コウノドリ

コウノドリ

男性産科医、鴻鳥サクラが、出産とそれのまつわる様々なトラブルに出会い、当事者たちの不安や悩みに寄り添い、幸せになるための手助けをしていく人間模様を描いたドラマ。出産の身体的リスク、人の命を奪う中絶という行為とその意義、出産に関する無理解、子供が産まれることによる幸せ、親の喜びなど、様々な角度から命の大切さ、家族の絆を問いかけている。2012年に講談社「モーニング」にて短期連載。翌2013年、同誌12号から週刊連載となり、2020年23号まで連載された。第40回「講談社漫画賞」一般部門受賞。

正式名称
コウノドリ
ふりがな
こうのどり
作者
ジャンル
医療
レーベル
モーニング KC(講談社)
巻数
既刊32巻
関連商品
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概要・あらすじ

ジャズピアニスト、ベイビーには、もうひとつ聖ペルソナ総合医療センターで働く産科医の鴻鳥サクラという顔があった。彼は、出産に対する無理解や出産に伴う危険に立ち向かいながら、産まれてくる命を守り、新しい命と両親が幸せに生きるため、全力を尽くしていく。妊婦とその家族を中心にストーリーが展開し「切迫流産」「人工妊娠中絶」など命の危険と隣り合わせのテーマが描かれる。

「未成年妊娠」では、高校生同士のカップルの妊娠問題にスポットライトが当たる。妊娠した女子高生は中絶手術を受けるため、独りで病院へ。しかし、未成年者はパートナーの男性と両親の同意書が必要だと告げられる。

中絶か出産かを決めるのは親なのかそれとも子供なのか、生まれようとする命をめぐり複雑な人間関係が交錯する。

登場人物・キャラクター

鴻鳥 サクラ (こうのとり さくら)

ペルソナ総合医療センターで働く産科医。児童施設で育ったため、親の顔を知らない。胎児のことのみならず、その家族のことについてもしっかりと考え、幸せになるために力を注いでいる。その方針は、患者たちに寄り添うスタイルであり、患者が納得して決断できるよう患者やその家族にアドバイスをする。病院でも一部の人間しか知らないが、ベイビーという名前でジャズピアニストもしており、しばしば演奏中に出産のための呼び出しを受けている。 カップ焼きそばが好物だが、しょっちゅうお湯を入れた後に用事が入っている。

四宮 ハルキ (しのみや はるき)

ペルソナ総合医療センターで働く産科医。患者に嫌われても、患者を救える医者でありたいというポリシーを持っている。妊婦に対して事務的に立ち会うため、あまり周囲の評判は良くなく、患者からクレームを入れられることも少なくない。鴻鳥サクラ、小松ルミ子とは古くからの知り合いであり、かつては仲が悪くなかったが、現在は対立することが多い。 以前は、感情豊かで、真面目で堅いが、それゆえに患者の信頼を得るような医師だった。かつて自分が担当していた患者の喫煙を止められず、彼女が早剥に陥った際、大量出血で死亡。取り上げた子供も重度の脳性麻痺で植物状態となるという事態にあった。これを嫌われても厳しく患者を指導できなかった自分のせいだと思い、以降、人が変わったようになる。 脳性麻痺で植物状態になった子は、今も小児科の一番奥の病室におり、家族が来ることもなくなったなかで、四宮がいつも声をかけ、絵本を読んだりしている。ジャムパンと牛乳が定番の食事。

下屋 カエ (しもや かえ)

ペルソナ総合医療センターで働く女性の産科医。鴻鳥サクラの後輩にあたる。担当していた田中陽子が超早産で出産する際、帝王切開をすると母子ともに危険な状態になり、危険を回避するなら子供を諦めるべきと伝えた。これに対して、意見を求められ、母子ともに助けたいと答える。女医を指名する妊婦が多いため、非常に多忙になることがあり、愚痴をこぼしている。 ジャズピアニスト、ベイビーのファン。焼き肉が大好物。

小松 ルミ子 (こまつ るみこ)

