そばもん ニッポン蕎麦行脚

そばもん ニッポン蕎麦行脚

若き有名そば職人矢代稜が日本全国を放浪しつつ、そばを打ち、食べながら、そばに魅せられた様々な人々と触れ合ってゆく物語。老舗そば屋の店主を監修に迎え、徹底した取材をもとに描かれている。そば打ちやそば屋に関する豊富で正確な情報をわかりやすく具体的に描き、人気を集めている。なお、副題は「ニッポン蕎麦行脚」だが、作中での表記はすべてひらがなの「そば」である。

正式名称
そばもん ニッポン蕎麦行脚
ふりがな
そばもん にっぽんそばあんぎゃ
作者
ジャンル
料理人
レーベル
ビッグ コミックス(小学館)
巻数
既刊20巻
関連商品
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概要・あらすじ

名人と呼ばれたそば職人の祖父から江戸そばの技術を完璧に伝授された矢代稜は、店を構えずに自由にそば打ちがしたいと考える若者。そのため日本全国を旅しながらそばを打ったり食べたりの放浪生活を送っている。彼は行く先々で、多くのそば好きや、そばに一生を賭けているそば職人など様々な人と出会う。彼らとそばを介して交流してゆく中で矢代稜は、改めてそばというものの魅力と奥深さを実感し、この素晴らしい食べ物を受け継いでゆかねばならないとの思いを強くする。

登場人物・キャラクター

矢代 稜 (やしろ りょう)

東京出身。名人と呼ばれた京橋の老舗そば屋・草庵の五代目藤七郎の孫。祖父から江戸そばの技術をすべて伝授された若き江戸そば職人。自由にそばを打ちたいと考え、店は持たず車にそば道具を積んで全国を周っている。見た目はフリーター風だが、若手のそば職人の尊敬を集める確かな腕の持ち主。 そばに賭ける情熱・知識はすさまじく、江戸っ子らしく威勢のいい性格だが、血を見るのは苦手。女性に関しても奥手。乗っていたワゴン車が古くなりすぎたので、フォルクスワーゲンバス(タイプⅡ66年モデル)に買い替えた。

エリカ

矢代稜の兄の再婚相手の連れ子。女子高校生だが、学校にも行かずに昼間からふらふらしていた。そばの美味しさに目覚め、高校は中退し、稜の旧知のそば屋・谷中藪で従業員として働きはじめる。力仕事なのでそば職人の道はあきらめたが、そば屋の女将さんになることを夢見ている。「そばにおいでよ」というそば食べ歩きレポートブログを書いている。 大食いで、稜の財布の中身をいつも軽くしてしまう。

佐々木 貴明 (ささき たかあき)

芝大門のそば屋・更科布屋で働く、そば職人見習いの青年。実家は埼玉県で庶民的なそば屋・月見庵を開いている。その店を継ぐために現在修行中。ずんぐりむっくりした体型で、気弱な性格。エリカに惚れこみ、つきまとうが、てんで相手にされていない。最初はネギすらろくに切れなかったが、じょじょに成長している。

室戸 健三 (むろと けんぞう)

東京都調布市で手打ちそば処室戸を営むそば職人。マスコミ受けを意識し、積極的にテレビ出演している。矢代稜と同じ頃に老舗で修行をしていた。自分の店を構えた直後、粗悪なそば粉ばかりつかまされ苦労した経験を持つ。質の良いそば粉は有名老舗そば屋に独占されていると考え、一子相伝で閉鎖的な江戸そば業界を憎むようになる。 当然、老舗育ちの稜を敵視している。

倉本先生 (くらもとせんせい)

宮城県の山村でそば屋を営む男性。「倉本流」と称して地域のそば屋のリーダー的存在。地域に根差したそば打ちに誇りを持ち東京を敵視していたが、矢代稜に、「挽きたて」「打ちたて」「茹でたて」の「そばの三たて」を闇雲に守るだけでは美味いそばは作れないと喝破される。稜のそばを茹でる素早い動作を、指の動きが速すぎてゆっくり弾いているように見えるギターの神様エリック・クラプトンに例え、「そばのスローハンド」と絶賛し、頭を垂れた。 ちなみに「倉本流」は「四たて」を旨としている。3つは前述の通りだが、4つめは村の名物の岩魚の「焼きたて」。これは稜も太鼓判を押す美味さ。

川崎 (かわさき)

小説家を目指しつつコンビニでアルバイトを続ける青年。先輩ライターの紹介で雑誌のそば屋特集の記事を執筆した。偶然出会った矢代稜に自分の記事を批判される。ブーム作りに終始してそばの本質を伝えようとしないマスコミの安易さを稜から指摘され、反省し、そばの通(つう)、そして文章の通(つう)になろうと決意する。

親分 (おやぶん)

