小林さんちのメイドラゴン

小林さんちのメイドラゴン

会社勤めの女性、小林さんは、たまたま出会ったドラゴンのトールになつかれてしまう。ドラゴンたちと人間との価値観のギャップによるドタバタギャグを中心に、種族間の軋轢や各々の悩みを描いている。双葉社『月刊アクション』2013年7月創刊号から連載。

正式名称
小林さんちのメイドラゴン
ふりがな
こばやしさんちのめいどらごん
作者
ジャンル
日常
レーベル
アクションコミックス(双葉社)
巻数
既刊14巻
関連商品
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あらすじ

トールと小林さん

朧塚という街に住むOLの小林さんは、いつもどおり出勤しようと家のドアを開けると、そこには巨大なドラゴントールが待っていた。茫然とする小林さんの目の前で、そのドラゴンはツノと大きな尻尾が生えた、メイド服の美少女の姿に変身する。異世界から逃げて死にかけていたトールは、昨夜酔っぱらって山に来ていた小林さんに命を救われたうえに、いっしょに酒を飲んで意気投合し、さらにはメイドとしてうちに来ないかと小林さんに誘われた。そんなトールは小林さんに多大な恩を感じ、訳あって故郷に帰れないこともあり、昨夜言われたとおりに専属メイドになって恩返しがしたいと語る。かなり酔っぱらっていたために昨夜の出来事がまったく思い出せない小林さんは、人を雇う余裕はないと言って断ろうとするが、会社に遅刻しそうな時間になっていることに気づく。そこでトールは、小林さんを背中に乗せて会社まで運ぶように頼まれる。トールはそのままメイドとして小林さんに雇われ、彼女の家に住み込んでこの世界や人間のことを学びながら、主人となった小林さんのお世話を始めるのだった。これをきっかけに小林さんの平凡だった日常に大きな変化が訪れ、彼女のもとにはトールを知るさまざまなドラゴンたちが、異世界から集まるようになる。 

カンナと学校

いつも疲れ気味のOL・小林さんのもとに、メイドとして押しかけて同居するようになったトールは、家事はもちろんコミケの手伝いもドラゴンのパワーを生かして器用にこなしていた。人類のことは基本的に下等で愚かだと思っているトールは、小林さんには過去に助けてもらった恩を返すべく、時にはトラブルに巻き込んだり巻き込まれたりしながら、全力でメイドの仕事をこなしていた。メイドになってしばらく経ったトールは、親から追い出されたカンナカムイファフニールなど新たなドラゴンも巻き込んで、すっかり人間の世界になじみ始めていた。そんなある日、カンナカムイは登校する子供たちを羨ましそうに見下ろし、子供たちがどこに行くのか興味津々だった。学校に興味を持ったカンナカムイを近くの小学校に行かせてあげることを決めた小林さんとトールは、必要な文房具などを買いに商店街に出かける。最近できた今時の文房具店に入り、トールとカンナカムイは初めて見る文房具の数々に興味を示す。なんとか必要な物をそろえたカンナカムイは、あこがれの学校で授業を受けることになり、転校初日から生徒たちの注目を集めていた。女王様気取りのクラスメイト・才川リコはそれを快く思わず、カンナカムイに生意気だと言い張る。カンナカムイはウソ泣きをしてリコに罪悪感を覚えさせるが、あわてた彼女は本音では友達になりたかったと言う。それらの光景を見ていたトールは、どうしてドラゴンが行く必要のない学校に行きたかったのかと、あらためてカンナカムイに問うのだった。一方、異世界からやって来たばかりのファフニールは、住まいを探して街をふらついていた。偶然にも遭遇したトールは、彼の家探しを手伝うことになる。 

トールとエルマ

小林さんトールは、学校の遠足に行くことになったカンナカムイのお弁当メニューを巡って、珍しく対抗心を燃やしていた。料理対決をとおしてメニューを決めることになった二人は、ファフニールケツァルコアトルを巻き込んで、料理のアイデアと腕を競う。勝負が終わった後日、食事を終えた小林さんの家の壁を突如破壊して現れたのは、異世界からやって来た調和勢に属するドラゴンエルマだった。世界の調和と秩序を重んじる立場にあるエルマは、ドラゴンの掟を破って人間界に住むようになったトールを異世界に連れて帰るため、小林さんの家に押しかけてきたうえに勝負を挑んでくる。しかし、昔からエルマと犬猿の仲でもあるトールは勝負に乗ったふりをして、エルマを家から追い出すのだった。数日後、エルマは「上井エルマ」を名乗って、新人OLのふりをしながら小林さんの会社に入社する。当初はパソコンの使い方すらわからずにまともに仕事ができなかったエルマだったが、小林さんのサポートを受けて順調にスキルを身につけていくとともに、周囲から恵んでもらった食べ物のおいしさにすっかりハマっていく。一方、エルマが小林さんの職場で働いているのに気づいたトールは、激しく嫉妬して今まで以上に家事に励むものの、空回りしてしまう。トールだけでなくエルマもこの世界に慣れてきた頃、トールと同じ混沌勢に属する凶悪なドラゴンの影がせまっていた。

トールとイルル

大好きな小林さんに時折迷惑をかけながらも、なんとか人間社会に溶け込んできたトールは、順調にメイド業をこなしていた。同じドラゴンカンナカムイケツァルコアトルファフニール、そして最近やって来たばかりのエルマも、それぞれ自分の居場所を見つけて人間たちとのコミュニケーションと日常を満喫していた。そんなまったりと、たまに激動の日々を送っていた頃、小林さんに、新たなドラゴンの脅威が襲いかかろうとしていた。ある日のニュースでは、かつて小林さんとトールが出会った山が、何者かに破壊されていたことが報じられる。ほかのドラゴンの仕業だと考えたトールは、小林さんと共に街で犯人捜しを始めるが、そこに現れたのは凶悪なドラゴン・イルルだった。人も街もすべて破壊しようとするイルルから、小林さんを守ろうとするトールは必死に戦い、なんとかイルルを退ける。ほかのドラゴンから人間は敵と言われて育てられたイルルは二人の絆が信じられず、人間でありながらドラゴンたちと仲のいい小林さんに興味を抱く。イルルは小林さんの本性を探ろうともくろみ、電車で再会した彼女の下半身を男に変えてしまう。するとふだんはなんとも思っていなかったトールやカンナがいつもと違って見えるようになり、次第に小林さんは彼女たちに悶々としてしまう。いつもと違う様子の小林さんに気づいたトールは戻してあげると言いながらも、男になった小林さんにせまろうとする。

