押し入れ

押し入れ

作者である山岸凉子が同業である漫画家Mから聞いたアシスタントの恐ろしい体験談を描く、「Amie」1997年12月号に掲載された「押し入れ」を含む、人間の業にまつわる4つのエピソードを集めたオムニバス短編集。なお、漫画家Mとは『ガラスの仮面』の作者美内すずえのことである。

正式名称
押し入れ
ふりがな
おしいれ
作者
ジャンル
サスペンス
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概要・あらすじ

売れっ子少女漫画家MのアシスタントをしているAさんは、OLをしている姉とアパートで2人暮らし。仕事がら徹夜作業も多く昼夜逆転の生活になりがちなAさんとOLの姉では、スレ違いになることもザラだった。ある日、Aさんが仕事を終えて自宅に戻ると、冬でもないのにコタツだけがつけっぱなしで、薄暗い部屋が赤外線で赤く染まっていた。

姉がうっかりしたのだろうと気にせず過ごすが、後日再び同じことが。さらにその後、久しぶりに2人そろって布団で寝ていると、姉が突然跳ね起きてAさんを揺り起こす。「部屋に誰かがいる!」と言う姉は、押し入れのふすまの隙間から、こちらを覗く女の目が見えたと怯えるのだった。(エピソード「押し入れ」)

登場人物・キャラクター

老人 (ろうじん)

エピソード「夜の馬」に登場する。臨死体験を経て、大病院の集中治療室で目覚めた尊大な老人。血友病の治療薬であるクリスマシンの危険性を認知していたにもかかわらず、賄賂を受け取って発表を遅らせ、結果的に数百人の命を奪った張本人。臨死体験中に出会った軍人と青年が誰であるかを思い出し、自分も地獄へ落ちるのではないかと怯える。なお、臨死体験中は青年の姿になっている。

有村 ひとみ

エピソード「メディア」に登場する。神奈川県のJ短期大学に通う2年生。ボーイッシュなヘアスタイルとファッションの長身の美女で、1年生の女子が美形男子と間違えて顔を赤らめて近づいてくるほど。母と2人で暮らす実家から通学している。母のことを愛しているが、過保護で自分に依存する母の存在を最近は重荷に感じている。

Aさん (えーさん)

エピソード「押し入れ」に登場する。売れっ子少女漫画家Mのアシスタントをしている女性。OLをしている姉と、東京の中央線N駅近くの古アパートに2人で住んでいる。そのアパートで、誰も触っていないのに無人の部屋でコタツだけが勝手に点灯している、押し入れのふすまが少し開く、近くで泣き声が聞こえるなどの怪奇現象を体験する。

三田数良の妻

エピソード「雨女」に登場する。生まれつきの雨女で、小学校へ入った年の運動会、修学旅行、文化祭、成人してからの旅行の日も、大事な時にはいつも雨に降られる。晴男だという三田数良と結婚し、式の日だけは雨に降られたが、楽しい新婚生活を過ごした。しかし、財産目当てだった数良に裏切られる。

道男 (みちお)

エピソード「夜の馬」に登場する。老人の甥で、若くハンサムな医師。一時は心臓が停止した伯父が目覚めたと聞いて、病室へかけつける。尊大な伯父とは異なり、優しそうな好青年。友人に臨死体験に興味を持つルポライターがいるため、危篤状態の時に夢のような体験をしなかったかと伯父に尋ねる。

有村ひとみの母

エピソード「メディア」に登場する。有村ひとみの母。人目を引く美形の娘とは異なり、見た目は普通の太ったオバサン。夫に浮気され、姑との関係も悪く、家を出てひとみと2人で暮らしている。ひとみに依存しており、自慢の娘が心のよりどころとなっている。

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