恋愛怪談サヨコさん

恋愛怪談サヨコさん

霊感を持つ少女・カシマサヨコと、強い守りのパワーを持つ稲葉田のラブストーリー。冥界やあの世とこの世の間の世界、オカルトに関する情報やためになる知識がちりばめられている。「ヤングアニマル」2002年22号から2014年10号にかけて偶数号に連載され、その後「ヤングアニマルDensi」2014年7月11日から2015年9月11日にかけて配信された。

正式名称
恋愛怪談サヨコさん
ふりがな
れんあいかいだんさよこさん
作者
ジャンル
ダークファンタジー
関連商品
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概要・あらすじ

人並み外れて霊感が強く、心優しい女の子のカシマサヨコは、土地に縛られている霊に出会うと気の毒に思い、その場所から解き放して自分自身に取り憑かせていた。そのせいで、彼女には現在800体を超える霊が憑いており、その霊障が周囲の人に悪影響を及ぼしてしまうため、他人と交流することなく暮らしてきた。そんなある日、サヨコは霊障にまったく影響されない稲葉田と、彼の乗る自転車に出会い頭に轢かれる、という形で運命的な出会いをする。

影響を受けないだけでなく、霊障を跳ね返すほどの守りの力を持つ彼に、サヨコは徐々に惹かれていく。これまで人と触れ合わずに育ったため、どこか世間知らずな不思議ちゃんであるサヨコの不審な行動におびえつつも、その底なしの優しさに田も心を開いていく。

登場人物・キャラクター

カシマ サヨコ

霊感が強く、心優しい16歳の女の子。いつも和服を身に着けている。世間知らずで天然だが、一途な性格をしている。土地に縛られたままの霊をその場所から引きはがし、自らの肉体に霊を取り憑かせているため、いつも800体以上もの霊を連れ歩いている。彼女の霊障の影響を受けない稲葉田に一目惚れし、無自覚なまま、いつも軽いストーカー行為をしている。

稲葉 田 (いなば でん)

金槌大学経済情報学科に通う1年生男子。田舎から上京して来て、家賃と生活費を捻出するためにアルバイトをかけ持ちしている。思慮深く素直な性格。田の祖母から教わった、名前の文字である「田」を変形させた霊符のパワーを、子供の頃から身体に溜めている。そのせいか、カシマサヨコの霊障をまったく受けない。真面目に働いているが、トラブルに巻き込まれがちで、いつも貧乏に苦しんでいる。

王 珠蓮 (おう しゅうれん)

霊感占い師をしている若い女性。スーパーで400円で買った塩を、「清めの塩」と偽って高値で売りつけたり、その他色々なサギを働いているいんちき占い師。実際はほんの少しだけ霊感を持っている。稲葉田を気に入っているが、カシマサヨコが怖くて手が出せないでいる。

虚無僧 (こむそう)

神出鬼没の謎のお坊さん。行き倒れていたところをカシマサヨコに助けられ、おにぎりをおごってもらった。そのお礼に獅子八卦鏡と、稲葉田の夢の中に入り込むことができる不思議な絵を授ける。顔は意外とイケメンながら、食い逃げをするという悪しき習慣がある。

小山田 健太 (おやまだ けんた)

金槌大学経済学科3年生の男子学生。卓球研究会の代表を務めている。特徴的なマッシュルームカットの髪型をしている。稲葉田を卓球研究会に強引に勧誘した際、一緒にいたカシマサヨコに想いを抱くようになる。夢中になると周囲が見えなくなる性格だが、根は悪い人間ではない。

太田 慎介 (おおた しんすけ)

金槌大学の英文科に通う男子学生。卓球研究会に所属している。顔のパーツは整っており、服装もオシャレで、ワックスを使って毛先を遊ばせ、イケてる髪型をしている。いかんせん太っているので、女性からの人気はない。しかし自分のことをカッコイイと思っており、キザな言葉を吐くことが多い。細川通とともに小山田健太のカシマサヨコへの叶わぬ恋心を温かく見守っている。