トールとパトロール

一人で人間界をさまよっていたイルルは、敵対するクレメネの襲撃に遭って瀕死の状態に陥ってしまう。そこを偶然通りかかった小林さんに助けられ、さらにピンチに陥った小林さんをトールが助けたことで命を救われたイルルは、小林さんの優しさを知って彼女の家に住むようになる。イルルと彼女を追ってきたクレメネとの闘いも決着し、小林家には再び平和が戻った。まだ人間に化けるのも下手で人間社会をよく知らないイルルに対し、トールはドラゴンが人間界で穏便に暮らす方法を指導し始める。その傍らで、トールはメイド喫茶でのアルバイトに町内活動と、破天荒に大活躍していた。過去に商店街でひったくりを捕まえたトールは町内パトロールを任されるが、そこにかつてトールが懲らしめた不良集団が、仲間を連れて復讐に来る。偶然にも居合わせたエルマファフニールは、とばっちりで不良たちに取り囲まれるが、トールはあっという間に不良たちを返り討ちにする。イルルが小林家に少しだけなじんだ頃、才川リコカンナカムイと遊ぶために小林家にやって来た。リコは初対面のイルルに戸惑いながらも、すぐに彼女を気に入っていっしょに遊ぼうと誘う。しかし、人間との交流やふつうの日常を送ることに抵抗を感じるイルルは、リコたちの誘いを冷たくあしらう。そこに偶然訪れたケツァルコアトルは、リコたちを避けようとするイルルの気持ちを察し、魔法を使って助け船を出す。

イルルとバイト

小林家に来てかなりの時間が経ったイルルは人間社会には慣れたものの、特にやることもなく、小林さんの家で毎日ダラダラするだけの日々を送っていた。それを見かねたトールに何か仕事をするように指摘されたイルルは、近所の駄菓子屋でアルバイトをすることになった。そこで思春期真っただ中の高校生・会田タケトに出会ったイルルは、駄菓子屋の店主・会田ツバキの孫でもある彼から、仕事内容を教わることになる。それぞれのドラゴンたちが人々との交流を深めていく中、トールはカンナカムイやイルルに魔法を教えるため、魔法講座を開いていた。トールが記した魔法式を見た小林さんは、勤務先の会社が使っているプログラミングの言語配列と、魔法式がよく似ていることに気づく。会社のプログラムを作った真ヶ土専務は、真ヶ土翔太の父親であり、異世界から移住してきた魔法使いの血筋でもあった。小林さんがプログラミング言語と魔法の共通点について尋ねると、真ヶ土専務はトールがなぜ人間界にやって来たかを話そうとする。小林さんは、それはトール本人の口から聞くことにするが、そこにタイミングよく終焉帝が現れ、トールの幼少期のことを話し始める。次の日はいつもどおりの朝で、かけがえのない平凡な日常だったが、小林さんは終焉帝に聞いた話がどうしても気になっていた。終焉帝との出来事を話した小林さんは、トールから異世界での出来事をあらためて聞くことになる。

ファフニールとルコア

夜闇で暗くなった路地裏に怪しい人物が二人、不穏な空気を醸しながら、何やら密談を交わしていた。それはファフニールケツァルコアトルで、次のイベントに向けて準備を始めていた彼は、ケツァルコアトルに頼み事があると言う。最凶最悪のタッグが動き出したかのように見えたが、ファフニールの頼み事は、ケツァルコアトルに次に出す同人誌のモデルになってほしいという内容だった。強力な助っ人を得たことでファフニールの漫画は順調に完成し、同人誌やイベントに興味を持ったケツァルコアトルは、自分のコスプレ写真集を出すことになる。ドラゴンと人間、そしてドラゴンとドラゴン、それぞれの関係性と日常が変化する中、相変わらずトールとケンカしてばかりのエルマは、運動不足解消と称して彼女を呼び出す。存分に戦える場所に移動したエルマはトールに勝負を仕掛け、自分が勝ったらいっしょに異世界に帰るように求める。全力の激闘を繰り広げる二人の姿を見た小林さんは、エルマが本心ではトールとなかよくなりたいと思っていることに気づきながら、その戦いを静かに見守るのだった。

小林とカンナの父

異世界に住むドラゴンたちには、混沌勢調和勢などと呼ばれている、いくつかの勢力が存在している。まだ幼いカンナカムイは、自分がどの勢力に入るか悩み中で、かつて自分を追放した父親・キムンカムイに思いをはせていた。元は異世界で親と住んでいた彼女は、イタズラを繰り返したことで追放されてしまったのだ。そんなある日突然、キムンカムイが小林家にやって来る。彼の目的は、ドラゴン同士の戦いのために必要な龍玉を、壊した本人であるカンナカムイに修復させることであった。さらには、キムンカムイの裏で暗躍する魔法使い・アーザードの謀略によって、ドラゴンたちのあいだでは勢力同士の一触即発の危機が訪れていた。カンナカムイはその緊迫した睨み合いにトールと共に巻き込まれることになり、さらには人間の小林さんまでもがかかわることになってしまう。キムンカムイから、カンナカムイを今後どうするかという決断をせまられることになった小林さんは、人間とは異なる価値観を持つ彼の言うことがまったく納得できずに反発。カンナカムイも小林さんに同調して反発を見せるが、本音ではドラゴンとしての立場や、父親との複雑な関係に悩んでいた。久しぶりに小林さんと二人で出かけたカンナカムイは、異世界での出来事や自分の思いを語り出す。

小林と決戦

カンナカムイたちが巻き込まれた異世界でのドラゴン同士の戦いも決着がつき、すっかり小林家は日常モードに戻っていた。平和な時間が戻りながらも、それぞれの立場や関係性に少しずつ変化が生まれていく。そんな中でトールは、小林さんのためにファッションを見直したり、日々の食事メニューに向き合ったりする日々を送っていた。一方、懲りずに会社の待遇改善のために活動するエルマと共に、小林さんは仕事の合間にさまざまな行動を起こしていた。決戦の日と称してトールに出勤を手伝ってもらい、エルマと共に待遇改善の要望や提案を記した書類を提出した小林さんは、上司から大きな仕事のチームリーダーになることを提案される。企業体質改善と昇進のチャンスを同時に得た小林さんは、エルマや滝谷真たちと共にチームを組み、自宅での生活も変えながらも与えられた大仕事をこなそうとする。だが、もう少しで納品できそうなタイミングで、仕様変更相談のメールが来てしまう。会社では仕事に全力を注ぎ、家ではトールたちの力を借りて最高の休息を得ながら、小林さんのチームは仕事を完遂する。その功績を評価されて主任に昇進した小林さんは、真ヶ土専務からこの一帯の守護者になってほしいと相談される。昇進をトールたちに報告するつもりで帰宅した小林さんだったが、そこには以前カンナカムイを巡って対峙したキムンカムイ終焉帝、そして謎の女性・テルネの三人が訪れていた。

