長男の時代

長男の時代

家族を養うために殺し屋の道を選んだ主人公、久能隼人を中心に、彼を兄と慕うオカマのタキとの哀しい愛や、久能と敵対する殺し屋組織との戦いを描く。第1話で拳銃を密造する方法をいくつもの図面を交えて事細かく解説しているシーンは、当時の読者たちの間で大きな話題となった。原作は小池一夫、作画は川崎のぼる。

正式名称
長男の時代
ふりがな
ちょうなんのじだい
原作者
小池 一夫
作画
ジャンル
バトル
 
裏社会・アングラ
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概要・あらすじ

叔母の経営しているトリスバー苦悩に入ったオカマのタキは、殺し屋である久能隼人にある殺しを依頼する。その後、久能を愛したタキは、いくつもの苦難を乗り越えて彼と家族の契りを結んだ。しかし、久能隼人に仲間になることを拒まれた殺し屋組織、雨の腕(レインアーム)が、報復で叔母タキを殺害。

久能は復讐のため、雨の腕との戦いに臨む。

登場人物・キャラクター

久能 隼人 (くのう はやと)

特A級の殺し屋。長男。元東都大理工学部の学生だっだが、家族を養うために殺し屋になった。父親は役所の課長だったが汚職の疑いをかけられて、列車に飛び込んで自殺。母親は病気で、他に弟と妹がいる。愛人は叔母。当初はひよこの鑑別士を目指して勉強中ということになっていた。オカマのタキに298万円でブラックローズを殺すよう頼まれたが、タキの身の上を知って、100万円で引き受ける。 その後、捕まったタキを助けるために川波組を全滅させる。雨の腕にタキと叔母を殺されるが、組織内部から復讐するためにあえて雨の腕に加わる。雨の腕に入ってからはドミニクという美女をパートナーとする。 ドミニクの死後はキャサリンという少女をパートナーとし、長い戦いの末、雨の腕を壊滅させた。

タキ

急所を切り取られてしまったオカマで、久能隼人に惚れている。かつて自分を陵辱して陰茎を切り取った女暴走族のブラックローズを探して殺すよう、298万円を用意して隼人に頼みこむ。父親は交通事故で死に、母親はショック続きで病気に倒れて、さらに弟と妹を養わないといけない身なので、オカマに身をやつすようになった。 ブラックローズを密造拳銃の暴発に見せかけて殺すことに成功したが、隼人に去られてしまう。その後、彼に会いたい一心で自ら川波組に捕らわれの身となった。その後も隼人を追い続け、ついには彼の恋人になった。だが、殺し屋組織、雨の腕がよこした殺し屋ハモニカカウボーイに陵辱された末に殺されてしまう。

叔母 (おば)

トリスバー苦悩を経営しているママで、丸々と太った中年女性。久能隼人の叔母であり愛人でもある。殺し屋としての隼人の取り次ぎをしており、その体に銃を忍ばせることもある。大学教授顔負けの頭脳の持ち主と、自ら吹聴するくらいの才女でもある。だが殺し屋組織、雨の腕がよこした、ハモニカを愛用する殺し屋ハモニカカウボーイによってピストルで殺される。

ブラックローズ

胸にバラの入れ墨がある女暴走族。暴力団川波組の組長の娘で本名は川並葉子。かつて普通の少年だったタキこと瀧夫に恋文を出したが、彼が「あんなバケモン相手じゃ、100万もらったって寝ない」と友人に公表して笑いものにしたということで、報復として瀧夫の陰茎をナイフで切除した。その後、タキとねんごろな仲になるがそれは罠で、彼からもらった密造拳銃の暴発によって死亡する。

砂問 黙 (すなどい もく)