細川 通 (ほそかわ とおる)

金槌大学の英文科に通う男子学生。卓球研究会に所属している。いつもニコニコしているが、目つきが悪いため怖い顔に見える。あまり口数は多くないが、たまに話す内容が常人離れしているので、周囲からはちょっとズレている人と思われている。少しマザコン気味なところがある。太田慎介とともに小山田健太のカシマサヨコへの叶わぬ恋心を温かく見守っている。

峰 沙織 (みね さおり)

金槌大学経済学科2年生の女子学生。卓球研究会に所属している。美人でさっぱりした性格で、言いたいことはハッキリ口にするタイプ。ほんの少しだけ霊感があるので、カシマサヨコがものすごい霊力を持っていることを感じ取っている。ボーイッシュな見た目に反して超巨乳の持ち主。趣味は買い物。

野乃 みずき (のの みずき)

金槌大学生物学科2年生の女子学生。卓球研究会に所属している。可愛い顔をしているが、いつも無表情で何を考えているのかわからない人物。ミステリアスな雰囲気を持っているが、霊感はまったく持っていない。口数は多くないが、いいタイミングで、ぼそっと核心を突く言葉を吐く。

田の祖母 (でんのそぼ)

稲葉田の祖母。小さなお寺に住んでいる。田に対して霊符の作り方と、そのパワーを身体の中に取り込む方法を伝授した。田の安否を心配して上京した際、偶然カシマサヨコと知り合い、彼女の田への想いを知り、温かく見守っている。

稲葉 月喜子 (いなば つきこ)

稲葉田の母親。女手一つで田を育てた。田にお寺の跡継ぎになって欲しかったので、東京への大学進学を反対した。学費と生活費の捻出のために、アルバイトを掛け持ちして無理をする田の境遇を知りながら放置していたが、栄養失調で倒れた田のためにすぐに上京した。本当は誰よりも田を心から大切に想っている優しい女性。

稲葉 月男 (いなば つきお)

稲葉田の祖父。既に故人。今年でちょうど13回忌の法要をする予定。田が死にかけた時、霊体の姿で現れてカシマサヨコに降霊についての助言をした。意外とノリが軽いが、霊力に関する知識は深い。今はどこかの誰かの守護霊として働いている。

大家さん (おおやさん)

カシマサヨコと稲葉田が住んでいるあさひ荘の大家さん。名前は辻川で、あさひ荘のすぐ隣の家に住んでいる。目つきが悪く、ぶっきらぼうな口調だが、本当はとても情が深くて優しい人物。サヨコや田をはじめとする店子のことをいつも気遣っている。

辻川 美月 (つじかわ みつき)

大家さんの孫娘で、小学生の女の子。可愛らしい顔立ちをしている。稲葉田を気に入っており、一緒に遊びたがることが多い。怖い話が苦手で、やたらと不吉なアイテムを持っていたり、怖い思いをさせられるカシマサヨコを気味悪がっている。

滝沢 (たきざわ)

御手洗とともに王珠蓮のいんちき占いの片棒を担いでいる男性の1人。御手洗とは対照的に太っており、伸ばしてワックスなどで固めた口ひげを生やしている。町で隙のありそうな人を見つけては声をかけ、持ち上げたり落としたりしながら、巧みに相手の心を開かせ、占いの部屋へ連れていく。

御手洗 (みたらい)

滝沢とともに王珠蓮のいんちき占いの片棒を担いでいる男性の1人。滝沢のサポート的な役目をしており、滝沢の意見を大げさに肯定して相手に断りにくくさせる。滝沢とは対照的に痩せており、眼鏡をかけている。珠蓮の手足となって働いているが、時にはツッコミ役も担う。

荒俣 静香 (あらまた しずか)

怪談蒐集家をしている男性。霊感はないが、蒐集した怪談をまとめて出版した本は、ことごとくベストセラーになっている。王珠蓮に紹介され、怪談話を求めてカシマサヨコのもとに姿を現わした。荒俣の祖母の霊が守護霊として憑いており、彼女からサヨコを通じてメッセージを受けることになる。

