恋する暴君

恋する暴君

高永ひなこ作のBL漫画『チャレンジャーズ』のスピンオフ作品。ホモが嫌いな大学生の巽宗一と、宗一に片想いをしている後輩の森永哲博が織り成すラブ・コメディ。「GUSH」2004年5月号より連載の作品。2010年には川久保圭史監督によるOVAが発売された。

正式名称
恋する暴君
ふりがな
こいするぼうくん
作者
ジャンル
BL
レーベル
GUSH COMICS(海王社)
巻数
既刊14巻
関連商品
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概要・あらすじ

N大の農学部に在籍する森永哲博はゲイで、同じ学部の先輩である暴君の巽宗一に4年前から片想いを続けている。しかし、ゲイ嫌いの宗一には、その想いは通じずにいた。片想いが5年目に突入した時、哲博はヒロトから催淫ドリンクのボトルを渡される。一方その頃、宗一は渡米していた弟の巽巴が、恋人の黒川貢と結婚することを知って激怒。

その憂さを晴らすため、宗一は哲博を飲みに付き合わせる。そこで宗一は哲博が隠していた催淫ドリンクを見つけ、お酒と勘違いして飲み干してしまう。そしてその日の夜、催淫ドリンクのせいで眠れない宗一は、彼のそんな姿を見て欲求の高まってしまった哲博と、「お互いの不注意による不幸な事故」ということにして、初めて身体を交わらせる。

以降、2人は定期的に身体の関係を結ぶようになるものの、宗一は哲博と恋人関係にあることだけは否定し続け、哲博の片想いは続いていく。

登場人物・キャラクター

森永 哲博 (もりなが てつひろ)

N大の農学部に在籍する短髪の青年。福岡出身。研究室の先輩である巽宗一に片想いをしており、彼からの暴力に耐えつつ研究助手を続けている。巽一筋であるがゆえに、バーのマスターであるヒロトからは「エンゼル君」と呼ばれている。不幸中の幸いにより、宗一と関係を持つようになったが、心の距離をなかなか縮められず、時々欲望が爆発してしまうことがある。 中学3年の時には、兄の森永国博の友人である真崎順也と交際をするが、これが国博に知られると、真崎を誘惑したと罵倒される。その結果、家では肩身の狭い想いをすることになり、大学進学を機に家を出ることになる。

巽 宗一 (たつみ そういち)

N大の農学部に在籍する長髪の青年。修士を経て現在博士課程に進み、日夜研究に没頭している。大学では常に白衣を着用し、丸眼鏡をかけ、研究室外では時々タバコを吸っている。過去に助教授に襲われかけたことと、最愛の弟である巽巴が男と恋仲になったことにより、ゲイが嫌いになった。性格は非常に凶暴で、気にくわないことがあればすぐに手が出る。 森永哲博の自分に対する恋心は知っていながらも、自分の性格を知っているだけに何もしてこないだろうと、研究助手として側に置き、信頼を寄せていた。哲博とは恋人ではなく、あくまでセフレとしての関係としながらも、森永がかつての恋人であった真崎順也と再会を果たしたことに、嫉妬心を芽生えさせていく。

巽 巴 (たつみ ともえ)

巽宗一の弟。前髪が目が少し隠れる程度の長さの甘い顔の青年。アメリカの企業に就職し、恋人の黒川貢とともに渡米した。現在はアメリカで貢と結婚を果たしている。宗一との仲は悪くはないが、恋人の貢が絡むと、ゲイ嫌いの兄が殺意を露わにするため、頭を抱えている。

黒川 貢 (くろかわ みつぐ)

巽巴の恋人で、黒髪の青年。巴がアメリカの企業に就職を決めたことにより、ともに渡米した。巴の兄である巽宗一に敵意を抱かれつつも、サンフランシスコで同性婚が認められると、すぐさま巴にプロポーズし、正式に結婚した。これによって宗一からの敵意はさらに大きなものとなる。顔を合わせれば殺されかけるが、元同僚の磯貝太一郎によって救われている。

磯貝 太一郎 (いそがい たいちろう)

かつて黒川貢と同僚だった青年。茶色の短髪で、よくタバコを吸っている。巽宗一からは「黒川の手先」と認識されていたが、宗一と森永哲博が肉体関係にあることを偶然に知る。宗一からすれば秘密にしておきたいこの事実を知った磯貝太一郎は、貢に危害を加えようとした際には、この秘密をバラすと宗一を脅迫。この結果、宗一は貢に手出しができなくなり、磯貝のことを天敵と見なすようになる。 また哲博からは、宗一を狙うライバルという誤解を受け続けている。

ヒロト

森永哲博が通っているゲイバーで働く細身の青年。オネエ口調の関西弁で話し、哲博に「エンゼル君」というあだ名を付けた男性。哲博の友人兼相談相手だが、彼の愚痴に呆れて、適当な返事をすることもしばしば。哲博と巽宗一のじれったい関係にしびれを切らし、哲博に催淫ドリンクをこっそりと渡して進展を促す。

