吉永さん家のガーゴイル

吉永さん家のガーゴイル

田口仙年堂の著述による、同名のライトノベルを原作としたテレビアニメ。町内に存在する様々なもの達の絆という、極めて健全なテーマを扱った作品である。ライトノベルには珍しく、父親や母親も物語上の重要なキャラクターであり、女の子のお色気描写がほとんど無い。最大の特徴は、主人公が指一本、眉毛一本動かぬ石像である点。絵に動きが与えられず、担当声優若本規夫による、声のみの演技力の冴えを見ることができる。

正式名称
吉永さん家のガーゴイル
ふりがな
よしながさんちのがーごいる
原作者
制作
トライネットエンタテインメント、スタジオ雲雀
監督
鈴木 行
放送期間
2006年4月1日 〜 2006年6月24日
放送局
東京MXテレビ
話数
13話
ジャンル
ギャグ・コメディ
関連商品
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概要・あらすじ

吉永双葉が商店街のくじ引きで引き当てた石像は、頼まれもしないのに吉永家の門塀上に居座り、門番と名乗って家に近づく新聞配達のアルバイター達を攻撃するはた迷惑な存在だった。姿形から吉永家の家族にガーゴイルと名付けられた彼は、徐々に行動の善悪や徳、人間の心の機微を学んでいき、いつしか吉永家の門番だけではなく、御色町全体の門番となるまでに成長していく。

ガーゴイルは、賢者の石の秘密が眠る自身の体を狙う敵がいるものの、御色町に存在する、あらゆるものの絆を守る守護者となっていくのだった。

登場人物・キャラクター

ガーゴイル

黒い体に蝙蝠の翼が生えた、お座り状態の犬(狛犬)の形をした喋る石像。御色町商店街のくじ引きで、吉永双葉が偶然引き当て「ガーゴイル」と名付けられ、吉永一家の一員となる。空中浮遊や瞬間移動、雷撃や熱線などの攻撃能力や、犬猫や人形などの魂を持つ者達と会話をする機能を持つ。 融通が利かず当初は周囲からの反感を買ったが、徐々に馴染み、御色町商店街のお喋り石像ガーくんとして名物となる。実は錬金術師達が求める賢者の石のレプリカで作られており、その技術を求めて彼を襲う者達も多い。 『ガーゴイル』の名前を侮辱されると怒り、大切に首に掛けている吉永家の隣の佐々尾のばあちゃんから貰った鈴が激しく鳴り響く。

吉永 双葉 (よしなが ふたば)

御色町商店街のくじ引きで、偶然ガーゴイルを引き当てた小学生。好奇心と行動力が旺盛な吉永家の長女で、大人しい兄の和己と比較され「吉永さん家の凶暴な方」などと呼ばれる。ガーゴイルに対しては、当初は家に近づく人々を攻撃する迷惑な存在として追い出そうとしていたが、徐々に打ち解ける。 粗野な言動が目立つが、優しい心の持ち主。植物と会話できるイーハトーブ式交換装置を使って、鍾馗水仙(しょうきずいせん)のハナ子と出会い友情を築くが、その交流で人間と植物の区別を見失い、心に深い傷を負ってしまう。 しかし、一連の事件を通じて人間として成長した。

吉永 和己 (よしなが かずみ)

石像のガーゴイルを家族として迎え入れてくれた吉永家の長男。高校生。大人しい性格と女顔が相まって、女の子と間違われることが多い。妹の双葉と比べて心根の優しさが強調されているが、双葉をさらった東宮天祢に殴りかかるなど、激情家の一面も持っている。 親友の妹である片桐桃から想いを寄せられているが、気づいていない。イーハトーブ式交換装置と双葉がもたらした一連の騒動の終盤、ハナ子が枯れゆく前に歌った最期の歌を聴きとどける役を担った。

パパ

石像のガーゴイルを家族として迎え入れてくれた吉永家のパパ。商社勤務。いつも笑っているような顔の声が大きいマイホームパパで、ママとは大の仲良し。筋肉質で大柄だが、お酒には弱い。奇っ怪な存在であるガーゴイルをすんなりと受け入れるおおらかさを持つが、極めて義理堅い性格の持ち主。 御色町商店街の商売敵である新設デパートの支配人である松川とは昔なじみ。その縁でデパートの開店営業を手伝う約束をしたために、御色町商店街に協力するママと滅多に無い夫婦喧嘩をしてしまい、ひどい暴行を受けた。 しかし、家族全員の反対を受けながらも、一度交わした約束を反故にするようなことはしなかった。