小林と声

胸のときめきが恋心だと気づいたり、たまには一人になりたくなったり、誰かといっしょにいたくなったりなど、小林さんトールを取り囲む人々やドラゴンのあいだでは、日常を送る中でそれぞれの距離感や心境が変わっていた。日々の仕事に忙殺されても異世界から来た存在に囲まれてもブレないままの小林さんは、さまざまなドラゴンと出会ったり交流を深めたりすることについて考えながら、あちこちに寄り道をしていた。すると、思考を巡らせながら川に向かって独白する小林さんには、今まで聞いたこともない謎の声が聞こえるようになる。不思議に思いながらも考えがまとまった小林さんは、自宅に帰る前にふと以前のことを思い出し、トールと出会った場所に向かうことになる。そこには、小林さんとの思い出を振り返りたくなったトールも訪れていた。トールと会う直前にまた聞こえた謎の声の正体はわからないまま、小林さんはドラゴンの姿に戻ったトールの背中を借りて帰宅するのだった。一方、異世界からやって来た魔法使いのアーザードは、表向きは興信所の探偵を名乗りながら守護者の一人として活動するようになっていた。不良に絡まれていた才川ジョージーに遭遇したアーザードは彼女を助け、いざというときのために彼女を懐柔しておこうともくろむ。

エルマとコイバナ

変わらぬ日常の中で、異世界からやって来た独特過ぎる多種多様な存在たちは、種族を超えて親交や理解を深めていく。そんな中で小林さんトールの思いに応えたり、トールが学校の給食にライバル心を燃やしたり、カンナカムイキムンカムイが鬼ごっこをして遊んだりなど、朧塚のドラゴンたちはいつものように平和な異種間交流の日々を送っていた。だが、小林さんが神剣と出会ったことや、エルマの祖母であり調和勢のNo.2であるドラゴン・テルネが再び人間界に訪れたことで、人間とドラゴンたちに再び大事件が巻き起ころうとしていた。トールとのやり取りをとおして恋愛や結婚について考えていた小林さんは、ある日の仕事帰りにエルマを居酒屋に誘い、今まで彼女に振ったことがなかった恋バナを始める。だがその日以来、エルマの小林さんやトールへの態度が微妙に変わり、その様子からトールは、エルマが深刻な悩みを抱えているのではないかと察する。エルマには以前から、調和勢の均衡を保つための結びの時期、いわゆる政略結婚の話がテルネをとおして持ちかけられていた。小林さんたちにその話をしようと人間界に来ていたテルネは、立会人として調和勢・屠龍派に属するクレメネを連れて小林家を訪問する。

スピンオフ

漫画

本作『小林さんちのメイドラゴン』のスピンオフ作品として、木村光博の漫画『小林さんちのメイドラゴン カンナの日常』、カザマアヤミの漫画『小林さんちのメイドラゴン エルマのOL日記』、歌麿の漫画『小林さんちのメイドラゴン ルコアは僕の××です。』、ノブヨシ侍の漫画『小林さんちのメイドラゴン お篭りぐらしのファフニール』がある。4作品とも本作に登場したドラゴンたちの日常や周囲との交流を描く日常系コメディとなっている。

メディアミックス

テレビアニメ

2017年1月から4月にかけて、本作『小林さんちのメイドラゴン』のテレビアニメ版『小林さんちのメイドラゴン』が、TOKYO MX1ほかで放送された。監督は武本康弘、キャラクターデザインは門脇未来が務めている。キャストは小林さんを田村睦心が、トールを桑原由気が演じている。また続編として、『小林さんちのメイドラゴンS』が2021年7月から9月にかけて放送された。こちらの監督は石原立也が務めている。

登場人物・キャラクター

小林さん (こばやしさん)

地獄巡商事北千住事務所に勤める若い女性で、職業はシステムエンジニア。桃色のポニーテールの髪型で、眼鏡をかけている。三白眼でやる気のない表情を浮かべているため、周囲からは死んだ魚の目と評されることがある。ざっくばらんな性格で、おしゃれにはあまりこだわらず、周囲の男性からは男友達のように扱われれている。ふだんから冷静でクールに見えるが、心根は優しく面倒見もいい。あまり友人をつくる気もなく、マイペースな生活を送っている。インドア派で、休日は家でゆっくり過ごしている。デスクワークが多いため、肩こりや腰痛に悩まされている。メイド趣味を持つオタクで、メイド服のことやメイドの歴史まで幅広い知識を持ち、強いこだわりがある。酒癖が悪く、酔うと人が変わったかのように荒々しくなり、熱烈なメイド談義を始める。家族とは離れて暮らしているが、両親のほかに二人の弟妹がいる。朧塚のアパートで一人暮らしをしていたが、ある日の帰り道に酔った勢いで山に行き、そこで偶然出会ったトールを助けて意気投合する。次の日にはトールが恩返しをしたいと押しかけてきたことで、メイドとして雇った彼女といっしょに住むことになる。胸がないのがコンプレックスで、巨乳の女性を見ると機嫌が悪くなることがある。トールと出会って以降、懐の深さやおおらかさに惹かれたドラゴンが周囲に集まるようになり、行き場をなくしたカンナカムイとイルルを引き取り、保護者となった。時にはドラゴン同士のいざこざに巻き込まれたりしているが、ドラゴンのような戦闘力を持たないため、危険な目に遭うこともある。これらのトラブルやトールからの求愛行動にはうんざりすることもあるが、非日常な存在に囲まれる日常も悪くないと思い始めている。ドラゴン・人間を問わず周囲から好かれ、会社での評価も高いが、自己評価は高い方ではなく、少々引っ込み思案な一面がある。のちにドラゴンたちとの関係性を期待され、上司の真ヶ土専務から守護者を任される。好きなものは酒、苦手なものはひじき、ナス、トールの尻尾焼き。

