幼なじみが絶対に負けないラブコメ

幼なじみが絶対に負けないラブコメ

二丸修一の小説『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』のコミカライズ作品。男子高校生の丸末晴は、現役女子高校生で小説家の可知白草に恋するが、失恋してしまう。末晴は幼なじみの志田黒羽に諭され、白草を見返すことを決めるものの、彼らの恋模様が予想外の方向に向かう姿を描く、青春ラブコメディ。コミックス版の巻末には二丸修一書き下ろしの小説が収録されている。「月刊コミックアライブ」2019年12月号から掲載の作品。

正式名称
幼なじみが絶対に負けないラブコメ
ふりがな
おさななじみがぜったいにまけないらぶこめ
原作者
二丸 修一
漫画
ジャンル
ラブコメ
 
学園
レーベル
MFコミックス アライブシリーズ(KADOKAWA)
巻数
既刊7巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

失恋

高校2年生の丸末晴は、同級生ながら小説家としても活動している可知白草の小説を読んで感銘を受け、彼女にその感想を伝えたことで恋に落ちる。折しも校内は文化祭の最大イベント「告白祭」で盛り上がっており、末晴も白草に告白しようかと思い悩んでいた。しかしそんなある日、末晴は白草が3年生のイケメン先輩・阿部充に告白され、付き合い始めたことを知る。告白する前に失恋した末晴であったが、幼なじみの志田黒羽に白草を見返すため、自分と付き合ったフリをしようと提案される。しかしそこで、阿部が末晴に接触する。役者としても活動中の阿部は、実は元天才子役という経歴を持つ末晴にコンプレックスを感じており、末晴にその思いをぶつけて告白祭であらためて白草に告白すると末晴に宣言する。その挑発を受けた末晴は、告白祭の演劇で阿部を叩きのめすことを誓うのだった。

告白祭

丸末晴は演技の練習を始めるものの、その練習中に倒れてしまう。末晴に頼まれて演劇の脚本を書いていた可知白草は、そんな末晴の様子が気になり、彼の看病に向かう。実は白草は、天才子役だった頃の末晴とは顔を合わせており、彼のおかげで小説家としての道を歩み始めたが、突然会えなくなったことで彼に反発心を抱いていた。末晴が子役を辞めた理由が気になっていた白草は、彼に事情を聞く。末晴の母親は売れない女優で、末晴に夢を託し、彼を子役として教育を施した。母親の期待に応え、順調に天才子役としての階段を駆け上がった末晴であったが、ある日、プロデューサーの意向で母親もドラマに出演することとなる。交通事故で死ぬ役だったが、母親はそのまま本当にドラマ中の事故で亡くなり、幼い末晴はそれがトラウマとなって演技ができなくなってしまったのだ。白草は末晴の話を聞き、自分の一方的な思い込みで、彼に見当違いな恨みを抱いていたことを反省する。そして迎えた文化祭。実は白草は阿部充と付き合っておらず、幼い頃に突然いなくなった末晴を見返すため、阿部と付き合ったフリをしていただけだった。末晴のファンだった阿部も、悪役を喜んで引き受け、末晴の対抗馬として全力で演技で勝負をする。告白祭で末晴は白草への思いに区切りをつけ、志田黒羽に告白するが、黒羽は末晴を振ってしまう。黒羽は以前に末晴に告白したが振られており、その意趣返しで思わず振ってしまったのだ。こうして告白祭は誰もその思いを成就させることができず、全員敗北者で終わるのだった。

理想の妹

丸末晴志田黒羽に告白した様子は、甲斐哲彦によって動画に撮られ、ネットに拡散される。悪い意味で有名になり、一躍時の人となった末晴であったが、そこに末晴のかつての知り合いである桃坂真理愛が訪れる。真理愛は子役時代の末晴とは兄妹同然の仲だったが、末晴が子役を辞めたあと疎遠となっており、文化祭の告白動画を見たことで真理愛は彼の居場所を知ったのだ。末晴と感動の再会を果たした真理愛は、その勢いのあまり熱烈なアプローチを始める。可知白草と黒羽はそんな二人の様子を見て動揺し、文化祭での出来事を大いに後悔することとなる。また、真理愛は末晴に芸能界に復帰してほしいと思っているが、黒羽は自分のそばから末晴がいなくなるのが不安になり、非常に悩むこととなる。そしてある日、末晴のもとに黒羽が記憶喪失になったという知らせが届き、困惑する。末晴は黒羽が本当に記憶喪失になったのか怪しむが、そこに白草が乱入し、末晴の芸能界復帰を願う白草と黒羽はケンカをしてしまう。場は混沌とするが、そこで哲彦は一つの提案をするのだった。

関連作品

TVアニメ

2021年4月から6月にかけて、本作『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』の原作小説『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』のTVアニメ版『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』がTOKYO MX、BS11、AT-X、インターネット配信ほかで放送された。キャストは、丸末晴を松岡禎丞、可知白草を佐倉綾音、志田黒羽を水瀬いのりが演じている。内容は原作小説1巻から4巻までの内容を忠実に映像化した作品となっている。

