本作『ボールルームへようこそ』がTVアニメ化されることにちなんで、2017年6月23日から7月17日にかけて、書泉ブックタワーの6階コミックフロアと、芳林堂書店高田馬場店の5階コミックフロアで複製原画展が実施された。漫画版『ボールルームへようこそ』の複製原画の他、TVアニメ版の場面カットや設定資料イラストも展示された。 

公益社団法人日本ダンススポーツ連盟(JDSF)×TVアニメ『ボールルームへようこそ』

本作『ボールルームへようこそ』がTVアニメ化されることにちなんで、2017年6月25日から7月1日にかけて、渋谷スクランブル交差点の街頭ビジョンにて、公益社団法人日本ダンススポーツ連盟(JDSF)とTVアニメ『ボールルームへようこそ』のコラボレーションCMが放送された。CMにはアニメ映像とともに、第36回 三笠宮杯全日本ダンススポーツ選手権スタンダード部門準優勝、ラテン部門優勝を果たした藤井創太 と吉川あみのカップルも出演した。

メディアミックス

2017年7月より、板津匡覧監督によるTVアニメ版が放送された。シリーズ構成と脚本を末満健一、キャラクターデザインを岸田隆宏、アニメーション制作をProduction I.Gが担当し、富士田多々良役を土屋神葉、花岡雫役を佐倉綾音、仙石要役を森川智之が演じた。

登場人物・キャラクター

富士田 多々良 (ふじた たたら)

市立玉村中学校に通う3年生の男子。のちに、緋山千夏とペアを組んで踊るようになる。髪全体を放射状にツンツンに立てた黒髪の、小柄でかわいらしい容姿をしている。花岡雫からは「フジ田くん」、室井健からは「モグ田」、千夏からは「たたら」など、さまざまな通称で呼ばれている。やや気が弱く目立たない存在ながらも、非常に他人に気を遣う心優しい性格。ある日、進路に悩んでいたところで仙石要と出会い、ダンススクール入会希望と勘違いされてしまう。そこで連れて来られた小笠原ダンススタジオで社交ダンスの魅力に魅せられ、家族には内緒でダンスを始める。両親は離婚しており、父親の富士田鉄男と祖母の三人暮らし。家族仲は良く、目の悪い祖母のために相撲の実況をしていたこともあり、非常に目が良く観察眼に優れる。

花岡 雫 (はなおか しずく)

富士田多々良と同じ市立玉村中学校3年生。競技ダンスではまだアマチュアながら、15歳とは思えない色気とプロ級のレベルと言われている。パートナーの兵藤清春と共に世界へ進出する夢を持っている。

仙石 要 (せんごく かなめ)

日本を代表するプロダンサーの23歳の男性。本郷千鶴とペアを組んで踊っている。髪全体を上げて額を全開にした、アッシュブラウンのツンツンヘアにしている。190センチの長身で筋肉質なスタイル抜群の容姿に加え、社交ダンス界において「ラテン」と「10ダンス」の2冠王者でもある。明るく豪快な、細かいことを気にしない性格。ある日、富士田多々良がアルバイト募集の張り紙を見ていたところを、小笠原ダンススタジオの張り紙を見ていると勘違いし、無理やり誘って小笠原ダンススタジオまで連れて行った。そこで多々良のダンスの才能と根気強さを知り、無償で指導役を買って出る。本来は人にダンスを教えておらず、多々良は特別なケースである。

兵藤 清春 (ひょうどう きよはる)

中学3年生の男子で、兵藤マリサの息子でもある。花岡雫とペアを組んでいる天才アマチュアダンサーとして知られている。前髪を眉が見えるようにばらばらの高さで切り、髪をツンツンにはねさせている。また、下まつげが長いのが特徴。不愛想なため一見怖そうだが、実際はマイペースでぼーっとした性格。まだ中学生ながらずば抜けたダンスの技術を持ち、ダンスのアマチュア団体である日本ダンススポーツ連盟のグランプリを制覇。さらに「スタンダード」と「ラテン」の2部門のダンスでランキング1位を取った怪物として知られている。雫とは祖父同士が親しく、5歳の頃からペアを組んで踊っている。

赤城 賀寿 (あかぎ がじゅ)