ママ

石像のガーゴイルを家族として迎え入れてくれた吉永家のママ。無口だが、いつもニコニコ顔の可愛らしい専業主婦。御色町商店街の面々からも信頼が厚い。華奢な容姿とは裏腹に、大切な者を傷つけようとする存在には容赦なく制裁を加え、数人がかりでも止められないほどの怪力を発揮する。 怪盗百式の大ファンで、ニュース映像を欠かさず録画している。パパとは仲良しだが、一度意見が対立すると家を破壊するほどの喧嘩に発展する。 考えのほぼ全てを態度や行動、表情で示し、全13話の中でまともな台詞はほとんど無いが、最終話の終盤、御色町商店街の全員が見守る中、パパへ「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えた。

高原 イヨ (たかはら いよ)

ガーゴイルの制作者の一人。御色町商店街に新しくできたアンティークショップ「兎轉舎」の店主であり、世界最高の錬金術師。とてもグラマラスな眼鏡美人。錬金術によって若々しい姿を保っているが、実は太平洋戦争前から生きている。 極めてエキセントリックかつ子供っぽい性格をしており、よく双葉を自分の実験に利用しようとする。百式のマジックショーで乳ぱんつ(ブラジャー)を盗まれたことがあり、それ以来百式の事を嫌っている。

怪盗百式 (かいとうひゃくしき)

いかなるセキュリティも破る最強の怪盗であり、最強の門番ガーゴイルをライバルとして見ている。黒い帽子とマントに身を包んだマジシャンのような服装で、トランプやマジックを武器として使い、人間の身でガーゴイルと渡り合う程の高い身体能力を誇る。 世を騒がせている犯罪者ではあるが、義賊である。吉永家へ侵入を試みた際は、百式のファンであるママの手によって、強制的に招かれることになった。 ガーゴイルからは嫌われているが、パパやママとの仲は良好。また、御色町商店街を愛する人間の一人である。梨々の孤独を理解した最初の人物であり、非情な父であるハミルトンから梨々を救うため、彼女の親権を\"盗んだ\"。

梨々=ハミルトン (りり はみるとん)

双葉の友達で小学生。錬金術師である父ハミルトンから錬丹術の被験体として感覚の強化を施され、読心術を得意としている。父の計画に荷担して百式に近づくが、その人柄に惹かれて彼の養子となる。 文武両道、才色兼備の天才肌で、高原イヨからは美少女ちゃんと呼ばれている。百式から習った護身術や解錠術を初めとした各種怪盗スキルを持ち、百式の衣装を真似て怪盗白式と名乗って行動することもある。

デュラハン

百式と梨々の同居人。ハミルトンに作られた自動人形。名前はアイルランドの伝承に登場する首無し騎士から来ており、その名の通り首が無いが、足も無く、常に宙に浮いている。創造主であるハミルトンよりも、娘の梨々の事を優先し、梨々が百式の養子となった後、百式の家にやってきた。 ガーゴイル達よりも単純な受け答えしかできないが、冷凍光線や熱線、マシンガン、ミサイルで武装しており、高い戦闘能力を持っている。

小野寺 美森 (おのでら みもり)

双葉や梨々の友達。行動派の双葉、梨々と対照的に大人しい性格の心優しい小学生。盲目の父を助ける盲導犬エイバリー中尉と大の仲良し。家に泥棒が侵入した際のエイバリー中尉が行った対応が起因となって一時的に不仲となるが、それが彼の犬としては常識外といえる極めて適切な判断だったと理解し、自分の行動を恥じると共に仲直りをした。

エイバリー

『吉永さん家のガーゴイル』に登場する盲導犬。美森の家族であり、ガーゴイルの友達。ガーゴイルを慕っており、彼のことを閣下と呼ぶ。御色町界隈の犬猫全てから慕われており、彼らからはガーゴイルと並んで「御色町の誇り」と呼ばれる、極めて徳の高い犬。 小野寺家に泥棒が侵入し、美森が拘束された際は、近くに居たにも関わらず、何の行動も取らなかったが、それは金品強奪の邪魔をしないことが、美森の安全確保に最適であるという、極めて合理的な判断によるものであった。

