どぶがわ

どぶがわ

関西地方のどこかにある、谷底のひどく臭う川・どぶがわを舞台に、ある老婆を中心として近隣に住む人々の日常の中の小さなドラマや感情の機微を描いた、オムニバス形式の作品。登場人物たちの氏名は、ロゼッタを除いてすべて不明である。

正式名称
どぶがわ
ふりがな
どぶがわ
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
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概要・あらすじ

臭気を漂わせる川・どぶがわの近隣に住み、日中は川の中州でまどろむ不思議な老婆。彼女の夢の世界の物語と、どぶがわの近隣に住み、老婆に少しずつ関わりを持つ人々の日常の物語を行きつ戻りつしながら、老婆自身の現実での生活、心の動きを描く。

登場人物・キャラクター

老婆 (ろうば)

氏名は不明。どぶがわ沿いのアパートで貧しい独り暮らしをしている。日中はどぶがわの中州に洗濯物を干し、ベンチに腰掛けてまどろむのが日課。『若草物語』などの西洋の児童文学を愛読しており、どぶがわ中州のベンチで昼寝している間や夜眠っている間に、自分が『若草物語』の舞台のような世界で、四姉妹の長女として優雅な生活をしている夢を見ている。 近隣の住民からは「不思議なお婆さん」として奇異な目で見られ、笑われている。

主婦 (しゅふ)

氏名は不明。どぶがわを見下ろす丘の上にあるマンションに、夫である市役所の課長と、バレエを習っている小学生の娘と3人で暮らしている。お見合い結婚だった夫との会話はあまり多くはないが、夫のことを愛している。

市役所の課長 (しやくしょのかちょう)

どぶがわを見下ろす丘の上にあるマンションに、妻である主婦と娘と3人で暮らしている。市役所の市民生活課で課長を務める。寡黙だが、真面目で誠実な性格。妻よりかなり年上である。

三白眼の少年

氏名は不明。初登場時小学6年生だが、物語内で中学生になる。通学路であるどぶがわ沿いを毎日通っている。どぶがわの有様に不快感を抱き、なんとか川を綺麗にしたいと考え、市役所あてに投書を繰り返す。国語が得意だが、他の教科は苦手。冷めた性格。

短髪の少年 (たんぱつのしょうねん)

氏名は不明。初登場時小学6年生だが、物語内で中学生になる。通学路であるどぶがわ沿いを毎日通っている。三白眼の少年と仲が良く、一緒に通学している。明るく素直な性格で、数学が得意。のちにパイロットとなった。

元野球部の男子高校生 (もとやきゅうぶのだんしこうこうせい)

氏名は不明。どぶがわの近隣の戸建てに住んでいたが、両親の離婚により老婆の住むどぶがわ沿いのアパートに母と共に引っ越した。また、野球部に所属していたが、親の離婚に伴い退部。アパートではレンズ工場の男性の隣の部屋に住む。

レンズ工場の男性 (れんずこうじょうのだんせい)

氏名は不明。どぶがわ沿いのアパートの、老婆と元野球部の男子高校生の間の部屋で独り暮らしをしている。日中はレンズ工場で工員として働く。クラシック音楽を好み、帰宅後は部屋でレコードを聴いている。

四姉妹の長女 (よんしまいのちょうじょ)

老婆の夢の中での姿であり、老婆の夢の世界の主人公。貴族の娘で、母親はすでに他界している。川の中州にある屋敷に3人の妹、ロゼッタと共に暮らす。身寄りのない孤児であったロゼッタにパンを施し、屋敷に住みこませた。長い髪の毛を後ろにまとめている。

ロゼッタ

老婆の見る夢の中で、四姉妹の屋敷に仕えている女性。身寄りがなく、一人で川のほとりの小屋に居着いていたところを、四姉妹の長女により助けられた。理性的で厳格な性格。

場所

どぶがわ

関西地方のどこかに流れる川。低地にあり、溜まった水と捨てられたゴミなどで辺りにひどい臭いを漂わせている。近隣に住む子供は、外部の一部の大人から「谷の子」として差別的な視線を向けられている。

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