軍鶏

軍鶏

両親を刺殺した元優等生成嶋亮が生き延びるため空手を覚え、格闘技の世界で戦っていく様を描いた格闘技漫画。原作・橋本以蔵(ただしクレジットされているのは第四部「グランドクロス編」途中まで)。

正式名称
軍鶏
ふりがな
しゃも
作画
原作
ジャンル
空手
 
格闘技・武道
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概要・あらすじ

両親を刺殺し少年院に送られた元優等生成嶋亮。陰惨な環境の中で生き延びるためは、無期懲役囚でありながら特別講師を務める黒川健児から空手を学び、凶暴な力を身につけていく。少年院出所後、アンダーグランド勢力の準構成員となったはストリートファイトを繰り返す凶悪な日々を送る。だが、番竜会空手総帥・望月謙介と出会ったことから、己の世界とは異なる空手界のことを知り、これを敵視するようになる。

番竜会最強の空手家菅原直人への挑発を繰り返したは、東京ドームを会場とした格闘技イベント・リーサルファイトで己の存在をかけて彼と戦うこととなる。

登場人物・キャラクター

成嶋 亮 (なるしま りょう)

東大確実とまで言われたひ弱な優等生だったが、ある日突然両親を刺殺。鯵ヶ崎高等少年院に入所する。少年院には誰一人味方はおらず、生き延びることも困難と思われたが、無期懲役囚・黒川健児が教える空手と出会い、成嶋亮は力をつけていく。黒川健児流の空手により自身を凶器に変貌させた亮は少年院内での地位を確保し、刑期満了で出所。 出所後は男娼として過ごした後、闇勢力の準構成員として暴力に明け暮れる日々を送る。その後、空手流派番竜会総裁望月謙介と出会ったことで、亮と表の空手界との関わりが始まる。唯一の空手の師・黒川健児が番竜会出身であることから、亮の空手も番竜会系であるといえる。 だが、華やかな舞台で賞賛と喝采を浴びる空手を亮は否定的に見ており、己の存在をかけて重量級王者の菅原直人を敵視し闘おうとする。リーサルファイトで菅原と戦った際の亮の体格は、身長172センチ、体重76キロ。ただし、この体重はステロイドによって急速に増やしたものである。 少年院出所以来、ずっと髪は金色。刺殺した両親の他、成嶋夏美という妹がいるが、再会した時には薬の乱用で廃人同様になっており、以降、亮は妹の治療費と生活費を稼ぐために戦いを続けることになる。

黒川 健児 (くろかわ けんじ)

成嶋亮の空手の師匠。鯵ヶ沢高等少年院に収監された亮に空手を通じて己を研ぎ澄ますことを教えた。年齢は老人の域に達していると推測される。元番竜会本部の総師範代で最強の実力者とうたわれたが、首相暗殺未遂事件を起こして無期懲役囚となり刑務所に収監されていた。その事件で護衛官を三名殺害している。 その後囚人ながら特別講師として少年院で空手を教えるようになり、成嶋亮と出会った。無期懲役囚であったが、成嶋亮が重量級としてリーサル・ファイトに上がる少し前に出所。岡原の手引きで亮のトレーニング・チームに加わり、再び黒川流の空手の指導を行った。

菅原 直人 (すがわら なおと)

番竜会重量級王者。身長185センチ、体重98キロ。格闘技大会リーサル・ファイトで勝ち続ける番竜会最強の男。空手によって名声や金銭、そして女優の恋人と全てを手にしていたが、成嶋亮の憎悪の対象となり、執拗に対戦を挑まれる。当初は亮のことを相手にしていなかったが、恋人で女優の船戸萌美が亮に陵辱されたことから、その挑戦を受けて立つこととなった。 リーサル・ファイトでは最終ラウンドのゴング5秒前で成嶋亮をノックアウトして勝利した。だが、その結果に納得せず、後日無人の廃寺で亮とふたりきりで生死をかけた再戦を行った。空手家であった菅原直人の父親は彼が幼少時、稽古中の事故で廃人となり、衰弱して死亡している。 その後、番竜会館長となる望月謙介に引き取られ、最強の空手家になるべく育てられた。

藤吉 公平 (ふじよし こうへい)

成嶋亮の親友。亮が属すアンダーグランド組織の一員で連絡員として亮のもとに派遣された。その後、亮に友情を感じ始め、番竜会との一連の戦いでは良き協力者となる。腕っ節はからきし弱いが、情報収集能力に長けている。リーサル・ファイトの直前、組織の長の山崎から亮の出場に待ったをかけられたが、自分の左腕を犠牲にすることで亮の出場を認めさせた。 その後、半ば廃人と化した成嶋夏美の日々の世話を亮に託される。

成嶋 夏美 (なるしま なつみ)

成嶋亮の妹。亮が両親を刺殺した後、親戚に引き取られていたが家出して風俗で働いていた。違法ドラッグを常用し、亮と再会した時には廃人同様となっていた。その後、海辺の家で藤吉公平の世話をうけながら療養を続けており、その費用を稼ぐため亮は戦い続けることとなる。