小説

本作『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』は、二丸修一の小説『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』を原作としている。イラストはしぐれういが担当し、2019年6月より電撃文庫から刊行されている。失恋から相手を見返す「復讐」を表のテーマにしつつ、裏のテーマとして「負けヒロインが勝つ」という意味が込められており、幼なじみのヒロインにスポットを当てているのが特徴。原作小説は「このライトノベルがすごい!2020」において、文庫部門総合5位、新作2位を獲得している。

登場人物・キャラクター

丸 末晴 (まる すえはる)

私立穂積野高校に通う男子。2年B組に在籍しており、年齢は17歳。黒髪のショートヘアで、若干お調子者で助平な性格をしている。1年生だった頃の冬、クラスメイトで小説家の可知白草に小説の感想を伝えたことで彼女に思いを寄せるようになる。志田黒羽とは幼なじみの関係で、黒羽からは「ハル」と呼ばれる。2年生の一学期に黒羽に告白されたが、白草への思いから黒羽を振っている。告白祭がせまる中、白草への告白を考え始めるが、一足遅く白草は阿部充から告白され、付き合い始めたことを知る。失恋で大きなショックを受けるが、黒羽にそそのかされ、白草を見返すため「復讐」することを決める。父親はスタントマン、母親は無名の女優で、実は幼い頃から母親の意向で子役として活動していた。高い演技力と天性の体の柔軟性から、特にダンスでは高い評価を受け、丸末晴が主演したドラマは社会現象になるほど人気を博し、その際に踊ったダンスは役名の「羽生(はにゅう)くん」にあやかって「ニューくんダンス」と呼ばれて大流行した。天才子役として順調にステップアップしていたが、交通事故で母親を失った子供役でドラマ出演することとなり、プロデューサーの意向で母親も交通事故で死ぬ母親役として出演が決まる。しかし、撮影中の事故で本当に母親が亡くなってしまい、その出来事が大きなトラウマとなっている。母親が親子出演を本当に喜んでいるのを知っていたため、母親の思いを汲んで事件を表ざたにせず、ドラマでは最後まで役を演じ切るが、その役を最後に演技ができなくなってしまう。告白祭でトラウマを振り切って「ニューくんダンス」を披露し、黒羽に告白するが振られてしまう。白草とは実は子役時代に会っており、当時は彼女から「スーちゃん」と呼ばれていた。当時の彼女はボサボサ頭のショートヘアで、ボーイッシュな恰好をしていたこともあり、男の子の「シロー」だとカンちがいし、高校で再会したあとも気づかなかった。

志田 黒羽 (しだ くろは)

私立穂積野高校に通う女子。2年B組に在籍している。ライトブラウンの髪をセミロングにセットしており、愛らしい顔立ちをしている。明るく社交的な性格の持ち主。四人姉妹の長女であるため、幼なじみの丸末晴にもお姉さんぶって接する。末晴からは「クロ」の愛称で呼ばれている。成績優秀で運動神経も抜群ながら、味覚が異次元レベルでぶっ飛んでおり、尋常ではない組み合わせの食事をしている。2年の一学期に末晴に告白したが振られており、現在はそのことをちゃかしつつも、ふつうに接している。末晴が可知白草に思いを寄せていることを知っており、彼が失恋した際には、励ましつつも白草を見返すために、「復讐」すべきだとそそのかしている。末晴を陰ひなたで支えたため、失恋後の末晴と距離を縮め、告白祭で末晴から告白されるが、それはすべて志田黒羽のもくろみどおりで、末晴をその気にさせたうえで今度は自分から振ることで、自分が振られたことの復讐を完了した。しかし内心では末晴に未練があり、振ったあともそのことを後悔している。

可知 白草 (かち しろくさ)

私立穂積野高校に通う女子。2年B組に在籍している。黒髪ストレートロングのクールビューティーで、新進気鋭の小説家として活動している。スタイル抜群の美少女で、グラビアアイドルとして特集を組まれるほど。容姿端麗で才気あふれるため、学園のアイドルとして注目を集めている。実は幼い頃はいじめで不登校となっており、当時、放送していたドラマを見て、子役として活動していた丸末晴のファンとなる。実家は資産家で、ドラマのスポンサーをしていた父親が自分を励ますために末晴と引き会わせ、彼のおかげで物語を書く楽しさに気づき、小説家としての一歩を歩み始める。しかし突然、末晴は活動を休止し、可知白草自身の前から姿を消したため、幼かった白草は一方的に裏切られたと思い、彼を見返すことを決める。高校生となって末晴と再会するものの、末晴は昔会ったことをまったく覚えていなかった。このことがさらに怒りを燃え上がらせる結果となり、自分に惚れなかったのを後悔させてやると「復讐」することを決める。同じく天才子役時代の末晴のファンである阿部充と結託し、告白祭を利用して、阿部を当て馬にして末晴を表舞台に引きずり出し、彼の芸能界復帰をもくろむ。しかし末晴が演技の練習で倒れ、彼から引退の真相を聞いたことで、自分が大きな思い違いをしていたことに気づき、あらためて末晴への恋心を自覚する。告白祭では策を弄したことが仇となり、末晴の思いが黒羽へと傾いたため、振られるという策士策に溺れる結果となる。幼い頃はショートカットで男の子っぽい格好をしていたため、末晴からは男とカンちがいされており、これが末晴に気づかれなかった原因だった。当時、末晴には名前も「シロー」と間違って覚えられており、末晴がシローと白草が同一人物だと気づいたあとは、末晴に自分のことを「シロ」と呼ぶように言っている。

