新吼えろペン

新吼えろペン

漫画家である炎尾燃の執筆活動や彼の信念を、暑苦しさを感じさせる熱量で描いた『吼えろペン』の続編。主人公の炎尾は、作者の島本和彦がモデルで、彼の自伝のような作品。作中に出てくる編集者やアシスタントも、実在する人物がモデルとなっていることが多い。小学館「月刊サンデーGX」2004年11月号から2008年8月号まで連載。

正式名称
新吼えろペン
ふりがな
しんほえろぺん
作者
ジャンル
作家・漫画家
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概要・あらすじ

炎尾燃が10年前に描いた「ワイルドピッチ」という漫画が、実写映画化されることが決定した。映画監督の弾Aイチローがメガホンを取って撮影が開始。炎尾は撮影状況が気になって仕方がなく、仕事もせずに撮影現場に行っては、出演者にケチをつけていた。そんなある日、とあるシーンの撮影で、炎尾は1つのことに気づく。元々は炎尾にとって何気なく描いたシーンだったにも関わらず、その1シーンのために、弾や出演者が文字通り必死になっていたのである。

漫画を執筆した自分の姿勢に、ふがいなさを感じた炎尾は、映画作りはその道のプロに任せ、自分は漫画を描くことに専念しよう、と決意するのだった。

登場人物・キャラクター

炎尾 燃 (ほのお もゆる)

炎プロダクションの代表。月2本の連載と短編などを抱える漫画家の男性。漫画に魂や熱意を注ぎ込むことを信条としている。「真の漫画」を描くために、日々さまざまな経験をすると共に、トラブルも巻き起こしている。基本的には熱血漢で真っ直ぐな性格だが、他者の熱意や価値観に感化されやすい。作者の島本和彦本人がモデル。

ヤス

炎プロダクションに所属する男性。炎尾燃のチーフアシスタントを務める。炎尾同様に熱血漢であるが、プロダクションの中では最も冷静。基本的にはツッコミに徹している。締め切りを気にせず、熱意のままに行動する炎尾に対して、締め切りをきちんと守るよう諫める人物でもある。

大哲 (だいてつ)

炎プロダクションに所属する男性。炎尾燃のアシスタントを務める。熱いストーリー展開が大好きで、趣味であるアニメやヒーロー番組に、何かと影響されがち。スタッフの誕生日に、模型などの玩具をプレゼントするなど、仲間内では玩具好きとして知られている。

(もゆ)

炎プロダクションで、非常勤アシスタントを務める女性。炎尾燃の大ファン。炎尾を好きな気持ちが強すぎて、偽物の炎尾としてデビューした過去を持つ。現在は、自分の作品を描こうと、修行を続けている。炎尾のことが好きなあまり、「アニキ」呼ばわりして、男口調で話すこともある。

マルピー

炎プロダクションに、アシスタント候補としてやってきた女性。漫画で売れっ子になりたいという願望を持っている。基本的に「楽をしたい」という気持ちが強く、楽観的でお調子者。普段漫画を描くときには丸ペンを使っているが、Gペンを持つと、性格が熱血漢へと豹変する。

ピアス

炎プロダクションに、アシスタント候補としてやってきた男性。穏やかな性格で、漫画のキャラクター設定や仕上げ、背景処理など、アシスタントとしての能力は高い。炎尾燃の漫画に出てくる敵キャラクター募集の企画に応募し、大賞を獲得した経験がある。何かと炎尾との相性がよい。

前杉 英雄 (まえすぎ ひろ)

過去に炎プロダクションでアシスタントをしていた少年。熱意にあふれる人物で、現在は、連載を持つ漫画家として活躍。ところが、落雷によって記憶を失ってしまう。その後も飛鳥京香の手助けにより、作品を世に出し続けていた。しかし、記憶が戻ると、その作品は自分のものではないとして、あっさり飛鳥に連載漫画を渡してしまう。

飛鳥 京香 (あすか きょうか)

他人に漫画を描かせて収入を得ている女性。自分は、漫画家と打ち合わせをするだけ。非常にしたたかな一面を持つ。しかし、愛嬌があるので、他人から恨まれることのない世渡り上手。前杉英雄が、自分のプロダクションから抜けてしまったため、代わりにぱみぱに漫画を描いてもらうことになる。

雄叫飛 号 (おたけび ごう)