鴻鳥サクラが研修医の頃にお世話になった助産師の女性。32週で陣痛が始まり、待合室で産み落とされ、皮膜児だった子供を前に何もできなかった鴻鳥サクラをサポートし、無事に取り上げている。後に、ペルソナ総合医療センターへと移ってきた。母が助産院を営んでおり、月の2/3はお産があったため、家の事に手が回らず、これが原因で両親が小学生の頃に離婚。 中学に上がった後、グレて不良になった。ある日、暴走族とつるんでいたところを補導され、引き取りに来た母親に連れられ、出産に立ち会うことになる。出産の光景に感動し、自らも助産師の道を目指した。喫煙者で豚足が好物。行きつけのお店は「豚足BARぶ~やん」。 かなり小柄で、鴻鳥の胸の下あたりまでしか身長がない。

矢野 (やの)

借金があり保険料も払っていなかったため、役所にも相談できず、無診療で出産した。自分では育てられないため、子供を乳児院に送ることとなる。

田中 陽子 (たなか ようこ)

21週と1日で切迫流産をしかけ入院することになる。23週目で陣痛が始まり、超早産で母子ともに危険な状態となるが、出産を決断し帝王切開を望んだ。

田中 淳 (たなか じゅん)

田中陽子の夫。小林工務店で働いている。妻が切迫流産をしかけ入院することとなる。流産しなくても早期出産となると、子供に障害が出る可能性もあると聞き、妻は子供に障害が出たら可哀想だと泣き叫ぶが、子供がお腹の中で必死に頑張っているのだから、俺は諦めないと妻を励ます。

田中 大地 (たなか だいち)

500g未満の超未熟児として生まれる。NICUに入り、生きられるかどうか不明であったが、無事に成長し、誕生2か月後に両親の腕に抱かれるまでになった。

野村 ミホ (のむら みほ)

彼氏・射場隆との間に図らずも子供ができてしまった女子高生。理性では出産しても育てることができないと中絶を考えていたが、感情は出産を望んでいた。両親の勧めもあり、いったんは中絶しようとするが、産科医の鴻鳥サクラと話すことにより、自分の本当の気持ちに気づき、両親に産みたいと懇願。 出産の方向で両親の了解を得た。ベイビーのファンであり、大きなおなかを抱えて、射場隆とともにライブ鑑賞に行った。この際、鴻鳥は、ライブのセットリストを穏やかなものにしている。

射場 隆 (いば たかし)

野村ミホの彼氏。母が妊娠中に事故に遭い、隆は無事に産まれ落ちるが、母は命を失った。高校を出たら色々な料理の勉強をして、父の店を大きくするのが夢。ミホが妊娠したと知り、いったんは中絶してもらうことを考えたが、時間が経つにつれ、産んでほしいと思うようになり、中絶の同意書を書くために両家の人間が集まった際、高校を辞めて働くので、結婚させてほしいと頼んだ。

野村ミホの母 (のむらみほのはは)

まだ学生である娘・野村ミホの出産に反対し、中絶するように勧めていたが、ミホの「私を産んで良かった?」との問いかけに、考えを改め、ミホの出産を認めるようになる。

野村ミホの父 (のむらみほのちち)

まだ学生である娘・野村ミホの出産に反対し、中絶するように強く勧めている。子供を産みたいという娘を説得してくれるよう、産科医の鴻鳥サクラに頼む。この際、鴻鳥から、両親の反対を押し切って、何の援助もなく高校生同士で出産した家庭が幸せになったケースを見たことはないが、一方で、両親が無理矢理中絶させ、中絶後遺症候群に苦しんでいるという話を聞く。 ミホの赤ちゃんは、両親の子供ではなく、家族全員の子供だという言葉を聞き、中絶させることを思いとどまった。

アリサ・ローク (ありさろーく)

人気のジャズシンガーで身重ながら来日し、ベイビーと共演した。29週5日目に破水が起こり、日本で出産。子供が早産であったため、2ヶ月の入院が必要になる。海外での出産であるため、保健などが適用されず、この費用は1000万円弱と見積もられた。ペルソナ総合医療センターに運び込まれたため、出産はベイビーこと鴻鳥サクラが立ち会うことになり、産後に、ベイビーが本当に産科医であることを知る。 子供を入院させたまま、いったんNYに帰り、子供のことを気にして、毎日20回ほど電話をかけてくるようになった。

船越 (ふなこし)

ペルソナ総合医療センターで働く麻酔科の医師。マラソンが趣味で、1万人が参加した大会で4820位となっている。自意識過剰なところがあり、ダジャレ好き。コースを把握し、ペースを守り走りぬくマラソンと麻酔科の仕事に共通点を見出している。

加瀬 (かせ)