二宮 (にのみや)

稲葉田の小学生の時の友達。田と同じく田舎から上。東京デビューを果たし、髪を伸ばしたり気取った服装をしている。ぱっとしない田に当てつけるために、自分の彼女を見せつけて自慢しようとしたり、カシマサヨコの前で過去の話を持ち出して田を貶めようとする、嫌みな性格。

パンダさん

稲葉田の働いていたラーメン屋に取り憑いている地縛霊。生前はパンダの着ぐるみを着て中華屋の客引きをしていたが、猛暑により熱中症で亡くなった。それ以来、霊の姿になっても客引きを続けている。中華屋は2年前に潰れ、その後はさまざまな店の客引きをしているが、パンダさんが関わった店はことごとく潰れてきた。土地に縛られて、離れたくても離れられず苦しんでいたが、カシマサヨコによって解き放たれ、そのままサヨコに取り憑いた。 天然なサヨコのツッコミ役として活躍する。

うたかた

カシマサヨコに取り憑いている霊のうちの1人。生前は霊感占い師で、尼の衣装を身に着けている。良識家で真面目な性格なため、サヨコにとっては良き相談役になることもある。サヨコが田への想いをこじらせすぎて暴走してしまうのを、いつも心配しながら見守っている。

女の子の霊 (おんなのこのれい)

公園に取り憑いていた、黒くて巨大な霊の核となっていた女の子の霊。生前は親の仕事の都合で転校が多く、友達作りに苦労して1人で遊んでいたところ、公園の遊具で事故に遭って亡くなった。その後、周囲の怨念を引き寄せて巨大化してしまうが、カシマサヨコによって怨念を振りほどかれ、サヨコに取り憑く霊の1人になる。

役者さん (やくしゃさん)

時代劇で斬られ役を専門にやっていた男性の霊。40年間も斬られ役ばかりしてきたが、本当はスターになるのが夢だった。リアリティを追求した監督の指示で、本物の日本刀で撮影に望んだ時に、本当に斬られて亡くなった。未練が強すぎてカシマサヨコの力をもってしても地の縛りを断ち切れなかったが、信長の霊によって説得される。

信長 (のぶなが)

役者さんが憧れる戦国武将の幽霊。カシマサヨコにまだ霊障がなかった子供の頃、家族旅行で京都に行った時に連れて帰って来てしまう。短い言葉だが的確な鋭いツッコミで、役者さんの未練をずばりと断ち切り、地の縛りから解放した。

冥府の使者 (めいふのししゃ)

獅子八卦鏡の中にいる鏡の主。ライオンのような獣の姿をしており、額には八角形の不思議な印がある。鏡の中に閉じ込められた霊たちに、7日後に亡者を冥府に導く役目を負っている。あの世で霊力の修業を終えた稲葉田を、この世に連れ戻す案内役をした。

日本太政威徳天 (にほんだいじょういとくてん)

この世とあの世の間の世界にある浄土山の頂上にいる神様。生前の名前は「菅原道真」。過酷な修行を笑顔で強要するようなサディスティックな一面を持つ。稲葉田を霊能者にするための困難を授け、田に霊力をもたらした。その後、田がちゃんと現世に戻れるようにとり計ったりと、言葉にはしないが、さりげない優しさを持っている。

場所

あさひ荘 (あさひそう)

金槌駅から徒歩35分のところにある築38年のぼろアパート。カシマサヨコと稲葉田が住んでいる。日当たりは悪くてゴキブリも出るが、家賃は2万3千円と格安で、風呂とトイレもある。隣には大家さんが住んでおり、家賃は直接手渡しするシステムになっている。

その他キーワード

獅子八卦鏡 (ししはっけきょう)

カシマサヨコが虚無僧からもらった小さな鏡。虚無僧の寺に古くから所蔵されていたもので、霊に向けるだけで魑魅魍魎をその鏡の中に収めることができる。7日間が経過すると、冥府の使者が霊たちを冥界に連れていく仕組み。実はあの世とつながっている。

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