トール

異世界からやって来たドラゴンの少女。神に戦いを挑んで返り討ちにされ、人間界の山に逃げ込んで死にかけていた際に、偶然出会った小林さんに救われる。彼女に恩返しがしたいと考えて人間の姿に変身し、メイドとして共に暮らすようになった。人間の姿のときは、金髪ツインテールの巨乳美少女で、ツノと大きな尻尾が生えている。ふだんはメイド服を身につけているが、実はウロコを変化させた服で、すぐにほかの服に変えることもできる。表向きは小林さんの親戚として「小林トール」を名乗っている。明るく献身的な性格で、人間を愚かで下等な生き物と見下す一方で、恩人である小林さんを尊敬しつつ、溺愛している。小林さん以外の人間にはあまり興味がなく、彼女と仲のいい滝谷真には激しい嫉妬を覚え、彼女を困らせたり傷つけたりする者には、種族を問わず激しい怒りと敵意をあらわにする。当初は人間の常識をほとんど知らず、小林さんのためを思って魔法をはじめとするドラゴンの力を用いて、無理やり問題を解決しようとすることもあり、そのたびに小林さんにたしなめられていた。人間とドラゴンの感覚や価値観の違いに戸惑うことも多いが、小林さんと暮らす中で受け入れ、彼女とその周囲の人々との交流を順調に深めている。家事も料理も幅広くこなし、時折異世界の食料や自分の尻尾を料理に使うことがあるが、見た目のおぞましさもあって尻尾肉は小林さんから拒絶されている。自らの姿を隠して行動できる「認識阻害」をはじめ、48種類のメイド技を持っている。ドラゴンにとってはわずかな時間でしかない小林さんとの時間を楽しむ中で、ドラゴンと人間が共に生きることの難しさや、自分と人間には大きな寿命の差があるという現実に苦悩しているが、小林さんに励まされながら少しずつ乗り越えている。このように小林さんとの時間を幸せそうに生きている姿は、ほかのドラゴンたちになんらかの影響を与えている。

ファフニール

異世界からやって来たドラゴンの男性。人間の姿のときは、長髪で眼鏡をかけた執事のような恰好をしている。誰に対しても非常に疑り深く陰湿な性格をしており、いつも暗い表情を浮かべて邪魔な相手をすぐに殺そうとするなど、物騒なことばかりを考える。もともと引きこもり気味で、他者に対するコミュニケーション能力は低い。洞窟に引きこもって宝を守り続けていたが、宝を狙って侵入してくる人間が多かったことから、人間を信用していない。ドラゴンとしての立場は、現状ではどの勢力にも属していないが、混沌勢以外にはなりえないと明言している。すっかり人間界になじんでいた友人のトールと小林さんの関係に興味を持ちながらも、トールに対して人間にかぶれすぎていると指摘した。トールのように人間界で暮らそうと考えるが、当初は彼女以上に人間の常識がわかっておらず、ドラゴンのまま山で暮らそうとするなど騒ぎを起こしていた。トールの助けを受けて家探しをするもののうまくいかず、滝谷真の家に居候させてもらうことになった。もともと財宝の収集癖があるためにゲームに興味を持ったことから真とはすぐに意気投合し、表向きは「大山猛」を名乗るようになった。いつも恨みのような感情を抱き、何に対しても冷淡で懐疑的だが、人間界に来たのも本来はトールを心配したためであり、表には出さないが仲間思いの優しい一面もある。同居人の真からは「ファフ君」の愛称で呼ばれており、彼の影響ですっかりオタクと化し、特にネットゲームにはまって長時間プレイし続けている。さらには真と共に同人イベントに参加したり同人誌を出したりするようになったが、最初に出した「呪いアンソロ」という同人誌はまったく売れていなかった。暗い性格に見えて負けず嫌いで好戦的なところもあり、興味があることに対しては積極性や意外な行動力を見せる。

ケツァルコアトル

異世界からやって来たドラゴンの女性。厳密にはドラゴンではなく、元は神だった。人間の姿のときは金髪のロングヘアでツノを生やし、にこやかな細目とオッドアイが特徴の巨乳美女となる。一人称は「僕」で、愛称は「ルコア」。ドラゴンたちの中で一番胸が大きく、肉感的なスタイルを誇る。ふだんはタンクトップにショートパンツ、野球帽などボーイッシュな服装だが、何を着てもセクシーになり、窮屈が嫌いで露出や裸を好むために周囲から痴女扱いされることもある。世捨て人的なところがあり、おおらかでマイペースな性格をしている。いつも笑顔で人付き合いがよく、人間に対する知識も豊富。かつて酒に酔った勢いで罪を犯し、神の座を追われたために、ドラゴンとして生きるようになった。このことがトラウマとなり、酒に対しては非常に慎重で、事情を知っているドラゴンたちも過去のことはなるべく触れないようにしている。昔から人間界には頻繁に通っていたが、自力で召喚実験をしていた真ヶ土翔太が悪魔を召喚しそうになっているのに気づいて家に入り込んだのをきっかけに、彼の使い魔として真ヶ土家に住むようになった。思慮深く物知りで、トールや小林さんたちを優しく見守っており、みんなのお姉さん的な存在。ドラゴンとしては傍観姿勢で、世の中を俯瞰しつつ、異世界と人間界のバランスを保つように配慮してきた。本来の姿は巨大な翼竜で、非常に長い胴体を持つ白ヘビのような風貌をしている。かつて居場所を追われたことから、新しい居場所を与えてくれた翔太に感謝し、心から慕っている。しかし無自覚に過激なスキンシップを繰り返すことから、翔太に悪魔サキュバスと疑われて警戒されるなど、当初はまったく信用されていなかった。早く立派になりたいと背伸びする翔太のことが大好きで、彼をさまざまな形で支え、見守りながら、少しずつ心の距離を縮めている。

滝谷 真 (たきや まこと)

小林さんの同僚で、友人。普段は一般的な容姿をしているが、メイドについての隠れオタクで、分厚いレンズのメガネをかけて、小林さんと激しくメイド談義をはじめる。一人暮らしだったが、人間界にやってきた男性のドラゴン、ファフニールと意気投合し、一緒に住むようになる。