高校1年生の男子で、アマチュアダンサー。赤城真子の兄で、真子とペアを組んで踊っている。髪型は前髪を額が見えるほど短く切った、アッシュブラウンのツンツンヘアにしている。群馬県の方言交じりの口調で話す、明るく押しの強い性格。現在ペアを組んでいるのは真子だが、以前から花岡雫を気に入っており、兵藤清春の故障と出場停止を聞きつけて雫を誘いにやって来た。もともと社交ダンスは、真子の強い希望で一緒に始めたが、いつしかダンスに熱中するあまり真子と呼吸が合わなくなり、真子は自分の実力に見合わないと感じていた。しかし、天平杯限定で真子とのペアを解消して一時的に雫と組んだことを機に、再び真子に向き合うようになっていく。のちに富士田多々良が赤城賀寿の通う高校に進学し、ダンサーとしても、高校生としても先輩後輩の関係になる。

赤城 真子 (あかぎ まこ)

中学2年生の女子で、アマチュアダンサー。赤城賀寿の妹で、賀寿とペアを組んで踊っている。髪型は前髪を左寄りの位置で斜めに分け、肩につくほどの金髪前下がりボブヘアにしている。やや気が弱く、物静かな性格。賀寿よりも先に社交ダンスに興味を持ち、一緒に踊りたいという理由から無理やり賀寿を誘った。しかし引っ込み思案な性格から賀寿にうまく意見できず、いつしか賀寿本位のダンスを踊るようになり、自分の真の実力を発揮できなくなっていく。それに伴い、賀寿が別のパートナーを探すことも仕方ないことと受け入れていた。しかし、天平杯限定で賀寿とのペアを解消し、一時的に富士田多々良と組んだのを機に、再び賀寿に向き合うようになっていく。また、それ以来、多々良に好意を寄せるようになる。

兵藤 マリサ (ひょうどう まりさ)

兵藤清春の母親で、兵藤ソシアルダンスアカデミーで講師を務める女性。元プロフェッショナルスタンダードチャンピオンでもある。前髪を左寄りの位置で分け、胸まで伸ばした巻き髪ロングヘアにしている。眼鏡をかけ、口元にほくろがあり、スタイル抜群のセクシーな人物。兵藤ソシアルダンスアカデミーは高額なレッスン料で知られているが、育成に力を注いでおり、若い選手には破格のレッスン料で指導している。鼻毛石天平とは親しく、「天平杯」の特別審査員を務めたことがきっかけで富士田多々良の存在を知り、関心を持つようになる。

緋山 千夏 (ひやま ちなつ)

女子高生で、富士田多々良とペアを組むことになるアマチュアダンサー。多々良とは同い歳で、高校のクラスメイトになったことがきっかけで知り合う。髪型は前髪を上げて額を全開にし、胸の下まで伸ばした赤毛巻き髪ロングヘアにしている。多々良とペアを組むようになってからは、お互いを「たたら」「ちーちゃん」と呼び合う仲になる。非常に気が強く物おじしない、自分の意見をはっきり言う性格。社交ダンスは友人の甲本明とともに幼い頃から始めたが、なかなかペアを組む男性ダンサーが見つからず、明と女性同士で組んで、自分が男性役をしていた。そのため男性ダンサー並みのリード経験がある。しかしその後も男性ダンサー探しがうまくいかず、嫌気がさしてダンスを一度やめてしまった。その後多々良と知り合い、当初はダンスへの未練を断ち切るため、ダンスに打ち込む多々良を馬鹿にしていた。しかし、明が峰吾郎という新しい相手を見つけたことに腹を立て、多々良と衝動的にペアを組み、再度ダンスを始める。気が強くトラブルを起こしやすい自身の性格を理解しており、多々良には激しい態度をとる一方で、自分の性格が原因で見捨てられないかと常に不安を感じている。本郷千鶴の大ファン。

本郷 千鶴 (ほんごう ちづる)

プロダンサーの若い女性。仙石要とペアを組んで踊っている。前髪を右寄りの位置で斜めに分け、胸まで伸ばしたウルフカットにしている。明るく面倒見のよい性格。気が強く、要とは対等に意見し合い、取っ組み合いの喧嘩にまで発展することもあるが、それは仲が良く、互いを信頼していることの裏返しである。

甲本 明 (こうもと あきら)

女子高生で、峰吾郎とペアを組んで踊っているアマチュアダンサー。緋山千夏の友人でもある。前髪を目の上で切った、ふんわりとしたショートカットヘアにしている。穏やかそうに見えるが毒舌家で、特に千夏には容赦がない。実家は喫茶店で、富士田多々良がアルバイトとして働いており、吾郎が店の常連客。千夏とは子供の頃から親しく、お互い男性のリーダーが見つからなかったため、女性同士で組んで踊っていた。もともとダンスに一途で熱心な千夏に強く憧れ慕っていたが、些細な誤解から自分を対等なパートナーとして見なくなった千夏を憎く思うようになり、次第に辛辣な態度を取るようになる。さらに千夏が男性のリーダーが見つからないことを理由に一度ダンスをやめたことをきっかけに、千夏を見返そうと衝動的に吾郎とペアを組むようになった。のちにペアを組んだ千夏と多々良に対しては、激しい対抗意識を燃やす。