望月 謙介

空手流派番竜会館長。立ち技格闘技イベント、リーサル・ファイトの産みの親で、番竜会をより発展させようと目論む野心家。ベイテレビ・プロデューサー神尾陽子の推薦により成嶋亮を番竜会主催の空手道選手権に出場させた。過去に黒川健児に指導を受けた優れた空手家であるが、大変な商売人であり、番竜会を発展させて莫大な利益を得ることに心血を注いでいる。 菅原直人の父親の親友であり、彼が亡くなった後は菅原を引き取って、超一流の空手家に育てあげた過去がある。ベイテレビ・プロデューサー神尾陽子とは肉体関係にあり、互いに利用し合う間柄である。

神尾 陽子 (かみお ようこ)

リーサル・ファイトをTV放送するベイテレビの女性プロデューサー。成嶋亮の存在を知り、リーサル・ファイトの陰のスターにすべく、望月謙介館長に働きかけて番竜会空手道選手権に出場させた。その後、脚本家岡原に成嶋亮を世に出す出すための「プロジェクト-R」のシナリオを書かせ、その売り出しを影で画策した。 望月謙介館長とは肉体関係にあり、互いに利用し合う間柄である。

船戸 萌美 (ふなと もえみ)

番竜会空手重量級王者・菅原直人の恋人。圧倒的なスタイルの良さと美貌で今をときめく超人気女優。成嶋亮を歯牙にもかけない菅原直人を本気にさせるため、亮は彼女をレイプした。激怒した菅原直人は亮の挑戦を受け、抹殺することを誓った。

山崎 (やまざき)

成嶋亮や藤吉公平が属す組織の若きボス。薬や売春などアンダーグランドな商売を手広く行っている。亮が出場するリーサル・ファイトの興業利権を要求するが受け入れられず、そのことから亮の出場に難色を示した。だが、藤吉が己の左腕を差し出すことでケジメをつけ亮は出場できるようになった。 リーサル・ファイト観戦に向かう途中の路上で、敵対勢力の刺客に撃たれるが、そのまま東京ドームに向かい、試合を見届けた後、絶命した。

岡原 (おかはら)

飲んだくれの脚本家。ベイテレビの神尾陽子に成嶋亮を世に出すための脚本制作を依頼され、「プロジェクト-R」のタイトルをつけてこれを完成させた。その後、亮を一流のファイターに育て上げるためのチーム作りに尽力した。

ランガー・ゲッソムリット (らんがーげっそむりっと)

リーサル・ファイトの舞台に上がることになった成嶋亮と対戦させるため、望月謙介館長がタイより呼び寄せたムエタイ選手。スピード、パワー、テクニック、どれも超一流だが、強すぎてタイでは中々試合が成立せず、賞金を求めて日本にやってきた。親兄弟、一族を自身のファイトマネーで養っている。 当初は成嶋亮相手に有利に試合を進めたが、亮の蹴りが右目に入って負傷したことで無効試合となった。ランガー・ゲソムリットはこのケガがもとで失明し、事実上選手生命を絶たれた。

イベント・出来事

リーサル・ファイト (りーさるふぁいと)

『軍鶏』に登場するイベントの名称。番竜会館長の望月謙介がベイテレビと協力して立ち上げた、立ち技系格闘技イベント。重量級同士の迫力ある対戦がウリであり、番竜会重量級王者・菅原直人が参戦し鮮やかに勝利したことで爆発的なブームを巻き起こした。優勝賞金2000万円。成嶋亮は東京ドームで行われたリーサル・ファイトのファイナルマッチに出場し、菅原直人と死闘を繰り広げた。

場所

鯵ヶ沢高等少年院

『軍鶏』に登場する施設。両親をナイフで刺殺した16歳の成嶋亮が収監された少年院。青森県に存在すると思われる。「親殺し」の罪を忌み嫌われた亮は、院生や教官から陰湿ないじめを受ける。院生の教育のため、自身も囚人である黒川健児による空手指導の時間があり、成嶋亮はそこで空手を学ぶことで生きる術を獲得した。 少年院の院長は成嶋亮を矯正不可の人材とみなし、黒川健児に空手の試合にみせかけた上での排除を要請するが、黒川はこれを拒否。結果、亮は生き延びたが、黒川は特別教官として地位を失い、一般の刑務所に収監された。

その他キーワード

番竜会 (ばんりゅうかい)

『軍鶏』に登場する空手流派。大東鉄心を創始者とする。国内外に数百の支部を持ち、門下生の数は実に数十万人にも及ぶ。「史上最強」を謳った直接打撃系の空手は雑誌、映画などの宣伝効果もあり急成長し、隆盛を誇る。黒川健児は初期の番竜会で総師範代を務め、望月謙介らを育てた。その後、二代目館長を襲名した望月謙介は立ち技格闘技興業リーサル・ファイトを成功させ、一大格闘技ブームを巻き起こし、番竜会を組織として更に発展させた。

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