桃坂 真理愛 (ももさか まりあ)

人気の若手女優。年齢は16歳。黒い髪を長く伸ばした美少女で、庇護欲をそそる雰囲気を漂わせている。「理想の妹」というドラマで人気を博し、そのあまりの妹役のハマりっぷりから、「理想の妹」的な存在として注目を集めている。子役時代に丸末晴となかよくなり、彼を兄のように慕うようになる。末晴が子役を辞めたあとは疎遠となっていたが、その行方をずっと気にしており、甲斐哲彦の拡散した告白祭の動画を見て末晴の居場所を知り、彼のもとを訪れる。末晴のことを「初恋の相手」として公言し、熱烈にアプローチを繰り返す。末晴の亡き母とも仲がよかったようで、彼女から末晴の好物を聞き、料理の練習をしている。明るく天真爛漫な性格ながら、実はかなり計算高く、観察力も優れている。その演技力と、周囲の目を引きつける天性の才能を使って、周囲の人を味方につける「環境を作る力」に長けている。末晴に芸能界に復帰してほしいと考えており、そのために行動を起こしている。

甲斐 哲彦 (かい てつひこ)

私立穂積野高校に通う男子。2年B組に在籍している。茶髪のイケメンだが、性格はゲスそのものの卑劣漢。浮気をしまくっているため、校内の女子からは蛇蝎の如く嫌われている。それでも他校の複数の女子と付き合っており、甲斐哲彦自身の行いを顧みることはないため、親友の丸末晴からもクズだと思われている。末晴の恋愛事情も知っているが、助言とも言えない無責任な煽りをして面白がっている。告白祭では末晴の告白失敗シーンを動画に撮影して、ネットで拡散して好き勝手な行動をしている。だが、さすがに動画が大騒動に発展したのは悪いと思っているようで、関係者に謝罪して回っていた。

阿部 充 (あべ みつる)

私立穂積野高校に通う男子。3年A組に在籍している。穏やかな顔立ちと柔らかい物腰をしている。可知白草に告白して付き合い始めたため、丸末晴からは対抗心を持たれている。役者としてデビューしたばかりで、元天才子役の末晴にある種のコンプレックスを抱いており、その思いを吐露して末晴をたきつける。実は天才子役時代の末晴の大ファン。白草と付き合っているのも大ウソで、白草とは兄妹のような関係だった。末晴を芸能界に復帰させるために白草の案に乗り、彼女の脚本に従って悪役を演じていた。末晴が芸能界を引退した真相を知って、白草が心揺れ始めた際には、策を弄するのを止めて素直に事情を話すように助言したが、意固地になった白草はこれを拒否。そのため最後まで悪役に徹し、末晴と白草の行く末を見守った。告白祭ではトラウマを克服して、みごとなダンスを披露した末晴を見て満足する。

その他キーワード

告白祭 (こくはくさい)

私立穂積野高校の文化祭で行われるイベント。過去のとある生徒会長が、女子が男子に告白するバレンタインデーに対抗して考え出したイベントで、男子が女子に告白するのを目的としている。大勢の人の前での告白は大きなプレッシャーとなるが、文化祭の浮ついた空気の中での告白は意外にも成功率が高く、毎年多くのカップルが生まれている。告白の方法はそれぞれ個性があり、ストレートに告白する者もいれば、思いを形にして伝える者もいる。阿部充は丸末晴を叩きのめすため、末晴がかつて得意としていたダンスで告白すると宣言している。

クレジット

原作

二丸 修一

キャラクター原案

しぐれうい

書誌情報

幼なじみが絶対に負けないラブコメ 7巻 KADOKAWA〈MFコミックス アライブシリーズ〉

第1巻

(2020-05-23発行、 978-4040646978)

第2巻

(2021-02-22発行、 978-4046800039)

第3巻

(2021-04-23発行、 978-4046803856)

第4巻

(2021-11-22発行、 978-4046808707)

第5巻

(2022-10-21発行、 978-4046817693)

第6巻

(2023-03-23発行、 978-4046822475)

第7巻

(2023-11-22発行、 978-4046827470)

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