炎プロダクションのアシスタントとして候補に挙がった男性。非常に雑な性格。それが漫画にも出てしまい、なかなか連載を持つことができない。熱血漢で後先を考えないため、炎尾燃から「男と書いて美しいバカ」と言われてしまう。

まり林 (まりばやし)

女性漫画家。マンガ大賞を受賞するなど、マンガ界の注目を集めている。非常に目が大きく、自然と男性を惹きつける魅力を持っている。マンガ大賞の授賞式で炎尾燃と出会って炎尾を虜にしてしまう。結果、締め切りギリギリであった漫画執筆の手伝いを、炎尾にしてもらうことになる。かつてぱみぱをアシスタントとして使っていたことがある。

ぱみぱ

かつてまり林のもとでアシスタントをしていた男性。炎尾燃のファン。非常に女性っぽい顔つきで、初対面では、炎尾にも女性と勘違いされた。非常に真面目で漫画の描き方も丁寧。しかし、彼が描くオリジナルの漫画は丁寧過ぎて、漫画としての魅力に欠ける、と批評されている。

弾Aイチロー (はずみえーいちろー)

映画監督の男性。炎尾燃が描いた漫画「ワイルドピッチ」の実写映画化を担当。炎尾と同じく、面白いものを作りたい、という強い思いを持つ男性。感覚的なものを大事にするのが信条。自分の撮りたいものを撮るためならば、原作者の意見も聞かない強情な面がある。

富士鷹 ジュビロ (ふじたか じゅびろ)

男性漫画家。炎尾燃とはライバル的な立ち位置にある。互いに漫画家として尊重しあっており、1人の漫画キャラクターについて、熱く語り合うほどの仲。一方で、些細なことで対立することも多い。富士鷹ジュビロが描く女性キャラクターに似た人物を、炎尾が描いただけで、「俺の女を返せ」と突っかかる。実在する漫画家・藤田和日郎がモデルと思われる。

キックミー他島 (きっくみーたーじま)

炎尾燃を担当する男性編集者。炎尾の担当になるまでは少女漫画を担当。担当作家に蹴ってほしい、という変態的な願望を持っている。仕事はしっかり真面目にこなすタイプ。少女漫画担当時の人脈を活かし、炎尾のアシスタントとして、マルピーを紹介する。

星紅 (ほしくれない)

炎尾燃を担当する女性編集者。非常に優秀なビジネスウーマン。原稿の遅れや作家の脱走は絶対に許さない、厳しい人物。しかし、作家が窮地に陥っているときは、厳しい言葉ながら的確な助言を送る。過去の仕事での失敗を踏まえ、いつも仮面をかぶっている。

ボタQ (ぼたきゅー)

炎尾燃が漫画を連載している雑誌の編集長。誰からも愛され、部下はもちろん漫画家をも、次の高みへと導くことができる魅力的な人物。一方で厳しさには欠け、指示が不明確だったり、優秀な人材を他社に流出させてしまったこともある。のちに会社の異動により、編集長の座を星紅に譲る。

集団・組織

炎プロダクション (ほのおぷろだくしょん)

炎尾燃が立ち上げた漫画プロダクション。普段はヤスと大哲を含む3人で漫画の制作を行っている。非常勤の萌や、アシスタント候補のマルピー、雄叫飛号、ピアス、ぱみぱも、深く「炎プロダクション」に関わっている。島本和彦の漫画プロダクション「(株)ビッグバンプロジェクト」がモデルとなっている。

前作

燃えよペン (もえよぺん)

熱血漫画家炎尾燃と、彼のプロダクションのアシスタント達が、命を賭けて、時に失敗もしながら作品を創りだす姿を描く、一話完結の連作短編。 関連ページ:燃えよペン

吼えろペン (ほえろぺん)

炎プロで常に〆切に追われる漫画家炎尾燃がアシスタント達と共に、編集者が持ちかける無理難題や降りかかるトラブルを乗り越えていく。『燃えよペン』の続編に当たるが、アシスタントの顔ぶれは一新されている。小学... 関連ページ:吼えろペン

続編

吼えろペンRRR (ほえろぺんあーるあーるあーる)

いくつもの連載を抱えていた熱血漫画家の炎尾燃も、今や月刊連載は1本。家業を引き継ぎ、漫画家兼経営者として忙しい日々を送っていた。炎尾燃を主人公とした『燃えよペン』『吼えろペン』『新吼えろペン』の新シリ... 関連ページ:吼えろペンRRR

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