カンナカムイ

異世界からやって来たドラゴンの少女。人間の姿のときは小学生くらいで、ふだんは白いツノや紐状の尻尾が生えているが、それを隠して人間に擬態することもできる。昔からトールを慕っており、妹分としてかわいがられている。無表情で淡々と話すことが多いが、本当は子供っぽく感情豊かな性格で、好奇心が強くイタズラ好き。天性の愛くるしさと、ドラゴンの力と知性でどんな状況にも適応できるなど優秀だが、先輩ドラゴンたちにはその幼い見た目から、未熟と思われている。当初は小林さんがトールを誑(たぶら)かしたと思い込み、敵意をむき出しにしていたが、人間界に来たばかりの頃はドラゴンとしての力をほとんど失って非力になっていた。雷をあやつれることから電気も力の源であり、コンセントから尻尾を通してエネルギー補給ができる。実はイタズラの多さから故郷を追われた身であり、行き場がないことを小林さんに指摘され、そのまま小林家に居候することになる。孤独感を察して受け入れてくれた小林さんを慕い、親のように思っている。本来の姿は、全身が羽毛に覆われて鳥類のような翼を背に生やした白い龍で、細身で小柄な体型をしている。まだ幼いためにどの勢力にも属していないが、年上のドラゴンのことは様付けで呼んでいる。トールと共に留守番をしていることが多かったが学校に興味を持ち、小林さんの親戚に成りすまして「小林カンナ」の名で朧塚小学校に通うようになった。学校では才川リコと友達になり、彼女からも気に入られ、ドラゴンであることは隠しながらよくいっしょに遊んでいる。虫や小さな生き物を食べてしまう悪癖を持つ。父親は異世界に住む大ドラゴン・キムンカムイで、イタズラで龍玉を壊したことで彼に追い出されてしまった。これらの事情から、キムンカムイとは複雑な確執を抱えている。

エルマ

異世界からやって来たドラゴンの女性。人間の姿のときは紺色のボブヘアの巨乳美女で、大きな尻尾と額からは一本のツノを生やしている。とても生真面目で堅物な性格をしており、自由奔放なトールとは極めて仲が悪い。人間界で生活するようになったトールを追いかけて一人でやって来たが、すぐに追い返される。食いしん坊で人間界の食べ物に籠絡され、パンを与えてくれた小林さんにあっという間になついた。のちにツノを隠してOLに擬態し、生活費を稼ぐために「上井エルマ」として小林さんの働く会社に就職した。これ以降は小林さんの後輩となり、当初はパソコンの使い方すらわからなかったが、彼女の助けもあってすぐに仕事に慣れていった。本来の姿はひれがある細長いヘビのような体で、一本のツノが生えた水色の水龍の姿をしている。調和勢のドラゴンとして秩序を重視しており、人間に対しては融和に接することが多い。勢力のNo.2であるテルネの孫でもある。立場上、トールと対立したり手を貸せなかったりすることも多いが、ドラゴンとしての格や強さはほぼ同等である。人間界の均衡を乱しかねないトールを連れ戻そうとしたり監視したりしているが、おいしい食べ物にとにかく弱いために、あっさり釣られて懐柔されることが多い。最初の給料が入るまでは小林さんや同僚たちにおごってもらうことが多かったが、給料が入るたびに街で食べ物を買い漁ったり、買い食いを楽しんだりしている。昔は異世界で出会ったトールと旅に出るほどの仲だったが、人間が原因で仲違いをしてしまった。人間を見下していたはずのトールが今は人間と親しくなっていることも、彼女との仲を拗らせる原因となっている。表向きは彼女といがみ合いながらも本音では友情を感じており、なかよくしたいと思っている。

才川 リコ (さいかわ りこ)

カンナカムイが小林カンナとして小学校に通うようになってからできた友人で、頭に花の髪飾りをつけた少女。家ではメイドのジョージーを雇い、お嬢様と呼ばれているが、実はジョージーは、メイドマニアでコスプレをしている姉。とても気が強く、最初のうちは優秀なカンナカムイを疎ましく思っていたが、接するうちに彼女に対して恋愛に近い感情を持つようになった。

イルル

異世界からやって来たドラゴンの少女。人間の姿のときは、巻き毛気味な赤髪を二つ編みにしている。小柄な体型で、上半身がほとんど隠れるほどの豊満なバストを持つ。破壊を楽しむ好戦的な性格で狂気をはらんでいるが、本当は人間が大好きで、子供とも楽しく遊びたいと思っている。トールを狙って人間界で暴れるが、彼女に敗れたあとは、人間ながらトールやエルマと仲のいい小林さんに興味を抱き、小林さんの性別を変えるなど本性を探るようになる。しかし、クレメネに襲撃されて負傷していたところを小林さんに救われ、彼女の優しさに気づいて小林家に居候するようになる。人間に化けるのはあまり得意ではなく、当初は両腕を人間に擬態させるのにも苦労していた。服には無頓着で、トールからもらった大きめのTシャツとニーソックスだけのラフな格好をしている。実年齢はトールと同じくらいだが、彼女よりも無邪気で子供っぽい性格をしている。元は混沌勢の最過激派として生まれ、幼少期から周囲に人間は敵であると刷り込まれて育った。さらには人間との争いをきっかけに両親が亡くなり、当時いっしょに遊んでいた人間の子供たちも報復戦の中で殺されてしまったことが、大きなトラウマになっている。小林家に来てからも平穏な生活や人間との交流には抵抗があり、カンナカムイをとおして知り合った才川リコにも冷淡に接していたが、ケツァルコアトルの後押しもあって心を開き、いっしょに遊ぶようになった。人間界に慣れた頃に堕落した生活を送っていることをトールに指摘され、会田ツバキの駄菓子屋でアルバイトをするようになる。そこで出会った会田タケトを気に入り、当初は彼をからかっていたが、次第に恋心を抱くようになる。

終焉帝 (しゅうえんてい)

トールの父親。異世界で暮らす雄のドラゴン。人間の姿になると、鼻から下が隠れるほどの髭を生やした初老の男性になる。トールが人間界に迷惑をかける事を危惧して異世界に連れ戻そうとするが、小林さんによって追い返されてしまう。しかし、トールを連れ戻す事をあきらめたわけではない。

真ヶ土 翔太 (まがつち しょうた)

