新クロサギ

新クロサギ

詐欺師のみをターゲットとする詐欺師「クロサギ」の青年・黒崎が様々な詐欺事件の黒幕を追い詰める社会派サスペンス。前作『クロサギ』の直接的な続編。『週刊ヤングサンデー』が休刊するにあたり『ビッグコミックスピリッツ』に掲載誌が変わっている。一つの詐欺事件につき、2~4話程度のオムニバス的な構成となっているが、全体を通しては、詐欺に嵌(は)められて死を選んだ黒崎の家族の仇である御木本、宝条兼人、そして桂木敏夫を、黒崎が追い詰めるという主題になっている。原案は夏原武。

正式名称
新クロサギ
ふりがな
しんくろさぎ
作者
ジャンル
社会問題
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概要・あらすじ

詐欺師のみをターゲットにする詐欺師「クロサギ」の青年・黒崎は、銀行で「振り込め詐欺」に引っかかり三百万を騙し取られた女性と出会う。彼女から詐欺師の情報を聞き出した黒崎は、逆に詐欺師たちを罠に嵌めて彼女に金を取り戻す。その経緯を知った黒崎の「飼い主」である桂木敏夫は、「自分以外のネタ元から拾い食いをするな、と言ったはずだ」と黒崎に釘をさす。

登場人物・キャラクター

黒崎 高志郎 (くろさき こうしろう)

21歳の青年。黒髪の童顔で、丈の長い黒いコートを着ている。詐欺師のみをターゲットにする詐欺師・「クロサギ」。詐欺師の元締め桂木敏夫から情報をもらって活動している。表の顔はアパートの大家で、住人たちの面倒を見ることも。住人の一人でもある吉川氷柱には、表向き冷たい態度を取っているが、親愛の情を抱くようになっている。 幼い頃、父親がチェーン店開業詐欺にかかって一家心中を図り、黒崎のみ生き残ったという過去を持つ。そのチェーン店開業詐欺を行った御木本、さらにその仕組みを考えた宝条兼人を敵として付け狙う。甘いものが好き。黒猫の「クロ」を飼っているが、仕事柄留守がちなため、吉川氷柱に世話を丸投げしていることが多い。下の名前は『新クロサギ 完結編』で初めて登場する。

吉川 氷柱 (よしかわ つらら)

政和大学法学部3年生の女子。検事志望。黒崎が経営するアパートの店子で、黒崎の飼い猫「クロ」の面倒を見ている。黒崎に好意を抱いており、仕事内容も理解している。しかし、検事志望で法を学ぶ人間として、彼のような存在をどう捉えるべきか葛藤し続けている。家庭環境に恵まれず、コーヒー店でのアルバイトで生活費と学費を賄っている。

桂木 敏夫 (かつらぎ としお)

御徒町にあるスナック「桂」の店主。太った初老の男で、顔に二本の傷痕がある。裏の顔は詐欺師の大元締めとも言えるフィクサーで、詐欺師相手に情報や詐欺のための道具を提供し、彼らのアガリから収益を得ている。黒崎の育ての親とも言える立場で、黒崎も「親爺」と呼んでいるが、ふたりの間にあるのは信頼関係ではなく、利害の一致のみである模様。 表向き詐欺師ではない宝条兼人とも取引関係があり、宝条も桂木の指示は守るようにしている。

早瀬 (はやせ)

坊主頭でいつもサングラスをかけている青年。桂木敏夫直属の部下で、主にボディガードをしている。普段はスナック「桂」の出入り口に立っているが、桂木の命令によっては黒崎と行動を共にすることもある。中国名を持つなど、謎の多い人物。

神志名 将 (かしな まさる)

26歳の青年。警察庁のキャリア官僚だが、現場で働きたいという意志を持ち、上野東署知能犯係の警部補として配属されていた。刑事局長秋元耕蔵に呼び戻され、一時霞ヶ関に戻るが、再び上野東署に戻る。本来は「野添」という苗字だったが、叔父が詐欺で実刑判決を受けたことから、叔父との関係を抹消するため、偽の死亡届を出した後、遠縁の「神志名」家で出生届を出されたため、この名字となった。 戸籍と実年齢が異なる。政和大学法学部出身で鷹宮輝は大学のゼミの先輩にあたる。様々な犯罪の中でも特に詐欺を憎み、黒崎に強い敵意と執着を持つ。

白石 陽一 (しらいし よういち)

42歳の男性。不正を行っている大企業をターゲットに、社会的地位の失墜などを目的とした詐欺を行う詐欺師。時間をかけて組織内に潜り込み、信用を得て情報を掴むなど、大掛かりな詐欺を行うことが多い。個人を詐欺の対象にする黒崎とは、作戦の途中に行き会うことがしばしばあり、情報の共有を行うなど、協力しあうこともある。

御木本 (みきもと)

大物詐欺師。痩せ型の中年男性。黒崎の父親を詐欺に嵌めた張本人。桂木敏夫の詐欺グループに属していた。前作『クロサギ』で黒崎に追い詰められるが、桂木が命じた工作によってこれを逃れる。以降上海に拠点を置き、中国の新興マフィアに借金して環境投資詐欺などを仕組んでいた。それを察した黒崎と、上海での自分の面子を潰されたと判断した桂木により、再び追い詰められる。

宝条 兼人 (ほうじょう かねと)

業界最大手銀行「ひまわり銀行」本店の管理部門次長。40歳そこそこの男性で、常に底知れない笑みを浮かべている。大卒で入行後、大型支店の主要ポストを渡り歩いたスーパーエリート。しかし裏では桂木敏夫とつながり、法の裏をかいた悪辣な詐欺システムを作り出してきた。黒崎の父親を破滅させた詐欺の大元に当たる人物でもある。

鷹宮 輝 (たかみや ひかる)

政和大学法学部助教授。好青年然とした佇まいで、生徒たちからの信頼も厚い。法の正義に重きを置く学者タイプで、弱者や個人の犠牲には関心を抱かない。宝条兼人の甥であり、彼に頼まれてレポートの作成などを行っている。

小柴 康 (こしば やすし)

情報屋兼ブローカーの中年男性。黒崎の依頼を受け、様々な人間の情報を提供する。宝条兼人の情報を探り、そのバックにいるのが桂木敏夫であることを黒崎に伝えた。

榎木 (えのき)

ジャーナリストの端くれを名乗る男性。悪徳企業を狙う詐欺師の白石陽一と組んで活動をしている。

桃山 (ももやま)

上野東署知能犯係の警部補。髪をオールバックにしている中年男性。神志名将とコンビを組んでいることが多い。黒崎の父親から詐欺被害の相談を受け、被害届を書いた担当でもあったことから、「クロサギ」となった黒崎には複雑な感情を抱いている。

秋元 耕蔵 (あきもと こうぞう)

警察庁刑事局長を務める男性。同じ政和大学出身である神志名将に目をかけており、彼の過去を知っているが、それでもなおキャリアとしての道を歩むべき人材であると諭す。

三島 ゆかり

政和大学文学部3年生の青年。吉川氷柱の友人。人のよさからちょくちょく詐欺に引っかかってしまい、氷柱経由で黒崎へと相談を持ちかけている。物怖じしない明るい性格。

クレジット

原案

夏原 武

前作

クロサギ

詐欺師である黒崎が、金銭を巻き上げるシロサギや異性を弄ぶアカサギといった同じ詐欺師をターゲットとしたクロサギとなって、過去のトラウマに立ち向かう姿を描く。小学館漫画賞一般向け部門受賞。 関連ページ:クロサギ

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