ペルソナ総合医療センターで働く救命救急の医師。たとえ重篤な後遺症が残ろうとも、何よりも命が助かることを優先することを信念としている。救命に入ったころは、助けられなかった患者が出るたびに、自分の無力さに悔しくて涙を流していた。今も涙こそ流さなくなったものの、悔しさは変わらないという。 患者を助けられた際には、自分へのご褒美で高めのアイスを買って食べる。

白川 (しらかわ)

ペルソナ総合医療センターで働く新生児科医。下屋の同期。新生児が緊急で運ばれ、バタバタするのを嫌っている。超未熟児らを幾人も世話し、無事に育たなったケースをいく度も経験しているため、普通の未熟児・新生児に対する感覚が麻痺しており、子供のことをとても心配する親の前で迂闊な言動をとった。このことについて、鴻鳥サクラから、「自分の命より大切なものを預けるのだから、大げさになって何がおかしい」とたしなめられた。 この後、自分の感覚が麻痺し、思い違いをしていたこと反省。親から家の病院を継いでほしいと言われていたことを断り、ペルソナ総合医療センターで働き続ける。

野々村 (ののむら)

ののむら助産院の院長。ペルソナ総合医療センターと提携している。できる限り患者の意思に沿ってバースプランを進めるが、必要と判断すれば、即座に産科医の力を借りるという姿勢を取っている。本人は、帝王切開で子供をふたり産んでいるという。

小松 松子 (こまつ まつこ)

小松ルミ子の母親。田舎で助産院を営んでおり、月の2/3はお産があったため、家事に手が回らず、これが原因で離婚となる。中学に上がった後、グレて不良になったルミ子が補導され、これを引き取りに行った帰りに、ルミ子を出産に立ち会わせ、子供が産まれるということと、母親が子供を想う気持ちを伝えた。 ある日、取り上げた子供が、先天性横隔膜ヘルニアで亡くなったことをきっかけに、これに責任を感じて助産院を閉じた。ルミ子が助産師になった年に、くも膜下出血で死去。

ケイコ

鴻鳥サクラを育ててくれた児童養護施設「ママの家」の先生。サクラに「人の何十倍も辛いことがあるかもしれない。でも、人一倍幸せになることはできる」と教えた。

向井 (むかい)

ペルソナ総合医療センターで働くソーシャルワーカー。社会福祉の観点から、患者、妊婦、その家族の相談に乗ることで経済的、心理的、社会的悩みなどの問題解決をする仕事に取り組んでいる。

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書誌情報

コウノドリ 32巻 講談社〈モーニング KC〉

第1巻

(2013-06-21発行、 978-4063872279)

第2巻

(2013-09-20発行、 978-4063872422)

第3巻

(2013-12-20発行、 978-4063872767)

第4巻

(2014-03-20発行、 978-4063883114)

第5巻

(2014-06-23発行、 978-4063883428)

第6巻

(2014-09-22発行、 978-4063883695)

第7巻

(2014-12-22発行、 978-4063884074)

第8巻

(2015-03-23発行、 978-4063884401)

第9巻

(2015-06-23発行、 978-4063884678)

第10巻

(2015-09-23発行、 978-4063884982)

第11巻

(2015-10-23発行、 978-4063885125)

第12巻

(2015-11-20発行、 978-4063885262)

第13巻

(2016-03-23発行、 978-4063885750)

第14巻

(2016-06-23発行、 978-4063886115)

第15巻

(2016-09-23発行、 978-4063886405)

第16巻

(2016-12-22発行、 978-4063886733)

第17巻

(2017-03-23発行、 978-4063887037)

第18巻

(2017-06-23発行、 978-4063887372)

第19巻

(2017-09-22発行、 978-4065102589)

第20巻

(2017-10-23発行、 978-4065105078)

第21巻

(2017-11-22発行、 978-4065105061)

第22巻

(2018-03-23発行、 978-4065111567)

第23巻

(2018-06-22発行、 978-4065116890)

第24巻

(2018-09-21発行、 978-4065125441)

第25巻

(2018-12-21発行、 978-4065139769)

第26巻

(2019-03-22発行、 978-4065147504)

第27巻

(2019-06-21発行、 978-4065160169)

第28巻

(2019-09-20発行、 978-4065172865)

第29巻

(2019-12-23発行、 978-4065180372)

第30巻

(2020-03-23発行、 978-4065189450)

第31巻

(2020-06-23発行、 978-4065199046)

第32巻

(2020-10-23発行、 978-4065207291)

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