カンナカムイと同じ朧塚小学校に通う小学生の男子。異世界から移り住んで来た魔法使いの家系で、父親は偉大な魔法使いであり、小林さんの上司でもある真ヶ土専務。切りそろえた紫色の髪で前髪を長めに伸ばしており、まじめ性格で努力家でもある。父親のような立派な魔法使いを目指しながら、朧塚にある一軒家で両親と共に暮らしている。ある日、召喚実験で悪魔を召喚しそうになっていたが、割り込んで来たケツァルコアトルが代わりに現れ、彼女を使い魔として迎えて同居することになる。しかし奔放な彼女の刺激的な行動や、過激なスキンシップにはいつも困らされ、当初は悪魔サキュバスと疑い、まったく信用していなかった。苦労させられる一方で、強力な使い魔である彼女に相応(ふさわ)しい主人になりたいとも思っている。また、使い魔となったケツァルコアトルとは魔力でつながっており、離れている時でも、どこにいるかは大まかに察知できる。魔法使いの家系に誇りを持ち、いつかは元いた異世界へ帰る日に備え、いつも魔法の修行に励んでいる。早く一人前になりたいと背伸びをしているが、時には焦りも覚えている。滝谷真とファフニールとはいつの間にかゲーム仲間になり、特に真の大人っぽさやかっこよさにあこがれている。ケツァルコアトルを通してほかのドラゴンたちとも知り合った。魔法使いとしては、人を眠らせる術や転移魔法、ホウキに乗って飛行、千里眼を妨害する防御魔法など多種多様な術を扱える。魔法使い同士の場では、大魔法使いである父親の七光り扱いされ嫌味を言われることもあるが、魔法の試験でも優秀な成績を残している。ケツァルコアトルとの関係に悩むことも多く、その強大さを知るたびに劣等感を覚えることもあるが、それでも人柄や努力を褒めてくれる彼女に支えられ、少しずつ心の距離を縮めている。

課長 (かちょう)

小林さんの上司にあたる中年男性。男尊女卑的な思考を持ち、小林さんをはじめとする部下に対していつもパワーハラスメントを行っているが、冷静な小林さんからは軽く流されていた。トールが認識阻害をかけたうえで会社見学に来ていた際も、いつものように小林さんにパワハラをしていたため、怒ったトールから何度も転ばされ恥をかく羽目になる。その後も懲りずにパワハラをしていたが、小林さんが用意していた録音データを会社に送られたことでパワハラの証拠を知られ、解雇処分となった。

才川 ジョージー (さいかわ じょーじー)

才川リコの姉で、才川家のメイドを務める中学生の少女。本名は「才川苗」だが、家ではジョージーと名乗り、妹であるリコのこともお嬢様扱いするなど、家族や客人の前でもすっかりメイドになりきっている。ふだんは学生服を身につけ、茶髪のツインテールの髪型をしている。古きよきメイド文化を愛すると共に、マニアックなメイド服を作るなど、そのこだわりは強い。幅広い知識とメイドらしい丁寧かつ上品な立ち居振る舞いは、メイドオタクの小林さんに同志と認められるほどで、初対面から意気投合している。そのため、トールからはひそかにライバル心を抱かれている。物腰柔らかで落ちついた性格ながら、メイドへの情熱は深く、マニアックなメイド服の自作・収集はもちろん、ティーセットや紅茶などいつでも客人をもてなせる準備を整えている。メイド趣味の資金稼ぎのために、遊園地で着ぐるみのアルバイトをしている。のちに街中で不良に絡まれていたところをアーザードに助けられ、執事服の似合いそうな彼に興味を抱く。

会田 タケト (あいだ たけと)

高校生男子。朧塚にある駄菓子屋「おぼろ商店」の店主、会田ツバキの孫。ツバキに命じられ制服を届けに来た際に、アルバイトとしてやって来たイルルと知り合う。黒の短髪で学ランの下に赤いシャツを着用しており、愛称は「タケ」。ツバキから新人のイルルのフォロー役を任されて店を手伝うことになり、彼女といっしょに過ごす時間が多くなる。ドラゴンの存在はもちろん、イルルの正体も知らないふつうの人間で、彼女の奔放な振る舞いにはよく驚かされ、当初は不審に思うことも多かった。思春期真っ盛りのため、イルルの大きな胸につい目がいってしまうが、それがバレないように振る舞っている。しかしイルル本人にはすでにバレており、からかわれることも多い。ぶっきらぼうながらも心根は優しく純情で、イルルに翻弄されながらも何かと世話を焼くと共に、彼女のことが気になっている。イルルやトールがまれに見せる常識とのズレに困惑することも多く、異世界の存在にすっかり慣れた小林さんにも、ふつうの人間とは違う異様さを感じている。一方で、似たような悩みを抱える真ヶ土翔太とは意気投合し、胸をつい見てしまうという悩みを相談し合うこともあった。当初は店の手伝いにも乗り気ではなかったが、子供たちからも慕われ仕事もまじめにこなせるイルルを認め、彼女からも気に入られている。

盗賊の少女 (とうぞくのしょうじょ)

異世界に住む盗賊の少女。トールが世界を巡る旅の中で出会い、言葉を交わした数少ない人間。明朗快活な性格でドラゴンにも怯(おび)えることなく、初対面のトールにも自分から話しかけていた。茶髪のロングヘアで、右ほほには傷跡がある。奴隷になるか盗賊になるかという過酷な選択の中で盗賊を選んだ過去を持ち、殺意の本質を見抜けるなど、その精神はどこか達観している。貴族に追われる身となって逃走し廃墟に潜んでいた時にトールと出会い、しばらくのあいだ共に過ごすことになり、冷淡な態度であしらってくるトールに好意的に接する。自由を手にした暁にはメイドになるという夢があり、この際に自由の考え方や人生の選び方について語り、のちのトールの行動に大きな影響を与えている。トールと別れたあとは自らも廃墟を離れ、とある屋敷に仕えるメイドとして生きるようになった。

クレメネ

異世界のドラゴンの男性。調和勢に属している。人間の姿の時は面長で、痩せた体型をしている。調和勢に属しているが、エルマに比べてやや過激な「屠竜派」の一員。敵対するドラゴンを殺すことが目的化しており、干渉しないという掟(おきて)も形骸化しているという理由であっさり無視して、手負いのイルルを狙う。しかし、偶然居合わせて彼女をかばった小林さんをケガさせたことでトールの怒りを買い、ボコボコにされたうえで記憶を消され、異世界に強制送還された。トールからは、体調万全のイルルよりも下の実力であると評されている。

ドラゴニュート

異世界に住むドラゴンの男性。もともと人型の姿をしたドラゴンで、人間に化けるのを得意としている。終焉帝の依頼を受けて、人間に化けるための魔法をトールに伝授した。教えて間もない頃に一発で魔法を習得したトールの実力に驚き、そのまま世界を巡る旅に出た彼女を見送った。