ヤクザ組織元亀組の組長。白髪の老人。かまぼこなど色々な具材でおかめの顔を作るのが「おかめそば」のはずなのに、どこのそば屋も使う具材もばらばらな上、おかめの顔に見えない、と不満に思い、有名そば職人の矢代稜を拉致し、「本当のおかめそば」を見せてもらいたいと頼み込む。彼がおかめそばにこだわるのは、3年前に亡くなった女房の好物だったからである。

有馬 三千代 (ありま みちよ)

演歌歌手。ヒット曲「さみだれ海峡」を持つベテラン。「江戸そばをたぐる会」名誉会員。17歳の時に四国から上京し芸能界入りした。東京の老舗で食べたそばに感激し、それ以来江戸そばの熱烈な信奉者となる。その代わり、地方の名産である郷土そばを田舎の食べ物と馬鹿にしていたが、矢代稜にその傲慢さを指摘される。

三楽亭 小太郎 (さんらくてい こたろう)

真打に昇進したばかりの四十路近い落語家。矢代稜の旧知のそば屋・谷中藪の常連客。離島出身。玉子が大好きだが、落語家に弟子入りした際に、真打になるまで玉子を絶つと浅草の観音様に願掛けをした。願いが叶い、矢代稜が作った玉子とじそばをご馳走される。

増永 泰弘 (ますなが やすひろ)

東京千駄ヶ谷のそば処・満寿永(ますなが)の店主。店を開いて40年になる老そば職人。ベテラン棋士の宇田川大造九段とは同年代。宇田川は対局のたびに満寿永の出前をとり、穴子天そばとそばぜんざいを注文するのを習慣としてきた。増永は同年代で輝かしく活躍する宇田川が自分のそばを食べてくれるのを誇りに思い、30年間作り続けてきた。

神崎 秀夫 (かんざき ひでお)

国立大学まで進んだエリート青年だが、ラーメンに夢中になり、親の資金でラーメン店・フラッシュを仲間とともに開店した。化学調味料を使わず、鶏ガラを中心とした動物系とかつお節などの魚介系を合わせたダブルスープを売りにして店を開いたが、客足が伸びず、閑古鳥が鳴いている。心配した秀夫の父親は、知人の矢代稜にアドバイスを求める。 稜は、フラッシュのラーメンは出汁が十分に取れていないと見抜く。

富山錦 (とやまにしき)

富山県出身の大相撲力士。本名は倉田勝。身内に不幸が起こると強くなるという妙なジンクスを持つ。幕内昇進がかかっているので何とか彼を勝たせたい後援会長が一計を案じる。彼の祖父が鴨を捕りに行って大ケガをしたと嘘をつき、その鴨を食べれば必ず取組に勝てると暗示をかけようというのだ。この計略に矢代稜も協力することになり、富山錦に特製の鴨南蛮そばをふるまった。

藤村 和夫 (ふじむら かずお)

『そばもん』の監修者。元「有楽町・更科」四代目店主のそば職人。そばに関する著作多数。本作の監修をつとめていたが、2011年に他界。その後、監修の表記は「名誉監修:藤村和夫(元「有楽町・更科」四代目) 監修協力:金子栄一(「芝大門更科布屋」七代目)」となった。

場所

三朝庵 (さんちょうあん)

『そばもん』に登場するそば屋。東京の早稲田に実在する、創業90年以上の老舗。カツ丼発祥の店とされ、本作にカツ丼誕生エピソードが紹介された。このように、実在のそば屋やそば職人、農業関係者が多数登場するのも本作の特徴である。

クレジット

監修

藤村和夫

書誌情報

そばもん ニッポン蕎麦行脚 20巻 小学館〈ビッグ コミックス〉

第1巻

(2009-05-29発行、 978-4091824950)

第2巻

(2009-09-30発行、 978-4091827340)

第3巻

(2010-02-27発行、 978-4091830685)

第4巻

(2010-06-30発行、 978-4091832177)

第5巻

(2010-11-30発行、 978-4091835253)

第6巻

(2011-04-28発行、 978-4091838179)

第7巻

(2011-10-28発行、 978-4091841292)

第8巻

(2012-02-29発行、 978-4091842732)

第9巻

(2012-06-29発行、 978-4091845283)

第10巻

(2012-10-30発行、 978-4091847584)

第11巻

(2013-02-28発行、 978-4091848956)

第12巻

(2013-06-28発行、 978-4091852670)

第13巻

(2013-10-30発行、 978-4091855978)

第14巻

(2014-02-28発行、 978-4091860163)

第15巻

(2014-06-30発行、 978-4091862372)

第16巻

(2014-10-30発行、 978-4091865731)

第17巻

(2015-03-30発行、 978-4091868206)

第18巻

(2015-08-28発行、 978-4091871534)

第19巻

(2016-02-29発行、 978-4091874894)

第20巻

(2016-07-29発行、 978-4091877239)

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