パールガーデン

パールガーデン

人間の父親を探すため、海底からやってきた人魚の女の子が、出会った人々を巻き込んで数々の騒動を巻き起こす。いくつもの家族愛が描かれた、笑いと涙の冒険物語。

正式名称
パールガーデン
ふりがな
ぱーるがーでん
作者
ジャンル
アドベンチャー
 
ファンタジー
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概要・あらすじ

人魚のピアは、海底の沈没船で人魚の仲間と共に暮らしていた。ある日おばあちゃんの残した遺言によって、彼女にはデンマークに人間のパパがいることが判明する。そんな中、嵐のせいで豪華客船から海へ投げ出された詐欺師のグリーンは、ピアに命を救われる。そしてグリーンは報酬目当てに、デンマークにいるというパパのところへピアを連れていくことを約束するのだった。

最初にたどり着いたイギリスで、スリのマルコを新たに仲間に加えたピアたちは、3人での生活を開始。はじめこそ宝石やお宝が目的だったグリーンたちも、ピアの純粋でまっすぐな気持ちに心動かされ、次第にお互いのことを思いやるようになっていく。改めて旅立ったピアたちは、数々の困難を乗り越えてデンマークへ向かう。

その旅の最後に待ち受けていたのは、ピアのパパに関する意外な真実と、1つの奇跡であった。

登場人物・キャラクター

ピア

14歳の人魚の少女。人魚の母と人間の父の間に生まれたハーフだが、外見は人魚である。純粋でまっすぐな性格で、人を疑うことを知らず、誰にでも優しい天真爛漫な女の子。歌うことが好きで、その声は人を魅了する。感情が高ぶると、瞬間的にまわりの水分を集めて雨を降らせることが可能で、小雨から洪水になるほどの豪雨まで、大幅な規模をもつ。 また、水を口に含んで吹き上げると近所の様子がわかるという特技を持っている。その半面、火を極端に恐れる。大好きなグリーンのことを王子様だと勘違いしている。

グリーン

詐欺師の青年。本名は「ローレンス・アンダーソン」という。幼少の頃、次々と変わる父親にないがしろにされ、また母から捨てられた過去があり、さらに昔の恋人だったカレンには、結婚式当日に全財産を持ち逃げされるなど、不遇な日々を送っていた。魚介類にアレルギーがあり、人魚を見た時は蕁麻疹(じんましん)が現れた。将来、スイスの山奥に孤児院と老人ホームを建てて、娯楽施設を造り、身寄りのない人の行き場を作るのが夢。

マルコ

9歳にしてスリを生業にしている男の子。警察官の父とオペラ歌手の母を持つが、両親が忙しく、まったく構ってもらえなかったため、愛情に飢えて非行に走った。照れ屋だが、ピアとグリーンのことが大好き。

パパ

ピアの父親で、おもちゃ職人。頭が良くて優しい人間。人間の世界で結婚していた身であるが、人魚のママと出会い、大恋愛の末ピアを授かる。だが、その誕生を見ずに人間の世界へ戻ることになった。デンマークへ戻った後、自分の居場所を記したメモと、自分の虚像が映る巻貝を魚たちに運ばせ、ピアにメッセージを届けた。

おばあちゃん

ピアの祖母で人魚。死の間際、ピアに秘密にしていた彼女の父親のことを話し、巻貝と、代々伝わる宝の地図、そして困った時に飲む「謎の薬」を3粒託す。

おねえさんたち

ピアのいとこやはとこの人魚。みんなピアが大好きで心配性。人間の世界に行ったピアが悲しんでいることを知り、失恋によってピアの命が尽きてしまうことを危惧した彼女たちは、自分たちの美しい髪の毛を魔女に売り、代わりに10倍速く泳げる力と、魔法の剣を手に入れてピアのもとを訪れる。

ポーラ・ジョンソン (ぽーらじょんそん)

グリーンの母親。父親がいない家庭で育つ。後に結婚しグリーンを授かるも、夫には先立たれる。その後は不幸の連続で、子供より男を選び、グリーンを捨てて失踪。しばらくしてから自宅へ戻ってグリーンがいないことを知ると半狂乱になり、その後はやせ衰えて孤独な毎日を過ごす。

カレン

グリーンの元恋人。結婚式当日に、結婚資金と彼の全財産を盗んで逃げた過去がある。あちこちで詐欺まがいのことをして暮らす、お金に関してのみ汚い女性。ただ一方で、追い詰められたグリーンとピアを危険を顧みずに助けるなど、情に厚いところも持ち合わせている。

フレッド警部 (ふれっどけいぶ)

マルコの父親。貧乏でも暖かい家庭を作りたいと常々願っているが、マルコとも妻ともすれ違いの日々を送っている。詐欺容疑でグリーンのことを追っているが、逮捕には至っていない。明るみになったマルコの非行と、グリーンを逃がしたことの責任を取って、定年を間近にして退職を決意するが、その後は夢見ていた家族との暖かい生活を手に入れる。

ミセスディーバンク

マルコの母親でありオペラ歌手。家庭を顧みず仕事に飛び回り、子供に愛情をかけてやらないでいた。しかし、実は喉を壊しており、歌い手としては致命的な宣告を受けたことで、歌えなくなる前にと、たくさんの仕事を引き受けていたのだった。後に家族と共に人生をやり直す決断をする。

クラーク伯爵夫人 (くらーくはくしゃくふじん)

ピアに、亡くなった孫のローザの在りし日の姿を重ねている。もとは夫と娘夫婦、孫のローザと幸せに暮らしていたが、ローザが亡くなり、その悲しみから娘夫婦も出ていき、夫もなかなか海外から戻らない状況で、大きなお屋敷に夫人1人と使用人だけの生活になってしまっていた。孫を亡くした悲しみは周りが思うよりも深く、もはや狂気を帯びている。

シデス

ピアのパパの孫で、ピアの姪にあたる女性。その外見はピアが成長した姿にそっくり。祖父から人魚の話を聞き、半信半疑ではあったが、祖父がピアに宛てた手紙を受け継ぎ、渡す日が来るのを待っていた。

場所

魔の海域 (まのかいいき)

ピアたち人魚の住む海域のこと。第2のバミューダと呼ばれ、磁場が強く、船にトラブルが起きることが多いとされている。海底では、時間が人間界の3分の1の早さでゆっくりと進んでいる。

その他キーワード

巻き貝 (まきがい)

ピアのパパが、デンマークからピアに向けて魚たちに運ばせた贈り物。中には自宅の場所を示すメモが入っていた。太陽に当たると、パパの虚像が同じメッセージを繰り返し伝えるように細工が施されている。また、水に浸けて呼びかければ、電話のように相手と会話することができる。

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