キムンカムイ

山獣神とも呼ばれている異世界のドラゴンの男性。カンナカムイの父親。人間の姿の時は面長な中年男性で、かなり大柄な体型をしている。大らかに見えるがドラゴン同士の勢力争いには余念がなく、カンナカムイのことも、娘というよりは共に戦う仲間として見ており、戦いにおいて重要な龍玉を壊した彼女を追放していた。敵対者には容赦しないが酒好きには友好的で、小林さんと酒の話をすることもある。人間のような価値観はなく親という自覚や理解も足りず、幼いカンナカムイが寂しい思いをしてイタズラを繰り返した要因となっている。縄張りの近くにルミネースが拠点を構えたことで戦力を求め、追放していたカンナカムイに龍玉を作らせるために、人間界を訪問する。当初は酒の趣味から意気投合した小林さんに友好的だったが、互いの正体や立場を知ったあとはカンナカムイを巡って対立する。カンナカムイに龍玉の件を告げて異世界に戻ったあとは、小林さんと文通を交わす中で心境に変化が訪れた。アーザードの策略で手紙が改竄(かいざん)されるも、龍玉を持って来たカンナカムイとの会話を聞いたことで、彼の本性を知る。アーザードを倒そうとした際に、龍玉であやつられてカンナカムイたちに牙を剝(む)くが、小林さんの魔法のすべてを注ぎ込んだ技が直撃し、正気に戻った。この事件以降は父親らしさを見せるようになり、故郷に戻ろうとしたカンナカムイに対しては、共に過ごす時間が限られている相手と過ごすよう告げる。カンナカムイが小林家に戻ったあとも、時おり人間界にやって来てはカンナカムイと遊んでいる。

ルミネース

異世界に住むドラゴンの男性。調和勢に属している。「白竜公」の異名を持つ。トールからもその実力の高さを評価されており、かなりの大物。キムンカムイの縄張り近くに拠点を構え、アーザードの口車に乗せられてキムンカムイと対立するが、カンナカムイたちの奇策でアーザードの本性を知る。彼に龍玉であやつられるも、ファフニールに一蹴され正気に戻った。

会田 ツバキ (あいだ つばき)

会田タケトの祖母。商店街の駄菓子屋「おぼろ商店」の店主を務める。トールとは町内会や祭りなどを通して知り合う。高齢で営業が辛(つら)くなったために閉店を検討していた際に、アルバイトを希望するイルルをトールから紹介され、客の子供たちからの要望もあり、店を続けることにした。その後はアルバイトとして雇ったイルルと、孫のタケトに店番を任せている。

クロエ

アメリカのミネソタ州に住む少女。大企業の社長の令嬢であり、才川リコとどこか似た雰囲気を持ったお嬢様。カンナカムイが家出してニューヨークに来ていた時に、街中で出会って友達になった。金髪のロングヘアを二つのお団子にまとめている。父親はマフィアと対立しており、父親とケンカして家出中に怪しい集団に襲われていたところを、カンナカムイに助けられた。カンナカムイが、リコにも明かしたことがない自分の正体を初めて明かした人間でもある。ドラゴンの姿に戻ったカンナカムイの背に乗って故郷に送ってもらい、彼女の説得を受けて家に帰る決心をした。

笹木部 (ささきべ)

小林さんの右隣に住む主婦。おっとりした性格ながら、ギガンテスの四股のような騒音を立てたために小林さんやトールから怪しまれる。この騒音が原因でご近所トラブルにもなりかけたが、実は料理をする時の音だった。作った料理を時おり小林さんにおすそ分けするなど、至って善良な女性であり、料理の味もふつう。

谷菜 (やな)

小林さんの左隣に住んでいる男性。大音量で音楽を流したり、歌を歌ったりするために小林さんやトールとご近所トラブルになりかけた。その騒がしい音楽は、トールからマンドラゴラの断末魔やハーデスがヘラクレスに踏み潰された時の声などと評される。デスメタル系バンドのボーカルを担当しているが、練習スタジオで歌声を聞いたカンナカムイと才川リコからの評価は異常に低かった。のちに趣味探しをしていたトールにギターを教えようとするが、あっさりプロ並みの演奏を披露した彼女を見て自信喪失していた。

曽根 (そね)

小林さんの向かいに住んでいる男性。仕事で木彫りの彫刻をしているが、自室をアトリエにしているために電動ドリルの音がうるさく、小林さんやトールとご近所トラブルになりかけた。一時期は笹木部、谷菜と共に騒音で小林さんを苦しめたが、本来はおだやかで温厚な性格であり、騒音トラブルが解決したあとは完成作品の一部をトールにあげたりしている。トールが趣味探しをしていた時は彫刻を教え、出来上がった作品を冷静に評価しながら、作品の仕上がりから彼女の心境を見抜いていた。

アーザード

異世界に住む青年。金髪のイケメンで、キムンカムイが率いるドラゴンの軍勢で、軍師を務めている。攻撃をはじく聖骸布のクロークをまとい、聖剣を武器に使う。感情的になりやすいキムンカムイのフォローをしているが、その正体は真ヶ土専務の弟弟子で、ドラゴンを憎む魔法使いである。ドラゴンの争いに巻き込まれて故郷や家族を失った過去を持ち、落ち着いた物腰の裏には、ドラゴンやそれと親しい人間への憎悪が渦巻いている。キムンカムイに仕えるフリをしながら、ルミネースの密偵としても動き、二人の陣営を争わせることを目論む。キムンカムイが人間界に送った手紙を改竄することでカンナカムイを呼び戻すが、彼女の策略でキムンカムイとルミネースに本性を暴露されてしまう。怒ったキムンカムイの攻撃を龍玉の力で防ぎ、彼とルミネースを支配してカンナカムイたちを狙う。しかしキムンカムイたちが、小林さんとトールたちによって正気に戻され、一人で逃走するもトールに打ち倒され、真ヶ土専務のもとに送られる。以降は真ヶ土専務の世話になりながら守護者として暮らすようになり、人間界に住むドラゴンをはじめとする異世界住人たちの素行調査も命じられ、興信所の探偵「浅戸建」を名乗るようになる。その中で不良に絡まれていた才川ジョージーを助け、彼女から執事服が似合いそうという理由で興味を抱かれる。ジョージーを懐柔して利用しようと目論むも、彼女のメイド趣味に付いて行けずにあきらめる。その後は興信所の仕事が成功し、貯まった資金をもとに探偵事務所を設立した。