「ガラパゴスの狙撃手」の異名を持つ特A級の殺し屋。武器は松葉杖に擬したカスタムの狙撃銃。娘は女優の山野蘭(やまの らん)。南米各地の民族独立運動に手を貸してきた。アルゼンチンでかつて愛した女にそっくりの女優が映画に出ていたのを知り、その女優と会うべく、自分の情報をわざとその筋にリークしていた。 その後、蘭から殺しを依頼されていた久能隼人と四本木カントリークラブというゴルフ場で対決するが、自分のことを父親と認めた蘭の命乞いによって助けられた。

ブルース

雨の腕によって無一文のままブロンクス地区に放り出された久能隼人を助けた黒人女性。7人の男性に輪姦された過去があり、それ以来誰とも寝ていない。隼人に自分の弟をひき殺した警官の殺害を依頼するが、戦利品の銃と無線機を売った金の分け前をやるのが嫌で、彼を警察に売る。しかし、彼女を暴行しようとする黒人男性の暴徒から助けてもらったのを機に、隼人と行動をともにする。 その後、ブラック・モスレムと警察が手を組んで隼人とブルースを抹殺しようとしたときは、あきらめて死のうと思ったが、隼人とともに戦うことを決意。最後はブラック・モスレムの人質にされ、隼人と敵の銃撃戦に巻き込まれて亡くなった。

ドミニク

雨の腕に紹介された久能隼人の連絡係。全身にブッシュ・マスターという大蛇の入れ墨を施した美女で、かつ処女。当初はハンサムな隼人のパートナーになれたことで有頂天になっていたが、彼の荒療治によってプロの連絡係としての自覚を持つようになる。両親のためにマジョルカ島に土地付きの家を買ってもらう約束と引き換えに、隼人の子を宿すことが本当の任務だったが、組織を裏切り隼人の側に就く。 最後は雨の腕との戦いの中で人質になるが、自ら「撃って」と懇願して敵ごと隼人の銃弾に倒れた。

キャサリン

雨の腕の殺し屋だったトムの連絡係だったイレーヌの娘である美少女。幼少時に両親から引き離され、雨の腕に育てられる。「どこに住んでいるんだ」という言葉を聞くと、人を殺すよう意識下に催眠を施されていた。両親の死後は久能隼人とともに雨の腕への戦いに身を投じる。その後、リオ・デジャネイロで組織の殺し屋に襲われるが、「ムーンバード・月の鳥」というキーワードによって催眠を解除された。 だが隼人は「私は黙示録の外で生きて行かねばならない男だ」と言って、キャサリンを戦いの世界から切り離して別れた。

集団・組織

川波組 (かわなみぐみ)

『長男の時代』に登場する組織。組長の娘はブラックローズ。娘の仇であるタキが、配下のスケバンに捕まってやってきたときは、話を真に受けずに追い返そうとしたが、彼の言うことが本当だと知ると、ドスで腹を刺した上で、本当の仇である久能隼人をおびき出して殺そうとする。だが、タキの救出に乗り出した隼人の前に、組長も組員も全滅してしまった。

雨の腕 (れいんあーむ)

『長男の時代』に登場する組織。RAとも略される。世界最大と呼ばれる殺し屋の組織で、その正体はアメリカの産軍複合体の暗殺実行組織にして国家機関。ケネディ大統領やキング牧師の暗殺もRAによるものとされている。タキと叔母をハモニカカウボーイに殺させ、彼との対決に勝利した久能隼人を組織に入れるが、生活適応力を見極めるため、彼を無一文にしてニューヨークのブロンクス地区に放り出す。 また、隼人にドミニクという美人かつ処女の連絡係をあてがうが、それは彼女に隼人の子を産ませ、これを組織で養うことで隼人を拘束するという目的があった。これは他の殺し屋たちにも行われており、子供たちを育てる施設もあった。 しかし、その育児施設も隼人に制圧され、さらには大幹部の一人である嘲い犬のギャグニィ(わらいいぬのぎゃぐにぃ)も倒されて、組織は壊滅した。

クレジット

原作

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