釘宮 方美 (くぎみや まさみ)

若い長身の社会人男性で、兵藤ソシアルダンスアカデミーに所属し、井戸川民絵とペアを組んで踊っているアマチュアダンサー。最初は国枝 忠のダンススクールに入会した。支配的で方美に全く関心を持たない冷たい父親のもとで育つ。ダンスなんかに時間がとられているから学業で一番になれないと父親は言う。競技会にも家族は応援に来ない。元々は引っ込み思案な性格であるが、意識的に周りを全てもやのようなモジャモジャに変えプレッシャーを消す事ができる。 頭頂部にだけパーマをかけ、それ以外の髪を刈りあげた髪型に「マッチ棒のよう」と評される細身の体型をしている。自意識に殺されかけ、死にたいと思っていても自殺する勇気がないから他の誰かが殺してくれるのを待っていたところ、トラックに轢かれ背骨を折った。しかし命は助かり、一度競技会を引退していたが、リハビリを続け、最近復帰した。ダンスのオールドスタイルを極めることを目指している。事故の後遺症のためパートナーを動かすのはうまいが、ダンサーとして非常に支配的で、冷たい言動が目立つ乱暴な性格。そのため民絵のことも「落ち武者」呼ばわりしているが、一方で自分以外の人間が「落ち武者」と呼ぶのは許さない。富士田 多々良が昔の引っ込み思案だった自分の姿と重なりイラついてしまう。良いダンスができる時は、フロアにいる他のダンサーが黒いモジャモジャのもやのように見えて気にならなくなり、集中してダンスができる。ちなみにこの黒いもやのことを、釘宮方美本人は「ちん毛」と呼んでいる。

峰 吾郎 (みね ごろう)

中年男性で、甲本明とペアを組んで踊っているアマチュアダンサー。職業は銀行員で、家族は妻の峰房子と娘の峰雛子がいる。髪型は前髪を真ん中で分けて額を見せたストレートショートカットにしている。細い目に眼鏡をかけ、唇の左側に一本線の大きな傷があり、さらにがっしりした体型で話しかけづらい雰囲気の容姿ながら、実際は温厚で礼儀正しい性格。 その人柄と、もともと学生時代からダンスをしていた経験を買われ、明にペアを組むことを申し込まれた。雛子の養育費などを考えて、金のかかる趣味であるダンスは辞めていたものの、やはり諦めきれず、明に誘われたことをきっかけに家族に内緒でダンスを再開する。

たまき

小笠原ダンススタジオで働く若い女性。前髪を眉上で短く切り、肩までの内巻きセミロングヘアにしている。明るく親しみやすい性格で、ダンススタジオ入会希望者にも非常に親切に接する。ある日仙石要に連れられてやって来た富士田多々良と知り合い、初心者の多々良をサポートすることになる。

峰 房子 (みね ふさこ)

峰吾郎の妻で、元アマチュアダンサーの中年の女性。前髪を上げて額を全開にし、肩につくほどのセミロングウェーブヘアを後ろでひとつにまとめている。気が強く知的な性格。吾郎とは大学の競技ダンス部で知り合い、先輩の指示でペアを組むことになった。しかしなかなか親しくなれず、当時は2年以上も険悪な関係のままに踊っていた。

鼻毛石 天平 (はなげいし てんぺい)

社交ダンス好きの中年男性で、群馬県で行われている非公式のダンス大会「天平杯」の主催者。前髪を上げて額を全開にした撫でつけ髪に太目の体型、くりっとした目をしている。天平杯では審査員も務めており、派手な振り付けを好むことで知られている。その「天平杯」は、赤城真子とペアを組んでの富士田多々良のデビュー戦の舞台となり、そこで天平は技術を越えた多々良の表現力に興味をみせる。

井戸川 民絵 (いどがわ たみえ)

若い女性で、兵藤ソシアルダンスアカデミーに所属し、釘宮方美とペアを組んで踊っているアマチュアダンサー。鼻の周囲にそばかすがあり、三白眼で、前髪を目が隠れそうなほど伸ばした、ぼさぼさなストレートロングヘアにしている。その髪型から方美からは「落ち武者」と呼ばれている。やや陰気で目立たないが、スレンダーで色白でスタイルが良い。