森永 国博 (もりなが くにひろ)

森永哲博の兄で、眼鏡をかけた短髪の青年。同級生の真崎順也と弟の哲博が恋仲であることを知った時、哲博が真崎を誘惑して捨てたという噂を信じ込み、真崎の前で哲博を罵倒した。この事件以降、真崎は行方不明となって連絡が取れなくなり、哲博とも溝が生まれるようになった。そして自身が結婚をすることになったために、弟に参列を求めたが断られる。 国博は哲博を直接説得するために大学まで出向いた。しかし、巽宗一の逆鱗に触れて殴り飛ばされ、真崎が本当に好きだった相手は弟の国博ではなく、自分であったという真実を聞かされる。それ以降、弟が巽宗一と交際をしていると解釈しつつ、暴力的な巽を嫌う。のちに真崎との再会を果たすと、想いを寄せるようになる。その結果、結婚して間もなく夫婦仲が悪くなり、離婚をしてしまう。

真崎 順也 (まさき じゅんや)

福岡の居酒屋で働く青年。背が高く、髪は少々長め。県会議員の息子であり森永国博の同級生であり友人。そして森永哲博の初めての恋人となった男性。国博への想いを秘めつつ哲博と付き合うが、2人でいる所を国博に見られて罵倒される。国博への想いを隠しつつ、哲博の優しさに甘えていた自分を卑下して自殺を図り、さらに行方不明となった。 国博が地元に戻った際に偶然再会して、身体の関係を持つようになり、ついには哲博に会うために、名古屋にやって来る。真崎と哲也の関係と経緯を聞かされていた巽宗一は、哲博をひどく傷つけた人物と認識している。そのため哲博の前に現れた真崎に対して宗一は、真崎がまた哲博を傷つけるのではないかと考え、警戒するようになる。

巽 かなこ (たつみ かなこ)

巽宗一と巽巴の中学生の妹。気立てが良く器も大きい少女で、巴がゲイであることも受け入れている。また、宗一が森永哲博と既に恋人同士だ、と勘違いしているところがあり、哲博に対して大きな信頼を寄せている。

巽 宗仁 (たつみ そうじん)

巽宗一と巽巴、巽かなこの父親。髪が長く、宗一は彼によく似ている。虫マニアで、研究チームを引き連れて世界中を飛び回っており、なかなか家に帰ってこない。巴と黒川貢がアメリカから帰国しているのと同タイミングで巽宗仁も帰国し、その時に初めて2人の結婚を聞かされたが、2人の決断を快く受け入れた。 また、森永哲博の生活力の高さに好感を抱き、哲博になら宗一のことを任せられると安心している。

松田さん (まつださん)

巽宗一と巽かなこの家で働くお手伝いの中年女性。海外を飛び回っている巽宗仁に代わり、巽家の家事をこなしている。人当たりが良く、宗一や巽巴、かなこの母親代わりとなっている。森永哲博とも仲が良く、互いに信頼し合っている。

福島教授 (ふくしまきょうじゅ)

N大の農学部で教鞭を執る壮年男性。ひげを生やして眼鏡をかけ、学内では白衣を身にまとっている。森永哲博や巽宗一は、この教授の研究室に在籍している。人当たりが良く穏やかで、学生一人ひとりに目をかけている学生想いな教授。哲博に対しても、学会への参加を促したり、好待遇の就職先を紹介している。

山口 (やまぐち)

N大の農学部に在籍する青年。森永哲博の先輩で、巽宗一の後輩にあたる。凶暴な宗一の八つ当たりは哲博に向かうため、比較的安全な立ち位置にいる。哲博が研究室を離れることになった際は、新しい助手を見つけるために、宗一に助力することになる。

田所 昇太

N大の農学部に在籍する大柄な青年。森永哲博が研究室を離れることになった際、巽宗一の新たな研究助手として選ばれた。三春綾乃とともに宗一の研究の手伝いをするが、怒る宗一に怯えて研究が手につかなくなってしまうこともある。哲博が宗一の暴力に耐えている姿を見るにつけ、哲博のことをドMなのかと勘違いするようになる。

三春 綾乃 (みはる あやの)

N大の農学部に在籍する女子。森永哲博が研究室を離れることになった際、巽宗一の新たな研究助手として選ばれた。採用された時には、宗一を狙っていた他の女子たちから羨ましがられていた。

場所

N大 (えぬだい)

名古屋にある一般的な大学。森永哲博や巽宗一たちが通っている。敷地は広く、上品なカフェラウンジなどがある。森永国博は哲博に会うため、家ではなくこちらに直接やって来た。

書誌情報

恋する暴君 14巻 海王社〈GUSH COMICS〉

第14巻

(2023-06-09発行、 978-4796415941)

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