東宮 天祢 (ひがしみや あまね)

東宮エレクトロニクス若社長。高原イヨの昔なじみである東宮雅臣の孫。戦前、戦中の頃に居た「二人の日本人錬金術師の駄目な方」という、不名誉なレッテルを貼られた祖父の無念を晴らすべくケルプを開発。 高原イヨが開発したガーゴイルに勝利することで一族の汚名をそそぐことを考えたが、返り討ちに遭う結果となった。屈辱はそれだけに留まらず、その事件以降何かにつけて高原イヨに良いように使われるようになる。

ケルプ

東宮天祢によって作られた、全身純金製の獅子型自動石像。光線やガーゴイルの体を破壊する程の衝撃波を発生させる他、相手への知覚を断つステルス機能を持つ。東宮天祢の復讐の為にガーゴイルと対決するが、ケルプという上位2級の天使である自身の名前を以て、ガーゴイルの名前を「低級悪魔」と侮蔑。 吉永一家から貰った大切な名前を侮辱されたガーゴイルの逆鱗に触れ、行動不能になるまで粉々にされた。

ヒッシャム

エジプトの錬金術師で、英語混じりの胡散臭い日本語を喋る不審人物。作物が育ちにくく、食料採取が不安定な故郷を救う為にオシリスを作り上げた。さらに、最高の錬金術師である高原イヨが作ったガーゴイルに、オシリスの力で勝利することで錬金術師としての株を上げ、世界中からの援助を受けることを目論んだ。

オシリス

ヒッシャムが故郷を救うために開発したパワープラント。かなり傲岸不遜で、自分の方がヒッシャムの主人だと考えている。最初は球状の茎に巨大な花、不気味に動く根という奇っ怪な姿だったが、ハナ子の因子を取り込むことで進化し、グラマラスな美女のような体部分を生成し、能力も向上した。 一度ガーゴイルに敗れた後ヒッシャムの手によって改良が施され、知能レベルが上がったが、性格は変わっていない。電極で繋がった携帯電話で会話することが可能。 ダンスが好きで、御色町商店街に訪れる客へ披露しており、この見世物代がヒッシャムの主要財源となっている。

ハナ子 (はなこ)

『吉永さん家のガーゴイル』に登場する、双葉がイーハトーブ式交換装置を使って友達になった、彼岸花の一種である鍾馗水仙(しょうきずいせん)。イーハトーブ式交換装置越しに見ると、おかっぱ頭の着物を着た少女の姿をしている。 歌が上手く、素朴な性格と相まって双葉を魅了したが、種族を超えた交流は双葉の価値基準に深刻な障害をもたらした。植物としての生命力に目を付けたヒッシャムにより、オシリスの進化に利用された。 開花時期の限界に来た日、自分の最期の歌を和己に聴いてもらい、枯れていった。

松川 (まつかわ)

パパとは昔なじみで、お互いによっちゃん、まっかちんと呼び合う仲。御色町商店街と対立するデパートの支配人。集客アップを狙って、御色町商店街のお祭り当日にデパート営業開始を重ねる。 松川に協力するパパと、御色町商店街に協力するママの対立を生み、本作最後の事件である大騒動に発展する。

場所

御色町商店街 (ごしきちょうしょうてんがい)

『吉永さん家のガーゴイル』の舞台となる、御色町にある商店街。以前は寂れ始めた商店街だったが、アンティークショップ「兎轉舎」ができて以降、喋る石像や怪盗、自動人形や動く植物が蠢く奇妙な通りに変貌した。 しかし、元来細かいことを気にしない性格の住人が多いため、割と馴染んでいる。利用客数減少に悩んでいたが、ガーゴイルがお喋り石像ガーくんとして商店街のシンボルとなり、オシリスの大道芸も併せて話題となっていき、活気を取り戻しつつある。

クレジット

原作

田口仙年堂

キャラクター原案

日向悠二

監督

シリーズ構成

総作画監督

渡辺真由美

音楽

大谷幸

アニメーション制作

トライネットエンタテインメント , スタジオ雲雀

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