番場 可憐 (ばんば かれん)

小笠原ダンススタジオで働く若い女性。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、肩につくほどのセミロングヘアにくりくりのパーマをかけている。眼鏡をかけ、体型がかなり太目なこともあり、仁保友親には「牛女」呼ばわりされている。小笠原ダンススタジオには入社したばかりで、ある日仙石要に連れられてやって来た富士田多々良と知り合い、初心者の多々良をサポートすることになる。 ペアを組む相手を募集中で、ペアを探すためのお見合いには激やせして臨む。

仁保 友親 (じんぼ ともちか)

小笠原ダンススタジオで働く若い男性。前髪を上げて額を全開にし、髪全体を後ろに向かって立てている。その髪型から番場可憐には「ハゲ」呼ばわりされている。小笠原ダンススタジオには入社したばかりで、ある日、仙石要に連れられてやって来た富士田多々良と知り合い、初心者の多々良をサポートすることになる。現在はペアを組む相手を募集中。 実は可憐に想いを寄せているが素直になれず、いつも憎まれ口ばかり叩いてしまう。

岩熊 (いわくま)

アマチュアダンサーの若い男性。美野とペアを組んで踊っている。スポーツ刈りに太眉の、がっしりした体型をしている。強面で近寄りがたい雰囲気だが、実際は穏やかでおっとりとした性格。ダンサーとしても優秀で、アマチュアダンサー日本一を競う大会「三笠宮杯 全日本ダンススポーツ選手権」の前年度チャンピオンでもある。しかし精神面に不安を抱えており、最近の大会ではなかなか優勝できずに悩んでいる。

富士田 鉄男 (ふじた てつお)

富士田多々良の父親。髪全体を真上にツンツンに立てた髪型に無精ひげを生やし、眼鏡をかけている。やや太目の体型。妻とは離婚しており、自分の母親と息子の多々良の三人で暮らしている。多々良が社交ダンスを始めたことは打ち明けられていないが、多々良が打ち込めるものを見つけたことは察しており、静かに見守っている。

室井 健 (むろい たけし)

市立玉村中学校に通う3年生の男子。髪全体を真上にツンツンに立てた髪型に、がっしりした体型をしている。中学校時代は富士田多々良をカツアゲの対象として小ばかにしていたが、社交ダンスを始めて以来背筋が伸び雰囲気の変わった多々良に、次第に一目置くようになる。のちに多々良と同じ高校に進学する。

場所

小笠原ダンススタジオ (おがさわらだんすすたじお)

仙石要が所有する社交ダンス教室。もともとは花岡雫の母方の実家であったが、現在では要が運営している。そのため要の目に留まった富士田多々良は、無償でダンスレッスンを受けられるようになる。一方で、競技者を育成する教室としてはやや力不足な面もあり、のちに多々良はたまきの勧めもあり兵藤ソシアルダンスアカデミーに移ることになる。

兵藤ソシアルダンスアカデミー (ひょうどうそしあるだんすあかでみー)

兵藤マリサが講師を務める社交ダンス教室。レッスン料が非常に高額で、敷居の高い教室として知られている。しかしジュニア・ユースの育成に力を注ぐマリサの方針で、小笠原ダンススタジオから移ってきた富士田多々良とそのパートナーの緋山千夏は1レッスン45分500円という破格のレッスン料で学んでいる。

その他キーワード

ボールルームダンス

『ボールルームへようこそ』で日本でいう社交ダンスのこと。イギリス発祥で、宮廷舞踏から発展してきたもの。競技会方式で踊るものを競技ダンスやダンススポーツと呼ぶ。スタンダードとラテンの2種類があり、それぞれタンゴやワルツなど五種目ずつ合計10種類のダンスを踊って競う。

書誌情報

ボールルームへようこそ 12巻 講談社〈講談社コミックス月刊マガジン〉

第1巻

(2012-05-17発行、 978-4063713299)

第2巻

(2012-07-17発行、 978-4063713398)

第3巻

(2012-11-16発行、 978-4063713541)

第4巻

(2013-04-17発行、 978-4063713732)

第5巻

(2013-09-17発行、 978-4063713886)

第6巻

(2014-04-17発行、 978-4063714135)

第7巻

(2014-11-17発行、 978-4063714500)

第8巻

(2015-10-16発行、 978-4063714685)

第9巻

(2017-06-23発行、 978-4063925883)

第10巻

(2020-01-17発行、 978-4065183854)

第11巻

(2021-04-16発行、 978-4065227800)

第12巻

(2022-11-04発行、 978-4065294369)

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