南国トムソーヤ

南国トムソーヤ

沖縄の離島羽照那島を舞台に、東京からやって来た少年・チハルと、島に暮らす少年・リンドウ、島のツカサ(祭司)の少女・ナミたちの日々と冒険を描いた作品。単行本には、「羽照那島観光ガイド」として沖縄固有の風俗や用語についての解説が掲載されている。

正式名称
南国トムソーヤ
ふりがな
なんごくとむそーや
作者
ジャンル
アドベンチャー
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概要・あらすじ

「誰よりも遠くへ」という亡き母の言葉に従って、東京から沖縄最果ての島・羽照那島へとやって来た少年・チハル。彼はそこで島の少年・リンドウやツカサの少女・ナミと出会い、徐々に島での暮らしに馴染んでいく。しかしある日、島をリゾート開発するためチハルの義理の母が島を訪れ、チハルを東京に連れ帰ると言い渡す。

開発に島が揺れるなか、チハルたちはリンドウのオジイが見たという「翼竜の化石」にまつわる、羽照那島の秘められた歴史へと深く関わっていくのだった。

登場人物・キャラクター

狩野 千晴 (かのう ちはる)

小学五年生の眼鏡をかけた少年。オカルトを信じない、合理的性格。美ら海留学生制度で東京から沖縄の離島羽照那島へと転校した。羽照那島を選んだ理由は、亡くなった母が残した「誰よりも遠くへ」(アニメ『トム・ソーヤーの冒険』の主題歌から)という言葉から。父親も既に亡くなっており、伯父夫婦のもとで暮らしていた。また、母親は父の後妻だった。 島に来たばかりのころは「ヤマトゥ」(大和の子)と呼ばれ周囲と距離を感じていたが、リンドウやナミと親密になり、島の祭事・結願祭に踊り手として参加したことなどを経て、徐々に島に馴染んでいく。ナミやチハルが夢に見る、千年前の羽照那島の光景にはチハルに似た少年が、滅亡した南方の王国・マタラムの皇子として登場する。

我那覇 竜胆 (がなは りんどう)

小学五年生の少年。チハルのクラスメイト。真っ黒に日焼けした肌が特徴。寡黙で、感情表現が苦手。海面を飛ぶマンタに乗るなど野性的なタイプ。反面、ハイテク機器は苦手。かつて亡くなったオジイ(祖父)が島の地下で見つけたという「翼竜の化石」の存在を信じており、チハルとともに化石を探すこととなる。ナミやチハルが夢に見る、千年前の羽照那島の光景にはリンドウに似た少年が、唐に滅ぼされた羽照那島の先住民の少年として登場する。

与那嶺 ナミ (よなみね なみ)

小学五年生の少女。チハルのクラスメイト。気が強く、プライドの高い性格。羽照那島の聖域・南星御獄のツカサを務める一族の末裔で、神様の声を聞くことができる。なお、神様との交信は主にツイッターを使っている。羽照那島出身の母と内地出身の父を持つが、現在は両親とは離れてオバア(祖母)と二人暮らしをしている。島の祭事・結願祭ではチハルとともに踊り手に選ばれ、男役を務めた。 ナミやチハルが夢に見る、千年前の羽照那島の光景にはナミに似た少女が、マタラム王国の皇女として登場する。

朝倉 スズ (あさくら すず)

チハルたちが通う羽照那島小学校の教諭。3年間の離島赴任で羽照那島へとやって来た。大学では社会民俗学を専攻しており、沖縄の宗教文化について研究していた。院生のころ島を訪れ、羽照那島には沖縄最大の御獄があり、祭祀的中心地であったとの仮説を立てるも、異端として一蹴された。かつては里中毅と結婚していたが離婚し、現在は独身。

与那嶺 タエ (よなみね たえ)

ナミのオバア(祖母)。羽照那島の聖域・南星御獄のツカサとして、島の祭事を執り行っている。リゾート開発の話が来たときは、神様の声に従い開発に賛成した。

シャコじい

羽照那島に住む老人。かつて、リンドウの祖父とともに、島の地下を探索しており、リンドウからは祖父を見殺しにしたと思われている。

ナミの父 (なみのちち)

ナミの父。内地出身の売れない映画監督。羽照那島出身だったナミの母と駆け落ちし、結婚した。しかし、自己中心的な性格が祟ってか、ナミの母は家を出て行ってしまっている。ナミが踊り手を務めた島の祭事・結願祭の撮影のため、再び島に訪れる。

砧 克美 (きぬた かつみ)

チハルの父の本妻。東京の企業・青山リゾート開発の代表取締役。リゾート開発の住人説明会に羽照那島を訪れ、偶然チハルと再会した。夫の面影を残すチハルを養子に迎え入れたいと考えている。ナミやチハルが夢に見る、千年前の羽照那島の光景には砧に似た女性が、島を襲った唐の王族として登場する。

場所

里中 毅 (さとなか たけし)

琉球国際大学の教授。専門は沖縄史。砧克美の依頼を受け、南星御獄を調査する許可と引き換えに、羽照那島のリゾート開発の環境アセスメント委員会の長となる。朝倉スズの元夫で、彼女とヨリを戻したがっている。

羽照那島 (はてなじま)

沖縄本島から南西に500kmに位置する島。実在しない、架空の地名。「果ての島」という意味から名づけられたとされている。人工は約80人。主な産業はサトウキビ栽培と観光。朝倉スズは、この島が「ニライカナイ」(沖縄の民間信仰における理想郷)であり、国を追われた南方からの移住者が作り上げた海洋独立国家である、という説を唱えている。

南星御獄 (ゆつくおん)

羽照那島に現存する御獄(聖域)。与那嶺タエがツカサを務めている。みだりに近づくことは禁じられており、特に男子は禁制。島の井戸としても機能しており、地下は洞窟と繋がっている。

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