テルネ

異世界に住むドラゴンの女性。調和勢の神和派に属している。調和勢のNo.2で、エルマの祖母でもある。実際はエルマと何代も離れた老齢だが、お姉ちゃんを自称しており、エルマたちに、おばあ様やババアと呼ばれた時は激怒する。人間の姿の時はエルマに似た小柄な少女で、額に右側に曲がった1本のツノを生やし、セーラー服のようなワンピースを着ている。終焉帝やキムンカムイよりも年上だが彼らよりも奔放な性格で、キムンカムイからは混沌勢よりも混沌としていると評されると共に、その動向を警戒されている。調和勢の最大派閥でもある神和派と屠龍派の関係が悪化していることから、エルマに政略結婚をさせようとしている。いつも若作りをしており流行にも敏感だが、言葉づかいなどのセンスは少々古い。

ウィリアム

魔法学校に通う魔法使いの少年。魔法使いの昇格試験の参加者で、真ヶ土翔太にはいつも絡んでくる。ガイコツのモンスターを使い魔としている。翔太のことを七光り呼ばわりしてからかい、彼がちやほやされていることや、エメリーが彼に気があることに気づいて対抗心を燃やしている。さらに翔太の使い魔であるケツァルコアトルの態度も気に入らず、ますます彼に対抗心を燃やして試験後には魔法勝負を挑んでいた。

エメリー

魔法学校に通う魔法使いの少女。魔法使いの昇格試験に参加した際は、ウィリアムと行動していた。蛇のモンスターを使い魔としている。ウィリアムと同様に、真ヶ土翔太に何かと絡んでくる。しかし、実際は翔太のことが異性として気になっているだけであり、ツンデレのような態度で接している。

神剣 (しんけん)

トールに戦いを挑まれた神が使用していた聖なる大剣。トールの背中に刺さっていたところを、小林さんによって引き抜かれてからは長らく行方不明だった。神がドラゴンを確実に殺すために作り出した強力な武器で、この剣で負傷したトールは小林さんに助けられるまで死を覚悟していた。小林さんに引き抜けたのは、彼女に神への信仰心がなかったためである。実は小林さんの魂に入り込み、精神世界で生きるうちに自我が芽生えていた。ほとんど眠っているような状態だったが、小林さんに呼びかけるようになり、精神世界に呼び出して今までのことを説明した。この際には中性的な少年の姿になり、小林さんのことを母親のように思い、たびたび目覚めては彼女に語りかけた。一度は小林さんに大剣としての力を発現させようとしたが、力のコントロールができずに家を破壊しかけたため、その後は力を使わないようにしている。

集団・組織

混沌勢 (こんとんぜい)

異世界におけるドラゴンの勢力の一つ。神の管理から脱却し自由を得るために戦っていたドラゴンの中からほかの勢力が離れ、残った者が混沌勢となった。ほかの勢力からは世界を混沌に陥れるドラゴンたちとして、危険視されることがある。トールの父親の終焉帝を代表に、イルルなどもこの勢力に属する。当初は人間を気に留めていなかったが、敵対することの多い調和勢が人間と結託するようになってからは、人間を敵と見なして殺そうとする過激派も現れるようになった。トールからは神に縛られず自由を謳歌(おうか)できると評される一方、エルマからは自由とは名ばかりで統率が取れない荒くれ集団と評されている。

調和勢 (ちょうわぜい)

異世界におけるドラゴンの勢力の一つ。人間に対しても融和的に対応し、世界の調和を乱さないことを重視している。エルマやクレメネが属しているが、ドラゴンでありながら神に寝返った者たちとして、混沌勢からは毛嫌いされ、対立することが多い。人間を助けることもあれば力を貸すこともあるが、見返りに人柱を要求することもあるため、トールからは生贄(いけにえ)がなければ動かない怠け者などと揶揄(やゆ)されている。異世界での人間との関係はもちろん、小林さんたちの住む人間界との調和も重視し、人間界の調和を乱しかねないトールをエルマが連れ戻そうとすることもあった。エルマが属する「神和派」や「屠龍派」などにさらに分かれており、派閥争いを防ぐために「結び」という政略結婚が行われることがある。

場所

異世界 (いせかい)

もともとトールがいた世界。ドラゴンやエルフをはじめとするさまざまな種族のほか、神も存在している。建物などは中世ヨーロッパに近い雰囲気となっている。人間のほかに魔法使いも存在し、一部の魔法使いは人間界の方に移り住んでいる。魔法使い以外にもモンスターが住んでおり、人間界に移り住んだり遊びに行くことがある。この際に元の姿が人間からかけ離れている者は人に化けているが、コミケのようにコスプレができるイベントでは、コスプレイヤーに紛れて元の姿で行動することがある。

その他キーワード

龍玉 (りゅうぎょく)

ドラゴンの力を封じ込めた不思議な玉。何百年もかけて強大な魔力が込められており、戦闘で使えば強力な力となるため、ドラゴン同士の勢力争いでも重宝される。一方でドラゴンの精神を乗っ取る力も秘めており、内部の魔力を用いてドラゴンの肉体や精神をあやつることができる。

ドラゴン

異世界に存在する強大な種族。大半はトールのように翼が生えた巨大な爬虫類(はちゅうるい)の姿をしているが、カンナカムイやケツァルコアトルのように、鳥類や哺乳類に近い姿のドラゴンもいる。魔法を使いこなせる者が多く、人間にも化けられる。その場合はドラゴンとしての概念をそのまま人間に変換した姿になり、どのような人間態になるかには個体差がある。人間よりもはるかに長寿だが、子孫の残し方はさまざまで、単体で子供を産む者や妖精や神とのあいだに子供を産む者もいる。古くから神と対立しているが、その戦いの中で混沌勢、調和勢、傍観勢という三つの勢力に大きくに分かれた。ただし、カンナカムイのように幼いドラゴンはどの勢力にも属していないことが多い。

守護者 (しゅごしゃ)

ドラゴンをはじめとする異世界の存在が人間界に来た場合に、彼らの情報を管理する役職。人間界の各地に存在し、大抵は魔法使いが担うことになっている。町内会長に近い立場で、朧塚一帯の守護者はドラゴンの友人が多い小林さんが任されることになった。

魔力紋 (まりょくもん)

体内に過剰に魔力が蓄積された時に、体に浮き出てくる紋章。主に魔法使いが成長した際に、体の成長と共に魔力量が増えたことで浮き出る。体の成長に魔力量が追い付かないままだと強い痛みが生じるため、魔力を吸い出す必要がある。

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書誌情報

小林さんちのメイドラゴン 14巻 双葉社〈アクションコミックス〉

第1巻

(2014-05-10発行、 978-4575844054)

第13巻

(2022-11-10発行、 978-4575857771)

第14巻

(2023-09-12発行、 978-4575858877)

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